こうした供給対策と並んで、ニクソン政権は国内での需要対策として麻薬使用者に対する取り締りの強化を柱に据え、1969年にBureau of Narcotics and Dangerous Drugs (BNDD)を創設し、ドラッグ事犯の取り締りに向けられる予算を、1970年の4,300万ドルから1974年には2億9,200万ドルへと大幅に増加させた[13]。
ここで取り締りの手段として新たに採用されたのが1970年に連邦法で認められたno-knock条項で、これは非合法ドラッグ所持の疑いのある家に警察が押し入る際にノックをせずにドアを蹴破ることを許可した条項である。
また1972年にニクソンは、当時税関長であったマイルズ・アンブローズをトップとするOffice of Drug Abuse and Law Enforcement (ODALE) を創設し、麻薬取締りの専門機関として密売人への手入れを強化した。
翌年、BNDDはODALEと合併し、現在アメリカの内外での非合法麻薬取締りの中心機関であるDrug Enforcement Administration (DEA)へと統合された。DEAは73年には7,490万ドルの予算が配分されているが、そのわずか2年後には1億4,090万ドルへとおよそ2倍に予算が増額され、人員も74年には4,000人規模となり名実ともにアメリカの麻薬取締りの中心機関となった[14]。
ところで、ニクソン政権はこのような取締りの強化を図る一方で、需要対策としてメタドンによるヘロイン中毒者の治療も促進している。
メタドンとは第二次世界大戦中にアヘンの供給が断たれたドイツで開発された合成アヘンで、モルヒネに代わる兵士の鎮痛剤として使用され、当初はヒットラーの名前にちなんでAdolphineと名付けられていた。
アメリカでは新陳代謝の専門医であるビンセント・ドールと精神科医で薬物中毒の専門家であったマリー・ニスワンダーによって1964年からニューヨークでヘロイン中毒者への代替物質として使用されている。
このメタドン治療促進の背景には、60年代からの社会改革運動の流れの中、個人的選択の自由として、ドラッグの使用を他人や国が干渉すべきではないというリベラル派の意見の盛り上がりがあった。
政府は中毒者に対する強行な政策を政治的にとることができず、かといって20世紀初頭のようなヘロインそのものを使用したメインテナンス治療を支持することもできなかった。
その点メタドンプログラムは、メタドンの配付により中毒者によるヘロイン入手のための犯罪が防止されるという効果と、中毒者がヘロインからメタドンの使用へと切り替えることで中毒者に社会復帰への選択の余地を与えるという点でリベラル派を納得させるものであった。
また注射針の使用を抑制できるので、肝炎、マラリアなどの感染症を予防する効果も期待された。
ニクソンは、1972年にSpecial Action Office for Drug Abuse Prevention(SAODAP)を大統領事務局に創設し、メタドン治療に詳しいジェローム・ヤッフェ医師を中心にメタドン治療プログラムを推進し、1973年までには全米で80,000人のヘロイン中毒者がメタドン治療を受けるまでに発展し一定の成果をあげていた[15]。
以上ニクソン政権は、その予算及び人的資源の規模から名実ともにアメリカで本格的なドラッグウオーを開始した最初の政権であった。しかし彼の在職中、アメリカ社会で非合法麻薬の使用が著しく抑制されることはなく、上述したようにヘロインやマリファナの国内外での取締りの強化は、アンフェタミンやLSD、またコカインなどの他のドラッグの流行を国内に生みだす一方で、新たな密輸ルートと密輸手段の発生を生みだしている。
このニクソンの失敗を受けアメリカ政府は以後70年代を通じて、ドラッグの取締りそれ自体に疑問を持つようになる。
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[13]Musto, David F (1987) op. cit. p. 257.
[14] DEAの予算と人員の推移はDEAホームページ(http://www.usdoj.gov/dea)DEA Stuffing and Budgetを参照。
[15]Carnwath, Tom and Smith, Ian (2002) Heroin Century, New York and London; Routledge, pp. 173-174.
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「ダメ。ゼッタイ。」ホームページを運営している(財)麻薬・覚せい剤乱用防止センターでは、そのホームページの各薬物の記述のネタ本である「薬物乱用防止教育指導者読本」を販売していた。現在は売っていないそうだ。
標本自体は今も売っていて、かつてはアメリカから仕入れて販売していたが、現在は国内生産しているとのこと。これである。「薬物標本」。
薬物教育の指導者向けに標本と切り離して販売されていた「読本」の原文を「日本の公的大麻情報の正体」として紹介したが、その標本を売っている米国テキサス州にある反薬物団体のウェブサイトがあった。
Drug Prevention Resources, Inc.
http://www.dpri.com/index.html
薬物標本は今も売っているようだ。
Drug Education Kit
http://www.dpri.com/educationkit.htm
この薬物標本の説明書が日本の公的大麻情報である。
(財)麻薬・覚せい剤乱用防止センターがこの薬物標本見本を輸入していたのは14年以上前のことだ。その薬物標本の説明書の翻訳である「読本」を、そのまま「ダメ。ゼッタイ。」ホームページに転載している。が、読本に書かれていながらウェブでは全く触れられていない薬物情報がある。アルコールとタバコだ。
「読本」の目次にはアルコールやタバコも記載されており、原本にもある。
ところが、「ダメ。ゼッタイ。」ホームページのデータベースからはアルコールとタバコがすっぽり抜け落ちている。
これはあまりも意図的な情報操作ではないだろうか。
薬物の弊害を正しく国民に伝えるのであれば、アルコールやタバコの害についても、アメリカのやっている通りに真似し、公平公正に情報を公開し、国民に注意を喚起すべきだろう。
それとも日本のタバコとアルコールは無害なのだろうか。
「読本」のタバコの項目については、次のように書かれている。
喫煙で最も危険なことは一体なんでしょう?最大の危険性は「死」です。毎年、アメリカ合衆国だけでも、25万人もの人々が喫煙に起因し年若くして死んでおり、コカインによる死亡者が年間300人であることに比べて如何に大きな数にのぼっているかがお分かり頂けると思います。
こんなキケンな麻薬について、なぜ「ダメ。ゼッタイ。」ホームページには全く書かれていないのだろう。大麻の項目には最大の危険は「死」です、などという恐ろしいことは書かれていない。タバコのほうがキケンであることを同センター自身が公表しているようなものではないか。
アルコールとタバコについて、麻薬・覚せい剤乱用防止センターが販売していた「読本」にどう書かれているか、次回、画像を掲載します。
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日本の公的大麻情報である「ダメ。ゼッタイ。」ホームページの記述は14年以上前の米国製薬物標本の説明書であることがこれまでの厚労省や麻薬・覚せい剤乱用防止センターへの問いかけで分っていますが、厚労省の文書ではなく、担当者個人の資料として、個人の資料なのにどういうわけか行政サービスとして開示文書と一緒に送って頂いた原文のコピーは下記です。別窓ではなく同じ窓で開きます。送られてきたA4のままスキャンして無駄な余白をカットしていないので重くて見にくい点、申し訳ないですが、これが日本の公的大麻情報の正体です。誠に申し訳ございません。
表紙には次のようにあります。
DRUG EDUCATION MANUAL
DRUG PREVENTION RESOURCES,Inc.
5525 MacArthur Boulevard,Suite 450
Irving,TX 76038
1-800-989-3774
内容を見ると、なるほどダメゼッタイ大麻情報はこれをそのまま訳したのだと分ります。
これが日本の公的大麻情報の正体です。あんまりではないでしょうか。
因みに、紙のヘッダーには送信元として「(財)麻薬・覚せい剤乱用防止センター」とあり、送信先として「厚生労働省;0335817438」と印字されています。1枚目の日付は「06-06-16;09:56AM」です。私がこの件で初めて麻薬対策課に電話して「厚労省監視指導麻薬対策課への申し入れ」を書いた翌日です。
どうしてこれが担当者個人の私有物なのでしょうか?
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女は子どもを産む機械だと思っている厚生労働大臣柳澤伯夫名で「情報公開・個人情報保護審査会への諮問について(通知)」というタイトルの書類が届きました。下記の縮小画像をクリックすると拡大画像が別の窓で開きます。
これによると、情報公開の担当課である「医薬食品局総務課医薬情報室」が審査会に諮問したのが2月16日とのことです。
このあとの流れは、内閣府のサイトにある説明によると、異議内容について厚労省が審査会に出した「理由説明書」のコピーが私に届くようです。それに対してこちらは審査会に意見書を出すことができるとのこと。で、審査会は厚労省に答申を行い、最終的に厚労省が「不服申立てに対する裁決・決定」を出すという手順です。
今回、「ダメ。ゼッタイ。」ホームページの直接の転載元である英語の原文を出せと私は求めていますが、過日の医薬情報室のご担当の説明によると、その原文は麻薬対策課の担当者個人の所有物なので、厚労省の文書としては出せないとのことでした。
審査会に提出された厚労省の「理由説明書」にも、ひょっとして、だってその原文は個人のモノなんだもん、とか書いてあるのでしょうか。
私が厚労省に問い合わせた当初、確かに担当の麻薬対策課秋篠氏も、この英語の原文を持っていませんでした。やいのやいの言ったところ、その次の電話で、センターにコピーがあった、出てきたとか言って、ファックスで送ってもらったと秋篠氏は話していました。
秋篠さん、それ、糸井さんから個人的にファックスで送ってもらったわけ?仕事中に?ファックスの紙、税金じゃないだろうね?通信費は?
厚労省としては、そもそも、もともと、最初から原文を確認していなかった、ダメゼッタイの大麻情報の出典や根拠どころか、情報源すら初めから知らなかった、センターに丸投げしてた、という杜撰な結末が待っているのでしょうか。
そうだとすると、大麻取締法の根拠はどこにあるのでしょうか?センターでしょうか?
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政権獲得後、ニクソンがターゲットにしたドラッグはマリファナとヘロインであり、その戦略はこれ以後のアメリカ型ドラッグウオーの基本的アプローチとなる供給のカットと需要の縮小の二本柱によって構成されている[6]。
まず供給に関して問題となったのは、トルコからのヘロインとメキシコからのマリファナであった。
当時政府は国内の8割のヘロインがトルコで生産されたアヘンから精製されていると見積もっており、ニクソンは二国間の関係を悪化させることなくこの問題に対処するため、まずトルコ政府に対して経済援助の停止をちらつかせケシ栽培をやめるよう説得する一方で、その代価としてのさらなる経済援助を約束した。
トルコ政府はこれに従ったため、トルコでのアヘン栽培は大幅に減少し、フレンチコネクションの名で有名だった50年代の主なヘロイン密輸ルートであったマルセイユ経由の密輸ルートは解体することになる。
これによって、72年から73年にかけてアメリカでのヘロインの使用は一時的に減少した[7]。
しかしトルコからの減少分はメキシコ、アフガニスタン、パキスタン、またゴールデントライアングル産のアヘンによってすぐに補填され、トルコ国内でも75年にはケシの国内での非合法な栽培が始まりヘロイン問題がこれによって根本的に決着することはなかった。
またヘロインの供給量が一時的に減少した際には、アンフェタミンやバルビツレートなどの他のドラッグの代替的使用が国内で増加するという現象が起きている[8]。
一方マリファナの主な供給国であったメキシコ政府は、マリファナの問題はアメリカ国内の需要に最たる要因があると考え、当初アメリカに対して協力的な姿勢を示さなかった。これに対しニクソン政権は1969年9月にOperation Interceptを発表し、2,500マイルにわたるメキシコ-アメリカ間の国境を封鎖し、3週間で418,161人と105,563台の車両を捜索するという大掛かりな手段に打って出た[9]。
すぐに国境が混乱した為、メキシコ政府は仕方なくアメリカとの協力を約束し封鎖は20日間で解かれ、メキシコ産のマリファナのアメリカへの流入量は減少した。
しかしアメリカ国内のメキシコ産マリファナの流通の減少は、国内で70年代初頭からマリファナ愛好家による手軽なシンセミーリャ(Sinsemilla:種をつけない品種)の栽培をさかんにし、国内でのマリファナ栽培の定着に一役を買った[10]。
またメキシコ産のマリファナの減少はコロンビアでのマリファナ栽培をさかんにし、マリファナで儲けたコロンビアの密輸業者は新たにコロンビア産のコカインもアメリカ国内に運び込むようになった。またマリファナの供給量が一時的に減少した結果、多くのマリファナ喫煙者が代替ドラッグとして、LSDやヘロインなどより危険な麻薬の使用を開始している[11]。
さらに取り締りの強化によってマリファナの個人レベルでの密輸が難しくなったため、プロの犯罪組織がこれに積極的に関わり、密輸手段も空輸などのより大掛かりなものへと移行していった。
結局のところOperation Interceptは、ドラッグを供給するある特定の国への対応だけでは、国内に需要が存在する限り、他の供給源と他のドラッグにビジネスチャンスとマーケットを移動させることを証明する結果となった。
また、これと類似した現象は、当時ベトナムに駐留していたアメリカ軍兵士の間でも起きている。ベトナムでは軍が国内と同様、21歳未満の兵士にはアルコールの販売を禁止していたため、多くのアメリカ兵(平均年齢19歳)はアルコールを手に入れることができなかった。
戦場というストレスの多い場所で飲酒を行えない多くの新兵は代わりにマリファナの使用を開始した。しかしマリファナの供給も1968年に軍が厳しく取り締まったため、多くの兵士がアジアで手に入り易かったゴールデントライアングル産の高品質のヘロインへと使用を切り替えた。
その結果、全体の25%の兵士がアルコールやマリファナよりも危険性の高いヘロインを使用するという状況を生み出している[12] 。
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[6]彼が大統領に就任した1969年にアメリカで最も普及していたドラッグは、アルコールとニコチンを別にすればアンフェタミンであった。アンフェタミンは当時合法的に医師によって処方されており、1958年の段階ですでに年間35億錠製造されており、70年には100億錠にまで生産量は増大し、come alive, feel goodといった広告キャッチコピーによって広く全米で販売されていた。その使用者は、ダイエット薬として使用していた白人の婦人達、長時間不眠で働く工場労働者、病院の夜勤スタッフ、テスト前の学生などその使用者層も用途も多岐に渡っていた。50年代からすでにアンフェタミンの危険性は医学ジャーナルの中で指摘されていたが、ニクソンはアンフェタミン、メセドリンといった覚醒剤の使用を政治的問題として積極的に取り上げることはなかった。その後、アメリカで最初の本格的なドラッグの危険性のランク付けを行った1970年のControlled Substance Actでは、マリファナとヘロインが最も厳しい罰則規定をもつスケジュール1にカテゴリー化されていたのに対し、アンフェタミンはスケジュール3に留まっている。アンフェタミンは1971年に生産量に制限が加えられるまで実質的に野放しとなっていた。Joseph, Miriam (2000) Agenda Speed, London; Carlton Books, p. 29. Davenport-Hines, Richard (2001) op. cit. p. 339.
[7]Musto, David F (1987) op. cit. p. 257.
[8]Davenport-Hines, Richard (2001) op. cit. p. 342.
[9]Ibid., p. 339.
[10]King, Jason (2001) The Cannabible, Berkeley and Tronto; Ten Speed Press, p.3.
[11]Baum, Dan (1996) op. cit. p. 24.
[12]Musto, David F (1987) op. cit. p. 258.
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某有名医大フロッガー医師による「ダメ。ゼッタイ。」検証です。一方的な大麻擁護ではなく、医師として公平で科学的な視点から注意が喚起されてもいます。それは大麻を擁護する者にとっても留意すべき大切な姿勢ではないでしょうか。
引用元:http://www.dapc.or.jp/data/taima/3-3.htm
生殖器官に対して;
生殖能力に障害が生じ、遺伝子の異常や突然変異をもたらします。男性ではテストステロン(性ホルモン)を44%も低下させます。また、女性では生殖細胞に異常を生じます。大麻の有害成分は胎盤関門(母胎血液と胎児血液の間に胎盤膜によって形成されている半透過関門)をも通過して胎児にも影響を及ぼしますので胎児の大麻中毒や流産、死産の原因にもなります。
1.生殖能力に障害を生じるか。男性でテストステロンを低下させるか。
生殖機能というと、広い範囲の言葉となるため、男性ホルモン、女性ホルモン、精巣、卵巣と言い換えたい。男性ホルモンを減少させるかについてもここで検証を行う。
男性ホルモンについて。
動物実験においては大麻、THCが男性ホルモンを減少させるとする報告がある(1)(2)。しかしヒトにおいては、初期の研究で大麻の曝露はヒトの男性の血漿中LH、テストステロン濃度の一時的な減少を生じるとする報告があるものの(3)、その後の研究で経口のTHCあるいは大麻喫煙のどちらもLHとテストステロンの血漿中濃度への影響はないとする報告が続き(4)(5)(6)、ヒトにおいては大麻の男性ホルモンへの影響は不明瞭である。
もしあったとしても、生殖機能に影響を出すレベルではない。
以上より男性ホルモンを低下させるという文章の削除を要求する。
女性ホルモンについて。
動物実験において、LH、FSHとプロラクチンの下垂体分泌を変えるとする報告がある(7)(8)。ヒトにおいては、月経周期の黄体期の間にLHとプロラクチンが抑制され、それによって性周期が短くなるという報告がある(9)(10)。しかし、慢性的な大麻使用者でLH、FSHとプロラクチンの変化が無かったとする報告もある(6)。
精巣卵巣機能について。
動物実験においては、精巣や卵巣の重量が減少したとする報告がある。しかし、ヒトにおいてそのような報告は無い。
総合して、大麻が生殖能力を障害するという疫学的研究報告は見つけることが出来なかった。
もしそのような報告があるのなら提示を要求する。
もし無いのであれば、生殖能力に障害が生じるという文章の削除を要求する。
2.遺伝子の異常や突然変異をもたらすか。
大麻が遺伝子への変異原性を持つかについては、今まで幾つかの実験室レベルでの報告があり、大麻の煙成分を濃縮したものを細胞に加え(エイムス試験法)変異原性を認めたとするものがある(11)(12)。
しかし純粋なTHCには変異原性が無いという報告がある(13)(14)。
このことは大麻の煙による発癌の危険性を示唆するが、前項「気管支・肺に対して」で検証したとおり、大麻による発癌は確認されておらず、実際のリスクとはなっていない。
以上から煙成分を濃縮したものでエイムス試験法を行ったときに変異原性が確認されている、という記載に変更する事を推奨する。
3.女性で生殖細胞に異常を生じるか。
WHOレポートでは大麻使用で親が子供に伝えるような染色体や遺伝子の異常をもたらすという証拠ほとんどないとしている(15)。この項目の削除を要求する。
4.胎児の大麻中毒、流産、死産の原因となるか。
WHOレポートでは、妊婦の薬物使用の疫学的研究はサンプリングが不確実なため評価するのが難しいとしている。
その中で出生時体重の減少は関連がありそうである(16)。
これは、煙草と同じメカニズム、低酸素血症によるものではないかと考察されている。流産・死産についてはエビデンスのある報告を見つけることが出来なかった。論文の提示、もしくはこの項目の削除を要求する。
追記:医師としての意見。
ただし、妊娠中の大麻使用が問題ないとは言えない。これについては不明な点が多く、妊娠中の大麻使用は控えるべきである。医師として、そして子供を持つ親として、この点は強調しておきたい。
(1) Symons AM, Teale JD, Marks V. Effects of Δ-9-tetrahydrocannabinol on the hypothalamic-pituitary-gonadal system in the maturing male rat. Journal of Endocrinology, 1976, 68: 43.
(2) Puder M et al. The effect of Δ-9-tetrahydrocannabinol on luteinizing hormone release in castrated and hypothalamic differentiated male rats. Experimental Brain Research, 1985, 59: 213-216.
(3) Schaefer DF, Gunn CG, Dubowski KM. Normal plasma testosterone concentrations after marihuana smoking. New England Journal of Medicine, 1975, 292: 867-868.
(4) Markianos M, Stefanis C. Effects of acute cannabis use and short-term deprivation on plasma prolactin and dopamine-B-hydroxylase in long-term users. Drug & Alcohol Dependence, 1982, 9:251-255.
(5) Dax EM et al. The effects of Δ-9-tetrahydrocannabinol on hormone release and immune function. Journal of Steroid Biochemistry, 1989, 34: 263-270.
(6) Block RI, Farinpour R & Schlechte JA. Effects of chronic marijuana use on testosterone, luteinizing hormone, follicle stimulating hormone, prolactin and cortisol in men and women. Drug and Alcohol Dependence, 1991, 28: 121-128.
(7) Steger RW et al. The effect of Δ-9-tetrahydrocannabinol on the positive and negative feedback control of luteinizing hormone release. Life Sciences, 1980, 27: 1911-1916.
(8) Steger RW et al. Interactions of cocaine and -9-tetra cannabinol with the hypothalamo-hypophyseal axis of the female rat. Fertility & Sterility, 1981, 35: 567-572.
(9) Mendelson JH, Mello NK, Ellingboe J. Acute effects of marihuana smoking on prolactin levels in human females. Journal of Pharmacology & Experimental Therapeutics, 1985, 232: 220-222.
(10) Mendelson JH et al. Marihuana smoking suppresses luteinizing hormone in women. Journal of Pharmacology & Experimental Therapeutics, 1986, 237: 862-866.
(11) Busch FW, Seid DA, Wei ET. Mutagenic effects of marihuana smoke condensates. Cancer Letters, 1979, 6: 319-324.
(12) Sparacino CM, Hyldburg PA, Hughes TJ. Chemical and biological analysis of marijuana smoke condensate. NIDAResearch Monographs, 1990, 9, 121-140.
(13) Zimmerman AM, Stich H, San R. Nonmutagenic action of cannabinoids in vitro. Pharmacology, 1978, . 16: 333-343.
(14) Berryman SH et al. Evaluation of the co-mutagenicity of ethanol and Δ-9-tetrahydrocannabinol with Trenimon. Mutation Research, 1992, 278: 47-60.
(15) Division of Mental Health and Prevention of Substance Abuse, World Health Organization: Programme on substance abuse Cannabis: a health perspective and research agenda. 1997.
(16) Day NL, Cottreau CM, Richardson GA. The epidemiology of alcohol, marijuana, and cocaine use among women of childbearing age and pregnant women. Clinical Obstetrics and Gynaecology, 1992, 36(2): 232-245-
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アメリカでドラッグウオー(War on Drugs) という言葉が実際に使われ一つの政治課題として取り上げられたのは1968年の大統領選のキャンペーンからである。
周知のように、60年代のアメリカでは既成の価値観に対する反発から生まれた若者文化、カウンターカルチャーがいくつも誕生し、都市部の中産階級の10代や20代の若者の間で、それまで下層階級のドラッグであったマリファナや新たなLSDなどのドラッグの使用が流行していた[2]。
マリファナの使用者は1965年から70年にかけての5年間で18,000人から188,000人へとおよそ10倍に増加し、1971年には少なくとも2,400万人の11歳以上の若者が一度はマリファナを試したことがあると推計されており、またヘロインの静脈注射によって肝炎に感染した者の数も66年から71年にかけて約10倍に増え、70年代初頭までにヘロイン使用者はおよそ50万人にまで増加している[3] 。
1914年のハリソン法の制定以後第一次、第二次世界大戦の影響でドラッグの使用が沈静化していた時代は終わりを告げ、60年代はドラッグがアメリカ社会を急激に席巻し始めた時代であった。
このころ議会共和党は、下院司法委員会のメンバーであったドン・サンタレーリを中心に、1968年の大統領選でどのような独自の政治的争点を持つかを模索していた。
当時、民主党のジョンソン政権はベトナム戦争で共産主義と戦っていたため反共政策を訴えても民主党との明確な相違点とはならないばかりか、世論は戦争遂行に対してほぼ二分されており、反戦の主張も撤退の主張のどちらも明確にはし難い状況にあった。
一方、内政の中心課題である経済は戦争景気で好調であり、インフレ率、失業率は共に低かった。こうした中、サンタレーリが明確な政治課題として着目したのは犯罪の増加であった。
当時多くの白人の間では60年代に頻発した黒人による暴動、デモ、また貧困を原因とした犯罪による治安の悪化、また若者の間でのドラッグ使用の流行に対する不安感が増大していた。
この問題にはジョンソン政権も当時の司法長官であったニコラス・カッツエンバックを中心に、法執行と裁判に関する委員会(Commission on Law Enforcement and the Administration of Justice)を1965年に立ち上げ、犯罪に関する調査と対応を検討させている。
2年後の1967年にまとめられた報告では、「貧困と不十分な住居、失業を撲滅する為の戦争こそが、犯罪撲滅への戦争である」、「医療、精神医学、家族カウンセリングサービスが犯罪に対抗するためのサービスである。より重要なことは、アメリカの都市部のスラムの生活を向上させるすべての努力が犯罪に対する努力である」と結論し、犯罪者の取り締りよりもむしろ犯罪を発生させる社会環境の改善を主張している [4]。
また非合法ドラッグの使用に対する法の適用についても、「これらの法の適用はしばしば、民衆の中の貧困層やサブカルチャー集団に対する差別へとつながる」とし、あくまでも「貧困それ自体が犯罪を生む」というリベラルな立場にたち、麻薬問題も麻薬を使用する社会的条件の改善によって対処しようという姿勢を打ち出していた。
こうした民主党の根本原因 (root causes) 論に対し、共和党のサンタレーリは、これでは犯罪を犯した個人は悪くなくすべて社会が悪いことになってしまうと反論し、カッツエンバックの報告とは対照的に、犯罪は法を犯す人々の個人的資質の問題であるとの主張を展開した。
彼は、犯罪者に対する厳しい法的措置を盛り込んだ法案の作成を開始しこの問題に対する民主党との違いを強調し、麻薬の使用も、これは快楽を求める犯罪的な堕落した行為であるとし、これを厳しく取締る主張をすることが最良の選挙戦略であると判断した。
これに従って、ニクソンはリーダーズ・ダイジェスト誌上で、「国は犯罪の根本原因を探すことをやめ、代わりに警察官の数を増やすことに金を使うべきである。アメリカの犯罪に対するアプローチは犯罪は素早く確実に処分することである」と述べ、取り締りの強化によって麻薬問題に対処する方針を打ち出した[5]。
彼はニューヨークの犯罪の半分は麻薬中毒者によるものであると犯罪とドラッグを積極的に結びつけ、ドラッグをアメリカで最大の社会問題であると宣伝し、これを処置するための厳しい措置をとることを宣言し大統領選に勝利した。
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[2] 60年代に若者の間でドラッグの使用が広まった社会的背景として、若者の人口比率の上昇、無制限な個人的満足を奨励する価値観の広がり、マスメディアの影響などが指摘されている。Courtwright, David T (2001) Forces of habit: Drugs and the Making of the Modern World, Cambridge, Massachusetts, and London; Harvard University Press, pp. 44-45.[3] Musto, David F (1987) The American Disease: Origins of Narcotic Control, Expand Edition, New York and Oxford; Oxford University Press, p. 254.
[4] Baum, Dan (1996) Smoke and Mirrors: The War on Drugs and the Politics of Failure, Boston, New York, London; Little, Brown and Company, p. 5.
[5] Ibid., p. 7.
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本論は、アメリカ合衆国のニクソン政権から始まる20世紀後半の麻薬政策についての小史的記述であるが、その大半はこの時代から現代に至るまでアメリカで継続されているドラッグウオー政策についての記述である。
ドラッグウオーの基本的特徴は、ドラッグ使用の広がりを内外での罰則的取締りによって規制するアプローチであり、その目的の遂行には警察力だけでなく軍事力も行使するというものであり、ハームリダクション論や合法化論の対極に位置する麻薬政策である。
ドラッグウオーが過熱し始めたレーガン政権時の1981年には、アメリカ政府は内外で合わせて10億6,500万ドルをドラッグウオーに費やし、この予算はクリントン政権時の1999年には170億7,000万ドルにまで増加している。
超大国アメリカのこの政策が現在の国連の麻薬政策を決定しており、日本の麻薬政策に多大な影響を与えている。
ちなみに、現在の日本の「ダメ絶対ダメ」政策は、80年代の麻薬政策のアントレプレニュールであったナンシー・レーガンの「Just Say No 」(とにかくノーと言え)政策と同じスローガン内容である。
一方、この麻薬政策が継続されるにつれ、非合法麻薬の使用者はピーク時の70年代後半からは減少したものの、1999年にアメリカ国内におよそ1,480万人おり、12歳から17歳までの若者の10.9%が過去30日間の間に何らかの非合法麻薬を使用していると推計されている [1]。
本論では、この効果が不確かなアメリカのドラッグウオーの歴史とその社会的影響を示し、この麻薬政策の持つ問題点を明らかにし、今後の麻薬政策に関する議論の参照とすることを目的とする。
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[1] Davenport-Hines, Richard (2001) The Pursuit of Oblivion: A Global History of Narcotics 1500-2000, London; Weidenfeld & Nicolson, p. 8.
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先に「ハームリダクションの国家レベルでの実践 ─オランダモデル」として薬物政策博士X氏の論稿を掲載しましたが、今回はオランダの取り組みとは正反対の方向性を持つアメリカの政策について寄稿して頂きました。同氏の意図としては、「これによって、現行の政策の問題点や、それに変わるリベラルな政策の実現のために知っておくべき事柄が浮かび上がるのではないかと思います」とのこと。
日本の行政に多大な影響を持つアメリカの薬物政策について学び、どのような薬物施策が望ましいのかを探る手がかりになればと思います。
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昨日、厚労省大臣官房総務課情報公開文書室という部署に電話し、異議申立の項目を1点追加する手続きを尋ねました。
「ダメ。ゼッタイ。」ホームページの元の文書、昔の米国製薬物標本の説明書原文を開示するよう既に求めていますが、その翻訳である「読本」が開示文書に入っていない点を異議申立に追加したいと思ったのです。
ご担当によると、追加する場合、諮問機関に提出する都合上、既に出したものを一度取り下げ、新たに出し直すことになるようです。それではまた時間ばかりかかってしまうので、現在の進捗を確認してもらってから再検討することにしました。
担当部署(麻薬対策課)に進捗を確認して頂き、折り返しの電話での説明によると、既に異議に対する回答はできており、あとは課内での確認を経て、諮問機関に回送される段階とのこと。
追加の異議については、諮問機関からの回答を得たうえで、それについてこちらから再度の意見を提出できるそうなので、このまま手続きを進めて頂くことにしました。
以前、電話で課長に話を聞こうと思ったのに、一般国民の電話には出ないと麻薬対策課の秋篠氏は答えました。
麻薬対策課村上課長、いずれ法廷でお会いしましょう。
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気管支・肺に対して;
乱用者は再三にわたり、濾過していない大麻の煙をすいこみ、出来るかぎり我慢して息を止めておきますので(こうすることで大麻成分をなるべく多く肺から吸収しようとする)肺などの呼吸器官に障害をもたらします。大麻のタールはタバコのそれよりも50%も多く含まれていますので副鼻腔炎、咽頭炎、気管支炎、肺気腫、などの原因となります。また、大麻の煙には非常に多くの発癌性物質が含まれていますので肺癌なども引き起こします。
1.呼吸器に対する影響
大麻の呼吸器に対する影響では、大麻に特有な呼吸器傷害というものは無く、喫煙つまり煙を吸い込むことによる害である。
このことは、WHOの報告にも書かれており、大麻と煙草ではニコチンとカンナビノイド以外の呼吸器刺激物質と発癌物質はほぼ同じ成分である(1)。
したがって、この毒性を持って「ダメゼッタイ」を主張するのであれば、煙草を取り締まる必要が出てくる。
2.副鼻腔炎、咽頭炎、気管支炎、肺気腫、などの原因となるか。
副鼻腔炎、咽頭炎、気管支炎の原因とはなりうるようである。しかし肺気腫については意見の分かれる部分であり結論は出ていない。
大麻使用により換気機能や末梢気道の障害が引き起こされるという報告がある一方(2)、大麻使用は慢性閉塞性肺疾患や肺気腫の発症と相関しないとする報告もある(3)(4)。
大麻が肺気腫の原因となるとは断定できないことから、この部分に関して変更を要求する。
3.大麻が肺癌の原因となりうるか。
大麻が肺癌の原因となりうるかということについては、大麻が煙草よりもタールを多く含むことから、そのように考えられてきた。また、症例報告レベルではあるが、若年者呼吸器癌患者が大麻喫煙者であったという報告がある(5)。
しかし、アルコールや煙草などの交絡因子が除外できずエビデンスレベルは低い。
最近では2006年にUCLAの研究グループから発表された疫学調査で、大麻の大量長期間使用でも肺癌のリスクが増加は認められないと報告された。
さらに肺だけでなく頭頚部癌や食道癌のリスクも増加させないという結果であった(6)。
以上より、大麻が肺癌の原因となりうるかについては、現在のところ否定的と言える。この項目の削除を要求する。(追記:大麻が煙草よりも多くタールを含むにもかかわらず、発癌のリスクを上昇させないことの考察として、大麻の成分に抗癌物質が含まれていることが示唆される。試験管内の実験のレベルではあるが、カンナビノイドが抗癌作用を持つとする報告もあり、今後の研究が期待される。)
(1) Division of Mental Health and Prevention of Substance Abuse, World Health Organization: Programme on substance abuse Cannabis: a health perspective and research agenda. 1997.
(2) Bloom JW et al.: Respiratory effects of non-tobacco cigarettes. British Medical Journal, 1987, 295: 516-518.
(3) Gil E et al.: Acute and chronic effects of marijuana smoking on pulmonary alveolar permeability. Life Science, 1995, 56(23-24): 2193-2199.
(4) Tashkin DP et al.: Longitudinal changes in respiratory symptoms and lung function in non-smokers, tobacco smokers and heavy, habitual smokers of marijuana with and without tobacco. In: Marijuana: An International Research Report. Proceedings of Melbourne Symposium on Cannabis 2-4 September, 1987. National Campaign Against
Drug Abuse. Monograph Series Number 7, eds. Chesher G, Consroe P, Musty R. Australian Government Publishing Service, Canberra, 1988, pp 25-30.
(5) Taylor RM.: Marijuana as a potential respiratory tract carcinogen: a retrospective analysis of a community hospital population. Southern Medical Journal, 1988, 81, 1213-1216.
(6) Mia Hashibe et al.: Marijuana Use and Lung Cancer: Results of a Case-Control Study Marijuana Use and the Risk of Lung and Upper Aerodigestive Tract Cancers: Results of a Population-Based Case-Control Study. Cancer Epidemiology Biomarkers & Prevention Vol. 15, 1829-1834, 2006.
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日本の公的大麻情報である「ダメ。ゼッタイ。」ホームページの記述がいかにデタラメか、厚労省自身が示した根拠文書、「Cannabis : a health perspective and research agenda(世界保健機関1997年発行)」との比較も交え、フロッガー医師の検証です。
尚、このシリーズは、他の質問や要望と併せ、厚労省とダメセンターに提出予定の原稿でもあります。
読者の皆さん、お気付きの点、ご意見などありましたらお知らせ下さい。
厚労省の担当公務員及びダメセンターに天下った糸井専務理事、予習しておいて下さい。
「ダメ。ゼッタイ。」ホームページからの引用。
心臓・血管に対して;
心不全、不整脈、胸痛、狭心症、白血球の減少に伴う免疫性の低下、などがあります。
1.心不全、不整脈、胸痛、狭心症が起こるか。
狭心症患者において胸痛が起こりやすくなる(1)、心筋梗塞のトリガーとなりうる(2)、という報告があり虚血性心疾患などの既往があるものに関しては注意が必要であると思われる。
しかしWHOレポートで若年、健康成人で深刻な心血管系への影響の報告は少なく、ありそうも無いとしている(3)。
心血管系の疾患があるものに関しては注意が必要である、という記述に変更すること。
2.血球減少に伴う免疫性の低下が起こるか。
(本筋とは異なりますが、白血球減少を心血管系に入れるのはどうかと思います。レベルが知れますね。)
大麻喫煙による白血球減少について述べた論文は見つけることが出来なかった。
根拠となる論文の提示を要求する。
大麻が免疫を低下させる、と言われ始めたきっかけは、大麻喫煙者の白血球に免疫賦活剤を加えたときに通常より活性化が抑えられたとする報告である(4)。
しかしこれは幾つかの追試がなされ再現性は無かった(5)(6)。
白血球の活性化能の低下と白血球減少を勘違いしているのではないか。さらにこれは否定されているので二重に間違えていることとなる。
WHOのレポートでは、実験室レベルでは大麻が免疫を変化させることはわかっているもののその影響は比較的小さく、健康への影響があるかどうかははっきりしないとしている(3)。
また、ジャマイカ、コスタリカ、ギリシャで行われた3つの大規模な疫学研究でも、大麻使用者と対照群の間に感染性疾患の罹患率に差は認められていない(7)。
HIV患者は免疫不全となり重症感染症を引き起こしやすくなるが、HIV患者においても大麻が発症を早めたり症状を悪化させたりしないとする報告があり(8)、大麻による免疫性の低下は否定的と考える。
この記述の削除を要求する。
(1) Aronow WS, Cassidy J: Effect of marihuana and placebo-marihuana smoking on angina pectoris. N Engl J Med 1974;291:65-67.
(2) Mittleman MA, et al.: Triggering myocardial infarction by marijuana. Circulation 2001;103: 2805-2809.
(3) Division of Mental Health and Prevention of Substance Abuse, World Health Organization: Programme on substance abuse Cannabis: a health perspective and research agenda. 1997.
(4) Nahas G.G. et al.: Inhibition of Cellular Mediated Immunity in Marijuana Smokers. Science 183: 419-20, 1974.
(5) Lau R.J. et al.: Phytohemagglutinin-Induced Lymphocyte Transformation in Humans Receiving Delta-9-Tetrahydrocannabinol, Science 192: 805-07, 1976.
(6) White, S.C. et al.: Mitogen-Induced Blastogenetic Responses to Lymphocytes from Marijuana Smokers. Science 188: 71-72, 1975.
(7) Wallace, J.M. et al.: Peripheral Blood Lymphocyte Subpopulations and Mitogen Responsiveness in Tobacco and Marijuana Smokers. Journal of Psychoactive Drugs 20:9-14, 1988.
(8) Carter, W.E. (ed), Cannabis in Costa Rica: A Study of Chronic Marijuana Use, Philadelphia: Institute for Study of Human Issues (1980); Rubin, V. and Comitas, L., Ganja in Jamaica, The Hague: Mouton (1975); Stefanis, C. et al, Hashish: Studies of Long Term Use, New York: Raven Press (1977).
(9) Coates, R.A. et al.: Cofactors of Progression to Acquired Immunodeficiency Syndrome in a Cohort of Male Sexual Contacts of Men with Immunodeficiency Virus Disease. American Journal of Epidemiology 132: 717-22, 1990.
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文書開示を請求した内容。
1.厚生労働省所管の(財)麻薬・覚せい剤乱用防止センター「ダメ。ゼッタイ。」ホームページの運用・管理に関する全ての文書.
2.同ホームページ中の大麻に関する記述の根拠を示す全ての文書.
3.同ホームページの運用に関し、厚生労働省が同センターに委託している内容・事柄を示す全ての文書.
厚労省が開示した文書とpdfファイルの該当ページ。
▼「依存性薬物情報シリーズNo.1 大麻(CANNABIS) 依存性薬物情報研究班 昭和62年3月」のうち「Ⅱ大麻とは」「Ⅴ大麻乱用の臨床」→[pdf.1-45]
▼「依存性薬物情報シリーズNo.9 大麻乱用による健康障害 依存性薬物情報研究班 平成10年12月」のうち「Ⅳ講演 大麻性精神病」の部分[pdf.46-78]
下記はその見出し箇所の引用
-大麻の精神作用とその影響-
桜ヶ丘保養院 副院長 徳井達司(現、徳井クリニック院長)
第一回依存性薬物情報研究会における講演を収録
座長:依存性薬物情報研究班 班長 加藤伸勝
昭和62年3月13日(金)
於薬業年金会館(大阪市)
* 発行は平成10年だが、講演は昭和62年3月とある。???
▼「目でみる精神医学シリーズ5 薬物依存 佐藤光源 福井進編著 世界保健通信社 1993年4月」(ISBN:4-88114-625-4)のうち、「第13章 大麻依存」の部分[pdf.79-96]
▼Cannabis : a health perspective and research agenda[pdf.97-146]
* WHO'97大麻レポートとして野中氏訳を公開しています。
▼契約書 平成17年4月1日(覚せい剤等撲滅啓発事業)[pdf.148-161]
* 厚労省からセンターに委託費用上限76,459,000円が支出されている。
▼平成17年度覚せい剤等撲滅啓発事業の事業計画書の提出について[pdf.162-167]
▼平成17年度覚せい剤等撲滅啓発事業の事業実績報告について[pdf.168-173]
▼平成17年度補助金等支出明細書[pdf.174]
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白坂様
ご無沙汰しております。大山です。
THCのホームページを拝見して、私たちの話を載せていただいていたのでメールさせていただきました。
予定通り、1月11日に主人は収監されました。
自らの足で東京高等裁判所執行部(霞ヶ関にあるようです)に出向いて、そのまま当日中に東京拘置所に移動したようです。
今もおそらく東京拘置所に居るのだと思います。東京拘置所でも受刑者は面会月に2回まで、手紙も受刑者から出せるのは月に4通と制限があるので、19日に一度面会に行ったのですがそれ以降はどうなっているのか私にも分かりません。
おそらく今月中にはどこか他の刑務所に動くのではないか…との事でした。
動いたことも親族には通達がなく、電話はもちろん自分で出向いて東京拘置所に問い合わせても「分からない」の一点張りで、教えてもらえないそうです。
分かるのは移管された後、受刑者本人から親族にその旨の手紙を書く、というのが唯一の方法なのだそうです。
白坂様が書いてくださっていたように、収監までのズルズルとした時間が、本当にもったいなかったと思っています。
主人は収監されてから10日ほど独房で本や雑誌も全く与えられず(自分で持っていったもの、知人などが差し入れたもの全てが入らなかったようです)刑務官にかなり攻められたのかどうなのか、精神的に参っているような印象でした。
ほんの数分の面会でしたが、見ていて可哀想になってしまうほどでした。
また、刑務所で殺人犯や凶悪犯と寝起きをともにするかもしれない夫の身が心配でたまりません。
刑務所では軽犯罪の受刑者をターゲットにいじめのようなものがあるとの話も聞きました。なんとか主人が無事に出所してくれるのを祈るしかありません。
THCのホームページを拝見して、大麻がここまで厳しく罰せられるものではないことが分かり、今は夫に対して怒りなどはなく、何とかこの苦難を乗り越えて欲しい、という気持ちだけでいます。
夫が逮捕されるまで大麻とはどのようなものなのか全く知らなかった私ですが、白坂様とTHCのホームページのお陰で偏見や誤解などもなくなり夫を支えていきたいという気持ちになることが出来ました。
本当にありがとうございます。THCのホームページを見ていなかったら、夫を憎んだり拒絶する気持ちになっていただろうと思います。
いつか、近い将来大麻取締法が見直され、私たち家族のような不幸な目にあう人がいなくなることを切に願っております。
この度は色々相談に乗っていただき、励ましていただき、本当にありがとうございました!
また何かあればご報告させていただきます。なにか私に出来ることがあればご連絡ください。
それでは、寒い日が続きますがお体にお気をつけてください。ご報告までに。
大山恵子
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