朝日新聞のウェブサイト、asahi.comの富山版に、以下のような記事が掲載された。
●asahi.com:大麻汚染 はびこる誤解-マイタウン富山
大麻汚染 はびこる誤解
2009年12月20日
自宅で大麻草を栽培したなどとして、少年ら3人が11月までに県警に大麻取締法違反容疑で逮捕された事件。参考にしたマニュアル本や裁判での供述をたどると、誤った情報をうのみにした若者たちの姿が浮かぶ。大麻は覚せい剤など他の薬物の「ゲートウエー・ドラッグ」(入門薬物)になりかねない。大麻汚染が広まるなか、専門家は依存者を罰するだけでなく治療の必要性も訴える。(久永隆一)★ ランキングとツイートにご協力ください ★
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8月18日に朝日新聞が報じた「大相撲・若ノ鵬が大麻所持容疑 警視庁逮捕」という記事中、「使用容疑でも調べる」と書かれていた箇所は、「使用についても調べる」という表現に修正されました。記事データベースのウェブサイトもあるそうですが、そちらも同じように修正したとのこと。また、続報記事も確認して頂いたそうです。朝日新聞広報部からご連絡を頂きました。ありがとうございました。
「使用についても調べる」よりも、「使用罪はないのに使用についても調べる」として頂いたほうが、更に正確だったとは思いますが。
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若ノ鵬の大麻事件について朝日新聞が「使用容疑でも調べる」と報道した件。警視庁は、「こちらとしてはあくまでも所持の容疑で逮捕したという発表をした」、使用容疑でも調べるという発表はしていませんと言っていた。そこで20日の午前中に朝日新聞広報部に訂正を求めたが、21日の午後になっても修正もされず、回答もないので、15時過ぎに改めて電話し、どうなっているのか聞いた。最初に対応された方はお休みとのことで、別の方が対応した。
最初の電話でもそうだったが、このような訂正の要望に対して、マスコミ各社がどのような対応をするか、それは私たちにとって取材でもあると告げると、驚きと違和感を感じているようだった。「取材というならルールがある」とのこと。???。朝日新聞の誤りを指摘するため、同社の広報部に訂正を求め、広報部がどのような対応をしたか、何かオープンにされたくない理由でもあるのだろうか。
こちらが指摘した件については、担当部署に伝えてあるが、まだ回答はないという。記事は既にネットにも公開され、不特定多数のネットユーザーに読まれてもいるだろう。情報はナマモノだ。訂正が遅くなればなるほど、大麻に使用罪があるかのような、誤った認識を拡散することになる。共同通信は、電話で話したその場で社会部デスクが記事の文言を訂正し、公開記事も数時間のうちに修正された。
担当部署からまだ回答がないなら仕方ない。どのような対応をされるのか、回答があったら教えて頂きたいと改めて伝えた。
1時間後、朝日新聞広報部から電話があった。
「編集局にも投げて調べてもらいました。確かにご指摘の通り、大麻取締法に使用禁止規定がないということは、ご指摘の通りです。そこは分かっておるんですけれども、今回のこの記事の表現はですね、使用容疑でも調べるというのは、使用した疑いでも調べるという意味合いで書いてるんですね。」
「私、警視庁にも電話して確認したんですけど、『使用容疑でも調べる』という発表はしていないと言ってましたけど。」
「ええ、使用容疑でも調べるというのは、立件目的で調べるということではなくてですね、使用した疑いでも調べる、ということなんですね。ご指摘のようにですね、立件目的というのは、これは使用禁止規定はないものですから、立件目的というのはあり得ないんですけれども、新聞記事の性格、読者に伝えるという点でいくと、持っていた目的がですね、自分で使うために持っていたのか、誰かに渡すつもりで持っていたのか、というのは大きな捜査上の解明点でもあるし、読者にも必要な情報でもあると。誰かに売る目的で持っていたわけではなくて、自分で使っていた可能性が高いということで調べている、という意味だったんですね。ただ、ご指摘のようにですね、立件目的というふうに受け取れる可能性があるのも事実ですので、今後その点は気をつけていきたいと社会部のほうも申しているんですね。というのがこちらの考えで、ご理解頂きたいと思って電話しました。」
今回の記事は訂正して頂けないそうだ。復讐、じゃなくて、復習しておくと、記事は次のように書かれている。
大麻成分を含むたばこを所持したとして、警視庁は18日、大相撲の幕内力士、若ノ鵬寿則容疑者(20)=ロシア出身、間垣部屋=を大麻取締法違反(所持)容疑で逮捕した。「六本木で外国人からもらった」と供述しており、使用容疑でも調べる。
「大麻取締法違反(所持)容疑で逮捕」し、「使用容疑でも調べる」と書いてあるのだ。ふつーに読めば、事情を知らない読者は、「大麻取締法違反(所持)容疑」で逮捕し、「大麻取締法違反(使用)容疑」でも調べる、と理解するだろう。そのように「受け取れる可能性がある」というより、そのように受け取る可能性のほうが高いだろう。この件に限らず、一般的にマスコミでは「容疑」という言葉は「違法行為」に対して使われている。
・・・ホントは知らずにうっかり書いちまったんじゃないの?とは言わなかったが、思った。
新聞紙面に「訂正」など出すのはやっかいなのかもしれないが、ネットのテキストは簡単に修正できるでしょう。新聞は1日経てば購読者も片付けてしまう古新聞だけど、ネットには情報を探してアクセスするユーザーが継続的にいるだろうし、引き続き多くの人の目に触れる。紙媒体の新聞と、ネットの記事には、メディアの特性としてそのような違いがある。
新聞に「訂正」を出してほしいとまでは言わないが、誤解される可能性があるのだったら、ネットの記事の文言は誤解されないように訂正して頂けないだろうか。そのようにお願いした。
社会部に伝え、改めて連絡を頂けるとのこと。
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ロシア人力士の若ノ鵬が大麻の所持で逮捕された件、asahi.com(朝日新聞)は「使用容疑でも調べる」と報じました。大麻には使用罪はありませんが、ロシア人には使用罪も適用できるのかと思い、警視庁に電話取材し、広報に確認しました。その場では分からず、折り返しの電話を頂きました。警視庁の広報担当の方によると、「こちらではあくまでも所持で逮捕という発表です」とのこと。「使用容疑でも調べるという報道発表はしていないのですね?」と念を押したところ、「していません」との回答でした。
午前中のうちに朝日新聞社に電話し、asPara(アスパラ)というウェブ担当らしき係の方に話を聞いたところ、新聞紙面では19日社会面(34面)で報じた記事とのことで、内容については広報部に問い合わせて欲しいとのこと。教えて頂いた電話番号に掛け直しました。
朝日新聞広報部の方は、私の指摘について、率直なところ頓珍漢な話をし、録音もしましたが、この電話は当方にとって取材であり、回答や対応も含めて当方のウェブに掲載すると伝えたところ、この電話で話したことは個人的なお喋りなので、それは困るとのことなので、公開をひとまず控えます。記事修正の申し入れについては、記事を書いた記者と部署に伝え、改めて連絡を頂けるとのことでしたが、連絡はありませんでした。23時50分現在、記事も修正されていません。
これまで、産経新聞、毎日新聞、共同通信社に、同様の修正を申し入れたことがありますが、対応の内容や態度は措くとして、朝日新聞の対応が最も遅いようです。
明日も連絡がなく、記事が修正されないようであれば、朝日新聞の認識と対応を明確にするため、広報部担当者の言ったことを掲載します。
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大相撲・若ノ鵬が大麻所持容疑 警視庁逮捕
asahi.com(朝日新聞社)2008年8月18日19時26分
大麻成分を含むたばこを所持したとして、警視庁は18日、大相撲の幕内力士、若ノ鵬寿則容疑者(20)=ロシア出身、間垣部屋=を大麻取締法違反(所持)容疑で逮捕した。「六本木で外国人からもらった」と供述しており、使用容疑でも調べる。
日本相撲協会によると、十両以上の現役力士が逮捕されるのは前例がないという。
組織犯罪対策5課と本所署によると、6月24日、東京都墨田区錦糸1丁目の錦糸町駅前の路上で、大麻成分を0.368グラム含有するロシア製たばこ1本を所持した疑いがあるという。
たばこが入った財布を落とし、通行人の女性が拾って近くの交番に届けた。財布の中から外国人登録証を発見。たばこを鑑定したところ、大麻成分が含まれていることがわかった。自宅マンションと間垣部屋を家宅捜索し、マンションから吸引具も見つかったという。本人も落とした当日に別の交番に「財布を落とした」と届け出ていた。
若ノ鵬容疑者は05年春場所に初土俵。07年九州場所で新入幕を果たした。今年の名古屋場所は自己最高位の西前頭筆頭で4勝11敗と負け越した。
ロシア出身の力士が大麻を所持していたというニュースでマスコミは大騒ぎしている。引用した朝日の記事には「使用容疑でも調べる」と書かれているが、大麻には吸引や喫煙を禁じる使用罪はない。この件は明日にでも朝日新聞社に連絡し、訂正を求める。
逮捕容疑は「大麻成分を0.368グラム含有するロシア製たばこ1本を所持した疑い」だとのこと。若ノ鵬がロシアから薬物を大量に仕入れて六本木や角界で流し、商売にしていたというなら話は別だが、なぜこんな微量の大麻所持が大騒ぎするほどのニュースになるのか。他の先進国から見ると、そのほうがニュースとして意味がありそうな話だ。
若ノ鵬の出身国ロシアでは、こんな馬鹿げたことで騒ぎになったりしないだろう。ロシアでは、少量の大麻所持などは刑事罰の対象にならない。
薬物政策の研究者であるTakuさんにロシアでの薬物規制について情報を頂いた。
ロシアでは、2004年12月に刑法修正案が行われ、禁止薬物の個人使用目的での所持が「1回分の使用量」の10倍未満であれば、刑法犯としてではなく行政法違反者として扱われることになった。具体的には、禁固刑から40,000ルーブル以下の罰金刑かもしくは社会奉仕が義務付けられる。この「1回分の使用量」の10倍の具体的規定については、健康省、法務省および内務省の代表を含むロシア下院法制委員会、またロシア連邦保安庁やいくつかのNGO団体の代表などによって5か月間の長期にわたる議論が展開され、最終的にはマリファナ20グラム、ハシシ・メスカリン・アヘン5グラム、コカイン1.5グラム、ヘロイン・メサアンフェタミン(覚せい剤)1グラム、LSD0.003グラムと規定されている。
なお、罰金の額は裁判所によって決定され、また行政処分を受けた記録は残される。一方、この新たな法律が適用された後でも、外国人に対しては、非合法薬物の所持は、国外退去か再入国の拒否という処分が科されることを旅行者などは特に留意する必要がある。
この事件を報じるネットなどでは、参考サイトとして「ダメ。ゼッタイ。」ホームページにリンクしているところもある。例えば「Yahoo!ニュース」。
大相撲・若ノ鵬の大麻事件
・ 大麻について - 症状などについて。薬物乱用防止「ダメ。ゼッタイ。」ホームページ
しかし、この「ダメ。ゼッタイ。」ホームページに書かれている内容には、全く医学的根拠などない。15年以上前にアメリカから輸入していた薬物標本の説明書を翻訳しただけの情報でしかない。そしてこの無根拠ページを公開している天下り財団法人には、毎年多額の税金が投入されている。この財団法人は、日本において公的に薬物情報を国民に知らせる責務があるが、薬物の医学的事実など全く把握もしていない。そのことを厚労省からの天下り専務理事が認めてもいる。このような腐りきった天下りのシステムこそが問題ではないのか。
マスコミは微量の大麻所持などで大騒ぎし、問題の本質を追及しようとしない。世論を誤った方向へと導いている。ジャーナリズム精神の欠片もない、実に情けないマスゴミである。
参照:たかが大麻で目クジラ立てて/毎日新聞 1977年(昭和52年)9月14日
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