ボブ・バーへ感謝

再び、民主主義を信じる気になった

Source: Stop the Drug War
Pub date: March 30, 2007
Subj: Thanks Bob Barr, Now Can I Have My Faith in Democracy Back?
Author: Scott Morgan
http://stopthedrugwar.org/speakeasy_main/2007/mar/29/
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かつては反ドラッグの急先鋒として知られたボブ・バー元下院議員(ジョージア州、共和)が宗旨替えして、医療カナビスのためにマリファナ・ポリシー・プロジェクトでロビー活動を行うことに 合意 した。このニュースを聞いたとき、私は9ヵ月も早くクリスマスがやってきたような気がした。

われわれの最悪の敵の一人だった人物が、たったこの数年で、最も頼もしい仲間の一人なった。私がドラッグ政策の改革運動に加わるようになる以前も含めて、自分がこれほど大きく頷いた出来事は他になかった。

1998年11月、私が18才になったときのことだった。当時は国の政治などには別に興味はなかったが、ワシントンDCの医療カナビス患者を守るための住民投票条例案59号に賛成したいだけのために投票登録を済ませた。

これが、自分の住むコミュニティのドラッグ政策の改革に関わった最初だった。また、民主主義のプロセスに参加する最初の機会でもあった。午後に友達と騒いでから、夕方、市民の義務を果たすぞと意気揚々と投票所に行った。そこには偶然、親父さんもいた。オレも59号に賛成なんだと嬉しいことを言う。いいぞ、親父!

条例案59号は69%を獲得して通過した。わが州は、これまで医療カナビス条例が住民投票で成立したアラスカやアリゾナ、ネバダ、オレゴン、ワシントンの各州を上回る最高得票率だった。

当時、医療カナビスの問題については十分わかってはいなかったが、何か重大なことが起こり始めっているとは感じていた。ちょうど2年前にはカリフォルニアで215条例が通過し、民主主義の社会では、たとえドラッグ戦争の真ただ中であっても、慈悲が圧政に勝つことができるのだと分かって心が揺さぶられた。

しかし、その後、ボブ・バー議員が中心になって バー修正法 が制定され、ワシントンDC歳出予算案にのしかかってきた。
住民条例では、規制薬物1類に属する薬物およびTHC派生物の所持、使用、配布に係わる罰則を軽減または合法化を求めているが、修正法では、それを執行するためのいかなる財源の拠出も禁止する。

初めて民主主義のプロセスに参加した私に対して、アメリカ連邦議会は干渉し、意見を踏みにじったのだ。父や多くの知合いの意見も封じ込められた。ワシントンDCの住人は政治的に無視されても慣れっこになっているので、大半の人びとは肩をすくめるだけだったが、私のとっては、ドラッグ戦争と民主主義の原則に反する欺瞞を初めて味わされることになった。

その後、多くの刑事裁判、カンファレンス、抗議運動、先送りのさらなる先送りが繰り返されたが、私の声を押し潰したボブ・バー氏がやっと自分の誤りを認めたのだ。私は、今日、自分の内なる大義が正しかったのだとつくづく実感した。この気持ちは、ドラッグ戦争の大半の兵士たちには決して味わうことのできない感覚だろう。

ボブ・バーは、超保守派として知られる共和党下院議員だったが、2001年の予備選挙で敗れ、マリファナ・ポリシー・プロジェクト (MMP)からは 「素晴らしいニュース」 だと言われた。2003年には議員からも退いている、

今回、各州で医療カナビス運動を繰り広げるそのMMPでロビー活動をすることになったバーは、その変節について、自分はドラッグに賛成したわけではなく、911以降、ますます人びとの生活に巨大な力で干渉してくる連邦政府の横暴に歯止めをかけたいからだと語っている。

バーの変節はその鮮やからコントラストで注目を集めているが、カナビスに対して自らの態度を変えた人は彼が初めてというわけでもない。

1970年はじめに、当時のニクソン大統領がカナビス悪害追求のために設けた連邦マリファナ調査委員会を率いた レイモンド・シャファー 元ペンシルバニア州知事も、調査をすすめるうちにカナビスには言われているほどの害がないことに気付き、最終的にカナビスを非犯罪化する提言を盛りこんだ『誤解のシグナル』という 報告書 を提出している。

また、LEAP(Law Enforcement against Prohibition、禁止法に反対する警察官)として知られる2002年に設立された団体には、ドラッグ政策が誤っていると考える現役および退役警察官を中心に、保護観察官、矯正官、裁判関係者、検察関係者など3000人を越える人たちが加わっている。

その中には、シアトル市の警察所長を務めた ノーム・スタンパー やニュージャージ州で麻薬秘密捜査官をやっていた ジャック・コール なども含まれている。ジャック・コールは、「私は秘密捜査官として12年間に何千人もの若者を刑務所に送り込んできた・・・しかし、現在ではそのことに一片の誇りも持てない」 と語っている。

かつてはカナビスの合法化を唱えるのは、ヒッピーみたいな連中だかりだと言われていた。しかし、現在、カナビス改革運動の中心にいるのは、むしろスクエアな経歴の人が多く、保守派と言われる人も多い。その代表としては、ドラッグ政策アライアンスの エサン・ネルドマン やNORMLのアレン・ピエールがあげられる。

また、アメリカを代表する保守派の論客として人気の高いアンドリュー・サリバンも 最近のブログ で、「人間が知る中で最も毒性が無いドラッグが、現在では違法になっている。反対に最も毒性の高いものが、全国のスーパー、セーフウエイで堂々と売られている。全くナンセンスというよりほかない。そして、自由に買えるものよりもはるかに害の無いものを使ったという理由で、いまだに人びとを投獄し続けている。一体全体、禁止論者たちは何を吸っているのか? たぶんナツメグでも吸っているのだろう」 と皮肉っている。(ナツメグは致死性が非常に高い)

いずれにしても、アメリカではカナビスの改革運動を担う層が厚くなり、今までのような「保守=共和=反対」といった単純な図式は成り立たなくなっている。これは、アメリカ保守派の中でも、超保守派といわれる人たちの根幹が、連邦より州優先で自由主義最優先のリバタリアン的であることを考えれば納得がいく。

アメリカで行われた 医療カナビスの世論調査 では、どれも有権者のおよそ70%が賛成するようになった現在、実際にカナビスが合法化されるとすれば、先導するのは進歩派と言われるの人たちよりも、むしろ保守派の人たちなのかもしれない。

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