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Iさん裁判 : 投稿者 : 白坂@THC主宰 投稿日時: 2005-08-30

控訴趣意書(前任弁護人作成)/H17.1.11

平成16年(う)第3101号 大麻取締法違反、関税法違反被告事件
被告人 ■■■■

控訴趣意書

 上記の者に対する大麻取締法等違反被告事件についての控訴の趣意は、下記の通りである。

平成17年1月11日
上記弁護人弁護士  小柴 文男

東京高等裁判所 第6刑事部 御中

第1点 刑事訴訟法第380条(法令の適用の誤)に基づく主張

 1. 原判決には、大麻取締法第24条2項、1項が定める営利目的輸入罪の客体である「大麻」の解釈を誤り、その結果、本来構成要件該当性がないと判断すべきところをこれがあるとした法令の適用を誤った違法があり、かつこの誤りは判決に影響を及ぼすこと明らかであるので、大麻の営利目的輸入の点に関する原判決の破棄を求める。以下、理由を述べる。

 2. 大麻取締法第1条によれば、「大麻」とは「大麻草(カンナビス・サティバエル)及びその製品をいう」とある。従って、被告人がわが国に輸入した本件大麻樹脂は、甲25ないし42の各鑑定書に照らすかぎり、大麻取締法所定の「大麻草の製品」に該当し、もって同法所定の「大麻」に該当するとすることは形式的な解釈としてみるかぎりこれを承認しうるものである。

 3. しかしながら、大麻取締法第24条2項は、同法同条1項所定の単純な輸入罪に比較して法定刑の重い犯罪であって、両者の立法趣旨には自ずと違いがある。注釈特別刑法第5 II巻第2版(青林書院)91項によれば、本法の営利目的を加重に処罰する趣旨は、他の麻薬関係取締法規と共通するものと解されるものであるとしたうえで、「財産上の利得を目当てに、その手段として犯罪を行うこと自体、そのような動機がない場合に比して道義的により厳しい非難に値すること、利得を動機に犯罪に出る場合は、一般にその行為が反復、累行され、またその規模も大掛かりになる傾向を包蔵し、それだけ大麻の濫用を助長、増進させ、国民の保健衛生上の危害をより増大させる危険性が高く、したがってその行為の違法性もそれだけ大である」、「違法性、責任双方の観点から加重されたものと考えられる」、としている。このことから、営利目的輸入罪が成立するには、違法性、責任双方の観点から「財産上の利得」の存在がその解釈の前提として想定されていると言うべきものであると解される。そうとすれば、営利目的輸入罪の客体たる「大麻」とは、当然「財産上の利得」の客体となりうるものであることが必要である、との補充解釈(合憲的制限解釈)を行うのが論理的な帰結であると言わなければならない。

 4. では、本件大麻樹脂は、このように解釈上導き出された「財産上の利得」の客体となりうる「大麻」であると判断しうるものであるか。結論的には、否、と言うべきものである。理由は以下の通りである。
 被告人は、甲2の検査状況報告書から明らかな如く、本件大麻樹脂を嚥下隠匿して輸入したものである。かかる大麻の嚥下隠匿という方法は、甲3の排泄状況等報告書に如実に示されている通り、人間の生体構造から言って大麻を取り出すためには糞便と一緒に排泄するほかないものである。つまり、一旦嚥下隠匿された大麻は人間の口、食道、胃、腸を通過して肛門からこれを体外に取り出すほかこれを入手することができないものである。従って、嚥下隠匿された大麻は、人間の胃腸内に無数に存在すると言われる微生物や大腸菌等の細菌類に晒され、また、当該固体が伝染性の病気に罹患しているときにはその病原菌やウイルスなどに汚染されている危険性があるものなのである。もっとも、本件大麻樹脂は、上記排泄状況報告書(甲3)によれば、透明ラップ用のものに包まれていたことが認められるので、直接、体内の細菌類等に本件大麻樹脂が晒されていたということには直ちに言えない。ただし、単に透明ラップ用のもので包んだにすぎないので、目に見えない大きさの微生物や細菌等の混入付着はこれを防ぎえないとも言えよう。しかし、問題は、こういうことではなく、嚥下隠匿するという方法が人間の体内にその物を所定の時間、例えば本件のように大麻を嚥下隠匿して輸入する場合には少なくとも海外から本邦に到着するまでの渡航時間これをとどめ、その後にその物を肛門から排泄して取り出すという方法であるという点にある。このように、一度、いわば糞まみれの状態になった大麻は、透明ラップ用のものに包まれていたとしても、また、水や消毒薬などで綺麗に洗浄したとしても、われわれの意識のなかではそうした大麻を心理的に摂取する気にはなりえないのであって、これを他人に売却して利益を得るというような財産的価値は失っているものであると解すべきものである。換言すれば、一度嚥下隠匿された大麻は、営利目的輸入罪の客体たりうる前提としての「財産上の利得」の対象たりうる客体性を欠き、結局、営利目的輸入罪における「大麻」(正確に言えば、本件の場合は大麻樹脂なので「大麻草の製品」という構成要件要素)に係る構成要件該当性を欠くものである、と言うべきものである。

 5. ところで、刑法第261条の器物損壊罪における「損壊」の解釈につき、判例は他人の飲食器に放尿する行為は「損壊」になるとしている(大判明42・4・16録15・452)。この判例の解釈は、一度放尿された飲食器はたとえきれいに洗浄して物理的又は衛生的に問題がなくなるとしても心理的にもはや飲食器の用をなさないから、放尿行為はその飲食器の損壊に等しい行為であるとしたものであると解される。このように、放尿によっていわば尿まみれの状態にするという行為が「損壊」になるのであれば、嚥下隠匿によっていわば糞まみれの状態にするという行為は放尿とは比較にならぬほどに「損壊」に当たる筈である。「損壊」された財物はその財産的価値が失われたことを意味する。従って、「損壊」された財物を売買等の取引の目的にして「財産上の利得」を得ることも当然またできないと言わなければならない。以上の観点から捉えてみても、被告人によって嚥下隠匿された本件大麻樹脂は、営利目的輸入罪における「大麻」に係る構成要件該当性を欠くものである、という事ができる。

 6. よって、原判決には、大麻取締法第24条2項、1項が定める営利目的輸入罪の客体である「大麻」の解釈を誤り、畢竟、本来構成要件該当性がないと判断すべきところをこれがあるとした法令の適用を誤った違法があると言うべきものであり、かつこの誤りが判決に影響を及ぼすこと明らかである以上、大麻の営利目的輸入の点に関する原判決は破棄を免れないものであると言うべきである。

第2点 刑事訴訟法第382条(事実の誤認)に基づく主張

 1. 原判決には、上記第1点の主張のほか、被告人が大麻取締法第24条2項所定の主観的構成要件要素たる「営利の目的」を有していたものであると認定した点において、事実認定の誤りがあると言わなければならない。そして、この事実誤認が判決に影響を及ぼすこと明らかであるので、原判決はこの事実誤認の点において破棄を免れないものである。以下、理由を述べる。

 2. 原判決は、被告人の「営利の目的」につき、同判決書引用の各関係証拠に基づき、【1】本件大麻樹脂が約1000回前後の使用量に相当すること、【2】かつて平成14年2月ころにも大麻樹脂を輸入したこと及びその際ネパール滞在中に友人らに宛てた手紙の下書きなどを記載した本件ノートに何らかの売買取引をうかがわせる記載があること、【3】被告人の友人、知人の中には大麻を使用する者が複数存在すること、加えて【4】被告人の検察官調書(乙7及び同8)に本件大麻樹脂の一部を大麻を使用する友人などに売却する意思を有していた旨の供述記載があること、という以上4点の事実を認定したうえで、被告人は、本件大麻樹脂について自己使用のみならず、大麻を使用する友人、知人らに売却する意思を有していたものと推定できる、と判断している。しかしながら、かかる原判決の判断過程には「疑わしきは罰せず」又は合理性の精神に反した重大な瑕疵があり、到底、原判決の判断を承認することはできない。以下、項を分けて、原判決がその判断の根拠とした上記4点の各事実について個別的に検討する。

 3. 上記【1】の事実について
 本件大麻樹脂の量が約1000回前後の使用量に相当するとすること自体には問題はない。問題とすべきは、被告人が本件大麻樹脂を日々どのように消費使用する量であったかどうかという点である。換言すれば、この約1000回前後という使用量は自己使用量として過分なものであるかどうかという点が問題とされなければならない。
 この点につき、被告人の平成16年7月14日付け司法警察員調書(乙2)2丁目には、「チャラスがあれば、1日に1~2回くらい、海外等で多い時に1日20回~30回くらい吸う時もあります」という供述記載がある。他方、被告人の同日付け司法警察員調書(乙3)5丁目には、本件大麻樹脂を男から購入するに至った動機について、「出来れば自分でたまには吸いきれないほど手に入れたいと思った」という供述記載がある。そうとすれば、被告人が本件大麻樹脂について吸いきれないほど日本で使用してみたいと思っていたという可能性を無視することは出来ない。そこで、被告人の日々の使用実績と海外等の使用実績に基づき1日当たりの平均使用回数を割り出してみると、少ないときは1日1回、多いときは1日約33回ということになるから、1日当たりの平均使用回数は約17回前後となる。そして、この約17回前後の平均使用回数に基づき、さらに約1000回前後の使用量の使用日数を割り出すと、約59日前後の使用日数に相当する量である、という結論に至る。
 この約59日前後の使用日数は、約2ヶ月分の使用量に止まり、これは自己使用分として明らかに過分な量であるとは言えず、むしろ「吸いきれないほど手に入れたいと思った」被告人の胸中を察すれば、却って自己使用の目的で本件大麻樹脂を本邦内に持ち込んできたとみるのが自然かつ合理的な解釈であると言わなければならない。
 また、被告人が、原審公判廷において、前回密輸入した200グラムの大麻は「三、四ヶ月ぐらい」で消費したこと、また、今回の500グラムは「1年ぐらい」を見込んで持ってきた旨を供述している(被告人供述調書(2)21頁)点に照らしてみても、自己消費の目的であったとの見方の方がより自然であると解されるのである。
 よって、原判決の判断過程には、以上述べたような観点を無視乃至軽視した不合理性がある旨これを指摘せざるを得ない。

 4. 上記【2】の事実について
 原判決は、被告人がかつて平成14年2月ころにも大麻樹脂を輸入したこと及びその際の本件ノートに何らかの売買取引をうかがわせる記載があることを根拠に「営利の目的」を推論しているが、不当である。
 しかし、なるほど、原判決が指摘する通り、平成14年2月ころネパール滞在中に友人らに宛てた手紙の下書きなどを記載した本件ノートには何らかの売買取引をうかがわせる記載があるが、被告人が原審公判廷において検察官の質問に答えて「こういう担保があるという、さっきの手紙を出した時点で断られたんです。そんなもん・・・物は持ってこなくていいから、早く帰ってこい、そういう趣向で送金を受けているんで、彼らには声をかけませんでした」と供述している通り(被告人供述調書(2)22頁10行目以下)、本件ノートに下書きした被告人の売買取引に関する被告人の意向はその手紙を出した時点で友人らからの諭しともとれる言動によってすでに打ち消されたものとみるのが自然である。そうとすれば、本件ノートの記載をかかる友人らの言動を無視してこれをそのまま推論の根拠にすることは、推論過程に飛躍があると言わざるをえず、偏頗な証拠評価だとの非難を免れないものである。
 さらに加えて述べるに、証人□□□□の原審公判廷における証言内容(同証人尋問調書の4項~15項)によれば、いま問題にしている前回のネパール旅行中に同証人、「□□□□」及び「□□□□」3名から被告人に送金された金は全額全員に返還されている。そうとすれば、被告人においては前回の旅行でも大麻を売却譲渡して金を稼いだという事実そのものが存在していないと解される余地が十分にある。本件ノートに記載された被告人の意向が現実にも実行されたものであると解してはじめて筋がとおる本件ノートの記載に基づく原判決の推論は、この点においても、重大な過ちを犯しており、著しく不当な判断であると言うべきものである。

 5. 上記【3】の事実について
 原判決は、被告人の友人、知人の中には大麻を使用する者が複数存在することを営利目的の推論根拠にしている。これは、知っている者の中に大麻を使用する者がおれば、彼らに大麻を売却することは容易にできたであろうとも言うべき口吻である。しかし、過去の事実として大麻を吸う経験を有する者イコール大麻を購入する者という図式は、そもそも大麻を使用することが自由に行われている社会であれば需要と供給の論理でそのようなことが言えるかもしれないが、そうではなく大麻が禁止されているわが国における経済法則としては受容できない論理であると言わなければならない。原判決の推論はこじつけというほかない。
 事実、被告人は、原審公判廷において検察官からの前回のネパール旅行の際にお金を送ってくれた人たちは大麻をやる人か否かという質問に対して、「旅行中やったり、以前やったりした人たちですけど、今現在やっていないみたいです、断られたくらいですから」と供述している(被告人供述調書(2)22頁)。このことから言っても、過去の大麻吸引の経験者をもって大麻を購入する者だとの前提を立てることはそれ自体に無理があると言うべきである。もちろん、お金を送ってくれた人たち以外の友人や知人らについても、同様に、過去の事実として大麻を吸う経験を有する者イコール大麻を購入する者という図式が成り立つべきものでないことは言うまでもない。

 6. 上記【4】の事実について
 最後に、原判決が、被告人の検察官調書(乙7及び同8)に本件大麻樹脂の一部を大麻を使用する友人などに売却する意思を有していた旨の供述記載があることを営利目的の推論根拠にしている点であるが、仮にこれら被告人の検察官調書が任意に供述されたものであるとしても、同調書の記載内容が真実を語ったものであるとすることは、到底、許されないと言うべきものであり、同調書の記載に基づき営利目的を根拠づける原判決の判断は誤りであると言わなければならない。
 なるほど、被告人の上記検察官調書には営利目的を認める旨の記載がある一方で、他方、と同時に、例えば、乙7の検察官調書2頁目には「私は、その持ち帰ってきた200グラムの大麻のうち具体的な数字は覚えていませんが一部分を友人などに売って、借金を返したり、渡航費用や大麻の仕入れ代金くらいを得たりしました」とか、さらに同調書3頁目には「実際、2人くらいの友人が私が大麻を日本に密輸する前に金を払ってくれて、大麻を買ってくれました」とあり、また、乙8の検察官調書3頁には「今回は約500グラムもの量がありましたので、ネパールから大麻を持ち帰った際よりも、さらに大きな儲けを得ようと、今回思っていました」といった記載がある。つまり、これらの検察官調書の記載内容は、被告人が前回のネパール旅行の際も営利目的をもって大麻を密輸入しかつ現実にもその大麻を友人らに売却して利益を得たというものになっている。検察官は「論告要旨」3頁目に述べている通り「以前に大麻を密輸入し、国内でこれを売却譲渡して金を稼ぐことができたことに味をしめ、再び営利目的で本件犯行を行った」という構図が本件犯行であると見ているのである。
 原判決がこれらの検察官調書の内容を信用できるものであると結論つけたことは、結局、原判決は検察官の構図を採用しているものであると言うことができるところ、被告人が前回営利目的で大麻を密輸入した事実及びその密輸入した大麻を売却したりして利益を得た事実を立証する客観的証拠は一切提出されていない本件においては、否、原審の全証拠関係からは、すでに述べた通り、前回のネパール旅行からもちかえった大麻を友人らに売却した事実を否定すべき本件においては、原判決の認定は合理性を著しく欠いている不当な認定であると言うべきものである。被告人の検察官調書(乙7及び同8)は、その供述内容の重要な部分において真実に反する部分、少なくとも真実であると合理的に判断すべきものではない部分が認められ、かかる部分は同検察官調書におけるいわば蟻の一穴とも言うべき重大な瑕疵である。そうとすれば、同調書全体の信用性がすでに崩壊していると言える。
 よって、原判決の、被告人の検察官調書中の営利目的を認める記載を信用できるものとして営利目的を推論した原判決の判断過程は、その過程において重大な瑕疵があると言うべきものであり、不当である。

 7. 以上述べた通り、原判決がその推論の根拠となりうるとして採用している上記【1】~【4】の各事実は、いずれも推論根拠としては「疑わしきは罰せず」又は合理性の精神に照らし理由がないものであると言うべき不当なものであるから、原判決がこれらの各事実に基づいて営利目的を認定したことは、畢竟、事実誤認が存すると言わなければならず、そして、この誤認が判決に影響を及ぼすこと明らかである以上、原判決は破棄されるべきものである。

第3点 刑事訴訟法第381条(量刑不当)に基づく主張

 1. 原判決は、被告人に対して懲役4年6月及び罰金100万円に処する判決を下している。しかし、この刑の量定は、原審資料に現れた諸事情に限ってみるに、これが明らかに加重であり、不当である。以下、このように解する理由を述べる。

 2. まず第一に、すでに縷々述べた通り、被告人が過去に営利目的で大麻を密輸入したとする事実は検察官によって合理的に疑いのない程度に立証されておらず、そのうえ、被告人には前科前歴がないのだから、仮に百歩譲って大麻の営利目的輸入罪が成立するにしても、原判決の刑の量定は初犯に対する処断として酷に過ぎるものであると言うべきものである。
 第二に、同様に、仮に大麻の営利目的輸入罪が成立するにしても、原判決が認定している通り、被告人は約500グラムの本件大麻樹脂のすべてを売買取引しようと密輸入したものではなく、その一部を営利の目的に供しようとしたものにすぎないのだから、原判決の刑の量定は罪と罰の均衡から言ってやはり酷に過ぎるものである。
 第三に、仮に同じく大麻の営利目的輸入罪が成立するにしても、被告人の本件所為がいわゆる暴力団がらみであったり相当額の利益を得ていた又は得ようとしていたならば格別、本件の被告人の所為は、まさに一回的なものであり、また不特定多数の者に対する売買取引とはおよそ無縁のものであると認められ、さらに金額的にも誠に誠に軽微な営利目的の範囲内におさまっているものであると言うべきものであるのだから、大麻の営利目的輸入罪が加重犯類型として立法された所期の趣旨に照らす限り、原判決の刑の量定は明らかに酷に過ぎるものと解されるのである。

 3. なお、ここでの主張は、仮に営利目的が肯定されるときでも刑の量定は減刑されるべきものである旨をいうものであり、営利目的が否定されるときには当然に刑が減刑されるべきものである旨の前提に立っている。この立っている前提の点に関して、被告人の大麻に対する親和性乃至依存性が被告人の主観的悪性として問題にされる可能性があるかもしれない。しかし、被告人は、原審公判廷において供述している通り、過去の自分の過誤、さらには大麻の違法性を十分に認識したうえで深く反省し二度と大麻には手を出さない決意を表明している(第2回公判調書と一体となる被告人供述調書1~3頁)。従って、被告人の大麻への親和性乃至依存性は、すでに消滅しているものであって、被告人の主観的悪性はもう存しないものである、と信じる。

 4. 以上の次第であるので、原判決の量刑につき、改めて然るべき情状酌量ある判決を求めるものである。

第4点 刑事訴訟法第393条2項に基づく量刑不当に係る主張

 1. 被告人には、原審判決後の刑の量定に影響を及ぼすべき情状があるので、職権による被告人質問等の取調べを新たに実施したうえで、被告人に対する刑の量定につき、改めて然るべき情状酌量ある判決を賜りたく、ここにこの旨申し加えるものである。

 2. すなわち、被告人は、原審公判廷において裁判官から「あなたの話を聞いていると、本件についてあまり深刻には考えていないように思える」との疑問を発せられた点(被告人供述調書(3)4頁)及び原判決を厳粛に受け止め、原審判決後、更に本件犯罪の重大性とその自らの過誤につきより深刻に捉え直し、より深い洞察に基づく自己批判という反省の域に至り、これが被告人の態度及び性格・性行において顕著な変化が起きたものである、と信じる。

 3. なお、刑罰論に関して、検察官はその論告において被告人の本件所為に対して「一罰百戒の見地」(同書面4頁)から厳罰に処すべきであると主張している。しかしながら、犯罪抑止というものは、刑法学者平野龍一博士が述べているように、その罰の重さによる国民に対する威嚇ではなく、その犯罪が定められている規範的な意味にその重要性があり、その規範的な違法性の意味を国民が理解することで本来犯罪は抑止されるべきものであってこれが近代刑法の本旨でなければならない、と解される。従って、被告人が現時点において本件犯罪を犯すことになった根本的原因の分析を通じて将来の再犯の可能性について本質的かつ真摯な反省の態度を呈するに至っている以上は、威嚇論による犯罪抑止の必要性はもはや被告人についてはもう無くなったものである、と弁護人は考える次第である。

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関連法と資料 : 投稿者 : 白坂@THC主宰 投稿日時: 2005-08-30

平成17年上半期の薬物・銃器情勢(PDF)
警察庁サイト

*上記サイトは更新時にアドレスが変わるようなので、H17年上半期PDFは当方のサーバにも収載しました。
平成17年上半期の薬物・銃器情勢(PDF)バックアップ

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お知らせ : 投稿者 : 白坂@THC主宰 投稿日時: 2005-08-29

明日8月30日午後3時30分より福岡高裁沖縄支部でナタラジャの判決公判が開かれます。沖縄在住の仲間による傍聴レポートを掲載する予定ですが、地元の方でご都合のつく方はぜひ法廷に足を運んでみて下さい。

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もし大麻で逮捕されたら : 投稿者 : 白坂@THC主宰 投稿日時: 2005-08-28

逮捕されると、当番弁護士制という制度によって、管轄の弁護士会の弁護士が面会してくれます。当番弁護士制は、一度だけ無料で弁護士が本人に面会してくれる、弁護士によるボランティア的な制度です。

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もし大麻で逮捕されたら : 投稿者 : 白坂@THC主宰 投稿日時: 2005-08-27

取調べで作られる供述調書は、刑事や検事が作文し、被疑者はそれに署名し指印を押すことになっています。判決に重大な影響を及ぼすような、被疑者に不利な作文をされることがあるので、充分な注意が必要です。

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もし大麻で逮捕されたら : 投稿者 : 白坂@THC主宰 投稿日時: 2005-08-26

刑事訴訟法抜粋
<刑事訴訟法全文 電子政府サイト>

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Iさん裁判 : 投稿者 : 白坂@THC主宰 投稿日時: 2005-08-04

一審判決文

平成16年11月5日宣告  裁判所書記官 菅野 美由紀 〔印〕
平成16年(わ)第1552号

判決

本籍 ××××
住居 ××××

無職  ××××
昭和43年2月26日生


 上記の者に対する大麻取締法違反,関税法違反被告事件について,当裁判所は,検察官 浅沼雄介出席の上審理し,次のとおり判決する。

主文

 被告人を懲役4年6月及び罰金100万円に処する。
 未決勾留日数中50日をその懲役刑に算入する。
 その罰金を完納することができないときは,金1万円を1日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
 千葉地方検察庁で保管中の大麻樹脂172塊(平成16年千葉検領2623号符号1ないし18)をいずれも没収する。

理由

(罪となるべき事実)

 被告人は,みだりに,営利の目的で,大麻を輸入しようと企て,平成16年6月30日(現地時間),タイ王国バンコク国際空港において,エア・インディア第302便に搭乗するに当たり,大麻である大麻樹脂495.84グラム(平成16年千葉検領2623号符号1ないし18は,その鑑定残量)をビニールラップに包んで172包に小分けしてえん下し,自己の体内に隠匿携帯して同航空機に搭乗し,同航空機により,同日午前9時35分ころ,千葉県成田市所在の成田国際空港に到着し,上記大麻を隠匿携帯したまま同航空機から降り立って本邦内に持ち込み,もって大麻を本邦に輸入するとともに,同日午前10時ころ,同空港内東京税関成田税関支署第2旅客ターミナルビル旅具検査場において,携帯品検査を受けるに際し,上記のとおり大麻を隠匿携帯しているにもかかわらず,同支署税関職員に対し,その事実を秘して申告しないまま同検査場を通過して輸入禁制品である大麻を輸入しようとしたが,同支署税関職員に発見されたため,その目的を遂げなかったものである。

(証拠の標目)

 (括弧内の甲又は乙及びこれに続く数字は,証拠等関係カード記載の検察官請求証拠の番号を示す。)

 ・被告人の公判供述
 ・被告人の警察官調書(乙2ないし6)及び検察官調書(乙7,8)
 ・警察官作成の捜索差押調書(甲4)
 ・財務事務官作成の検査状況報告書(甲2),排泄状況等報告書(甲3)及び各調査報告書(甲43,44)
 ・成田国際空港警察署長作成の鑑定嘱託書(甲23)
 ・東京税関成田税関支署長作成の犯則物件鑑定依頼書謄本(甲24)
 ・東京税関業務部分析部門大麻研究者作成の各鑑定書(甲25ないし42)
 ・東京都健康局食品医薬品安全部長作成の捜査関係事項照会回答書(甲46)
 ・千葉地方検察庁で保管中の大麻樹脂172塊(平成16年千葉検領2623号符号1ないし18。甲5ないし22)

(事実認定の補足説明)

 弁護人は,被告人には営利目的がなかった旨主張し,被告人もこれに沿う供述をしているので,以下,判示のとおり認定した理由を補足して説明する。

1. 関係各証拠によれば,(1)被告人がビニールラップに包んで172包に小分けしてえん下した判示大麻樹脂(以下「本件大麻樹脂」という。)は,約495グラムに上っているところ,被告人の大麻樹脂の1回の使用量が約0.5グラムというものであり,これによれば,本件大麻樹脂は約1000回前後の使用量に相当すること,(2)被告人は,平成14年2月ころにも,ネパールからタイを経由して帰国するに当たり,本件と同様,ビニールラップに包んで小分けした大麻樹脂をえん下して本邦内に持ち込んだことがあり,その際ネパール滞在中に友人らに宛てた手紙の下書きなどを記載したノート(乙7,8に添付のもの。以下「本件ノート」ということがある。)には,××などと何らかの売買取引をうかがわせる記載があるところ,被告人は,公判廷において,上記「荷物」ないし「土産」については,少なくとも大麻を含む趣旨であることを認めていること,(3)被告人の友人,知人の中には,大麻を使用する者が複数存在すること,以上の事実が認められる。

 これらの犯行の態様,本邦内に持ち込んだ本件大麻樹脂の量,平成14年2月に大麻樹脂を輸入した経緯及び本件ノートの記載内容,被告人の交友関係などに照らすと,被告人は,本邦に持ち込んだ本件大麻樹脂について,自己使用のみならず,大麻を使用する友人,知人らに売却する意思を有していたものと推定できる。

2. 加えて,被告人の平成16年7月22日付け(乙7)及び同月23日付け(乙8)各検察官調書には,本件大麻樹脂の一部を大麻を使用する友人などに売却する意思を有していた旨の供述記載がある。

 もっとも,弁護人は,上記各検察官調書の任意性を争い,被告人も,公判廷において,上記供述をした理由について,「検察官から営利性を否認したら,友人関係も全部取り調べ,友人の家の家宅捜索などすると言われた。自分の供述がもとで家宅捜索が行われ,友人に僕の話したことでそういうことになったと誤解されるのが怖かった。」からであるなどと供述している。

 しかしながら,(1)被告人の公判供述によっても,検察官が被告人に対し営利目的を認めたときには,友人らに対する家宅捜索をしないことなどを約束したことはもとより,検察官の取調べにおいて供述の任意性を疑わせるほどの誘導や威迫等の場面が存したとまでは認めることができないこと。(2)検察官調書(乙7)には,被告人が日本で大麻を使用する仲間の氏名等を明らかにすることを拒否した供述記載や,平成15年3月から4月ころタイに旅行した目的について被告人に有利な供述記載があるほか,同調書の読み聞けを受けた後,今回タイに行った目的について,「友人に売ったり,自分で使ったりするためにタイに行った」とあるのを「友人に売るかどうかは,現地で仕入れることのできる大麻の量次第で決めようと思っていた」旨訂正を申し立てた上,それ以外は間違いない旨述べたという供述記載があること,(3)上記各検察官調書には,被告人が本件ノートの内容を具体的に説明した供述記載があるところ,その内容は,本件ノートの文面とほぼ整合し不自然不合理な点が見られず,とりわけ,検察官調書(乙8)において,××××××と説明している点は,被告人が具体的に供述しなければ検察官において記載できない事柄であること(なお,被告人は,公判廷において,本件ノートの記載内容について種々の弁解をするが,いずれも本件ノートの文言等に整合しない不自然不合理なものであって信用できない。),以上に照らすと,上記各検察官調書の供述が任意性を欠くとの合理的な疑いを入れる余地はない上,その信用性についても,弁護人の主張を踏まえて検討しても,上記各検察官調書の営利目的に関する部分は信用できる。

3. これに対し,被告人は,公判廷において,本件大麻樹脂を専ら自己使用する目的であった旨供述している。しかしながら,前記のとおり,本件大麻樹脂の量が約1000回前後の使用量に達するものであったことなどに照らすと,上記公判供述は不自然であって信用できない。

 また,弁護人は,(1)被告人が予め大麻購入資金を準備していなかった,(2)今回のタイへの旅行が純粋な観光目的であった,(3)今回タイで大麻樹脂500グラムを購入したのはたまたま出会った人物からまとめて買えば安くなる旨言われ衝動的に購入した,(4)被告人に借金がありその返済のため営利目的に走ったという事情も存しない,(5)本件大麻樹脂を持ち込むために麻薬犬に発見されないような周到な準備又は工作をしていない,(6)他人から大麻売却の依頼が予めあったという事情は全く存しない,(7)その他被告人の性格や日常の生活態度からは営利,金儲けを企画するような素振りないしは事情は認められない,以上に照らすと,被告人に営利目的があったということはできない旨主張する。しかしながら,(1),(2)については,被告人は,自己の所持金の中から,約500グラム近くの多量の大麻樹脂を購入し,これを本邦内に持ち込んだ経緯自体に照らし理由のないことは明らかである。(3),(4),(6),(7)は,いずれも被告人に営利目的がなかったことを疑わせるものではない。(5)についても,被告人の本件大麻樹脂の隠匿態様からすれば,所論は前提を欠くものである。

4. 以上によれば,被告人が本件大麻樹脂を営利の目的で本邦内に持ち込んだことが認められる。

(法令の適用)

罰条
 大麻の営利目的輸入の点につき,大麻取締法24条2項,1項
 輸入禁制品の輸入未遂の点につき,関税法109条3項,1項,関税定率法21条1項1号

科刑上一罪の処理
 刑法54条1項前段,10条(1罪として重い大麻の営利目的輸入罪の刑で処断。ただし,罰金刑については,輸入禁制品輸入未遂罪のそれによる。)

刑種の選択
 懲役刑及び罰金刑

未決勾留日数の本刑算入
 刑法21条(懲役刑に算入)

労役場留置
 刑法18条

没収
 大麻取締法24条の5第1項本文,関税法118条1項本文

(量刑理由)

 本件は,被告人が,営利の目的で,大麻樹脂を空路本邦に輸入したが,関税法上の輸入禁制品の輸入については未遂に終わった,という事案である。

 本件は,輸入にかかる大麻樹脂が約495グラム余りと多量であり,これが本邦内に流出すれば大きな害悪を及ぼしたことは容易に推測できる。被告人は,営利の目的で,本件を敢行したものであって,その利欲的な動機に酌量の余地はない。また,大麻樹脂の隠匿態様も,巧妙かつ悪質である。さらに,被告人は,公判廷において,営利目的について不自然な弁解をしていることに加え,近年,薬物事犯の撲滅が国際的にも緊急の課題であることなども併せ考えると,被告人の刑事責任は重い。

 そうすると,本件輸入にかかる大麻樹脂がすべて押収され,結果的にその害悪が社会に拡散するには至らなかったこと,被告人が,大麻樹脂を輸入したこと自体については反省の弁を述べていること,これまで前科がないこと,実母らが今後の指導監督を約していること,実父が財団法人法律扶助協会に対し,50万円の贖罪寄付をしたことなど,被告人のため酌むべき諸事情を十分考慮しても,主文の刑を科すのはやむを得ない。

 よって,主文のとおり判決する。

(求刑・懲役6年及び罰金100万円,大麻樹脂の没収)

平成16年11月5日
千葉地方裁判所刑事第1部
裁判官 土屋 靖之 〔印〕

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Iさん裁判 : 投稿者 : 白坂@THC主宰 投稿日時: 2005-08-04

弁論要旨

平成16年(わ)第1552号 大麻取締法等違反被告事件
被告人 ××××

弁論要旨

平成16年10月15日
上記弁護人  弁護士 小柴 文男 〔印〕

千葉地方裁判所 刑事1部3係 御中

第1.罪体について

1.本件は、営利目的の存しない単なる大麻の密輸入の罪にとどまるべきものである。

2.被告人においては、(1)予め大麻購入資金を準備していなかったこと、(2)そもそも今回のタイへの旅行は純粋な観光目的であったこと、(3)今回タイで大麻樹脂500グラムを購入したのはたまたま出会った人物からまとめて買えば安くなる旨のことを言われ衝動的に購入してしまったものであること、(4)また「出来れば自分でたまには吸いきれないほど手に入れたいと思った」からであること、(5)これらの購入動機については被告人の司法警察員に対する平成16年7月14日付け供述調書に記載されている通りであること、(6)被告人には借金があってその返済原資のために営利目的に走ったというような事情も存しないこと、(7)本件の大麻樹脂を持ち込むために麻薬犬に発見されないような周到な準備又は工作はしていないこと、(8)他人から大麻売却の依頼が予めあったという事情は全く存しないこと、(9)その他被告人の性格や日常の生活態度からは営利、金儲けを企画するような素振り乃至は事情は認められないこと、などの諸事情を考慮するかぎり、被告人が営利目的で本件大麻を日本に持ち込んだと認定するのは誤りであると言わなければならない。

3.なお、前々回の旅行先のネパールから持ちかえった大麻樹脂が営利目的であったとの嫌疑がかけられているが、これは当公判廷において明らかにされた通り、被告人は確かに同旅行中に××さんに滞在期間が延びて足りなくなった帰国費用金8万円を送金してもらったことがあるが、この8万円は世間で親しい間柄の中で普通に行われている助け合いとしての単純な消費賃借であり、事実、被告人はその全額を助けてくれた友人らに現金をもって返済している。従って、前々回の旅行においても営利目的があったという事実は全くないものであり、今回が前々回のことに味をしめて同様の犯行、つまり営利に走ったという嫌疑の点は全く根拠のないものであると言うべきものである。よって、被告人が決して営利の目的で大麻樹脂を飲み込んできたものではないとする供述又は証言には十分信用性があるであると弁護人は確信する。

第2.情状について

1.被告人には前科前歴がないうえ、被告人は、まだ独身であり、今後家庭をもち仕事面では高齢である父の家業を継ぎ、将来を嘱望されている者である。

2.被告人には、幸いにも、生活基盤となる家族と、よき相談相手として結婚を前提に長年付き合っている交際相手がおり、将来、社会において更生の道を選択するに確固たる環境が整っている。

3.また、被告人は、近所の評判、仕事仲間、顧客などから好感をもたれ、人物的にも更生を約束できるものである。

4.被告人と大麻との親密性には確かに看過できない問題が指摘できるかもしれないが、今では被告人は従来自分が遵法精神に麻痺していたことを十分に自覚しており、薬物被害の重大性を改めて認識し、自らは無論のこと、他人の薬物依存の態度に対しても厳しい態度で接し、社会から薬物被害がなくなり、健全かつ平和な幸せな社会作りに向けて精一杯努める固い決意でいる。

5.特に、父親は贖罪寄付として金50万円を拠出して、自ら被告人の社会における更生を約束している。

6.以上の通り、被告人は十分に反省し今後は二度と大麻に依存しないことを誓っていますので今回に限り寛大なる執行猶予の判決を賜りたくお願いします。

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お知らせ : 投稿者 : 白坂@THC主宰 投稿日時: 2005-08-04

Iさん裁判の弁論要旨と一審判決文を掲載しました。
Iさんの事例は、本人に営利の目的もなく、またタイから持ち込んだ大麻を入国の段階で押収されているので売った事実もなく、従って当然売った証拠もないのに、営利目的の密輸であると断定され、初犯でありながら実刑4年6月に加え罰金100万という重い刑が科されてしまいました。一審判決では、営利の証拠などないにも拘らず、「自己使用のみならず、大麻を使用する友人、知人らに売却する意思を有していたものと推定できる」としています。「推定」でこんな長期の実刑を科されたのではたまったものではありません。こんなものは全くの冤罪に等しいのに、それでも一人の人間を4年半も刑務所送りにするこの国の権力。情けなく、腹立たしい限りです。

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Iさん裁判 : 投稿者 : 白坂@THC主宰 投稿日時: 2005-07-28

論告要旨

大麻取締法違反,関税法違反
被告人 ××××

第1 事実関係

 本件公訴事実は,当公判廷で取調べ済みの関係各証拠により,その証明は十分である。

 しかし,被告人は,公訴事実のうち営利目的であった点につき否認し,弁護人もこれに基づき,被告人には営利目的がなかった旨主張しているので,以下検察官の意見を述べる。


1. 関係各証拠によれば,本件大麻樹脂の総重量が495グラム余りと極めて多量であること,被告人の大麻樹脂の1回使用量が多くて0.5グラムであること(乙4号証,被告人公判供述)からすればこの総重量は約1000回以上もの使用量に相当すること,被告人は,本件大麻樹脂約500グラムを日本円で約5万円という低価格で仕入れていること,被告人は,本件大麻樹脂をえんかという密行性が高くかつ自己の身体に対して極めて大きな危険を有する方法で隠匿携帯していたこと,被告人は,本件以前にも大麻樹脂約200グラムを本邦に密輸入した経験があること(乙7号証,被告人公判供述),被告人の身近には大麻を吸引している友人が7,8人もいること(乙7号証,被告人公判供述),被告人は無職であり,安定した収入もないこと(乙1号証,証言)などが認められる。

 これらの事実からすれば,被告人が本件大麻を全て自己使用目的で密輸入したという供述は到底信用できず,営利目的を有していたことは明らかである。


2. 捜査段階における被告人の供述は,任意性及び信用性を有する。

(1)被告人及び弁護人は,検察官面前調書(以下,「検面調書」という。)で被告人が営利目的を認めた供述部分の任意性及び信用性を争っている。

 被告人は,任意性を否定する理由につき,「検察官から営利性を否認したら,反省していない,友人らも徹底的に調べて,家宅捜索等もしてやると言われ,その友人達から自分のせいで捜査が及んだなどと思われて,逆恨みされるのが嫌だったために,検察官の誘導によって営利性を認めさせられた。」旨述べている(被告人公判供述)。

 しかし,検面調書によれば,被告人は大麻を一緒に吸引していた友人らの名前を一切明かしていないのであるから(乙7号証),捜査機関が被告人の友人のもとへ家宅捜索に行けるはずもなく,被告人が名前を明かしていない以上「自分のせいで捜査が及んだなどと思われて,逆恨みされる。」というのも理解できない。

 この点被告人は,「アドレス帳も押収されていたことから,このアドレス帳をもとに友人らが特定されると思った。」とも述べるが(被告人公判供述),被告人は,検察官の取調べの際,ノートについては示されてその内容の説明を求められているのに,アドレス帳については示されたこともなく,また,特定の友人の名前を聞かれたこともないことを自認しているのであるから,自分が友人の名前を明かさない限り,捜査が友人らに及ばないことは当然予測できるはずである。アドレス帳の記載から友人の名前を特定されると思ったという弁解は,被告人が友人の名前についての供述を拒否していたことを追求されたことから,被告人が思いつきで述べたものにほかならない。


(2)また,被告人の検面調書(乙7号証)によれば,被告人がその内容を読んで聞かされた後,訂正を申立てこれに基づき訂正が加えられている。

 そして,同調書には,「私には,日本に7,8人は大麻を一緒に吸ったりする仲間がいます。その人たちの名前については申し訳ありませんが,言いたくないので言いません。」とあり,被告人が言いたくないことについて供述を強要された形跡もない。

 さらに,同調書では,被告人が2003年3月から4月ころにタイに行った時には大麻の密輸入をしていない旨の被告人の言い分が,そのまま記載されている。

 そして,被告人については,平成16年7月22日に乙7号証,翌23日に乙8号証の検面調書がそれぞれ作成されているところ,仮に乙7号証の内容が自己の意に反するものであったならば,翌23日に訂正を申立て,あるいは乙8号証への署名を拒否することも可能であったはずであるのに,このようなことがなされた痕跡もなく,被告人自身もこのことは自認している(被告人公判供述)。

 それだけでなく,乙8号証において,被告人は××の意味について説明しているところ,これは被告人が説明しなければ検察官が分かるものでもないことからすれば,被告人が任意に供述をしていたことは誰の目から見ても明らかである。

 したがって,本件各検面調書の任意性に疑義を差し挟む余地はない。

 そして,被告人は,上記各検面調書で,ノートの記載内容につき極めて具体的に説明しており,その説明内容も文面と整合し自然かつ合理的であること,当初営利性を否認していたのは営利目的であれば罪が重くなると思っていたためであり,認めたのは真に反省したためである旨述べ,供述の変遷理由にも合理性があることなどからすれば,上記各検面調書の内容の信用性は極めて高いものといえる。


3. 当公判廷における被告人の供述は信用性を有しない。  これに対して,被告人の当公判廷における供述は,全く信用できない。

(4)さらに,被告人は,一方で「前回密輸入した約200グラムの大麻樹脂は全て自分で吸いきっており,その際,3,4か月くらいで吸いきってしまったから,今度はもっとたくさんの大麻樹脂を密輸入しようと思った。1年かかるくらい密輸入しようと思った。」などと述べていながら,他方では「自分は大麻に依存していない。毎日日課で吸っていたわけでもなく,1日に20回くらい吸うときもあれば,ずっと吸わない時もある。」などと述べている(被告人公判供述)。

 しかし,被告人の1回の使用量が多くて約0.5グラムであるならば(被告人公判供述),200グラムの大麻樹脂を使い切るには400回以上吸引する必要があるところ,1日2回の頻度で毎日吸い続けても半年以上かかるが,上記3か月間だけ,毎日3回の頻度で吸い続けたというのも不自然で,被告人の上記各供述は整合しない。

(5)また,被告人は定まった収入がなく,その身近には大麻を常用している友人もいたというのに,みすみす金もうけできるチャンスを逃し,友人に分けることもせずに多量の大麻を入手していながら自分だけで全て使い切ろうとしていたというのもまた不自然である。

 被告人は,捜査段階でいったん営利性を認めながら,自分の罪が重くなることに恐怖を感じ,その刑責を少しでも軽減するため,当公判廷において虚偽の弁解をしているにほかならない。


4. 以上から,被告人の当公判廷における供述は全く信用できず,被告人が本件以前に大麻を密輸入し,国内でこれを売却譲渡して金を稼ぐことができたことに味をしめ,再び営利目的で本件犯行を行ったことは明らかである。

 なお,被告人の交際相手である××は,平成13年に被告人のために送金した8万円のうち,自分が負担した約3万円については返済を受けた旨証言をしているが(同証言12頁),仮に同人が真実被告人から現金で返済を受けているとしても,その余の5万円分については不明であるから,直ちに被告人が友人らに大麻を売却していないことの証明にはならない。

 よって,本件公訴事実はいずれも証明十分である。


第2 情状関係

1. 被告人は,平成7年ころから興味本位で大麻に手を出し,以後,1日に1~2回,多い時には1日に20回もの頻度で大麻を常用し続けていたというのであるから,被告人の大麻に対する親和性は顕著であり,その使用に対する依存性,常習性もまた明白である。

2. 被告人は,海外で安価に多量の大麻を仕入れ,これを国内で高額で売り,金を稼ごうとしていたもので,犯行動機に酌量の余地は全くない。

3. 本件大麻樹脂の総重量は,495グラム余りと極めて多量である。

 幸いにして税関職員の尽力により,かかる大麻が通関の際に発見されたことによって,本邦内での密売による流通を未然に防止することができたが,かかる発見がなされていなければ,本邦内で本件大麻が密売されて,その害悪が拡散されていたことは必至であった。

 しかも,被告人は,本件以前に,実際に複数の友人らに密輸入した大麻樹脂を売却譲渡してその害悪を拡散させ,その友人らに再び大麻を売却しようとしていたというのであるから,かかる被告人の刑事責任は重大である。

4. 被告人は,大麻購入用の資金を持って現地に赴き,自ら現地で密売人と交渉するなどして本件大麻を購入し,172包もの大麻樹脂を全て飲み込んで体内に隠匿した上で本邦に持ち込むなど,その犯行は計画的で,実に巧妙であり,態様も極めて悪質である。

5. 本件のような違法薬物の密輸入事案の禁圧は,本邦への違法薬物の供給源を根絶するものであり,違法薬物事犯の撲滅の上で特に重要である。かかる犯罪は密行的に行われるため,その摘発に難があることは,周知の事実であり,この摘発の難を克服し,その禁圧を図るという困難な課題を達成するためには,本件のように,行政当局の努力によってこれを検挙するに至った場合に,一罰百戒の見地から,これを厳重に処罰することが一般予防上要請される。

 また,ことに大麻は近時,若年者の間で気軽に手を出す者が急増しており,大麻を手始めとして麻薬,覚せい剤と,より一層依存性や薬理作用が強力な薬物使用にステップアップしていくことが強く懸念される。よって,我が国の若年者等に大麻を密売して,その害悪を拡散させている密売組織を徹底的に撲滅し,本邦内での大麻事犯の増加を未然に防止するという一般予防の見地からも,被告人には厳罰をもって臨むべきであり,同種密売人に警鐘を鳴らす必要もある。

6. 被告人は,本件以前にも大麻樹脂の密輸入に成功していたというのであるから,被告人がこれに味をしめていたことは明らかで,その薬物規制に対する規範意識が相当低いことも認められる。

 また,被告人は両親とも同居していながら本件犯行に及んでいたのであるから,被告人の両親の監督にも期待できない。

 加えて,被告人は,自己の刑責を少しでも軽減しようと,不自然,不合理な弁解に終始し,到底,真に反省悔悟しているとは認められない。

 定職にも就かず,交友関係にも甚だ問題があるこのような被告人に対して,寛刑をもって臨んだ場合に,被告人が再犯に及ぶは必至である。

7. 被告人の実父が50万円を贖罪寄付しているが,その原資を両親が負担している以上,かかる事情を被告人に有利な事情として過大に斟酌すべきでないことは言うまでもない。

 以上から,被告人に自己の刑事責任の重大さを十分に自覚させ,再犯を防止するためには,被告人を相当長期間の実刑に処し,徹底した矯正教育を施すことが必要である。

 また,それと同時に,この種事犯が主として経済的利得を目的として敢行されるのである以上,その経済的利得を徹底的に収奪して経済的にも十分な制裁を与えて,この種事犯が割りに合わないものであることを痛感させることが不可欠である。

第3 求刑

 以上の諸情状を考慮し,相当法条適用の上,被告人を 懲役6年及び罰金100万円 に処し
 千葉県地方検察庁に保管中の大麻樹脂172塊(平成16年千葉検領2623号符号1ないし18甲5~22)をいずれも没収 するを相当と思料する。

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Iさん裁判 : 投稿者 : 白坂@THC主宰 投稿日時: 2005-07-28

(わ)第1552号

起訴状

平成16年7月26日

千葉地方裁判所 殿

千葉地方検察庁  検察官検事 浅沼 雄介 〔印〕

 以下被告事件につき公訴を提起する。

本籍 ××××
住居 ××××
職業 無職

勾留中  ××××
昭和43年2月26日生

公訴事実

 被告人は,みだりに,営利の目的で,大麻を輸入しようと企て,平成16年6月30日(現地時間),タイ王国バンコク国際空港において,エア・インディア第302便に搭乗するに当たり,大麻である大麻樹脂495.84グラムをビニールラップに包んで172包に小分けしてえんかし,自己の体内に隠匿携帯して同航空機に搭乗し,同航空機により,同日午前9時35分ころ,千葉県成田市所在の成田国際空港に到着し,前記大麻を隠匿携帯したまま同航空機から降り立って本邦内に持ち込み,もって大麻を本邦に輸入するとともに,同日午前10時ころ,同空港内東京税関成田税関支署第2旅客ターミナルビル旅具検査場において,携帯品検査を受けるに際し,前記のとおり大麻を隠匿携帯しているにもかかわらず,同支署税関職員に対し,その事実を秘して申告しないまま同検査場を通過して輸入禁制品である大麻を輸入しようとしたが,同支署税関職員に発見されたため,その目的を遂げなかったものである。

罪名及び罰条

 大麻取締法違反,関税法違反
 大麻取締法 第24条第2項,第1項,関税法 第109条第3項,第1項,関税定率法 第21条第1項第1号

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お知らせ : 投稿者 : 白坂@THC主宰 投稿日時: 2005-07-28

現在上告中のIさん裁判の起訴状と論告要旨を掲載します。Iさんの上告は今日が趣意書の提出期限日でした。THCとしても最高裁宛に上申書を提出しましたが、国選のM弁護士は「私からは出せない」と送り返されてきたので、最高裁に直接郵送しました。この上申書の提出は、Iさんの依頼もあって書いたものですが、被告が希望する上申書を出せない理由は何なのか、近いうちに電話でM弁護士に聞いてみたいと思っています。

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ナタラジャ裁判 : 投稿者 : 白坂@THC主宰 投稿日時: 2005-07-24

〔ナタラジャ裁判〕
那覇で勾留されているナタの控訴審初公判が21日にありました。減刑嘆願書は検察が不同意を主張したそうですが、参考資料として裁判官に渡すことができたそうです。THCとして上申書も提出しました。
裁判は1回で結審し、次回8月30日15時30分から判決公判です。
控訴趣意書は弁護士作成の草稿しか手元にないので、正式版が届き次第掲載します。先立って、傍聴と面会をしてくれた沖縄在住の仲間に公判レポートを書いてもらったので掲載します。

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ナタラジャ裁判 : 投稿者 : 白坂@THC主宰 投稿日時: 2005-07-24

<2005年7月21日 福岡高裁那覇支部>
<ナタとは面識のなかった沖縄在住の仲間による傍聴記>



開廷の30分ほど前に到着しました。
法廷の外に張ってあった開廷の予定表に、開廷時間が10:30~11:00とあったので30分ほどで終了なんだなと短く感じました。
法廷の外の椅子に座って待っていたところ、開廷10分ほど前になってH弁護士が法廷の中に入りました。
私も中に入り傍聴席に座り、開廷5分程前にナタさんが警官2人に連れられ腰紐と手錠姿で入廷し、後ろの長いすに警官二人に挟まれて座りました。
弁護士がナタさんに「速達で届いた書類は昨日裁判所にも届いている」と声をかけました。
検察官が入廷し、続いて開廷予定より5分程送れて裁判官3人が入廷しました。

裁判官がナタさんに、本名、住所、生年月日などの確認をして、「控訴審としての審議をするので後ろに座って聞いてください」と言いました。

続けて裁判官が法令の違憲ということで控訴することに関して検察官に質問したところ、検察官は「棄却を求める、受理される理由がない」と答えました。

次に裁判官は弁護人に検察は棄却を求めていますが、と質問したところ、弁護人は「弁護人の元に開廷を求める被告の友人から15枚にも渡る手紙と61名の署名が添えられた嘆願書が届いている」と答えました。

裁判官は「弁護人からの被告人質問、尋問の内容にに関しては控訴趣意書に記載されていることに限る」と言い、被告人へ情状質問をすることに対して検察官に聞いたところ検察官は「嘆願書に対して、不同意であるが、被告人が嘆願書の内容をわかるようにする趣旨であるのなら了承する」と言いました。
弁護人はそれに対し、嘆願書については参考資料として考えていただきたいと裁判官に言いました。

弁護人が持っていた書類はこの時点で裁判官に渡されました。

裁判官はナタさんに「質問は原審で出来なかったことに絞られます。一審の判決後の状況や気持ちに関してもです」と言いました。

弁護人からナタさんへの質問に入りました。

弁)事情を聞いて、原判決に対する報告の要旨は見せました。控訴趣意書に間違いはないですね。
大麻取締法は憲法13条、14条、31条の諸原則に違反しているのに、量刑2年というのは間違っていると思っているのですね?

ナタ)そうです。

弁)憲法違反でなくてももう一度機会を与えられたら量刑不当を主張しますか?

ナタ)します。

弁)実刑判決を受けて初めて主張をしましたか?なぜ原審ではしなかったのですか?

ナタ)原審では主張していません。最初から違憲主張をしたかったのですが、量刑に影響すると思いしませんでした。

弁)大麻取締法があるのは知っていましたか?それとも違憲と思うので従わなくてもいいと思いましたか?

ナタ)いいえ。今後は使用しません。両親も大変なことになっているので、大麻取締法がある限り使用しません。

弁)前回だけでなく、今回も同じようなことをしたのは反省が足りなかったのでは?

ナタ)長期刑務所に行くことがわかって深く反省するようになりました。法律を守る気持ちはあります。

以上が情状質問でした。
その後裁判官が「判決は8月30日午後3時半からになりますがよろしいですか?」と聞きました。

裁判中ナタさんは落ち着いた様子でしっかりと誠実・率直な気持ちで素直に質問に答えていて反社会的な感じには全く見えませんでした。
むしろ、とても純粋で芯根がやさしそうな方だなと思いました。
大麻取締法違憲主張をしたのは、反社会的な気持ちからではなくナタさんが大麻についてのさまざまな知識を得た上で、日本の大麻取締法のあり方に疑問を感じた率直な気持ちからによると思います。
そのナタさんの気持ちにも答えていただきたいところです。
ナタさんは法廷で違法行為をしたことに関して深く反省し、2度と違法行為はしないことを言っていますし、一審の判決で4年6ヶ月もの長期間刑務所で過ごさなければならないとわかったナタさんは、心からご自分の生き方を再考されたと思います。
仕事をしながら社会への貢献、ご両親への償いなど行動を通してしていけるようなチャンスを減刑されることで一日でも早く、ナタさんに与えられることを心から願っています。
 
裁判長 窪田正彦
裁判官 永井英明
裁判官 唐木浩之

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ナタラジャ裁判 : 投稿者 : 白坂@THC主宰 投稿日時: 2005-07-20

国選弁護人提出 控訴趣意書のコピー(別ウィンドウ)

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