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予算を付けて見直されることになったダメゼッタイ薬物情報を、どのように見直すか。
糸井専務理事の説明では、外部からも「先生」を招いて委員会を構成し、そこで検討するとのこと。

その委員会のあり方について、要望を出そうと思っています。

例えば、モルヒネは癌の苦痛をやわらげる目的で使われますが、ダメセンのサイトには薬物データではなく、「麻薬の適正使用推進のための講習会」というページに、次のように書かれています。

「がん患者の痛みを緩和するためには、モルヒネ等医療用麻薬の適正な使用が大きな役割をもつことが、世界保健機関(WHO)のレポート等で指摘されています。しかしながら、国連の統計によりますと、わが国におけるモルヒネ等オピオイドの一日一人当たりの使用量は、欧米諸国と比べ約十分の一程度であり、がん疼痛緩和推進のために、モルヒネ等医療用麻薬の適正な使用の普及が望まれています。」
http://www.dapc.or.jp/info/gantotu.htm

ダメセンが訳して売っていたテキサス州の反ドラッグ団体の薬物標本の説明書、「薬物乱用防止指導者読本」には、モルヒネについて「麻薬の詳細」(p48)として乱用薬物としての危険性も書かれているのに、「ダメ。ゼッタイ。」ホームページにはモルヒネについてのデータは見当たりません。

モルヒネをもっと使おうという政策に沿って情報を操作しているのでしょうか?
タバコとアルコールの強い毒性についても、「読本」には書かれているのに、ダメホームページには見当たりません。

このような、政治的な記述であると言われても仕方がないような内容がないよう、各薬物について公平で公正な検討がなされるべきでしょう。

モルヒネについては、医療現場での有効性と、乱用した場合の危険性について、公平に記述すれば良いのではないでしょうか。

タバコとアルコールがいくら税収になるからといって、原本にも「読本」にも書かれている情報をこのようにあからさまに操作するのはいかがなものでしょうか。これも検討する必要があるだろうと思います。

大麻に関しては、医療大麻の有効性、海外での現実、産業や環境からの視点、法律的な問題など、各分野における専門的知識を有する人に委員会を構成して頂き、社会学的な視点からも点検したうえで、国民に対する誤った印象操作とならないよう、偏った情報操作とならないよう、国民にとって本当に役に立つ情報を構築することが求められているのだと思います。

(そこから、本来、大麻取締法はどうあるべきかという視座も得られるのではないかと期待しています。)

モルヒネの例に明らかな通り、「ダメ。ゼッタイ。」だけではダメなのです。
キケンなドラッグとして「ダメ。ゼッタイ。」と言うのであれば、同時に、そうではない側面の補足がなければ、極めて偏った情報で国民の認識を操作することになるのです。

公正な委員会をつくり、討議は公開を原則にし、透明性の確保された委員会運営を、ダメセンには行って頂きたいものです。税金でやってる仕事なのですから。

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厚生労働省との対話 : 投稿者 : 白坂@THC主宰 投稿日時: 2007-04-03

薬物乱用防止センター糸井専務理事への電話取材では、「ダメ。ゼッタイ。」ホームページで国民に周知されている薬物情報見直しの予算について、具体的な金額などは分かりませんでした。
そこで、この件についても情報を明らかにするよう行政文書開示請求を行いました。
以下、抜粋です。
---------

行政文書開示請求書
平成 19年 4 月 3 日
厚生労働大臣殿

行政機関の保有する情報の公開に関する法律第4条第1項の規定に基づき、下記のとおり行政文書の開示を請求します。

1.請求する行政文書の名称等

平成19年度、厚生労働省が(財)麻薬・覚せい剤乱用防止センターに支出する補助金や委託費などの予算及び内訳の詳細を示す全ての文書。

特に、同センターが国民に周知している薬物情報の見直しに関する予算と内訳の詳細を示す文書。

同センターからの予算要求書の金額と事業計画の内容を示す全ての文書。

同センターが予定している薬物情報見直しに関し、厚労省が把握している全ての文書。

並びに、同センターの薬物情報見直しに関して厚労省が独自に所有している全ての文書。
----------

厚労省の委託で運営されている「ダメ。ゼッタイ。」ホームページの大麻情報が適切なものとなるよう、国民も協力的とご理解下されば幸いです。

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「ダメ。ゼッタイ。」ホームページの大麻情報見直しについて麻薬防止センター糸井専務理事との対話概略は以下の通りです。

以下は書き起こし


し「26日に参院で予算が通りましたけど、以前お話されていた新年度にダメゼッタイホームページの記述を全面的に見直すという件はその後どうなりましたでしょうか?」

糸井氏「一応ですね、具体的な内容は詳しく決まっておりませんけれども、そういうことができるようなかたちでのある程度の予算が認められておりますので、具体的な手順については今後検討していきたいと考えておるところでございますけれども」

し「予算はどのくらいの規模ですか?」

糸井氏「これはまだ、なんと申しましても実際上、関係の委員会を作りましてですね、そこでご検討して頂こうと考えておりまして、そのなかで謝金とかの関係もありまして、特別それだけを区別する予算はないんですけれども」

し「ダメゼッタイホームページの内容を全面的に見直すというのは大麻についてだけではなくて、ということですか?」

糸井氏「私どもとしましてはですね、これまでのいろいろな知見がございますので、それを見直して、その結果、適宜必要がありましたらホームページのほうにも反映していきたいというかたちでの予算ということでございます」

し「前のお話だと10月に一新するということでしたが?」

糸井氏「それを申し上げましたのはですね、早くても10月からになるということで申し上げましたので、10月から開始しますというかたちで申し上げたのではないんではないかと思うんでございますけれども」

し「そうすると具体的な作業としてはどのように?」

糸井氏「私どもの手順といたしましてはですね、新年度が始まりますもので、その準備とですね、それとまだ18年度の決算とかの準備とかですね、それと平行しましてできるだけ早くですね、申し上げました委員会を設置しまして、その準備を進めていきたいと考えておるところでございます」

し「その委員会で各薬物について検討するということですか?」

糸井氏「それも含めまして委員会のほうでご検討頂きたいと考えております」

し「その委員会のメンバーというのはどのような方が?」

糸井氏「いやそれはまだ全くこれから検討するところでございまして、具体的なかたちでは決まっておりません」

し「では今のところ委員会を作ってそこでやるよ、というところまでが決まったと?」

糸井氏「一応委員会を作ってやるようなかたちでの予算が認められましたものですから、それをどんなかたちでやるかということは今後検討していきたいと考えておるところでございます」

し「この計画自体を主導されるのはセンターのほうで?」

糸井氏「私どもが事務局といたしまして今後いろいろ運営していくことになります」

し「糸井専務理事が引き続き責任者をお務めになるということでよろしいですか?」

糸井氏「理事に選任されましたものですからやっていくことになるかと思います」

し「それでは引き続きよろしくお願いします。これからもお願いごとやら要望やら、させて頂くことになると思いますので」

糸井氏「お話をお伺いするのはやぶさかではございませんですけれども、どこまでお約束できるかは分かりませんですけれども」

し「委員会が走り出すのはいつ頃になるとお考えですか?」

糸井氏「いえまだ、ちょうど年度末でいろいろ行事等もございましてですね、ちょっとそこまでまだやっている余裕がございませんで」

し「ホームページの見直しは一度に丸ごと入れ替えではなくて、順次ということですか?」

糸井氏「やり方としましては順次検討しまして、順次それをホームページのほうにも反映させていくというかたちになろうかと思います」

し「全面的に見直すということですか?」

糸井氏「全面的にと申しますか、これまでの知見について検討しまして、勉強しましてですね、必要がありましたらホームページのほうにも反映させていきたいということでございます」

し「委員会には外部の有識者なども招くというお考えでしょうか?」

糸井氏「当センターの職員だけでは難しいと思いますので、外部の先生方にいろいろご指導いただくことになると思います」

し「それではその委員会のあり方についても提言させて頂きたいと思いますので、近々また文書でやりとりさせて頂きたいと思っておりますのでよろしくお願い致します」

糸井氏「・・・・・・・・・・・・・・・・」

し「もしもし?」

糸井氏「いや、あの、私、分かりましたという立場ではございませんもので(笑)」

し「分かりましたっていう立場は糸井さんしかいないじゃありませんか(笑)」

糸井氏「もちろんいろいろご要望いただく方からご要望いただくのは結構でございますけれども、それを踏まえて私どもで判断させて頂きたいと考えております」

し「新年度は役員や評議員の方たちの異動はあるんでしょうか?」

糸井氏「それにつきましては決まり次第、新年度、ホームページのほうでお知らせいたしますので」

し「分かりました。それでは引き続き、私、別に糸井さんに個人的な恨みがあってやってるわけではないんですけれども、この法律はおかしいし、ちゃんとした大麻情報を出してくれと思っていますので、こいつウルセーなあとお思いでしょうけど、よろしくお願い致します」

糸井氏「我々としましても、対応するのは、やぶさかではございませんので、その点につきましてはご承知おきください」

し「それではよろしくお願い致します。失礼致します」

(対話時間9分42秒)

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26日に参院で来年度予算が可決したので、「ダメ。ゼッタイ。」ホームページの見直しについて、(財)麻薬・覚せい剤乱用防止センター糸井専務理事に電話インタビューしました。

ホームーページを見直す予算が認められたので、ホームページの記述内容を検討する委員会を設置し、新しい知見などを採用し、見直しが実施されることになりました。

見直しの委員会は外部の有識者などにも委嘱して構成するそうですが、まだ委員会のメンバーは決まっていないとのことでした。
事務局はセンターに置かれ、引き続き新年度も糸井専務理事が事務局を担当されるとのこと。

予算規模については、このためだけの予算というカタチではなく、委員への謝金なども含めて詳細は決まっておらず、「なんとも申し上げられない」そうです。
また、委員会の立ち上げ時期は未定で、「できるだけ早い段階で」とのことです。

THCとしても委員会に提言などさせて頂きたい旨、お伝えしました。

これまで日本全国にデタラメ大麻情報を垂れ流してきた「ダメ。ゼッタイ。」ホームページの見直しが確定しました。

文字通り画期をなす展開だと思います。
引き続き、適切な大麻情報を周知して頂くよう、みんなの力を合わせて前進を続けましょう。

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厚生労働省との対話 : 投稿者 : 白坂@THC主宰 投稿日時: 2007-03-24

厚生労働大臣宛に質問書を郵送しました。
--------

厚生労働大臣 柳 澤 伯 夫 様

質 問 書

平成19年3月23日

行政機関の保有する情報の公開に関する法律第4条第1項の規定に基づき、昨年12月11日、私は行政文書の開示請求を行いました。

本年1月11日付、厚生労働大臣柳澤伯夫名による行政文書開示決定通知書(厚生労働省発薬食第0111016号)を受領し、追って開示文書の送付を受けました。

私が本開示請求で求めた文書は、厚生労働省が運営を委託している「ダメ。ゼッタイ。」ホームページの大麻情報の根拠文書ですが、開示された文書には、1997年にWHO(世界保健機関)が出した「Cannabis : a health perspective and research agenda」が含まれています。

しかし、「ダメ。ゼッタイ。」ホームページの大麻情報は、上記国連大麻レポートの記述とは矛盾する内容が大変に多く、どこを探しても参照された箇所が見当たりません。

そこで確認のため、「ダメ。ゼッタイ。」ホームページを管理する(財)麻薬・覚せい剤乱用防止センターの糸井専務理事に電話インタビューしたところ、「ダメ。ゼッタイ。」ホームページが作られたのは1997年以前のことであり、その後大幅な見直しや修正などは行われておらず、「まだその情報までは反映したかたちになっていない」「経緯からして入っていない可能性が強い」との回答でした。

厚生労働大臣が「ダメ。ゼッタイ。」ホームページの根拠文書として示した「Cannabis : a health perspective and research agenda」のどの箇所が、「ダメ。ゼッタイ。」ホームページのどこに反映されているのか、いないのか、文書による回答を求めます。

回答は4月6日までにお願い致します。

以上

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厚生労働省との対話 : 投稿者 : 白坂@THC主宰 投稿日時: 2007-03-23

行政開示文書に対する異議申立書に対する説明書に対する意見書をファックスで提出しました。
---------

内閣府情報公開・個人情報保護審査会事務局御中


平成19年3月23日


下記の諮問事件について、厚生労働大臣から提出された理由説明書には事実経過のごまかしがあります。情報公開・個人情報保護審査会設置法第11条の規定に基づき、意見を提出します。


○諮問番号:平成19年(行情)諮問68号
○事件名:「平成17年度覚せい剤等撲滅啓発事業の事業計画書の提出について」等の一部開示決定に関する件


1.担当者が本件文書を入手した経緯


審査会諸賢には長文で申し訳ありませんが、今回の行政文書開示請求に至る事実経過を明らかにしておきます。


2004年6月15日、私は自分の裁判に使う資料とするため、日本の公的大麻情報を発信している(財)麻薬・覚せい剤乱用防止センターに、「ダメ。ゼッタイ。」ホームページに書かれている大麻情報の根拠と出典を示すよう、同センター糸井専務理事に文書で問い合わせました。
http://asayake.jp/thc/archives/2004/06/post_23.php


同年6月25日、文書での回答はできないとのことでしたが、出典は主に「Drug Prevention Resources」発行の「drug education manual」という冊子であると、糸井専務理事より電話による回答を得ました。発行年月日は不明とのことでした。
http://asayake.jp/thc/archives/2004/06/post_25.php


2006年6月12日、現在の医学的・科学的知見とは相容れない、大麻の有害性を誇張捏造する同ホームページの記述が改まる様子がないので、改訂の予定がないか確認すべく、同センター糸井専務理事に問い合わせたところ、改訂の予定はないが、具体的な指摘については厚労省の担当部署にも申し送り、検討するとのことでした。
http://asayake.jp/thc/archives/2006/06/post_212.php


2006年6月14日、「ダメ。ゼッタイ。」ホームページの記述について聞きたいことがあり、同センターに電話をしたところ、資材販売担当の方が対応して下さり、「ダメ。ゼッタイ。」大麻情報の原文であるdrug education manualは、10年ほど前まで輸入していた薬物標本の説明書であり、その原文は保管しておらず、記述の確認はできないとのことでした。
また、そのdrug education manualの翻訳は、「ダメ。ゼッタイ。」ホームページに転載されているだけでなく、「薬物乱用防止教育指導者読本」として、センターで販売されていたことも分かりました。
http://asayake.jp/thc/archives/2006/06/post_214.php


2006年6月15日、「ダメ。ゼッタイ。」ホームページの運営を委託している厚労省の担当部署である医薬食品局監視指導・麻薬対策課に電話をし、同ホームページの大麻情報は研究データの出典を示せないどころか、原本も残っていない古い米国製薬物標本の説明書なので、記述を見直してほしい旨、申し入れました。
対応した担当者秋篠氏は、修正する必要があるかどうかを確認したうえ、2.3週間のうちに回答するとのことでした。
http://asayake.jp/thc/archives/2006/06/post_215.php


2006年6月23日、秋篠氏から電話がありました。センターに連絡し、「ダメ。ゼッタイ。」ホームページの大麻情報の原本がないかもう一度よく探して欲しいと要請したところ、出てきたとのことでした。ただ、コピーしか残っていないとのことでした。
秋篠氏は、センターからファックスでその原文コピーを送ってもらったとのことでした。そして、この原本のコピーが「ダメ。ゼッタイ。」ホームページに書かれている大麻情報の根拠ですと秋篠氏は言い張りました。
同ホームページには、大麻の害として「心拍数が50%も増加し、これが原因となって脳細胞の細胞膜を傷つける 」といった記述がありますが、そのデータの出典については、英語の原本コピーにも書かれていないとのことでした。
それではデータの根拠・出典が明らかになったことにはならず、真偽の確認もできないので、原本に書かれているデータの研究根拠を示すよう、重ねて私は申し入れました。秋篠氏は、調べたうえで回答すると約束しました。
http://asayake.jp/thc/archives/2006/06/post_217.php


2006年9月5日、待てど暮らせど二ヵ月半、連絡はなく、どうなっているのか確認すべく、麻薬対策課の秋篠氏に電話を入れました。秋篠氏によると、同僚たちにも調べてもらっているが、データの出典は未だ分からず、分からないから連絡しなかったとのことでした。分からないということを連絡すべきではないのでしょうか。民間企業はそうします。
出典も根拠も不明なデータは削除するよう申し入れましたが、厚労省はそのデータを「信じている」とのことでした。だからそう信じている根拠を示してくれと言っているのですが、それはまだ分からないとのことでした。
http://asayake.jp/thc/archives/2006/09/2_2.php



2.本件文書は誰のものか?


1に経緯を示した通り、本件文書は、私の問い合わせに対応するため、厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課の担当者が、仕事として、厚労省が運営を委託している「ダメ。ゼッタイ。」ホームページを管理する(財)麻薬・覚せい剤乱用防止センターに照会し、入手した文書です。
本件文書は「ダメ。ゼッタイ。」ホームページに記載されている大麻情報の英語原文です。そこに書かれているデータの研究根拠を示すよう私は重ねて申し入れ、秋篠氏は同僚にも協力を得て、出典を探したと回答しています。
本件文書は、国民からの問い合わせによって、厚労省の担当者が勤務中に仕事として入手した文書であり、秋篠氏はセンターから厚労省宛のファックスで本件文書を得ています。
担当部署でありながら、麻薬対策課は、私が問い合わせるまで、「ダメ。ゼッタイ。」ホームページの出典を知らなかったのであり、私の問い合わせによって調査し、センターから本件文書を入手したのです。これは担当部署の職員が仕事として入手した文書以外のなにものでもありません。
本件文書が個人の所有物だという主張は、麻薬対策課の情報管理の杜撰さを自ら立証するに他なりません。


以下、理由説明書の「3 諮問庁の考え方」に沿って反論します。


> 本件文書は、監視指導・麻薬対策課の担当者がセンターより入手したが、
> 個人の資料収集の一環として行ったものであり、上司の指示等によるものではなく、
> あくまで個人の勉強のためである。


上述の通り、担当者は国民からの問い合わせに対応するため、仕事として、勤務時間中に、税金で賄われている通信費と事務用品を使い、本件文書を入手したのです。
それとも厚労省は、職員が自分の勉強のために通信費や事務用品を使うことを認めているのでしょうか。そーゆーことでいいのでしょうか。


> 本件文書は、既に販売されている、「薬物乱用防止教育指導者読本」の原本の一部
> であり、あらためて、組織的に検討、回覧等する必要のない文書であることから、
> 担当者から他の関係職員に配布したり、上司に報告することなどはしていない。


これも真っ赤な詭弁です。こんなことがよく恥ずかしくもなく書けるものです。全く逆立ちした言い訳です。
本件文書が既に販売されている「薬物乱用防止教育指導者読本」の原本の一部であることは、私の問い合わせによって初めて、担当者は、センターに照会のうえ、コピーを入手して知ったのです。
その原文にすら研究根拠が示されておらず、公的情報として国民に周知するには極めて不適切なので、私はその原文のデータの研究根拠を重ねて問い質し、担当者秋篠氏は、同僚にも助力を得て、原文の出典根拠を探したと説明したのです。結果、出典不明であることが明らかになりました。


このような国民からの問いかけを、上司にも相談せず、黙殺するのであれば、説明責任どころか、「国民本位の効率的で質の高い行政」など実現できるわけがありません。


厚生労働省のお家芸である隠蔽工作をまざまざと見せ付けられる思いです。
問題は、問題として認識することからしか改善されません。


> 本件文書は、収集後、担当者の個人のファイルに編てつされたが、当該個人ファイル
> は、担当者の机の中に保管されており、上司も含め、同僚もその存在を知らなかった。
> したがって、保存・廃棄については、担当者の判断で処理できる性質のものである。


本件文書の存在を上司も含め同僚も知らなかったのであれば、秋篠氏のそれまでの私への説明は全て嘘だったことになります。もうホント、辟易します。


国民からの問い合わせによって判明した問題点、この例では「ダメ。ゼッタイ。」大麻情報には根拠がないことを、担当者が同僚や上司に説明報告せず、いったいどのようにして問題の改善が可能でしょうか?

国民からの問い合わせによって判明した問題点を、自分の引き出しにしまって個人の勉強のための私有物にしていいのでしょうか。

国民からの指摘で問題を知った担当者が、それを捨てようが保存しようが担当者の勝手だという厚生労働省のおぞましい体質が、薬害エイズやハンセン病問題など数々の国民不在の犯罪的行政を引き起こしてきたのではないでしょうか。

ふざけんな、国民をナメるのもいい加減にしろよな税金泥棒と言わざるを得ません。


> なお、念のため行政文書ファイル管理簿でも検索してみたところ、
> 該当する文書は存在しなかった。


つまり、「ダメ。ゼッタイ」ホームページで国民に周知されている大麻情報の根拠文書を、委託責任のある厚生労働省は知らなかった、その無根拠を把握していなかった、ということです。



3.結論


「ダメ。ゼッタイ。」ホームページの運営をセンターに委託している厚生労働省には、国民に周知されている内容が医学的・科学的に適切であるかを確認する責任と義務があります。それとも丸投げ放置ですか?
公的情報として国民に周知されている情報について、その根拠文書を、担当者個人は勉強のために税金を使って入手し持っているが、厚労省としては把握していない。こんな理屈が通るでしょうか。
今回の件で明らかになっているのは、厚生労働省の情報管理の杜撰さであり、怠慢であり、高慢であり、反国民的な体質です。
「ダメ。ゼッタイ。」ホームページに掲載されている情報の根拠文書を把握し、担当部署として適切に管理するのは、既にやっていてあっっったりまえのことです。
適切に情報を管理したうえで、担当者が仕事として入手した「ダメ。ゼッタイ。」ホームページの原文、本件文書のすべてを開示するよう求めます。



4.おまけ


今回の行政文書開示請求は、「ダメ。ゼッタイ」ホームページの大麻情報の根拠を示す全ての文書です。
厚生労働大臣名の回答には、1997年にWHO(世界保健機関)が出した「Cannabis : a health perspective and research agenda」が含まれています。
ところが、「ダメ。ゼッタイ」ホームページの大麻情報は、この国連発行の文書と全く相容れない、矛盾する記述だらけです。


参照
検証「ダメ。ゼッタイ。」ホームページ http://www.asayake.jp/dame/
当該WHOレポート日本語訳:http://www.asayake.jp/thc2/


2007年3月23日、念のため、(財)麻薬・覚せい剤乱用防止センターの責任者、糸井専務理事に電話で確認したところ、「ダメ。ゼッタイ。」ホームページは1997年以前に作られており、それ以降大幅な編集は行っておらず、開示文書にある「Cannabis : a health perspective and research agenda」は時期から考えても反映されていないとのことでした。


この開示は厚生労働省による白昼堂々の公的な嘘なのです。


厚生労働省は、開示文書のお粗末さを糊塗するため、権威ある文書を紛れ込ませたに過ぎません。これがホントの恥の上塗りとでも申しましょうか。
やはり、国民をナメるのもいい加減にしろよな麻薬オーメンと言わざるを得ない国民感情を生み出しているのは厚生労働省自身だと指摘せざるを得ない今日この頃なのであります。


以上

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厚生労働省との対話 : 投稿者 : 白坂@THC主宰 投稿日時: 2007-03-23

先に厚生労働省が開示した「ダメ。ゼッタイ。」ホームページの根拠文書には、世界保健機関が1997年に発行した「Cannabis : a health perspective and research agenda」が含まれている。

ところが、「ダメ。ゼッタイ。」ホームページの大麻情報は、当サイトでフロッガー医師の検証として連載している通り、WHOレポートの記述とは矛盾だらけである。

また、「ダメ。ゼッタイ。」ホームページの大麻情報のどこを見ても、WHOレポートが参照されているらしき箇所は見当たらない。

そこで事実を確認するため、本日正午、(財)麻薬・覚せい剤乱用防止センターの糸井専務理事に電話でインタビューした。

糸井専務理事の話によると、「ダメ。ゼッタイ。」ホームページが作られたのは1997年以前のことであり、その後大幅な見直しや修正などは行われておらず、「まだその情報までは反映したかたちになっていない」「経緯からして入っていない可能性が強い」との回答だった。

糸井氏自身が情報を更新することもあるそうだが、「大麻情報につきましては私自身がやったことはございません」とのこと。

厚生労働省は、大臣名による文書開示請求への回答で、公的に公然と嘘をついているのである。
このような体質の役所に厚生労働行政を任せておいていいのだろうか。

厚生労働省の悪政による死者が絶えないわけである。

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厚生労働省との対話 : 投稿者 : 白坂@THC主宰 投稿日時: 2007-03-21

20日付でアップした厚生労働省宛のパブリックコメントは、受付期限ぎりぎりの19日夕方にメールで送りました。
ネットの事故などで届いていないことも考えられるので、窓口である「政策統括官付政策評価官室」に電話をし、確認しました。ご担当によると、無事に届き、受け付けて頂いたとのことでした。内容も読んで頂いたそうです。

今回募集したパブリックコメントは、今月下旬から4月上旬には、検討結果をネットで公表できるようにするとのことでした。
ただ、私が書き送った内容は、個別の政策に関することであり、今回のパブリックコメント募集は政策評価のあり方に関する意見を求めるものなので、審議の対象とならないようです。

その場合、書かれている内容を担当する部局にそのまま回送し、伝えてくれるとのこと。
私の書いたパブリックコメントはダメゼッタイの大麻情報のいかがわしさなど、麻薬対策課が担当する内容ですが、受付窓口は医薬食品局になるそうで、各局がそれをどう扱うかは局によっても異なるそうです。
私のパブリックコメントが医薬食品局に回送されたかどうか確認したいので、改めて電話をさせて頂くことにしました。その上で、医薬食品局に、私のパブリックコメントをどうしてくれるのか、問い合わせることにします。

ひとまず、今回のパブリックコメントについての審議結果が厚労省のサイトで公表されるのを見たいと思います。

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厚生労働省との対話 : 投稿者 : 白坂@THC主宰 投稿日時: 2007-03-20

前田さんのブログで紹介されていた厚生労働省のパブリックコメント募集に、下記の意見をメールで提出しました。
---

第2期厚生労働省における政策評価に関する基本計画(案)等に関する意見

標記の件に関し、真摯に、かつ真剣に検討して頂きたい意見があり、恐れながら申し上げ奉ります。
私は大麻取締法の見直しを求めて活動している者です。
同法を管掌する厚生労働省の怠慢と高慢には、本基本計画の精神から天と地ほど乖離した現実があり、具体的な指摘とともに改善のための意見を申し述べます。
以下、「厚生労働省政策評価実施要領」の「第2 政策評価の目的」に沿って記述します。

「(1) 国民に対する行政の説明責任(アカウンタビリティ)を徹底すること」について
昨年6月15日、私は、厚生労働省の委託で運営されている(財)麻薬・覚せい剤乱用防止センター(以下「センター」と略)の「ダメ。ゼッタイ。」ホームページに書かれている大麻情報について根拠を示すよう、担当部署である医薬食品局監視・指導麻薬対策課に電話をし、担当の秋篠氏に申し入れました。
回答は6月23日にありました。秋篠氏によると、センターの糸井専務理事に照会したところ、「ダメ。ゼッタイ。」ホームページの大麻情報の根拠として、英語の原文が出てきたので、それが根拠であり出典であるとのことでした。
しかし、「ダメ。ゼッタイ。」ホームページの大麻情報には、現在の医学的・科学的知見と反する記述が極めて多く、データの根拠となる研究も示されておらず、英語の原文にも研究の出典は示されていないとのことで、真偽の確認もできないため、原文に記述されているデータの根拠となった研究自体を示すよう改めて私は申し入れました。
秋篠氏は2・3週間で回答するとのことでしたが、それきり連絡がなく、3ヶ月近く過ぎた9月5日、私から電話を入れました。すると、秋篠氏は、調べているけど出典が分からないから連絡しなかった、とのことでした。
時間がかかりそうなら、そう連絡するのが「説明責任」ではないでしょうか。
結局、「ダメ。ゼッタイ。」ホームページに記述されている大麻情報のデータには研究の出典がないことは、10月23日に麻薬対策課情報係の藤原情報係長への問い合わせでも明らかでした。
藤原情報係長は、「根拠はまあ、ないんでしょうね」と、どこか遠い国の昔話でもするかのように、あっけらか~んと回答しています。
また、「ダメ。ゼッタイ。」ホームページの大麻情報には、原文には書かれていない訳者の感想が、あたかも原文に書かれているかのように改ざんされており、その指摘をしたところ、秋篠氏は更なる改ざんで対応し、藤原係長は削除を約束しましたが、結局これも放置されたままです。
説明責任どころではありません。
情報係の藤原係長は、訳者の感想をそれと示さずに原文に紛れ込ませている点について、「出典を示していないのだから、書き換えても改ざんではない」と、ダイナミックに答えています。説明責任どころではないのです。
お役所が説明責任を果たすのはあったりまえのことですが、それ以前の問題として、そもそも説明できるような根拠ある情報を国民に周知する義務が厚生労働省にはあるはずです。
現場の担当者が、基本政策の理念を十分に理解して公務に励むよう、マトリ教育を徹底して頂きたく、恐る恐るお願い申し上げます。

「(2) 国民本位の効率的で質の高い行政を実現すること」について
大塚製薬が大麻由来の薬剤サティベックスの研究・販売権を米国において得たとの報道が先日ありましたが、多くの先進国では、大麻を医療の現場で制度的に処方することができ、個人利用を逮捕などしません。
ところが、我が国は、先の敗戦に伴う占領軍(国)の無理強いで大麻取締法を制定し、医療的な利用や研究までも厳罰で規制しています。
現在の医学的知見は、大麻が多くの疾病に効果があることを証明しており、その研究すら法で禁じることはナンセンス以外のなにものでもありません。このままでは日本国民本位ではなく、いつまでたっても実質的には米国の占領下です。
アメリカ本位ではなく、日本国民本位の、効率的で質の高い行政を実現して下さい。
医学的・科学的検証を行い、大麻取締法の見直しに着手して下さい。

「(3) 国民的視点に立った成果重視の行政への転換を図ること」について
多くの先進国では、大麻をソフトドラッグと位置づけ、覚せい剤などのハードドラッグと区別して扱う政策が採用されています。
また、薬物政策として、米国は厳罰主義のドラッグウオーに莫大な国家予算を投入し、効果が上がらないどころか、厳罰主義の欠点が露呈しています。
他方、オランダに代表される害削減(ハームリダクション)政策では、薬物を使用する個人の害だけではなく、社会的な害の削減にも効果を上げています。
参照:大麻取締法被害者センター/薬物政策博士X氏の論考
http://asayake.jp/thc/archives/cat_135.php
成果重視の観点からも、どのような薬物政策が望ましいか、科学的で、冷静で、公平な検討をお願い致します。

「(4) 厚生労働省の総合的・戦略的政策展開を推進すること」について
大麻取締法制定当時、国会議員すらその必要性に疑問を持っていたことが当時の議事録から分かります。危険な薬物としての規制であれば、生産と流通を管理することで大麻産業にダメージを与えないよう政策化できるものを、占領軍の意向によって繊維になった麻までを厳重な管理対象としているのです。
以下、参院厚生委員会質疑(昭和23年06月25日)より引用。
三木治朗議員「大麻が繊維にまでなつてしまへば、これはもう何も麻藥の方に関係がなくなるんじやないかと、こう考えるのですが、ところが繊維も、数量までも一々届出ろというようになつておるように思われるのですが、今麻が日本で大体生産が足りないので、沢山麻を要求しておるのですが、この法律のために、麻を作ることを何んだか非常に面倒なような感じを一般が受けるんじやないか、栽培者が受けるのではないか(後略)」
これに対して政府委員は次のように答えています。
久下勝次政府委員「私共も御指摘の点は心配をしないでもないのでございます。実は從前は、我が國においても大麻は殆んど自由に栽培されておつたのでありますが、併しながら終戰後関係方面の意向もありまして、実は大麻はその栽培を禁止すべきであるというところまで來たのでありますが、いろいろ事情をお話をいたしまして、大麻の栽培が漸く認められた。こういうようなことに相成つております。併しながらそのためには大麻から麻藥が取られ、そうして一般に使用されるというようなことを絶対に防ぐような措置を講ずべきであるというようなこともありますので、さような意味からこの法律案もできております。その意味におきましては絶対に不自由がないとは申せませんと思いますが、行政を運営する上におきましては、さような点をできるだけ排除して、できるだけ農民の生産意欲を向上するように努めております。」
その後、大麻産業は衰退し、石油製品が市場を席巻したのは戦後史が証明している通りです。
しかし、今や大麻はバイオマスエネルギーとしての可能性も含め、環境にやさしい素材としての価値が注目されています。我が国においてサトウキビは産地が極めて限られますが、麻は日本全国どこでも栽培可能です。

このような意味と価値を持ち、コメと並んで我が国の重要な栽培作物であった大麻を、戦勝国に押し付けられた大麻取締法という愚法によって医療にも産業にも使えず、研究すら禁じている現状は、我が国の厚生労働行政が、未だにアメリカの占領下にあるようなものです。

真に、日本国民本位の、戦略的政策展開をお願い致します。
以上

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本稿では、アメリカ国内でのニクソン政権以後のドラッグウオーの歴史と現状とその社会的効果をみてきた。

このおよそ30年間に渡り莫大な予算が費やされ、数多くの政府機関とその他の民間組織が関わり内外の無数の人々に影響を与えたこの国家プロジェクトのすべてを本稿で言及することはもとより不可能である。

しかし本稿で言及した範囲において、アメリカのドラッグウオーが非合法ドラッグの供給と需要の撲滅という目標においても、さらにその目標が拠って立つところの国民の生活、健康、人権の保護という点においても成功を収めているとは言いがたいことは確かであろう。

むしろドラッグウオーは莫大なコストをかけこの問題の解決へ向けての効果的な道筋を示すどころか、内外の多くの人々の人権、健康、平和を脅かしていることは本稿で指摘した通りである。

筆者はこうした結果がもたらされた要因を、ドラッグ問題を需要と供給の法規制によるコントロールによって対処できる事柄と考える問題の単純化にあると考える。

本稿では言及できなかったが、供給に関していえば、コロンビアが直面しているコーヒーの値段の暴落と政治的内戦状態、ゴールデントライアングルと呼ばれるビルマ・シャン州での近隣諸国の思惑によって長年続いている軍閥支配など、ほとんどの供給側アクターにはそれぞれドラッグマネーに頼らざるをえない政治・経済状況が存在する。

これらの問題を無視した供給対策は、非合法麻薬のブラックマーケットでの価格上昇、質の低下による健康被害、使用者の二次的犯罪の誘発を引き起こすだけである。

また、需要側においては、非合法麻薬の使用者を合理的判断力のない人間、犯罪者としてラベリングし社会的に排除するのではなく、彼らがいかなる要因、また論理で非合法麻薬を使用しているのかを分析し、彼らの健康と人権に配慮した科学的かつ合理的な政策的議論が行われることが望ましい。

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クラック問題と並び、80年代に麻薬問題と密接に結びついて社会問題となったのは、ヘロイン使用者の注射針の共有によるHIV感染の広がりである。

HIV感染はいわゆる4Hクラブと呼ばれる社会集団 (Homosexual, Heroin abusers, Haitian entrants, Hemophiliacs) に多くみられ、流行当初からヘロインユーザーの間に感染者は多かった。

アメリカでHIV感染のため治療を受けに来たヘロインユーザーの割合は、1981年に3%だったのが1984年には17%へと上昇している[56]。

ちなみに、同じ時期HIV感染の増加が問題化していたオランダでは、1984年には処方箋なしでの注射針の購入の許可と、政府財源による注射針の無料交換制度が実施されている。

こうした措置には、注射針の所持を禁止してもヘロインユーザーは結局注射針を使い回すことになり、禁止政策が事実上HIV感染を悪化させているという客観的な事実認識が背景にあった。

しかしアメリカでは注射針の交換に対して政府から激しい反対意見が相次ぎ、1988年に注射針の交換に政府として資金を出すことを禁止する法案が逆に通過した。

アメリカ政府が主張したのは、注射針の交換プログラムはヘロイン使用の増加につながるという論理で、注射針の交換が効果的でかつヘロインの使用を増加させないということを保険社会福祉省が宣言するまでこの方針を維持する態度をとった。

しかしその後、数多くの政府機関による公式の調査により、注射針交換がHIV感染予防に効果的でかつヘロインの使用増加にはつながらないことが証明されたにもかかわらず、クリントン政権、その後のジョージ・W・ブッシュ政権下においても政府としての資金援助は禁止されたままである[57]。

こうした政府の対応には麻薬使用者への嫌悪感が見え隠れする。

1987年に事実調査のためにHIV感染が特にひどかったニューヨークを訪れた健康相のサー・ノーマン・ファウラーは、「多くのホモセクシャルのコミュニティは、中流階級で教育もあり、間違いなく死にたいとは思っていなかった。一方、静脈注射を行うドラッグユーザー達は、彼ら自身の将来に対してより無関心であった」と述べ、ドラッグを使用するものは最初から生きることに関心がなく、死んでも仕方がない存在であるという見方を公言している[58]。

また麻薬の使用によるHIVの感染者数は、白人よりも黒人が圧倒的に多い。

これは麻薬の使用者数が黒人の方が多いということではなく、一般に警察によって職務質問される割合が黒人の方が圧倒的に高いことに関係している。

警察に職務質問される割合が高いことによって、手元に自分専用の注射針を所持するリスクが高まり、彼らは自分で注射針を所持することを避け、他のユーザーと注射針の共有を選択するからである[59]。

近年アメリカではHIV感染者の死亡数は医療の進歩により減少しているが、注射針を原因とするHIV感染数自体は一向に減少していない。

94年から2000年にかけてCDC (Centers for Disease Control and Prevention) が25州で行った調査によれば、注射針によってHIVに感染した麻薬使用者(DIU)は、HIV感染者数全体の25%を占めており、その内訳は黒人65%、白人23%、ヒスパニック10%と黒人が圧倒的に多く、また彼らとの性交渉を通じてHIVに感染する二次被害も深刻である[60]。

ちなみに他の西洋先進国、ヨーロッパ、オーストラリアなどではDIUがHIV感染者全体に占める割合は10%程度にとどまっている[61]。

しかしこうした政府の対応とは対照的に、草の根レベルでの注射針の交換はアメリカでも既に行われている。

また行政レベルでも1987年には全米で最初にオレゴン州で、1989年にはウイスコンシン州でそれぞれparaphernalia law(薬品使用に関連する道具を規制する法)が緩和され、処方箋なしに注射針を所持することが許可されている。

90年代に入ると、1992年にコネチカット州、1993年にはメイン州でそれぞれ処方法が緩和され、10本以下であれば処方箋なしに注射針を購入できるようになるなど、各州が独自の判断でこの問題に対処している。

コネチカット州ニューヘーブン市で1990年から始まった注射針交換プログラムでは、バンで市内を周り中毒者に注射針を配り、その際警官が集まったドラッグユーザーを逮捕しないことが約束された。

このプログラムでは、古い注射針との一対一の交換を原則とし注射器に番号を登録し、中毒者は匿名でサービスを受けることができる。

プログラム開始の数ヶ月後、配付した10本のうち2本の注射針が交換によって回収され、うち68%がHIVに感染していることが確認された。

2年後には10本のうち7本が回収されるようになり感染率は44%にまで低下し、さらに利用者の6人に1人が離脱プログラムを受けるようになっている。

一方、新しい注射針がもらえることでヘロイン中毒者の数が増えることもなかった[62]。

このニューヘーブンでの成功を受け、ニューヨークやワシントンでも同様のパイロットプログラムが開始された。

2000年の段階で注射針交換のプログラムは35州、106都市で行われておりその数は152に上っているが、うち州や地方政府の財源によるものは未だ半分以下の62にすぎない[63]。

ドラッグユーザーのHIV感染を減少させるには、注射針の所持の合法化、処方箋なしでの購入の許可、注射針交換のための資金の充実の三つが基本的要件であるが、これらの対応は未だ充分になされていないのが現状である。

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[56]Davenport-Hines, Richard (2001) op. cit. p. 377.
[57]公的機関による注射針の交換プログラムがドラッグの使用の増加につながらないことを実証した研究報告は、National Commission on AIDS (1991) “The Twin Epidemics of Substance Use and HIV”. General Accounting Office (1993) “Needle Exchange Programs: Research Suggests Promise as an AIDS Prevention Strategy”. Institute of Medicine of the National Academy of Science (2000) “No Time to Lose: Getting More from HIV Prevention” など多数ある。
[58]Davenport-Hines, Richard (2001) op. cit. pp. 378-379.
[59] Bluthenthal, Ricky N, Lorvick, Jennifer, Kral, Alex H, Erringer, Elizabeth A and Kral, James G “Collateral Damage in the War on Drugs: HIV Risk Behaviors Among Injection Drug Users”, International Journal of Drug Policy, vol. 10, 1999, pp. 25-38.
[60] U.S. Department of Health and Human Services. Center for Disease Control and Prevention (CDC) (July11, 2003) HIV Diagnoses Among Injection-Drug Users in States With HIV Surveillance -- 25 States, 1994-2000, Morbidity and Mortality Weekly Report, [http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm5227a2.htm].
[61]United Nations Programme on HIV/AIDS (UNAIDS) and World Health Organization (WHO), AIDS Epidemic Update December 2003, p.30.
[62]Baum, Dan (1996) op. cit. pp. 315-316.
[63]Day, Dawn, Health Emergency 2003: The Spread of Drug-Related AIDS and Hepatitis C Among African Americans and Latinos, Harm Reduction Coalition, p.7.

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厚生労働省との対話 : 投稿者 : 白坂@THC主宰 投稿日時: 2007-03-10

厚労省の文書開示に異議を申し立てた件、「内閣府情報公開・個人情報保護審査会事務局」名で書面が届きました。以下、転記します。

* * *

府情個第502号
平成19年3月6日

白坂和彦様

情報公開・個人情報保護審査会

理由説明書の送付及び意見書又は資料の提出について(通知)

下記1の諮問事件について、別添のとおり、当審査会に諮問庁(厚生労働大臣)から提出された理由説明書の写しを送付いたします。
また、あなたは、下記1の諮問事件について、情報公開・個人情報保護審査会設置法第11条の規定に基づき、当審査会に対し、意見書又は資料を提出することができますが、当審査会において、下記2のとおり提出期限を定めましたので、通知します。

1 諮問事件
 諮問番号:平成19年(行情)諮問68号
 事件名:「平成17年度覚せい剤等撲滅啓発事業の事業計画書の提出について」等の一部開示決定に関する件

2 意見書又は資料の提出期限等
(1)提出期限
 平成19年3月27日(火)
(2)提出方法
 任意の様式により作成した書面を、持参するか、郵送又はファックスで情報公開・個人情報保護審査会事務局に提出してください。
 また、提出された意見書または資料は、情報公開・個人情報保護審査会設置法第13条の規定に基づき閲覧に供することが在り得ますので、その適否についてあなたのお考えを、別紙「提出する意見書又は資料の取扱いについて」に記入し、意見書又は資料に添付してください。
 なお、別紙において、諮問庁の閲覧に供することにつき「差し支えがない」旨の回答のあった意見書または資料については、調査審議の効率化、争点の明確化等の観点から、特段の事情のない限り、諮問庁に対し、その写しを送付することとしますので、ご了承願います。

内閣府情報公開・個人情報保護審査会事務局
〒100-0014
東京都千代田区永田町1-11-39
永田町合同庁舎5階
電話03-5501-2878
FAX03-3502-0165

* * *

(諮問庁:厚生労働省)

理由説明書

1 本件異議申立ての経緯について
本件異議申立ては、異議申立人である開示請求者より、平成18年12月11日付け(平成18年12月13日付けで受理)でなされた「厚生労働省所管の(財)麻薬・覚せい剤乱用防止センター「ダメ。ゼッタイ。」ホームページの運用・管理に関する全ての文書、及び同ホームページ中の大麻に関する記述の根拠を示す全ての文書」及び「(財)麻薬・覚せい剤乱用防止センターに委託している内容、事柄を示す全ての文書」の開示請求(以下、「本開示請求という」。)に対し、厚生労働大臣が平成19年1月11日付けで行った決定(以下、「原処分」という。)について、開示した文書のほか特定の文書の開示を求める旨、平成19年1月22日付け(平成19年1月23日付けで受理)で提起されたものである。

2 異議申立人の主張について
異議申立人は、本件開示請求について以下のように主張しているものと考えられる。

(1)平成18年6月23日、厚生労働省ホームページの大麻に関する記述の根拠について同省医薬食品局監視指導・麻薬対策課へ問い合わせたところ、同ホームページの大麻に関する記述のほとんどは、(財)麻薬・覚せい剤乱用防止センター(以下「センター」という。)で販売している冊子「薬物乱用防止教育指導者読本」の英語版の原文を翻訳したものであり、同原文である英語版コピーを所持していると回答された。
しかし、今回の行政文書開示決定通知書には、この英語の原文が入っていない。

(2)そこで以下2点を申し立てる。
ア 同ホームページに掲載されている大麻情報の原文である英語版の開示を求める。
イ なぜ今回の決定通知書に原文が入っていないのか、説明を求める。

3 諮問庁の考え方
(1)異議申立人は、上記2のとおり、「薬物乱用防止教育指導者読本」の英語版の原文のうち、大麻に関する部分(以下、「本件文書」という。)の開示と、原処分に本件文書が含まれなかったことに関する説明を求めているものと考えられ、以下、その主張について、諮問庁の考えを述べる。

(2)本件文書は、監視指導・麻薬対策課の担当者がセンターより入手したが、個人の資料収集の一環として行ったものであり、上司の指示等によるものではなく、あくまで個人の勉強のためである。
本件文書は、既に販売されている、「薬物乱用防止教育指導者読本」の原本の一部であり、あらためて、組織的に検討、回覧等する必要のない文書であることから、担当者から他の関係職員に配布したり、上司に報告することなどはしていない。
本件文書は、収集後、担当者の個人のファイルに編てつされたが、当該個人ファイルは、担当者の机の中に保管されており、上司も含め、同僚もその存在を知らなかった。したがって、保存・廃棄については、担当者の判断で処理できる性質のものである。
なお、念のため行政文書ファイル管理簿でも検索してみたところ、該当する文書は存在しなかった。
したがって、本件文書は、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「法」という。)第2条第2項に規定する「行政文書」に該当しないことは明らかである。
また、本件文書の翻訳版である「薬物乱用防止教育指導者読本」は、一般に市販されているものであり、同様に「行政文書」には該当しない(法第条第2項第1号)。
なお、本件文書は、上述したように、「行政文書」には該当しないものの、情報提供として、上記読本と併せて、平成19年1月24日、諮問庁より異議申立人あて送付したところである。

4 結論(原処分の維持)
以上により、異議申立人の主張には理由はなく、原処分を維持すべきものと考える。

以上

* * *

このような回答でした。私には、二重に墓穴を掘ってくれているように思えます。
改めて、厚生労働省は、(財)麻薬・覚せい剤乱用防止センター(以下「ダメセン」という)の「ダメ。ゼッタイ。」ホームページに記載されている大麻情報の原本を持っておらず、行政文書ファイル管理簿にもないことを認めました。
日本において薬物情報を公的に管理する責任があるのは厚生労働省ですが、その情報の原文を厚労省は持っていないと威張っています。

また、麻薬対策課の担当者は、ダメセンで周知されている大麻情報の根拠を示すよう、国民だか非国民だかの私に求められ、当該文書をダメセンから入手したものです。私が初めて問い合わせた時には、担当者の秋篠氏は当該文書を持っていなかったのです。当初はダメセンの責任者である糸井専務理事も持っていないと言っていました。回答はこの事実関係を一切端折って誤魔化しています。

これは担当者個人が私物として入手したものではなく、大麻情報の根拠として、厚労省の職員として、公務員として、税金で賄われている通信費や紙代を使って得られた文書です。
国民や非国民から問い合わせがあり、公務員が仕事として勤務時間に調べて入手した文書を、上司にも同僚にも言わず、個人の勉強のために自分のファイルに挟んで机にしまい込んだから、だからこれは厚労省の文書ではなく個人のですと回答は言い張っています。
それこそ問題ではないでしょうか。上司の監督責任でもあると思います。
薬害エイズ問題のときにファイルを隠した厚労省体質そのままです。きっとあのファイルも役人個人が勉強のために個人用のファイルとしてしまってあったのでしょう。

意見書は期日までに書いて出しますが、お気付きの点などありましたら教えて下さい。

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フロッガー医師の検証 : 投稿者 : 白坂@THC主宰 投稿日時: 2007-03-08

「ダメゼッタイ」を周知する保険所や役所など、公的団体から出されている反大麻情報のひとつに、「大麻乱用患者29歳男性の手紙」として使われているものがある。数年前には(財)麻薬・覚せい剤乱用防止センター(以下「ダメセン」と略称)のサイトにも掲載されていたし、保険所のサイトでも見かけることがあった。先日ネットを探してみたが、現在はこの「手紙」、反大麻情報としては削除したところも多いようだ。今では本家ダメセンのサイトにも見当たらない。ネットでは東京都のサイトにpdfファイルが未だに掲載されていた。http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/yakumu/yakubutu/shizai/leaflet/koukou-16n.pdf

大麻乱用者が書いたものとして税金を使って周知されているこの「手紙」について、医師であるフロッガー氏に検証をお願いした。

* * *

病気の原因を突き止める学問を疫学(epidemiology)という。

具体的にはある曝露因子(病気の原因と仮定しているもの;我々の場合は大麻)が、病気の発生と関連しているかを調べる学問で、その方法は幾つかある。

最も信頼性の高いものはランダム化比較試験である。これはある集団に対してランダムに曝露ありなしを分けて、一定期間観察して病気の発生を見るものである。ただしこれは本人の意志とは関係なく曝露を決定する為倫理的な問題があり行うことが難しい。

次がコホート研究である。これは、曝露因子のある群と無い群を前もって同定し、一定期間観察して病気の発生を見るものである。手間と時間がかかるという欠点があるが、バイアスがかかりにくい。

その次がケースコントロール研究である。これは、病気にかかった人の内での曝露因子があるかないかを調べ、病気になっていない人と比較するものである。手間がかからない反面、バイアスがかかる可能性があるため信頼性がおちる。

ある要因が病気の原因であると言う為には、このような、「ある程度の人数」で「対照群と比較して」「統計学的な検証も加えた」疫学的研究が不可欠である。

それが偶然そうなったのかそれとも何か理由があってそうなったのかについて、正しく検証しないで事実のように語ることは似非科学であり、先日話題になった「あるある大事典」の捏造問題はまさにそれである。「あるある大事典」の問題は最も権威のある科学雑誌Natureでも報告されており、世論に対して影響力をもつマスメディアが科学を装って嘘を伝えることの危険性を訴えている。

さて、我が国における政府や行政団体からの大麻情報は、似非科学では無いだろうか?ここに一つの例を提示する。

図表19 大麻乱用患者(29歳男性、デザイン学校2年中退)が書いた手紙の一部「こんどみんなとあうときはほんとうのほんとうにきれいになってあいたいです。はやくおうちにかえりたいです。もうこりごりです。ふかくかんがえることができるようにどりょくします。ほんとうにこりました。はやくおうちにかえりたいです。はやくいち人まえになっておやこうこうしたいです。たいまやくすりなんてひつようないのにてをだしてしまったのはぼくの心がよわいからです。たくさんはんせいします。たいまをすうとあたまがぽーとしてふわふわするだけでねむくなっておしまいです。おさけとあんまりかわりません。ぼくのむかしのことはよくおもいだせません。せんせいどうもすいません。ひとつひとつおもいだしてかくと3日も4日もかかりますのでかけません。」

これは、財団法人麻薬・覚せい剤乱用防止センター発行の「薬物乱用防止教育指導者読本」に掲載されている手紙である(THC注:「薬物乱用による健康障害」の項p77.筆者は医療法人せのがわ「Konuma」記念広島薬物依存研究所所長小沼杏坪)。

29歳男性が書いたもので、大麻を乱用すると知能が低下し手紙がひらがなばかりになってしまう、という例として出されている。

これ以外にもこの手紙は他の大麻に反対する団体からもよく引き合いに出されている。

私が調べたところではこの手紙は、精神医学31(9);p919-929, 1989.「 大麻精神病の6例」徳井達司ら、からの引用である。

論文の内容以前の問題であるが、この論文は少数例の症例報告であり、疫学的な検証は不可能で、この論文を一般に当てはめることは出来ない。

つまり、それがたまたまその人に起こったものなのか、それとも一般化出来る事なのか結論を出すことは出来ない。

これをあたかも誰にでも起こりうることとして公式な文書に掲載することは問題と考える。

さらに、内容について詳しく検討したい。

この手紙を書いた人の経過がどのようなものであったのかについて一部引用すると、

「当時29歳の男性。20歳時にデザイナー専門学校を中退後、米兵と知り合い大麻を経験するも継続はせず数回で止めた。23歳、東南アジア旅行をきっかけに大麻を再開。24歳の時に1kg持ち込もうとして逮捕される。26歳、友人に誘われLSD使用し再逮捕。その後表情が暗く寡黙になり性格も変わった。28歳時、タイで急性ヘロイン中毒となり現地の病院に入院。その後窃盗容疑で逮捕、その時に自殺未遂。日本に強制送還され入院となった。その時には奇声を発したり、トンチンカンな言動が見られた。悪口を言う幻聴があり。入院後に言動が整ったが幻聴は持続したとのことだが逮捕を逃れる為なのではないかという不審がもたれた。」

このような経過の人が、書いた手紙である。これは大麻によるものだろうか。

まず、多剤の影響がある。LSDの使用歴や急性ヘロイン中毒の既往がある。

これは分かっているものだけであり、海外でその他の薬を使用した可能性も否定できない。

大麻以外の薬物による精神症状の可能性がむしろ高いのではないか。

さらに、海外で入院し強制送還され逮捕にいたるという経過から、かなりの精神的ストレスがあったと考えられる。精神的ストレスから精神病症状を起こすことがあるのは広く知られている。

この経過から、この手紙がひらがなばかりになっているのは大麻が原因と断定することは出来ず、むしろ他の要因の影響を強く疑う。

これを大麻が原因であるとして、公的な文書に載せることは「あるある大事典」並みに酷い事実の捻じ曲げであると考える。

WHO97年のレポートによれば大麻精神病は仮説の病態であり、大麻使用中に起こった統合失調症と明確に区別できないとしておりその存在に異論のあるところである。

さらに、日本で大麻精神病として報告されているものは20例以下と少なく、ほとんどが大量使用者で、他剤の使用歴があることが多く、心理的精神的影響も強いことが多く、一般の大麻使用者ではない。

つまり、大麻精神病は無いか、もしあったとしても、ヘビーな大麻使用者に限られる稀な病態である。

これを、あたかも大麻を使用することにより多くの人に起こることとして公的に流布することが、正しい近代国家のあり方なのか強い疑問を感じる。

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1986年に設立されたSentencing Project (マイノリティへの刑罰に代わる代替的処分や人種差別問題を扱うNGO)は、黒人の多くが大学ではなく刑務所に入れられているとして、若者達を社会復帰させるための治療プログラムの充実と社会的サポートの必要性を訴え、一部のマスコミもドラッグウオーとマイノリティに対する抑圧との関係を報じ始めるようになった。

地方弁護士協会や全国カウンティ協会などの政治的影響力のある団体からも人種差別の疑いの濃いドラッグウオーを中止し、治療を中心とするプログラムへの移行が議会へ働きかけられるようになった。

また1991年にミネソタ州ラッセルでは、5人の黒人クラック事犯に対する裁判の中で、連邦法と同じくクラックにのみ厳しいミネソタ州の州法に対して、コカインパウダーとクラックとを区別することに何ら合理的根拠がないと述べ、クラック法の適用を却下するという判決が出ている。

法廷ではクラックで摘発されるのは黒人が圧倒的に多いことにも言及され、1988年にクラックの所持で摘発されたのは96.8%が黒人であるのに対し、パウダーコカインで摘発されたのは79.6%が白人であることが取り上げられ、クラック法は平等な保護の権利を受ける憲法の規定に違反しているとの指摘が州の裁判所から提出された[53]。

こうしたクラックと人種差別的取締りとの関係への批判は社会的にも注目されるようになったが、この問題はその後もほとんど変化していない。

1998年に行われた調査では、過去1年間にクラックもしくはコカインを使用した人口は白人が321万1,000人、黒人は78万7,000人と推計されており、マスコミや映画を通じたイメージに反し、絶対人口数から考えれば当たり前のことではあるが、白人の方が圧倒的にこのドラッグの使用者数は多い[54]。

これに対し1999年の司法省の統計によれば、白人と黒人の麻薬事犯による刑務所の推定収容人数の割合は、ノンヒスパニックの白人が20%であるのに対し、ノンヒスパニックの黒人が58%とほぼ3倍高くなっている[55]。

この数値は、ドラッグウオーによる取締りが大都市を中心に、また特に貧困層の多く住む地域に集中していることと関係している。

都市のスラムでは単純に人口比でマイノリティが多いだけでなく、貧困によってドラッグの使用者と売人が集中している。

またこうした地域では、ドラッグの密売がストリートで見知らぬ者同士で行われているため警察が取締りを容易に行える。

これに対し白人の場合、一般的に労働者階級であれ中流階級であれドラッグの売買は個人宅、バー、クラブなどの屋内で特定の仲間同士で行われる為、捜査にコストと時間がかかり成功率も低い。

こうして黒人がその使用者数の低い割合にもかかわらず、白人に比べ逮捕されるリスクが極端に高くなっているのである。

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[53]Baum, Dan (1996) op. cit. p. 323.
[54]U.S. Department of Health and Human Services. Substance Abuse and Mental Health Services Administration (SAMHSA) (August 1999) National Household Survey on Drug Use, Population Estimates 1998, [http://www.oas.samhsa.gov/nhsda/Pe1998/TOC.htm].
[55]U.S. Department of Justice, Bureau of Justice Statistics (August 2001) Prisoners 2001, NCJ 188207, [http://www.ojp.usdoj.gov/bjs/abstract/p00.htm].

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このクラックベビー現象が起きた社会的背景には、当時の貧困層への医療サービスの低下が原因として考えられる。

1981年にOmnibus Budget Reconciliation Actが制定されると、メディケード(Medicaid: 65歳未満の貧しい人々が受けられる医療補助)のサービスを受ける資格が厳しくなり、同時に国はこれに支出する予算をカットした。

これ以後、医療サービスを受けられなくなった母親が数多く現われた。またクラックユーザーの母親は、マスコミの報道によって社会的にスティグマ化されていたため、医療機関を訪れても充分な治療を提供されるどころか、医師と患者の守秘義務が無視され医師によって警察に通報されることが多かった。

チャスノフらの研究によれば、フロリダ州のパイネラス郡のクリニックや民間の産婦人科に訪れた妊婦のうち、白人、黒人ともに15%が妊娠中にドラッグを等しく使用していた。

しかし黒人の妊婦は白人に比べて10倍多く当局に通報されており、収入別では、所得が年間12,000ドル以下の最貧困層の方が、収入が25,000ドル以上の妊婦に比べて7倍多く警察に通報されていた[50]。

貧しい黒人であるというプロファイルにあてはまる場合、彼女達が受け取るのは社会的サポートではなく刑務所に送られ子供を取り上げられるという措置であった。

また妊婦は麻薬中毒の治療プログラムからも嫌われる存在であった。

1989年のニューヨークでは、施設の67%がメディケードを受けている妊婦の受け入れを拒否し、特にクラック中毒の妊婦の場合87%の施設が拒否していた[51]。

その一方で、1986年から1996年の間に女性のドラッグ事犯による刑務所の収容人数は2,370人から27,300人へとほぼ10倍に増加し、1990年に刑務所にいた女性のうち25%の女性が妊娠していたか、もしくは刑務所で出産している[52]。

マスコミによってもたらされた悪しき母親というイメージと、不十分な更生プログラム、厳しい罰則によって、彼女達は二重、三重に社会的に周辺化されていったのであった。

やがてこうしたドラッグウオーが招いた人種差別的な取締りに対して国内から批判がわきあがった。

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[50]Chasnoff, IJ, et al. “The Prevalence Of Illicit-Drug Or Alcohol Use During Pregnancy And Discrepancies In Mandatory Reporting In Pinellas County, Florida”. New England Journal of Medicine 1990; 322, pp. 1202-1206.
[51]Baum, Dan (1996) op. cit. p. 269.
[52]Amnesty International, Women in Prison A Fact Sheet.

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