ドラッグ・ツーリズムに苦しむオランダ国境の街

9月に全コーヒーショップの閉鎖を宣言

Source: from Drug War Chronicle, Issue #575
Pub date: 6 March 2009
Dutch Mayors Say Border Coffee Shops to Close
in Bid to Stifle Drug Tourism
http://stopthedrugwar.org/chronicle/575/
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外国人ドラッグ・ツーリストの多量流入に悩むベルギーとの国境の街ローゼンタール(8万人、4軒)とベルヘン・オプ・ゾーム(人口6.5万人、ショップ数4軒)の市長が、9月16日までにすべてのコーヒーショップを閉鎖することを宣言した。この閉鎖によって、一週間に2万5000人といわれる外国人ドラッグ・ツーリストの流入を防いで、迷惑行為をなくすことを目指している。

コーヒーショップの全面閉鎖計画は昨年の10月に発表されていたが、当初は閉鎖時期は明確ではなく半年以内としていた。今回の発表までには、オランダ国境の都市の市長が集まってドラッグ・ツーリスト対策サミットが開催されたり、他の都市から自分のところの迷惑を押し付けるものだという批判も出ていた。こうした中で、今回ははっきりと期日を明示することでその意志を再確認したことになる。

ベルギーやフランス、ドイツといった隣接諸国では、オランダに比較するとカナビスに対してより抑圧的な政策を取っていることもあって、カナビスを求める人たちは自由に購入できるコーヒーショップに押しかけることになる。

しかし、国境の街には非常に多くの人々が訪れることにもなり、交通渋滞や迷惑駐車、立ち小便などの社会迷惑行為などの問題が起こっている。他の国境都市の市長たちは、コーヒーショップを街の中心部から郊外に移動させるなどの方策も取っている。

オランダの連立政権の保守政党は国のすべてのコーヒーショップを終わらせたいと公言しているが、連立協定でコーヒーショップ政策については変更しないことになっているために、2010年の次の選挙までは何のアクションも取らないと見られている。それまでは、コーヒショップをどうするかについては、現状通り、各都市の市長の手に委ねらることになる。

今回の措置についてコーヒーショップ側のハリー・ネーランド弁護士は、「コーヒーショップ側でできることはほとんどありませんが、しかし、ドラッグ政策を変更するのであれば、最初に国で議論する必要があります。また、ヨーロッパのツーリストの問題でもありますからEUの法律も検証しなければなりません」 と語っている。

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コーヒーショップの全面閉鎖については、ベルヘン・オプ・ゾームの市長が ビデオ・インタビュー でもその事情を説明している。その中で、市長は、今回の問題が、毎週2万5000人ものツーリストが訪れることでさまざまな迷惑行為が起こっているためで、基本的にカナビス・ユーザーやコーヒーショップに問題があるわけではないとはっきり語っている。
ドラッグ・ツーリズム問題の解決法