内閣府に設置された薬物乱用対策推進本部に厚労省が報告した、麻薬取締官OBらと学校等を巡回して普及したという薬物乱用防止に関する正しい知識について、一昨日の内閣府に続き、9日付で厚労省自身にも情報公開請求を行った。請求の内容は下記の通り。
薬物乱用対策推進本部のウェブサイトに、「薬物乱用防止新五か年戦略フォローアップ(平成19年8月3日付)」が掲載されています。
(URL:http://www8.cao.go.jp/souki/drug/sin5_mokuji.html)
その「目標1(1)学校等における薬物乱用防止に関する指導の充実」に、厚生労働省の報告として、「薬物乱用防止キャラバンカーが専門の指導員(麻薬取締官OB)とともに学校等を巡回し、薬物乱用防止に関する正しい知識の普及を図った。」と書かれています。
厚生労働省の報告にある「薬物乱用防止に関する正しい知識」のうち、大麻について、国民に普及した「正しい知識」を示す文書の開示を求めます。
内閣府(薬物乱用対策推進本部)は、厚労省が言う「正しい知識」について把握しているのか、また厚労省はどのような内容の「正しい知識」を学校等で普及したのか、回答によって明らかになる。
日本政府は本当に「正しい知識」に基づいて、国連麻薬委員会などでハームリダクション政策に反対しているのか、なぜ反対の立場を取っているのか、誰の判断で反対しているのか、政策責任を明確にし、問いかけを続けたいと思う。
厚労省を訴える件は、THCのスタッフである医師のフロッガーさんと、薬物政策研究者のTakuさんに手伝ってもらって、訴状を書いている最中です。お二人とも多忙なので、もうしばらくの時間が必要です。訴状としての意味を越え、医学的・社会学的な観点から大麻政策を見直す、意義深い資料になると思います。
★ ランキングとツイートにご協力ください ★
ツイート
内閣府に設置された日本の薬物行政の司令塔、「薬物乱用対策推進本部」のサイトには、これまで実施した施策について、担当する省からの報告が掲載されている。
そのうち、「薬物乱用防止新五か年戦略 フォローアップ」には、厚生労働省からの報告として、「薬物乱用防止に関する正しい知識の普及」を行ったという表現が何度か出てくる。
しかし、厚労省と(財)麻薬・覚せい剤乱用防止センター(ダメセン)に対するこれまでの情報公開請求や問い合わせへの回答を見る限り、厚労省もダメセンも、大麻についての「正しい知識」など持っていない。「正しい知識」どころか、厚労省の担当者も、ダメセンの専務理事も、情報が古くて見直す必要があるとさえ答えている。
厚労省が持っている大麻の情報の全ては、先に文書が開示された通りで、A4で1300枚と枚数はあるが、科学的な研究結果といえるのは国連が1997年に発行した「Cannabis」だけだ。しかも、ダメセンの大麻情報にはその「Cannabis」さえ反映されていないと専務理事は回答している。
日本政府が薬物乱用対策の一環として、閣議決定して設置したダメセン。その大麻情報、「精神的影響」と「身体的影響」についての記述は、15年以上前のアメリカ製薬物標本の説明書を翻訳したものでしかない。今やその原本すら残っておらず、厚労省が持っているのはダメセンからファックスで得たコピーだけだ。医学的な根拠どころか出典すら示せない「偽」の情報だ。
厚生労働省が薬物乱用対策推進本部に報告した「正しい知識」の内容はどのようなものなのか。それが本当に「正しい情報」なのかどうか確認するため、内閣府に情報公開請求を行った。尚、ダメセン大麻情報がいかに誤っているかを内閣府に伝える意味で、医学的検証論文を添付した。
以下、総理大臣宛に8日付で郵送した情報公開請求の内容。
薬物乱用対策推進本部のウェブサイトに、「薬物乱用防止新五か年戦略 フォローアップ(平成19年8月3日付)」が掲載されています。その「目標1 (1)学校等における薬物乱用防止に関する指導の充実」に、厚生労働省の報告として、「薬物乱用防止キャラバンカーが専門の指導員(麻薬取締官OB)とともに学校等を巡回し、薬物乱用防止に関する正しい知識の普及を図った。」と書かれています。
厚生労働省の報告にある「薬物乱用防止に関する正しい知識」のうち、大麻について、「偽」ではなく、「真」に科学的に「正しい知識」であることを示す根拠文書の開示を求めます。
なお、参考までに、厚生労働省所管の(財)麻薬・覚せい剤乱用防止センターの大麻情報がいかに誤りだらけであるか、医学的に検証した論文を添付致します。
内閣府は、厚労省がこれまで開示しなかった、大麻についての「正しい知識」を持っているのかどうか、それとも厚労省は根拠も示せない誤りだらけの情報を「正しい知識」と強弁して報告しているだけなのか、明らかにしたい。
★ ランキングとツイートにご協力ください ★
ツイート
現在、日本の包括的な薬物乱用防止行政は、1997(平成9)年に内閣府に設置された「薬物乱用対策推進本部」が担っている。本部長は内閣総理大臣で、関係省庁の大臣が副本部長や本部員に名を連ね、日本としての総合的な薬物乱用対策を行っている。
同本部のウェブサイトには「基本指標」のページがあり、平成10(1998)年から平成18(2006)年までの薬物押収量推移などが掲載されていて興味深い。
薬物乱用対策推進本部は、平成15(2003)年から「薬物乱用防止新五か年戦略」を実施しており、今年7月にその期限を迎える。
これまでの取り組みの様子は、開催状況のページや、フォローアップのページから伺える。
この「新五か年戦略」、昨年8月に「一部改正」とあるが、何が改正されたのだろう。「新五か年戦略」の期限は7月だが、総括や、その後の薬物乱用防止政策はどう考えられているのだろう。
3月にはウィーンで国連の麻薬委員会(United Nations Commission on Narcotic Drugs)が開かれ、1998年に始まった「麻薬乱用撲滅の10年」の総括が行われるという。
1998年の「国際薬物統制に関する国連特別総会」の内容は、ダメセンのサイトでも報告されている。
参照:(財)麻薬・覚せい剤乱用防止センター「国際薬物統制に関する国連特別総会」
日本政府は、ウイーンで開かれる麻薬委員会について、どのような対応を考えているのだろう。
薬物乱用対策推進本部のページに連絡先と電話番号が書いてあったので、7日、内閣府政策統括官(共生社会政策担当)に電話で聞いてみた。
昨年8月の「新五か年戦略」一部改正については、マネーロンダリングに関する扱いを、これまでの金融庁から警察庁に変えたという内容だとのこと。
「新五か年戦略」は7月に期限を迎えるが、そのまま継続的に行うかどうかなどについては、関連する省が現在検討中とのこと。
3月の国連麻薬委員会への対応については、把握しているご担当が不在とのことで、改めて問い合わせることにした。
日本政府は、昨年開かれた麻薬委員会の第50回会合で、アメリカと共にハームリダクションに強く反対したそうだ。「ヨーロッパ、ブラジル、中国、イランはハーム・リダクション政策を支持しているのに対して、米国、日本はハーム・リダクションの一般的な議論や特に注射針交換に強く反対した。」とグローバル・エイズ・アップデートは報告している。
参照:グローバル・エイズ・アップデート「日米がハーム・リダクションに強く反対:国連麻薬委員会第50回会合 」
この麻薬委員会第50回会合については、「我が国代表として、天野ウィーン代表部大使、吉村警察庁次長他」が出席したそうで、外務省のサイトでも簡単に報告されているが、ハームリダクション政策に反対したことについては触れられていない。
参照:外務省「第50会期国連麻薬委員会について」
日本の薬物政策の今後について、政府はどう考えているのか、国連の麻薬委員会ではどのような立場を取ろうとしているのか、継続して注目していきたい。
★ ランキングとツイートにご協力ください ★
ツイート
厚生労働省が持っている大麻情報の全てが明らかになりました。
回答のpdfファイルを公開します。内容はさておき、A4で1321ページとデータ容量として重く、直接アクセスして閲覧するには不向きなので、zipファイルにしました。ダウンロードしてお手元のパソコンで解凍して見て下さい。
厚生労働省が持っている大麻情報の全て(2625.zip 60.28MB)
先に回答のあった文書名リストと、pdfファイルの該当ページは下記の通りです。
1.「大麻」(依存性薬物情報研究班 昭和62年3月)/pdf-p.1
2.「大麻乱用による健康障害」(依存性薬物情報研究班 平成10年12月)/pdf-p.79
3.「薬物依存」のうち、「第13章 大麻依存」の部分/pdf-p.156
4. Cannabis : a health perspective and research agenda/pdf-p.175
5. DRUG EDUCATION MANUALのうち、「CANNABIS」の部分に係るFAX文書/pdf-p.226
6. 薬物乱用防止教育指導者読本のうち、「大麻(カンナビス)」の部分に係わるFAX文書/pdf-p.231
7. 薬物乱用・依存等の実態把握に関する研究及び社会的経済的損失に関する研究(平成15年3月)/pdf-p.236
8. 薬物乱用・依存等の実態その社会的影響・対策に関する研究(平成16[2004]年3月)/pdf-p.511
9. 薬物乱用・依存等の実態その社会的影響・対策に関する研究(平成17[2005]年3月)/pdf-p.709
10. 薬物乱用・依存等の実態把握と乱用・依存者に対する対応策に関する研究(平成18[2006]年3月)/pdf-p.1016
11. 薬物乱用・依存等の実態把握と乱用・依存者に対する対応策に関する研究(平成19[2007]年3月)/pdf-p.1134
以上が、厚労省が持っている大麻情報の全てです。
参考:情報公開請求の内容
1.厚生労働省が大麻の有害性を断定する根拠文書。大麻についての科学的・医学的・薬学的な研究に関し、厚生労働省が所有する全ての文書。(上記1-6が対応する回答)
2.大麻使用が原因で、身体的・精神的な疾病を発症した事例について、厚生労働省が把握している全ての事例、及びその具体的な症状を示す全ての文書。(上記7-11が対応する回答)
★ ランキングとツイートにご協力ください ★
ツイート
外務省との対話コーナー。下記の記事リストからどうぞ。
★ ランキングとツイートにご協力ください ★
ツイート
内閣府薬物乱用対策推進本部との対話コーナー。
・薬物乱用対策推進本部
・薬物乱用対策推進会議
・第三次薬物乱用防止五か年戦略(平成20年8月22日)
下記の記事リストからどうぞ。
★ ランキングとツイートにご協力ください ★
ツイート
国連麻薬委員会 (CND)との対話との対話コーナー。下記の記事リストからどうぞ。
★ ランキングとツイートにご協力ください ★
ツイート
大麻には使用罪はないのに「使用容疑でも調べる」と書かれた産経記事の件の続報です。
事件を担当する刑事も「そのような報道発表はしていない」と言っているのに、「大麻には使用罪がある」「法律にそう書いてある」として、産経は訂正要求を拒み、私はその法解釈の誤りを指摘し、再度の確認と訂正を求めました。それに対する回答が産経新聞大阪本社読者サービスからありました。以下、ご担当の弁。
「昨日の結果をご連絡いたします。これはですね、実は産経独自の取材ではないということが分かったんですよ。通信社の記事だということが分かりましたので、お宅様のおっしゃることの判断ということはですね、産経の記者が独自に取材したものではありませんので、産経としての判断はできかねるわけなんですよ。」
「・・・これは産経の記事ではないんですか?」
「産経の記者が書いたものではないということなんですね。通信社が送ってきたものをそのまま掲載しているということになるわけなんですよ。」
「それは産経の判断で掲載してるんじゃないんですか?」
「掲載ということはもちろん、掲載の判断でもちろん責任はありますけれども・・」
「そうですよね?産経の記事として出てるんですもんねえ」
「で、その載った記事についてのですね、判断というのは出稿元の判断ということになりますので、産経の判断ではなくて出稿元の判断ということになりますから、こちらとしての判断はできかねますので、直接通信社のほうに言って頂くということになっちゃうんですけれども。」
「通信社?」
「共同通信が送ってきたものになりますから、、」
「共同通信が使用容疑でも調べるという記事を出してるんですか?」
「あのー、共同通信が送ってきているものを載せているわけですので、お宅様のご言い分
についての判断というのは、出稿元の共同通信しかできないということになりますので、直接共同通信のほうにお尋ねになって頂きたいんですけれども。」
「これは産経の記事で出てるものですよね?編集権は産経にあるわけですよね?産経の記事として出してるんですから、公開している責任は産経にあるわけですよね?」
「掲載責任はもちろんありますけれども、元の記事は通信社が送っておりますので。」
「通信社が配信した記事をどう掲載するかは編集権のある産経の責任じゃありませんか?」
「編集と言いますか、掲載はそのまま掲載しておりますのでね。こちらの新聞社としてはどうすることもできませんので、お宅様の言い分、その他のあれは直接通信社のほうにやって頂くということにこちらとしてはしましたので。」
「これは産経の記事で出てるんですよ?編集権、掲載している責任は産経にあるんじゃないんですか?」
「もちろん掲載ということでは産経に載っておりますけれども、産経独自の取材で書いたものではありませんので。」
「それはそちらの内部の都合であって、産経の記事として出てるんですから産経に編集権と掲載の責任はあるわけでしょう?」
「あの、そういうふうに直接通信社のほうにお尋ねになって頂くということに決めましたので。」
「決めましたのでって(苦笑)、これは修正しないということですか?」
「通信社のほうに直接お話して頂いて・・」
「通信社の話じゃなくて、産経のウェブに出てるんですから産経の責任でしょ?」
「それはもちろん掲載の責任はありますけど・・」
「そうでしょ?その掲載の責任ということについてはどうお考えなんですか?」
「いやそこまでいきません、もっと前の出稿で関わってくるわけですから、出稿元の判断で。」
「出稿元は出稿元として、これは産経ニュースとして出てるんですよ?」
「いえ、ですから、それは出稿元の判断で、こちらは対応させて頂くと、こういうことになりましたので。」
「・・・・ご自分で仰っていておかしいとお感じになりませんか?」
「いえ、そういうふうに決めさせて頂きましたので。そういうふうにやって頂きたいんですけどね。」
「やって頂きたいって・・・産経の記事として出ているのだから、それは産経がやることでしょう?出稿元がどこだかなんてこれには書いてありませんよ。共同通信の記事として出てるんでしたら、もちろん共同に修正を要請しますけど、これ、産経ニュースとして、産経のウェブに出てるんですよ?」
「ウェブの場合は産経ウェブということでねえ、もちろん出ておりますけれども」
「そうですよ。産経ニュースとして出てるんですよ?誤りなんですよ?明らかに。」
「ですからその誤りなんかの判断というのは、元でないと、こちらはできませんので、直接やって頂くということになろうかと思います。」
「通信社から情報は買ってるんでしょうけど、それをどう扱うかは産経の責任でしょ?だから産経ニュースとして出てるんでしょう?」
「ですから、元の判断というのはこちらでは、新聞社としてはできませんので、やりませんので。」
「じゃ、嘘でも何でも出しちゃうんですか?で、私たちが取材したんじゃないから知りませんということですか?」
「知りませんということではなしに、元のその判断というのは、こちらで独自に取材したものではありませんので、判断はできかねます、ということでございます。」
「だって、明らかに誤ってるんだから、訂正して下さいよ。」
「明らかに誤っているという判断もこちらではできませんのでね。」
「それをするのが産経新聞という新聞社の仕事じゃないですか?」
「それはお宅様がいろいろ運動をやっておられて、そういうお考えを持っておられて・・・」
「お考えの話じゃないんですよ。事実かどうかの話なんですよ、これは。産経新聞の記事として出ている記事に誤りがあるから、事実誤認であるから、産経新聞に指摘してるんです。」
「事実誤認であるかも含めて、それはお宅様のご意見ですので、その判断については出稿元でないとできかねます、ということなんです。」
「共同通信に責任があるということですか?」
「ええ、もちろん、共同通信が送ってきてるものですから。」
「じゃ、これはそちらには責任はないと?産経新聞としては、共同通信から買った情報をただ垂れ流しているだけだから、うちらには責任はないと?」
「共同通信さんの判断で、明らかに誤りであったという判断をされれば、その場合はですね、それを受けまして訂正云々というのは、そのあとの判断ということになりますので、こちらのほうで独自の判断というのはできかねますので。」
「ああそうですか。じゃもう、買って載せてるだけですよってことなわけですね?」
「はい。よろしくお願いします。」
産経新聞は、自社のウェブで、産経ニュースとして掲載している記事が事実かどうか、自分たちでは判断できないそうだ。だめだこりゃ。昨日は、大麻取締法には使用罪がある、法律にそう書いてある、だから訂正しないと言っていたのだが。だめだこりゃ。どげんかせんといかん。
共同通信に電話した。東京のメディア局デスクに事情を説明したところ、ウェブは東京で出しているが、この原稿は山口支局から大阪社会部を通して出ているとのことで、大阪社会部の電話番号を聞き、大阪社会部のご担当に説明したところ、調べて連絡を頂くことになった。折り返しの電話で、この記事は福岡支社から出ているので、そちらの担当からご連絡を頂けるように手配して下さるとのこと。で、福岡支社の社会部デスクから電話を頂いた。まずちょっと驚いた。
「東京や大阪と回ってしまったようで、お手数をおかけして申し訳ありませんでした。」
面倒な話で嫌がるかな、という憶測をしていたので、その丁寧さに安堵した。話の内容も伝わっているようだった。
産経の記事を見て電話したこと、所轄の刑事によると「使用容疑で調べる」という発表はしていないことなどを説明した。共同通信福岡支社の社会部デスクは、率直に表現の不適切さを認めて言った。
「白坂さんの仰る通りでして、若干、記者の無知もありましてね、私たち新聞記者は、警察の副署長が広報担当者でして、副署長と取材上のやりとりをQ&Aのようなことをするんですけれども、その際に、逮捕容疑は所持だということで、当然吸っていたと見て調べるんですよね、まあそうだよね、というような副署長とのやりとりがあったらしいんですよ。そのなかで使用容疑でも調べる、吸っていたかどうか、という文脈で書いているんですけれども、仰るように誤解を招く表現になってしまったということなんですね。」
なるほど。経緯は分かった。そりゃまあ新聞記者は法律家ではないのだから、全ての法律に精通しているのではないだろう。大麻取締法違反事件を受任しておきながら、大麻に使用罪がないことを知らない弁護士だっている。
共同通信福岡社会部のデスクによると、こういった配信記事は、加盟各社はそのまま掲載することになっているので、記事自体の責任は共同通信にあるとのこと。責任逃れをしようという気配が全くない、すがすがしいほど明快な説明だった。私は記事の訂正を求めた。共同通信社会部デスクは、その場で修正内容を示した。
「今、原稿を見ている限りではですね、この『使用容疑でも調べる』というのを、『使用容疑でも』というのを削除しようと思います、デスクとしては。で、『長府署は自分で使用するために所持していたとみて調べる』と。」
その場でスパっと修正文を言ってくれるとは思っていなかったので、またちょっと驚いた。
「ほう、すっきりですね~」
「ええ、まあちょっと筆が滑ってるくだりでもありますんでね。誤解を招く部分でもありますので。」
それからの共同通信の対応は早かった。まず、データベース上の記事を修正して頂けることになった。で、ウェブを担当する東京にも連絡し、産経にも一報して頂くことになった。産経に一報して頂いたことを確認したいと言うと、また連絡を頂けることにもなった。数時間で改めて電話を頂いた。
「先ほどの件なんですけれども、申し上げましたように『使用容疑でも』というくだりを削除しまして、共同通信のデータベース、社内向けのものと、外部向けがあるんですけれども、両方とも修正する措置を取りました。」
「あ、そうですか、ありがとうございます。」
「いえいえそんな、すいません。ありがとうございますっていう話ではありません。それで、共同通信の加盟社向けにウェブの担当部門が東京にありましてね、そちらからはこの記事、産経なんか見ますとまだ見えるような状態でしたので、この記事そのものを、全体を削除して下さいというお願いを出しました。それで、そのお願いが通じたのか、産経のウェブはもう削除されてまして、当該のニュースは見れなくなりました。共同通信のその記事の記録はその部分が直っている状態になりました。」
「あ、そうですか、お手数おかけしました。ありがとうございました。」
「いえいえ、お教え頂きまして、こちらこそありがとうございました。」
産経の対応には、まるで厚労省麻薬対策課や天下り法人麻薬防止センターと同じ質の責任逃れを感じたが、共同通信の素早くて適切な対応には、情報が生ものとして扱われている手際の鮮やかさを感じた。
「使用容疑でも調べる」産経ニュースの記事は削除されました。
当該記事URL
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/071222/crm0712221749011-n1.htm
★ ランキングとツイートにご協力ください ★
ツイート
毎日新聞が次のようなニュースを報じた。
<大麻所持>下関市職員を逮捕
12月22日20時13分配信 毎日新聞
自宅に乾燥大麻を所持していたとして、山口県警長府署は22日、同県下関市菊川町貴飯の同市職員、●●●●容疑者(30)を大麻取締法違反容疑で現行犯逮捕した。
調べでは、●●容疑者は22日午前、自宅近くの駐在所に「自宅に大麻を持っている」と自首。署員が自宅を捜索したところ、ポリ袋に入った乾燥大麻が見つかったという。調べに、●●容疑者は「気分的にイライラしていたので使ったが、罪の意識にさいなまれて自首した」と話しているという。入手先などを追及している。
●●容疑者は地元の県立高を卒業し、専門学校を経て98年に旧菊川町に採用された。05年に下関市と合併してからは市菊川総合支所に勤務し、現在は総務課庶務防災係主事。勤務態度はまじめで、台風の時期などは休日や夜間の災害警戒も進んで務めていた。性格はおとなしく、服装も地味だったという。
05年に結婚し1児をもうけたが、今年に入って離婚していた。【取違剛】
最終更新:12月23日0時48分
大麻には覚せい剤のような意味での使用罪はない。所持で逮捕された場合、毎日の記事にあるように、入手先などを取締当局は追及する。が、同じ事件を伝える産経の記事では使用の容疑でも調べると書いてある。
「自宅に大麻あります」 駐在さんに自首の市職員逮捕
2007.12.22 17:49
山口県警長府署は22日、大麻取締法違反(所持)の現行犯で山口県下関市職員の●●●●容疑者(30)=下関市菊川町=を逮捕した。
調べでは、●●容疑者は同日午前、自宅に少量の乾燥大麻を所持していた疑い。長府署は自分で使用するために所持していたとみて、使用容疑でも調べる。
●●容疑者は下関市主事で、菊川総合支所に勤務。22日朝、菊川町内の駐在所に「自宅に大麻を持っている」と自首してきたため、署員が捜索して乾燥大麻をみつけた。
MSN産経ニュース
所持容疑での逮捕は分かるが、罪でもない使用がなぜ容疑になるのだろう。ひょっとして、山口県だけ使用も罪になる法改正でもあったのだろうか。25日午後、山口県警長府署の刑事課に電話をして確認した。電話に出た刑事はこの事件の直接の担当ではなかったが、担当の方に確認して頂いた。やはり山口県だけ大麻の使用罪があるのではなかった。以下、刑事さんとの会話の一部を録音から書き起こす。
「あなたの言われる通りですね、使用のほうのアレはないんですよ。だからですね、私らも報道発表ではそのようには伝えてないということなんですよ。あとは産経のほうに問い合わせてもらってですね、なんでそういうふうに使用のほうでも調べると書いたのか、そちらのほうに確認してもらったほうがいいと思うんですよ」
「それでは使用容疑で調べるというのは、そちらの発表ではないんですね?」
「そうですね」
で、産経の「ご意見・ご感想」というページから次のようなメールを送った。
記事に明白な誤りがあるので訂正を要求します。
「自宅に大麻あります」駐在さんに自首の市職員逮捕(12.22 17:49)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/071222/crm0712221749011-n1.htm
記事中「使用容疑でも調べる」とありますが、大麻取締法に使用罪はありません。山口県警長府署刑事課にも確認しましたが、そのような報道発表は行っていないとのことです。訂正して下さい。
白坂和彦
thc@asayake.jp
産経はこの問い合わせページからのメールには返信しないようなので、産経新聞大阪本社の読者サービスに電話して訂正を求めた。このような事実ではない記事は読者に誤った認識を与える。当の警察も否定している明らかな誤報なのだから訂正してほしい。
読者サービスのご担当は、前に東京本社の読者サービスに電話したときよりずっと丁寧な言葉使いで対応をしてくれて、折り返し電話をくれることになった。
折り返しの電話があったとき、私は外出先にいて録音できなかったが、ご担当は、確認したが大麻には使用罪がある、法律にそう書いてあるそうですね、と言った。しかし、それは誤解だ。大麻取締法には、大麻取扱者免許所有者が目的外に使用することを禁じる条文と、免許を持たずに研究のために使用することを禁じる条文はあるが、覚せい剤のような意味での使用罪はない。覚せい剤は尿検査で反応が出れば即逮捕だが、大麻は尿検査で反応が出ただけでは逮捕されない。それに何よりこの事件を担当している山口県警長府署の刑事が「そのような報道発表はしていない」と言っているのだ。
大麻取締法で「使用」についての罰則は次のように規定されている。
大麻取締法
第6章 罰則
第二十四条の三 次の各号の一に該当する者は、五年以下の懲役に処する。
一 第三条第一項又は第二項の規定に違反して、大麻を使用した者
で、その第三条は次の通り。
第三条 大麻取扱者でなければ大麻を所持し、栽培し、譲り受け、譲り渡し、又は研究のため使用してはならない。
2 この法律の規定により大麻を所持することができる者は、大麻をその所持する目的以外の目的に使用してはならない。
また、大麻に覚せい剤のような意味での使用罪がないことは、厚労省所管の(財)麻薬・覚せい剤乱用防止センターの記述を見ても分かる。同サイトの「薬物5法について」というページには、各薬物の罰則を示した表が掲載されている。それを見ても、覚せい剤、モルヒネ、コカイン、LSD、あへん等は「使用」が罰則を以って規制されているのが分かるが、大麻については空白だ。
産経新聞大阪本社読者サービスのご担当には、大麻には使用罪はないという事実を再び説明し、もう一度確認したうえで記事を訂正するよう改めて求めた。再確認の結果についても連絡をくれるようにお願いし、ご担当は連絡をくれると言った。だが、昨日のところは再度の連絡はなく、今のところ記事も訂正されていない。
産経は、警察が言ってもいないことを平然と書き、それを放置するのだろうか。「大麻は消して」と、総務省が言ってもいないことを記事として垂れ流し、それを改めもしなかった件を思い出す。
産経に、マスコミとして最低限の良心が残っていることを、産経自身のために祈る。ないものねだりだろうか。
(産経新聞大阪本社読者サービスから連絡が入ったら続報します。)
人気ブログランキング「政治」カテゴリーに登録中。支援のクリックをお願いします。
★ ランキングとツイートにご協力ください ★
ツイート
11月20日付けで出した厚労省宛の情報公開請求の開示決定通知書が届いた。クリスマスプレゼントかな?
私が請求した情報の内容は下記の2点だった。
1.厚生労働省が大麻の有害性を断定する根拠文書。大麻についての科学的・医学的・薬学的な研究に関し、厚生労働省が所有する全ての文書。
2.大麻使用が原因で、身体的・精神的な疾病を発症した事例について、厚生労働省が把握している全ての事例、及びその具体的な症状を示す全ての文書。
これまで再三の情報公開請求で、日本の公的な大麻情報である「ダメ。ゼッタイ。」ホームページの大麻に関する記述について、その根拠を示すよう求めてきた。
今回の情報公開請求では、「ダメ。ゼッタイ。」の根拠から離れ、厚労省が把握している大麻情報を全て出すよう求めた。枡添厚生労働大臣名の開示決定通知書の要点は以下の通りだ。
■ 開示決定した行政文書の名称
1.「大麻」(依存性薬物情報研究班 昭和62年3月)
2.「大麻乱用による健康障害」(依存性薬物情報研究班 平成10年12月)
3.「薬物依存」のうち、「第13章 大麻依存」の部分
4. Cannabis : a health perspective and research agenda
5. DRUG EDUCATION MANUALのうち、「CANNABIS」の部分に係るFAX文書
6. 薬物乱用防止教育指導者読本のうち、「大麻(カンナビス)」の部分に係わるFAX文書
7. 薬物乱用・依存等の実態把握に関する研究及び社会的経済的損失に関する研究(平成15年3月)
8. 薬物乱用・依存等の実態その社会的影響・対策に関する研究(平成16[2004]年3月)
9. 薬物乱用・依存等の実態その社会的影響・対策に関する研究(平成17[2005]年3月)
10. 薬物乱用・依存等の実態把握と乱用・依存者に対する対応策に関する研究(平成18[2006]年3月)
11. 薬物乱用・依存等の実態把握と乱用・依存者に対する対応策に関する研究(平成19[2007]年3月)
■ 不開示とした部分とその理由 なし
上記のうち、1から6までは大部分がこれまでの情報公開請求で既に明らかになっている。
参照:厚労省が開示した日本の公的大麻情報の根拠文書
7から11までが今回新しく示された文書で、情報公開請求の2番目の項目、「大麻使用が原因で、身体的・精神的な疾病を発症した事例」などについて書かれているのだろうか。
届いたのは「開示決定した文書の名称」だけで、本体はこれから請求することになるので、入手したら改めて公開したい。
それにしても、厚労省が持っている大麻情報は、これで全てなんだそうである。
カナビス・スタディハウスを読みなさい。
厚労省の厄人は、自分たちが何を取り締まっているのか知らないということだ。ただひたすら取り締まっている。
サタンが街にやってきた♪ 滅入り、クリスマス。
★ ランキングとツイートにご協力ください ★
ツイート
厚生労働省から「決定書」が届いた。この決定書は、今年4月に提出した行政文書開示請求に関わるものだ。
一昨年12月、私は「ダメゼッタイ」ホームページの大麻情報に関する根拠文書を公開せよと厚労省に請求した。厚労省は、ダメセン天下り専務理事糸井氏が根拠文書として使っていないと言っているWHO(世界保険機関)の大麻レポートを出してきた。
そこで、私は厚労省に対し、その矛盾を指摘したところ、麻薬対策課松田係長は「根拠になり得る文書」を開示したのであって、実際に何に基づいて書かれたかとは別問題だという、さすが国民の命を何とも思わない腐りきったデタラメ官庁らしい回答をした。
その一方で、ダメセンホームページの本当の根拠文書である昔の米国製薬物標本の説明書原文は開示されなかった。ダメセンホームページはこの古い説明書を訳しただけのものなのに。
なぜこの原文が開示されないのか異議申立で質すと、その原文は担当者秋篠氏個人の所有物であり、秋篠氏の机にしまってあるから公的文書ではないと回答してきた。だが、そもそもその原文は、私の指摘により、秋篠氏がダメセンに照会し、ダメゼッタイ大麻情報ページの原文として、天下り専務理事が厚労省宛にファックスで送付したものだ。それを厚労省は、秋篠氏個人が勉強するために取り寄せた個人的な文書だと回答したのだ。
そこで改めて今年の4月、「根拠になりうる文書」ではなく、「根拠にした文書」を開示するよう私は請求した。そしたら、前回は秋篠氏個人の文書だと回答して開示しなかった原文が入っていた。あれ?これって、秋篠さんがお勉強するためにダメセンから取り寄せた個人の所有物じゃなかったの?
古くて見直す必要があるとまで認めておきながら、具体的な誤りを指摘しての要望書には、回答する法的義務はないとして無視黙殺を決め込んでいる。
この厄人ども、どこまでナめてんだろうと思い、どういうことだか説明しろよと6月に異議を申し立てた。送られてきたのはその異議に対する回答としての「決定書」である。
厚生労働省発薬食第1214002号
白坂和彦様
厚生労働大臣 枡添要一
決定書謄本の送達について
平成19年6月6日付け(平成19年6月11日付けで受理)をもって貴殿から提起された異議申立てについて、決定を行ったので、行政不服審査法(昭和37年法律第16号)第48条において準用する同法第42条第2項の規定に基づき、別添のとおり決定書の謄本を送付します。
※この決定の取消しを求める訴訟を提起する場合は、行政事件訴訟法(昭和37年法律第139号)の規定により、この決定があったことを知った日から6か月以内に、国を被告として(訴訟において国を代表するものは法務大臣となります。)東京地方裁判所又は特定管轄裁判所に処分の取消しの訴えを提起することができます(なお、決定があったことを知った日から6か月以内であっても、決定の日から1年を経過した場合には処分の取り消しの訴えを提起することができなくなります。)。
厚生労働省発薬食第1214001号
決定書
異議申立人の住所及び氏名
■■■■■■■■■-36
白坂和彦
異議申立人が平成19年6月6日付けで提起した異議申立て(平成19年6月11日付けで受理)について、次のとおり決定する。
主文
本件異議申立ては、これを却下する。
不服の要旨
本件異議申立ては、異議申立人が行った平成19年4月19日付け(平成19年4月20日付けで受理)の行政文書開示請求に対してなされた、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号)第9条第1項の規定に基づき、平成19年5月18日付け厚生労働省発食第0518010号により厚生労働大臣が行った原処分について、説明を求める等として行われたものである。
決定の理由
本件異議申立ては、(1)原処分において対象文書を開示した理由等について説明を求め、(2)当該文書が行政文書管理ファイル簿にデータベース化されているかについてその確認を求めるとともに、(3)これまでの情報公開手続における厚生労働省の横柄さ、情報管理、情報公開の杜撰さについて異議を申し立てるものである。
しかしながら、これらはいずれも原処分の変更あるいはその取り消しを求めておらず、行政不服審査法(昭和37年法律第160号。以下「法」という。)第2条に規定する処分に対して行われたものではなく、法第6条の規定により異議申立てを行うことができる場合に当たらないことから、不適法である。
よって、法第47条第1項の規定により、主文のとおり決定する。
平成19年12月14日
厚生労働大臣 枡添要一
厚生労働省は社保庁と一緒に解体して民営化し、現在の厚労省という公害はダイオキシンも残らないという高温焼却炉で焼却処分したほうが良いと思う。
★ ランキングとツイートにご協力ください ★
ツイート
産経新聞が大麻への偏見に満ちた提灯記事を書くことには驚かないが、もう少し考えてから書いてくれないだろうか。これがホントに新聞記者の書く文章なのか。
【法廷から】大麻を禁じる理由、答えられますか
12/16 11:04
なぜ大麻は、厳しく禁じられているのか-。そうした問いにハッキリと答えられる人は、どれだけいるのだろう。
14日、東京地裁で大麻取締法違反の罪に問われた男性被告(37)の初公判を傍聴した。
起訴状によると、被告は今年10月、都内で自家用車内に乾燥大麻と大麻樹脂計2・011グラムを所持していた。
検察官は冒頭陳述で、被告が、勤務先の社長と台湾旅行へ行く途中に大麻を売人から購入したことや、それを空港近くのホテルの駐車場でパイプを使って吸引していたことを明らかにした。
また、被告人質問で被告は、旅行先の台湾でも同行した社長と大麻だけでなく覚醒(かくせい)剤も使用していたとも供述。さらに、3~4年前から同じ売人を通じて大麻を1グラム4000円ほどで4回ほど買っていたとし、海外旅行へ行くたびに薬物に手を出していたと供述した。
検察官「なぜ大麻が禁じられているか分かりますか?」
被告「なんで…。使用した状態で車を運転したら危険だし、冷静ではいられなくなる部分があると思うので」
被告は、答えるまでに時間を要したが、妥当な答えをしたかのように思えた。が、検察官にとってその答えでは、不十分のようだった。
検察官「それだけ?」
被告「思いつくのは、それだけ」
検察官「『思いついた』って…。なぜ禁じられているのかという理由は、他には分からないということ?」
被告「はい」
検察官は、あきれた表情を浮かべていた。
被告は、大麻に手を出した動機について、「独立して経営した会社がうまくいかなくて、恥ずかしい話だが、借金もでき、そうこうするうちに離婚して精神的に病んでいた。それで薬に逃げてしまった。甘いといわれればそれまでだが…」と赤裸々に供述した。
この日、証言台に立った父親は、「もう絶対にこういうことはいけない。そして、私と交わした約束は守ろう」と息子に語りかけた。
最後に裁判官から発言の機会を与えらた被告は、「おやじが言ったように、とにかく約束を守るということを頭に置いてまじめにやっていきたい」と裁判官に誓った。
「大麻は生活意欲を減退させ、精神状態を錯乱させるだけでなく、犯罪組織の活動資金源となる。被告は末端使用者であっても、結果的に犯罪組織に加担していることになる」
検察官は論告で、日本で大麻が禁じられている理由をこう述べた。こうした答えを、被告に求めていたのだろう。
だが、意外にも、大麻で罪に問われる被告の多くは、こうした模範解答通りの答えをする者が多い。被告のように禁止理由が答えられない者は少ないのだ。
裁判官は被告に懲役8月、執行猶予3年(求刑8月)を言い渡した。初犯だという被告には、大麻が禁じられている理由を理解した上で、父との約束を果たす心意気が必要だろう。
(西尾美穂子)
西尾美穂子記者自身は「大麻が禁じられている理由」を理解しているのだろうか。
書き出しに「なぜ大麻は、厳しく禁じられているのか-。そうした問いにハッキリと答えられる人は、どれだけいるのだろう。」とあるが、あなた自身はどうなの?と問い返したい。本当にぜひ聞いてみたい。西尾記者自身が、私にもよく分からないんですけどー、と心情を吐露した作文なのだろうか。いったい何を考えているのだろう。何も考えていないのだろうか。「今日は遠足に行きました。4年3組のみんと一緒に行きました。バスに乗って行きました。太郎君が水筒のなかにジュースを入れてきたので先生に叱られました。先生は、なんで水筒にジュースを入れてきてはいけないか分かるかと、太郎君に聞きました。太郎君は、ジュースを飲むと太るからと言いました。先生は、それだけ?と聞きました。太郎君は、思いつくのはそれだけと言いました。楽しかったです。」みたいな記事だ。
西尾記者は「大麻所持-身近に迫る恐怖」という記事では、「悪いことをしたら罰が当たる」と締めくくっている。読んでるほうが赤面して下を向きたくなる。
産経は、関東学院大学ラグビー部の事件に関して、「簡単に買える大麻の種 野放し状態に批判」という記事を出しているが、大麻の種が野放しだと誰が批判しているのか読んでみると、何のことはない、捜査関係者が嘆いているという話でしかない。
大麻の種を規制することで、これまで自分で栽培していた者が、犯罪組織から買うようになり、西尾記者が傍聴した裁判の被告のように覚せい剤との接点を持つことになる。大麻取締法は所持より栽培のほうが罪が重い。自分で栽培するよりもどこかで買ったほうが罪が軽いのだ。仲間内での栽培や譲渡は芋づる逮捕になることも多いが、繁華街で外国人から買ったような場合、起訴は「所持」だけで、「譲り受け」は付かないことが多い。そのことを西尾記者はどう考えているのだろう。そんな矛盾には気付いてすらいないのだろうか。
西尾記者は、検察官が説明した、日本で大麻が禁止されている理由について、自ら確認することもせず、「こうした答えを、被告に求めていたのだろう」と、社会見学で傍聴に来たおばさんの感想文レベルで記事を書いている。
「大麻を禁じる理由、答えられますか」というタイトルの記事で、検察の説明を答えとして見せただけ。「父との約束を果たす心意気が必要だろう」という結びには、権力を監視するジャーナリズムの心意気を微塵も感じない。
相変わらず、産経である。
★ ランキングとツイートにご協力ください ★
ツイート
産経新聞のニュースサイトを「大麻」で検索すると、今も1番は「大麻の種を簡単に買えるのは問題だから規制しよう」という提灯記事だが、過去記事リストに、デンバー市の住民投票で大麻非優先化条例案が通った話を載せている。
この報はカナビス・スタディハウスにNORMLの記事が翻訳されていて、産経より短い記事なのに詳しく知ることができる。出典へのリンクもとても参考になる。
デンバー市、住民投票でカナビス非優先化条例案が通過
2007年11月8日 - アメリカ・コロラド州デンバー発
嗜好、医療、産業を含めて、アメリカで大麻政策の見直しを求める動きはデンバー市に限ったことではないようだ。
アイダホ州ハイリー市で実施された住民投票でも、デンバーと同様の非優先化条例が 認められている。その他、ハイリー市では、医療カナビスの合法使用を認める条例案と産業用ヘンプの栽培を認める条例案の 2つの発議 も承認されている。これら3つの条例の詳細については、住民の監査を受けた委員会で決めることになっている。
産経の記事は面白い。
米国で大麻“合法化”の波紋 デンバーでは住民投票で可決
このニュースを紹介してくれるのは嬉しい。でも、合法化の波紋?何が波紋しているのだろう。冒頭部分。
西海岸を中心とした米国都市部で、少量のマリフアナ所持を実質合法化する動きがじわじわ広がっている。
「じわじわ」ってなんだよ。何か汚染が広がるような表現に聞こえるのだが。
むろん、大麻の販売や栽培は、今回の条例が施行されても違法のまま。
「むろん」かよ。
「大麻は無害とは言わないが、暴力や事故に直結するアルコールよりよほど安全」というのが、トバートさんの主張だが、これまで少数派、異端としてとらえられることが普通だった考えが半数を超える支持を集めたことに、「時代が変わりつつある証拠だ」と、驚きを隠さない。
驚きを隠さない?ホント?この条例案が住民投票で過半数を得たのは2005年に続いて2回目。トバートさんは別に今さら「驚きを隠さない」というより、驚いてないだろ?写真のトバートさん、微笑んでるし。
この記事を日本に伝えようと思った松尾理也記者の公平さと、しかしそれを産経で伝えなければならないが故の、記者の苦渋の表現だろうか。
むろん、大麻合法化の主張は現在でも一般化しているとはいえない。
根拠は?説明抜きで、また「むろん」。「どんだけ~」だよ。
トバートさんは、「同種の条例はすべてリベラルな都市部で成立していることを考えれば、リベラル陣営の復権、伸長と共通する背景があるのは明らか」とした上で、さらに「保守派の中にも、個人の自由を最大限に尊重すべきだとの立場から賛同にまわる人も増えつつある」と、支持の広がりを指摘している。
なるほど。「大麻”合法化”の波紋」って、保守層にも支持が広がっていることを「波紋」と表現したわけですね。
どうしても大麻を社会問題にしたいらしい産経にしては、苦渋を滲ませながらもまあ何とか公平さを保ってまあ書けていると思います。よく書けました。さらに努力して頑張りましょう。○
★ ランキングとツイートにご協力ください ★
ツイート
麻枝光一的大麻生活で、教育評論家・斉藤次郎さんの裁判があったことを知った。リンク先に飛ぶと産経の記事だった。
大麻所持の“教育評論家”斎藤次郎被告に有罪判決
2007.11.5 12:12
自宅に大麻を隠し持っていたとして、大麻取締法違反(所持)の罪に問われた教育評論家、斎藤次郎こと水谷次郎被告(68)の初公判が5日、さいたま地裁で開かれた。
斎藤被告は起訴事実を認め、検察側は懲役10月を求刑して即日結審。佐藤基裁判官は懲役10月、執行猶予4年の有罪判決を言い渡した。
被告人質問で、斎藤被告は「昭和47年ごろから、友人に薦められ吸い始めた。大麻には意識の拡張作用があり、心を豊かにする。自分や周りを深く知るために役立つ」と述べた。
佐藤裁判官は「断続的に大麻を使用し、常習性も認められる。大麻をなぜ持っていたか自己分析できておらず、動機に酌量が認められない」と非難した。
判決によると、斎藤被告は9月21日、自宅書斎に乾燥大麻約3.56グラムを所持していた。
斎藤被告は教育評論や著作、教育に関する相談者として活躍。1年間、青森県の小学校に“留学”するなどユニークな活動でも知られる。
取り調べや裁判で「大麻は悪くない」などと言うと、反省していないとして、罪は重いほうに傾く。私は裁判官に、「被告人は大麻取締法の非合理性を主張するなどその態度はよくなく」と判決で言われた。裁判官がヘーきで思想と信条と良心の自由を踏み潰す。裁判官が思想を弾圧しているのである。
次郎先生はさすが。
「大麻には意識の拡張作用があり、心を豊かにする。自分や周りを深く知るために役立つ」
よくぞ言って下さいました。
佐藤基裁判官は笑わせてくれました。「大麻をなぜ持っていたか自己分析できておらず」だって。次郎先生は自己分析できてるでしょう。むしろ、自己分析するために大麻を使っていたわけでしょう。次郎先生は「自分や周りを深く知るために役立つ」って言ってるんだから。聞いてなかったのかな?聞こえないのかな?聞く気がないのかな?佐藤さん、あんたでしょ、自己分析できてないの。判例を踏襲してるだけのくせしてエラそーに。
次郎先生の裁判、他の新聞がネットでどう伝えているのか、毎日、朝日、読売の社会面ページを探してみたが、見当たらなかった。そこで、各新聞サイトで、「大麻」でサイト内検索してみた。やはり次郎先生の裁判の記事は見当たらなかった。探し間違いだったら指摘して下さい。
で、改めて、産経のニュースサイトで「大麻」をサイト内検索してみた。
1.簡単に買える大麻の種 野放し状態に批判(1/3)(07/11/27 04:30)
おっといきなりさすが産経。次郎先生の裁判の記事は4番目にあった。
1番目にリストされた3ページに及ぶ記事は、一言で言えば、「大麻の種が簡単に買えるのは問題だから規制しよう」と書いてある。
タイトルは「簡単に買える大麻の種 野放し状態に批判」だが、いったい誰が批判してるのか?
記事の冒頭。
検挙者が右肩上がりで増え続ける大麻。その原因の1つとして「種」がクローズアップされている。関東学院大ラグビー部の大麻取締法違反事件で、逮捕された部員2人も「渋谷で種を買った」などと供述したように、街やインターネットで簡単に買うことができる。栽培は違法だが、種の所持は合法。捜査関係者からは「(大麻の)所持や栽培をいくら摘発しても、種が野放しでは追いつかない」と嘆きの声も聞こえてくる。
捜査関係者が嘆いてるって話なのである。この記事、ぐーたらあーたら書いてあるが、何度か笑える。で、最後はこうである。
ある捜査幹部は「いくら栽培を摘発しても追いつかない。検挙者が増加しており、法整備など新たな手だてが必要だ」と訴えている。
ほら来た。やっぱり。相変わらずの、反動の御用聞きというか、提灯持ちというか。
でも、次郎先生の法廷での言葉を伝えてくれて、ありがとねん。こちらの受け止め方とは正反対の意図で書いたのだろうけど。
★ ランキングとツイートにご協力ください ★
ツイート
これまで厚生労働省に出してきた情報公開請求は、ダメセン大麻情報の根拠を示せ、という点を巡って取り組んできたものです。厚労省の対応に対する異議申立も行っており、まだ制度的には決着していない案件もあります。お役所仕事というやつですね。
20日付けで送った文書開示請求では、これまでのダメセン大麻情報の根拠を示せという観点からではなく、厚労省自身が大麻を有害だと断定する根拠文書と、大麻が原因で心身に悪影響があった症例の提示を求めました。
22日、厚労省に電話して受理を確認しました。回答が出たら、その内容を加味し、厚生労働省を訴えます。法律のプロである弁護士を代理人に立て、法廷技術のアドバイスなど欲しいところですが、引き受けてくれる弁護士がいないようであれば本人訴訟でやります。
門前払いになる可能性もあり、そうすると厚労省とダメセンを増長させることにもなりかねませんが、現状を放置するわけにもいかないので、やれるだけのことをやってみようと思います。もちろん、勝つ気でやります。
気合だ~!気合だ~!気合だ~!
★ ランキングとツイートにご協力ください ★
ツイート