人生の大切な時間を奪う重大な判決を行うのに、最高裁がこんなことでいいのだろうか。昨日15日、ナタの上告趣意書提出期限でした。上の引用は本人が書いた上告趣意書の一節です。 最高裁の裁判官たちは、実刑4年半の現実に直面しているナタの言葉をどう受け止めるのでしょうか。 それとも、司法官僚が書いた作文に目を通すだけで、またしても何の具体的な説明もなく、「上告には理由がない」と、それこそ「理由がない」上告棄却を繰り返すのでしょうか。
裁判所という所は、正義を行なう所だと信じて来たが、大麻の裁判においては正義が行われているとはとても思えない。
★ ランキングとツイートにご協力ください ★
ツイート
既に刑務所に服役したIさんですが、最高裁に提出した異義申立書を掲載します。この件について、Iさん裁判を懸命に支えてきた友人からコメントを頂きました。
Iさんは、桂川さんの例のように上告棄却が理由の一言もなく決定された場合は、異議申立をすることに決めていました。案の定その通りの結果となってしまいましたが、金井塚弁護士による桂川さんの異議申立書を参考にしてもらうべくお見せしたところ、これを踏襲しつつ即座に提出して頂きました。異議申立のできる期限は余りに短いうえ、ましてや国選でお願いした弁護人でしたが、上告趣意書も丁寧に作成していただき、最大限に尽力して頂きました。
因みにIさん上告審の裁判官は、裁判長以下全員が、桂川さん上告審と全く同じでした。
桂川さんの際にも、また今回も引用のある藤田宙靖裁判官は、自著に記した自らの言葉と実際の行為とのギャップをどう思っているのでしょう。机上の空論もここに極まれりといった感があります。
異義申立書[Iさん裁判]
★ ランキングとツイートにご協力ください ★
ツイート
上告趣意書(弁護人作成)
平成17年(あ)第1946号
平成17年10月×日
最高裁判所第二小法廷御中
弁護人 立田廣成
被告人 ■■■■
事件名 大麻取締法違反・麻薬及び向精神薬取締法違反
上告趣意書
本件について、上告趣意は下記の通りである。
記
原判決には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがあり、また、原判決は、被告人を懲役2年に処した一審判決の量刑を相当としたが、この量刑は被告人のために酌むべき下記事情を十分に考慮しておらず、著しく不当に重く、これを破棄しなければ著しく正義に反するものである。
第1 法令適用の誤り
大麻の所持を懲役刑のみをもって処罰する大麻取締法24条の2第1項、3条第1項は、憲法13条、14条、31条に違反するから、大麻取締法24条の2第1項、3条1項を適用して被告人に有罪を言い渡した一審判決には法令適用の誤りがあるのに、同判決には法令適用の誤りはないと断定する原判決には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがある。
原判決は、大麻の有害性の程度は、たばこ、アルコールと同程度かそれより低い程度の、極めて低いものとはいえないから(最高裁第1小法廷昭和60年9月10日決定.裁判集刑事240号275頁参照)、一審判決には法令適用の誤りはないと説示する。
しかしながら、大麻には依存性・毒性はなく、大麻を使用したことによる第三者に対する暴力的・攻撃的行為の可能性もないから、大麻の有害性の程度は、たばこ・アルコールと同程度かそれより低い程度の、極めて低いものであるが、仮に、有害性の程度が極めて低いものとはいえないとしても、基本的人権は「公共の福祉に反しない限り」最大限に尊重されなければならないから、人の身体・行動の自由に対する重大な制約を加える刑罰、特に懲役刑による規制は、人権保障の観点から必要最小限のものでなければならない。
ところで、大麻取締法の保護法益は毒物及び劇物取締法1条のような目的規定がないため、法文上具体的でなく、不明確であるから、上記罰則規定が必要最小限のものとは考えられない。
したがって、大麻取締法の上記罰則規定は、法の下の平等原則を定める憲法14条、適正手続を保障する憲法31条に違反するものである。
以上の通り、大麻取締法の上記罰則規定は、憲法13条、14条、31条に違反するから、同罰則規定を適用して被告人に有罪を言い渡した一審判決には法令適用の誤りがある。
第2 量刑不当
本件は大麻及び麻薬所持の事案である。
大麻の所持は、自己使用目的で営利目的ではなく、その量も拡散のおそれを生じさせるような大量のものではない。麻薬の所持量も少量であり、犯行の態様は悪質ではない。
被告人は、深く反省し、更正を誓っている。
被告人は、本件犯行を後悔し、捜査段階において大麻吸引などにつき具体的・詳細に供述し、麻薬が染み付いた紙片の入手についても、日時、場所、状況など具体的に供述し、事案の解明に協力しており、その反省は真摯である。
被告人は、両親に迷惑をかけたことを痛感し、早く両親のもとに帰り、二度と大麻等に手を出さない旨を誓っている。
被告人は、本件により平成17年2月4日に逮捕され、以降8ヶ月余身柄を拘束されている。また、前刑(平成15年6月3日 本件と同様の罪により懲役2年6月、3年間執行猶予・付保護観察)の執行猶予が取り消され、相当長期間刑に服することになる。
被告人は、24歳の若年で、更生の見込みは十分であり、両親や知人も被告人の早期社会復帰を望んでいる。
上記事情を考慮すると、被告人を懲役2年に処した一審判決の量刑は、著しく不当に重い。
以上
★ ランキングとツイートにご協力ください ★
ツイート
沖縄のナタから弁護人作成の上告趣意書が届いたので掲載します。
ナタ本人も上告趣意書を出す予定で、既に原稿を預かっています。修正点などについて意見を求められましたが、特に修正の必要のない、本人の思いや率直な訴えが簡潔に記された上告趣意書になっていると感想を持ちました。こちらも近日中に掲載します。
近日中にナタに連絡の手紙を出します。THCサイトの印刷も同封します。ぜひナタに激励の言葉をかけてあげて下さい。談話室に書き込んで頂ければ印刷して送ります。
上告趣意書(弁護人作成)
★ ランキングとツイートにご協力ください ★
ツイート
5.自由の身
10月29日午後 遂に夫は保釈された。
本当は昨日の時点で保釈は許可されていたのだが、私が弁護士と連絡を取らず、29日の朝に結果を知ったので、夫には悪い事をした。
保釈金2百万円(父から借りた)を裁判所で支払い、夫の居る留置場へ「これから迎えに行きます。」と電話をして、東へ車を走らせた。
この日は夫にとっては、「いつもと変わらない日」だったようだ。午後になって、留置場の事務所に居る警察官が、自分の名前を言っているのが聞こえ、見覚えのあるバッグが棚から取り出されるのが見え、徐々に状況が分かってきた。そして、警察官が荷物をまとめるようにと言ってきたので、その時、はっきりと自由になれると悟ったそうだ。
留置場の事務所の前で待っていると、夫が荷物を抱えて出てきた。感動の対面である。
2人とも興奮気味に、これまでの事を語り合った。
翌週には仕事にも復帰し、以前の生活を取り戻そうと努めていたが、夫はまだ実刑になるのでは?と心配で、夜も良く眠れないでいた。実刑になるのなら、保釈はされないはずだから。と慰めた。
11月5日 判決公判。弁護士さんは、いつもの鞄ではなく雑誌のみを持っていた。それを見たとき、絶対に実刑にはならないと確信した。
懲役:1年6ヶ月 執行猶予:3年
この時やっと夫は、恐怖から解放され自由を感じる事が出来た。
この日も税関の人達が傍聴に来ていた。
税関の事務所から、裁判所までは約100kmもあるのに、「他にする事無いのだろうか?」と思った。
裁判が終わり、税関の人達と挨拶を交わした。
「わざわざ、来られたのですね?」
と聞くと、「やっぱり、気になって、最後まで見届けたかった。」との事。
保釈金の2百万円を返してもらい、それを持って2人で街をぶらぶらした。
このお金を使う事も出来るという誘惑に負けそうだったので、急いで父へ送金して、「全て終わった!」と実感した。
★ ランキングとツイートにご協力ください ★
ツイート
4. 裁判
9月22日 夫の初公判が行われた。
この日は、夫と私の間にアクリル強化ガラスは無かったが、まだまだ距離は遠い。
弁護士が、本人質問をさせて欲しいと裁判官にお願いしたところ、OKとのこと。
密輸の件を認め、反省している事もアピールできた。保釈に期待。
この日は、大使館職員の方も来て下さった。公判が終わり、私と大使館職員の方が、裁判所の外で話していたとき、夫を乗せた車が私達の前を通った。夫が車の中から手を振っているのが見え、警察官が車の窓を開けてくれた。意外と元気そうで安心した。
弁護士さんが保釈請求をして下さったが、却下された。
理由は、「常習として長期3年以上の懲役又は禁固に当たる罪を犯したものである。」と「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がある。」であった。
1つ目の理由はともかくとして、2つ目は「相当な理由」って何?と聞きたかった。
パソコンはまだ警察に押収されているし、パソコンは返して欲しいけど、夫が帰ってこられるならパソコンなんて要らない。
10月4日 大麻取締法、関税法違反(大麻約6.07gの密輸)で追起訴された。翌日早速面会に行った。
今回こそ保釈されるだろうと思い、お祝い用にヘンプビールを注文した。
弁護士さんも「保釈の可能性は大いにある。」と言っていたので。しかし、今回も却下された。理由は前回と同じ。夫に期待させてしまった事を後悔した。
10月15日 警察がやっとパソコンを返してくれた。ハードディスクは取り外されたままだったが。
10月19日付の夫からの手紙に、9月22日から希望を持つふりをしてきたが、本当に疲れた。同じ房の人もうるさくてプライバシーが欲しいと書かれていた。かなり参っているようだ。
この時、夫は拘置所に移りたいと願っていたようだ。拘置所に行けば、独房に入る事が出来て、プライバシーが持てると思っていたらしい。私は、本やインターネットで拘置所の事を調べて、留置場よりも厳しい事を知っていたので、弁護士さんに、全てが終わるまで留置場に居られる様にして欲しいと、お願いしていたほどだ。勿論、弁護士さんには「そんな事、こちらが選べるわけが無い。」と笑われたが…
10月27日 第2回目の公判が行われた。今回は、夫の雇用主と私も証言する事になっている。傍聴席には、課外授業の中学生が5,6人、夫の密輸入の件を担当した税関の方々4人。その他、2,3人が居た。
公判は、密輸入の件に関しての審理、それから、私、夫の雇用主の順で証人質問があった。
弁護士からの質問で、「夫が再び過ちを犯さない為に、あなたは今後どのように指導していくつもりですか?具体的に?」との問いには、困った。弁護士は何を言わせたかったのか? 私は、「具体的では無いかも知れませんが、私を愛しているのなら、もう2度と同じ過ちを犯さないでと、お願いします。」と答えた。
検察官からの質問で、「今後、夫が大麻を吸っている所を見つけたら、どうしますか?」との問いに、「警察に通報します。」と答えた。実際はそうしないと思うが。
夫の雇用主(T社長)は、夫に有利な証言(勤務態度は、至ってまじめ。 職場の人間関係良好。 再雇用する。)をして下さった。
検察官から夫への質問で、「日本では、大麻はいけない事だと分かっていても、体が欲したのではないのですか?」との問いに、夫は、「体が欲したとは思わないし、大麻中毒でもない。法を犯したのは、自分の弱さからです。」と答えた。
検察官の求刑は、1年6ヶ月。弁護士は、執行猶予を求めた。
判事から、「被告人は、何か言いたいことはありますか?」との問いに、夫は、結構長いスピーチをした。
その中で、特に印象に残った言葉は、
「以前、大麻は自由の象徴でした。しかし、日本では大麻は自由を奪うものだと知りました。」
というもの。
夫は、本当に心から反省していると感じた。
今日、結審されるものと期待していたが、判決公判は、11月5日(金)午前9時40分。
今日、弁護士は保釈申請を行ったそう。
明日か明後日には、結果が分かるのではないかとの事。
その日の午後、面会に行ってきた。
私が面会の部屋に入ると、夫は、立会いの警察官と一緒になって、
腰を落とし、拳銃を構えている格好をしていた。立会いの警察官まで一緒になってやっていたので、少しビックリしたが、元気だったので安心した。
11月5日という、具体的な「終わり」が見えてきた。
★ ランキングとツイートにご協力ください ★
ツイート
MBさんの奥さんの手記、「(3)対面」と「(4)裁判」を掲載しました。
見出しの言葉はデンマーク人MBさんの公判での証言です。
過日、談話室でも話題になりましたが、法務省が窃盗罪に罰金刑の適用を検討中とのこと。
asahi.com: 「窃盗罪に罰金刑を」 法務省が諮問 戸籍法改正も - 社会
2005年10月06日22時03分
法務省は6日、罰金刑が適用される罪種を広げる刑法改正について法制審議会(法相の諮問機関)に諮った。窃盗、公務執行妨害、職務強要の3罪に、新たに罰金刑を設ける。また交通事故などに適用される業務上過失致死傷と重過失致死傷罪の罰金の上限額を、50万円から100万円に引き上げる。刑の選択肢を広げ、犯罪の実態に即した処罰を可能にする狙いだ。法務省は、来年の通常国会への法案提出をめざす。
提案された要綱骨子によると、窃盗罪(現行・10年以下の懲役)には50万円以下の罰金刑を、公務執行妨害と職務強要罪(同・3年以下の懲役または禁固)には30万円以下の罰金刑を加える。
窃盗の中でも、成人による万引き事件で04年に摘発されたのは約7万7000件と10年前の倍になっており、法務省は「遊ぶ金欲しさなどで、安易に万引きを繰り返す人が多い」とみる。
公務執行妨害罪については、中間的な処罰がないため、本来は同罪にあたる事件を、罰金刑のある暴行罪に切り替えて処理することも少なくないという。
こうしたことから、刑務所に入れるのは酷だが、起訴猶予などで処罰しないのは軽すぎる場合のために、罰金刑を新設することにした。
また04年に業務上過失致死傷罪で略式命令を受けた2715件のうち、45%は上限額の50万円の罰金を命じられていた。こうしたことから、罰金の上限額を引き上げる必要があると判断した。
◇
法制審議会では同日、戸籍法の改正も諮問された。本人や親族などのほかに謄抄本の交付を請求できるのは、相続関係の証明に必要がある▽官公署に提出する必要がある▽正当な利害関係がある――などの場合に限るとする。謄抄本の請求や婚姻・離婚などの届けには本人確認を義務づける。
個人的な大麻の栽培や所持が窃盗罪より重い罪だなんておかしな話です。
本来的には罰金刑すら不要だとしても、現状の過酷な刑罰と、それに伴う不幸を軽減する意味からも、大麻にも罰金刑を復活して頂きたいものです。先進各国の前例のように。
大麻取締法改正の請願署名を呼びかけておられる丸井弁護士が、当時の厚生省麻薬課長を法廷で尋問して明らかにしたように、大麻による社会的問題など皆無だったのに罰金刑を廃止した昭和38年の大麻取締法改正は立法事実がなく、それは大麻についての研究が進んだ現在から見ると一層のこと、根拠のない改正であり、仮に大麻取締法が憲法違反ではないとしても、罰金刑を廃止した昭和38年の改正は無効である、と、Iさん裁判の上告や、ナタの控訴審での意見書で、THCとしても司法に訴えてきました。
大麻で逮捕しないでほしい。せめて罰金にしてほしい。そう思います。
★ ランキングとツイートにご協力ください ★
ツイート
3.対面
8月19日 仕事を早退して面会に行った。感激の対面。夫は泣きながら謝っていた。
私は努めて明るく振舞った。日本語しか使えず、もどかしかった。私の次には、誰もいなかったが、15分間の面会時間だった。
これからは、手紙のやり取りや本の差し入れが出来る。本の差し入れに関しては、厄介な事に、日本語以外の本の場合、日本語訳も同時に提示しなければいけない規則で、面倒くさかった。夫が特に気に入った本は、スティーヴン・キャラハン著「大西洋漂流76日間」という本だった。ヨットで遭難し、76日間漂流した人の話で、この本の最初のページには、「絶望と孤独に苦しんでいる人々、それを経験した人々、またこれからそれを味わうかもしれないあらゆる人々に、国境を越えて、この本を捧げる。」と書かれていた。
今の自分の状況と重ね合わせる事が出来、励まされたようだ。
毎週1回面会に行った。職場から警察署までは車で25分の距離。毎日でも会いに行きたかったが、そういう訳にもいかなかった。
何かの拍子で、手紙の他に電報を送ろうと思い立った。夫はかなり喜んでいた。留置場で電報をもらうのは自分しかいなく、特別に思えたらしい。
夫からも手紙が来た。殆どひらがなで、文法もおかしいが、とても嬉しかった。
8月18日に起訴されて以来、警察の取り調べも無く、何の進展もない事にかなりストレスを感じているようだ。弁護士に保釈申請をお願いしても、密輸の件が起訴されてないので、無理でしょうという事だった。
9月14日 関税法違反で再逮捕となった。これでまた接見禁止になるが、夫も私も終わりに1歩近づいたという事で、ある意味嬉しかった。
★ ランキングとツイートにご協力ください ★
ツイート
2.接見禁止
翌日は、仕事に行った。普段、親しくさせて貰っている人たちが、「旦那さん、腰大丈夫?」と聞いてきた。そう言えば、昨日嘘付いて休んでいたのだった。更に嘘を付くのが嫌だったので、2人の人には本当の事を話した。そして、上司のAさんにも状況を伝えた。
夫が逮捕されたとなれば、働かせてもらえないのでは?と心配しつつ。
Aさんは、「あなたは、これからどうするつもりでいるの?」と聞いてきたので、これからも夫を支えていきたいと答えた。暫くして、Aさんから、会社として私をどうこうするつもりはないと告げられた。
会社に本当の事を伝えた事は、後に面会や裁判等で、仕事を早退、欠勤する際に嘘をつかずに済むので結果として良かった。
休み時間に警察署へ電話を掛け、昨夜の夫の友人との会話について担当のIさんに伝えた。Iさんは、仕事が終わってからで良いから署に来て欲しいと言ってきたので、了解した。警察署に行くと、取調室に連れて行かれ、夫の友人とのやり取りを根掘り葉掘り聞かれた。この件でも調書を作るらしい。取調室は、3畳ほどの広さに机1つと、イスが3脚あり、壁はタバコのヤニで黄色く変色していた。悪い事をしていなくても居心地悪い。
夫はこの警察署に居るのかと思っていたが、ここは満杯で、昨日の時点で隣の市の警察署に居るとの事。更に遠くに行ってしまった気がして、寂しくなった。
警察署からの帰り道、インターネットカフェに寄り、色々と調べてみた。先ずは夫が居る警察署。あるHPによると、そこは新しく綺麗なので、犯罪者に人気の留置場だそう。
所轄の警察署は古汚いので、少し遠くなったが隣の市に移った事は良かった。
翌日は週末で仕事が休み。2日前に、警察と税関に家をひっくり返されたので、掃除をした。映画の様にグチャグチャにされた訳では無かったが…
そして丁度、同じ棟のアパートの2家族が外にいたので、夫の事を話した。この2家族には、小さい子供さんがいるので、“大麻で捕まった人が同じアパートに住んでいるとなると、子供の教育上好ましくないから、出て行って欲しいと言われるかな?”と思いながら。
しかし、それは杞憂だった。「大麻ぐらいで… 運が悪かったね。」と言ってもらえた。
午後から、またインターネットカフェに行こうかと思っていたら、弁護士から電話があった。その人が言うには、これから警察署に行くから、私も本や手紙を持って来るようにとの事。昨日の時点で、刑事さんに今は接見禁止で会えないし、本も手紙も駄目だと言われていたので、不思議に思いつつも期待して警察署へ行った。自宅からは車で1時間の道のり。警察署の駐車場で、弁護士さんに初めて会った。弁護士さんは接見禁止の事など知らなかったらしく、私も面会できると思っていたようだ。この人は当番弁護士で、会いに来たとの事。やはり私は面会できず、雑誌も差し入れできなかったが、日本語のテキストと、辞書は出来た。私からの手紙も、弁護士さんがガラス越しに夫に見せる事が出来、取あえずは、私の気持ちを伝える事が出来た。手紙には、「皆心配しているけどあなたの見方だから、前向きに!気を楽に!」と書いた。
夫も弁護士さんに伝言を託していた。「ごめんなさい」と「愛してる」それから、この弁護士さんを雇いたいとの事。弁護士さんには、費用の事もあるので後日連絡する事にした。(弁護士費用は40万円。私の父に費用を借りこの弁護士を雇う事にした。)
警察署の後はまた、インターネットカフェ。裁判の流れや、大麻事犯について調べた。
夫の逮捕以来、毎晩夫の父から電話があった。遠く離れた国で、息子が逮捕されさぞ心配した事でしょう。その義父からの提案で、デンマーク大使館に相談してみてはどうか?という事になった。正直、どうなるものでもないと思ったが、老いた父親が息子を心配しているのだから、私も出来る限りの努力をしなければと思い、連絡を取ってみた。すると、1人の職員が、ここまで来てくれる事になった。
翌週も、何かと忙しかった。8月4日、第2の小包が届いた。今回は成田のゴールデンレトリバーも見落とした?らしく(それともわざと?)無事に届いた。
I刑事さんに連絡を入れた。3人の刑事さんが来た。刑事さんが封筒を開けると、酸っぱい様な青臭いような匂いが微かに漂った。中身は2つのCDケースとソフトだった。
CDケースを開けても何も無かった。刑事さん達は、「外れだね。」と言って帰っていった。
私は、納得できず更にCDケースを分解してみた。するとケースの背の部分にラップに包まれた大麻樹脂が、入っていた。心臓がドキドキした。直ぐに刑事さんに連絡しようと思ったが、「もし、これを捨てたら…?」 実家の父親に電話をしてどうすべきか聞いた。
父も一瞬動転したらしく、いったん電話を切って考えて、折り返し掛けてきた。
やはり、正直に警察に連絡すべきだと。
さっき帰って行った刑事さんたちが、またやって来た。今度は、その大麻樹脂と記念撮影。
「何てドジな人たちだ!」と夫が自由の身になるまで思っていたが、一件落着してよくよく考えてみたら、あれはきっと私を試したに違いないと思えてきた。
何故なら、1回目の成田で押収された時も同じ方法で送ってきてあったので、それを刑事さんたちが知らない訳が無い。
何人かの人に、「2度目の小包の事は、最初から黙っておけば良かったのに。」と言われたが、あの時の私は、警察に正直に協力していれば、早く終わると期待していた。
同じ週にまた警察署に行き、2度目の小包の調書を取られた。その際に、I刑事さんに夫が所持していた大麻を誰から手に入れたかを聞いた。7月25日に家に来た、ニュージーランド人からであった。1年以上も連絡がなかったのに、何故彼は、その日に来たのか?
買った本人が一番悪いが、タイミングが悪かった。
本か何かに、「警察に捕まった時、仲間を売らない様に、入手経路等を考えておくべきだ。」といった感じの事が書いてあった。確かに夫は友人を売ってしまい、その人までも自分と同じ状況にしてしまった訳だが、夫曰く「自分の自由、私達の将来と彼を天秤にかけた場合、選ぶのは難しくなかった。」私もきっと同じことをしただろう。
8月6日 弁護士さんとデンマーク大使館の職員の方が、夫に面会に行った。私は警察署のロビーで待っていた。夫と同じ建物に居るのに、会えないのはつらい。
大使館職員の方とは、母国語で話せたらしく、きっと少しは気が楽になったに違いない。
取調べは英語又はデンマーク語の通訳を通してやる訳だが、それが果たして正確に伝えられているのか、疑心暗鬼になり、供述書にもなかなかサインしなかったらしい。
I刑事には起訴はいつか、しつこく聞いてみたが、「デンマークとのメールのやり取りの解析が、まだまだで…」と何時まで経っても起訴されない。
結局逮捕から20日後の8月18日大麻取締法違反で起訴された。
1歩前進。保釈の可能性も?
★ ランキングとツイートにご協力ください ★
ツイート
「逮捕された人の話」にある「MBさん(デンマーク人)」に「奥さんの手記(2)」を掲載しました。 (1)には下記の記述がありました。
私は声に出さずに"I LOVE YOU."と言った。今回の(2)には次のような言葉があります。
夫は"I'm Sorry."と言った。
この時が、これからの3週間で私達の最後の会話になるとは、思いもよらなかった。
夫も弁護士さんに伝言を託していた。MBさん夫妻の場合、大麻取締法違反での逮捕はお二人の関係の破壊にはならず、寧ろ上述のように、お互いを励ましあい、支えあう、ラブストーリーでした。不幸中の幸いであります。
「ごめんなさい」と「愛してる」
★ ランキングとツイートにご協力ください ★
ツイート
過日、沖縄の拘置所に収監されているナタから手紙が届きました。
上告趣意書の提出期限が11月15日、国選弁護人は東京杉並の弁護士に決まったとのこと。大麻取締法の違憲性を主張する資料を弁護士に提供してほしいとのことで、弁護士に電話しました。
お名前の漢字からしてご高齢の方だろうと思いましたが、84歳とのこと。
これまでの大麻取締法違憲論裁判の経緯、検察の主張、弁護側の主張、司法の判断、最高裁の思考停止についてお伝えし、論理的にも明解な会話を交わしてから聞いた年齢だけに、ご高齢なのに冴えたものだなぁと、失礼ながら感心してしまいました。
THCからの資料提供について触れたナタの手紙も弁護士の手元に届いていたそうで、大麻取締法の問題点は控訴審の資料を読んで既に理解し、ナタの意向に沿って上告趣意書を書いて頂けるとのことでした。
こちらからお送りする資料については、「今後の勉強にしたいので送り返さなくていいということでお願いしたい」とのこと。無論了解であります。
先生、送り返すのが手間だという臭いがちとしましたが、ぜひ今後の弁護活動にお役立て下さい。
★ ランキングとツイートにご協力ください ★
ツイート
Iさんから初めて手紙を貰ったのは1月のことでした。正月三日、「大麻取締法の見直しと桂川さんの減刑を求める有志の会」として新年の松本駅前で署名活動を行ないました。集約には間に合わなかったものの、その署名用紙は友人の差し入れでIさんも拘置所で手にしていたそうです。
Iさん、こんなことで4年半も刑務所送りにされるなんて、ホントにひどい話です。
Iさんから届く予定だったレポートは間に合わなかったとしばらく前に手紙が届きました。刑務所に移ってから書くとのこと。ご家族経由で頂くことになっています。
Iさんの上告に際し、本人とも打ち合わせの上で提出したTHCとしての上申書を掲載します。
刑務所送りになってしまった人たちにニュースレターを送れるといいな、と、複数の顔が脳裏をよぎっています。
★ ランキングとツイートにご協力ください ★
ツイート
友人の協力を得てIさん本人が提出した上告趣意書を掲載しました。
大麻取締法の違憲性を科学的、論理的に検証した上告趣意書はこれを含めて既に多数が最高裁に提出されていますが、最高裁は昭和60年の判例というカビの生えた記憶を盾に審理すら行なっていません。真木弁護士も上告趣意書で指摘した通り、「真に不当極まりない」と言うほかありません。
それとも、ひょっとして、認知症でしょうか。
Iさんを含む裁判闘争のこれまでの記録からも、既に十分に大麻取締法の違憲性と最高裁の機能不全は明白ではないでしょうか。
Iさん自身が提出したこの上告趣意書も、理を尽くし、論を尽くし、大麻取締法の問題点を明確に指摘しています。
Iさん自身の思いの詰まった上告趣意書をぜひご一読下さい。
最高裁の恥の上塗りは更にいつまで続くのか。判事諸氏の輝かしいオツムとご経歴と名誉のためにも心配です。
>Iさん本人提出の上告趣意書
★ ランキングとツイートにご協力ください ★
ツイート
◆Iさん上告趣意書
「推定」で4年半の実刑判決が確定したIさんの上告趣意書、Iさんの裁判を当初から援護してきた友人が書き起こしてくれたので掲載しました。以下、一部引用します。
大麻に有害性は認められず、認められるとしても非常に少ないものであること、他方大麻の薬用や産業上有用であること、外国では大麻の規制が緩やかになってること、我が国の大麻の厳罰による法的規制は違憲であることは原審弁護人が3通、145頁に亙る控訴趣意で述べているところであり刑罰による大麻規制の合憲性についての職権判断を求めたのに対し、原判決は「大麻取締法が憲法違反でないことは明白である(最高裁判所昭和60年9月10日決定参照)」とわずか3行で弁護人の主張を退けていて(原判決書2頁11行乃至13行)真に不当極まりない。
一体、最高裁第三小法廷の裁判官は趣意書を読んでいないのでしょうか。
藤田宙靖さん、濱田邦夫さん、上田豊三さん、堀籠幸男さん、それぞれに直接会って、こんなことで4年半も人を刑務所にブチ込むなんて、何を考えてんだか聞いてみたい思いです。
Iさん上告趣意書
◆世界保健機関1997年大麻レポート翻訳
INFINITE LOVEのadministratorさんが、WHO大麻レポート(1997)の翻訳を始められ、協力の呼びかけに応じた有志と作業中です。まだ完成していませんが、翻訳が済んだものから順に掲載します。
他にも翻訳したい資料など多数あり、ご協力頂ける方を募集しています。手伝ってもいいよ、という方、ぜひ力を貸して下さい。よろしくお願いします。
→世界保健機関大麻レポート'97
★ ランキングとツイートにご協力ください ★
ツイート
異義申立棄却決定文
決定
上記の者に対する大麻取締法違反、関税法違反被告事件(平成17年(あ)第1175号)について、平成17年9月5日当裁判所がした上告棄却の決定に対し、被告人から異議の申立があったが、この申立は理由がないので、当裁判所は、刑訴法414条、386条2項、385条2項、426条1項により、裁判官全員一致の意見で、次のとおり決定する。
主文
本件申立てを棄却する。
平成17年9月20日
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 藤田 宙靖
裁判官 濱田 邦夫
裁判官 上田 豊三
裁判官 堀籠 幸男
裁判所書記官 吉川 哲明
★ ランキングとツイートにご協力ください ★
ツイート