シーン6 苛立ち
抗がん剤の治療が始まった。吐き気止めの点滴をまず行う。そのあとで看護師が抗がん剤のボトルに取り換えた。ぽたぽた落ちる点滴を見ながら、すっかり病人になっちゃったな、と早苗は悲しく思う。
抗がん剤の点滴の後、軽い吐き気が続き、早苗は食欲がわかない。食事が運ばれてきても匂いが不快に感じ、すぐに下げてもらう。全身が疲れてしまい、気力もなくなってきた。
痛みは相変わらず続き、モルヒネが飲み薬から点滴になった。モルヒネ以外にもいろいろな薬を試したが、痛みは結局80%位にしかならなかった。抗がん剤のため食欲もなくなり、痛みが続くことで、早苗は身も心も疲労してきた。本来明るい性格だが、さすがに苛立ちを隠せなくなってきていた。
長島医師は困っていた。どうも早苗の痛みは痛み止めの効きにくいタイプのようだ。神経が障害されておこる痛みはモルヒネが効かないことがある。癌の痛みの治療はモルヒネが中心であり、他の薬は補助的なものである。モルヒネが効かない痛みは、治療が難しい。
良介が夕方面会に来た。
「具合はどうだい?」
「どうもこうもないわ。食欲もないし、痛くて夜もゆっくり眠れないし。何だか落ち込んできた。もう、治療も止めて、死んでしまったほうが楽かも。」
「何を言ってるんだ。先生も看護婦さんも頑張って治療してくれているんだから、早苗も頑張らなきゃ。」
突然早苗の表情が変わった。
「何よ!あなたは私の苦しみが分からないくせに!頑張れって、いったいこれ以上何を頑張ればいいの?こんなに痛くて、こんなに辛くて。これ以上私が何をできるの!」
「ごめん。君の気持ちも分からずに。」
その時、早苗が突然苦しみだす。
「痛い、痛い、、足と背中が、、、。」
早苗は苦痛の表情を浮かべ、冷や汗をかいている。
良介はナースコールを押した。
「すみません、妻が突然苦しみだして、すぐに来てください。」
長島医師と看護師が部屋に入ってきた。
「どうしました?」
早苗が振り絞るような声で答える。
「急に電気が流れるように痛みが出て、、。いたた、痛い。」
「何をしていて痛みが強くなったのですか?」
「私としゃべっていて、ちょっと口論になって、そしたら急に痛くなったようです。」
良介が答えた。
「そうですか。旦那さん、ちょっといいですか?」
良介と長島医師は廊下に出た。
「早苗さんの痛みは痛み止めが効きにくいようです。興奮して、強い痛み発作が出たのでしょう。」
「先生、どうすれば。」
「今は痛みを取るのが難しそうなのと、興奮しているようなので、鎮静剤を使って眠ってもらったほうがいいでしょう。ゆっくり眠って休息をとったほうがよさそうです。久保田さんは今とても疲れているようだし。よろしいですか。」
鎮静剤を使い、早苗は静かになり、やがて眠ってしまった。眠っている時も眉間に皺をよせ、痛みは夢も中でも続いているようだ。良介は混乱していた。これからどうすればいいのか、自分に何ができるのか。しかし、無力感を感じるばかりだった。
(つづく)
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シーン5 乳癌の告知
放射線治療をしながら、いろいろと検査をした。
「こんなに検査するんだ。こういうのって検査漬けっていうのかな。」
早苗は思う。
長島医師がナースステーションで検査の画像を見ている。山のようなフィルムをあわただしく確認しながら、独り言を言っている。
「うーん。結構メタ(転移)しているな。若いのに・・・。肺に肝臓に、骨か。原発巣(初発の大本の部位)は、マンマ(乳房)か?バイオプシー(生検:癌の組織を取る検査)しないとな。」
長島医師が早苗の病室に入ってきた。
「久保田さん。検査の結果が大体出ました。詳しくはまたお話しするけど、どうもお乳のところに病気がありそうなんですよ。針で取って調べたいと思います。」
「お乳ですか?そういえばしこりのようなものがあります。痛くもないし、あまり気にしていなかったんだけど。」
「そうですか。ちゃんと麻酔して痛くないようにやります。これは、治療にかかわる大事な検査だからね。」
「わかりました。お任せします。」
注射針よりも太い針で乳房のしこりを一部切り取った。麻酔の注射が少し痛かったが、足の痛みに比べればどうということもなかった。数日後、検査の結果が出た。やはり、乳癌だった。
放射線治療が終了した。放射線が当たっていた部分は日焼けしたように色が黒くなった。検査を行い、骨の転移腫瘍は小さくなり、神経の圧迫も取れていた。痛みも軽くなったが、足の痺れるような痛みは残り、麻痺したままだ。モルヒネも効いているのかよく分からない。病院にいる緊張が薄れるにつれて、一向に取れない痛みに早苗は苛立ちを感じ始めた。
良介は長島医師に呼ばれた。早苗の病状と今後の治療についての説明だという。車いすに何とか移った早苗と面談室に入ると、長島医師と担当の看護師が座っていた。
「どうぞ、久保田さん。わざわざお呼び立てして申し訳ありません。どうぞおかけください。」
しばらく沈黙があり、長島医師が話し始めた。
「いろいろとわかったことがあります。今後の治療についてもお話します。まず、久保田さんの病気は、乳癌のようです。」
「乳癌ですか・・・、骨の腫瘍ではなかったのですか?」
納得いかない様子で良介が尋ねる。早苗は表情を失い、呆然としている。
「ええ、骨に転移しているのですが、元々は乳癌のようです。」
「そうですか。やはり癌だったのですね。」
早苗はいろいろな感情があふれ出て、かえって感情が無いような声で言った。
「驚かれたでしょうね。ショックだと思います。でも、癌といっても昔と違って治療がないわけではないんですよ。転移していると手術は難しいので、抗がん剤やホルモン剤を使います。まったく消してしまうことは難しいけど、良く効く薬も出てきました。希望を失わずに治療していきましょう。」
「わかりました。でも、私が一番辛いのは足の痛みです。これは治療でよくなるのですか?」
長島医師は、それは、私も悩んでいるところだ、と思う。
「痛みは、神経が傷ついて出ているものだと思います。乳がんの治療では良くならないかもしれない。時間がたてば良くなるかもしれないし、残ってしまうかもしれません。今はまず、痛み止めの使い方を工夫していくことにします。」
夫婦は病室に戻った。二人はしばらく言葉を失っていた。まず早苗が口を開く。
「やっぱり癌だったのね。治らないのかな。」
「そんな弱気なこと言うなよ。先生もいい薬があるって言っていただろう?とにかく治療を頑張るだけだよ。」
「そうね。ごめんね、心配掛けて。」
「また、言ってる。いいんだよ。早苗は今は自分のことだけ考えていれば。僕は君の夫なんだから。」
「ありがとう。」
早苗は、抑えていた感情があふれ出て、涙を流す。良介も心の中で涙を流す。
(つづく)
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シーン4 放射線治療
面談室で、良介と長島医師が話をしている。
「奥様のことで整形外科医とも話し合ったのですが、手術は難しいようです。」
「そうですか。どうすればよいのでしょうか。」
「まずは安静ですね。腰はコルセットで固定します。そして、腫瘍が原因ですから、その治療が必要です。放射線治療をすぐに行った方がいいでしょう。」
「妻にはどういえば。」
「そうですね。癌と聞くとショックを受けるでしょうね。でも、放射線治療をやるからには、告知したほうがいいですよ。少しずつ話していきますがいいですか?」
「分かりました。お任せします。」
早苗の病室に良介と長島医師が戻ってきた。
「久保田さん、ちょっとお話があるのですが。」
「何か悪い話ですか?」
この人は、勘のいい人のようだ。と長島医師は思った。
「病気と治療の話です。久保田さん、背骨が潰れてしまっていて、それが痛みや麻痺の原因みたいです。どうして、骨が折れてしまったのか、これが大事なことなのですが・・・。MRIをみるとどうも背骨の中に何か出来ているようです。」
「何か?悪いものですか?」
「うーん。でき物というか腫瘍というか、悪性かどうかはこれから調べていきますが、悪いものかもしれません。とにかく、早く治療した方が良いのは確かです。骨の腫瘍に放射線治療をやろうと思います。」
「私、死んでしまうんですか?」
「いえいえ、久保田さん、今は急なことだし、痛みも強いから、弱気になっているんですよ。とにかく治療しましょう。」
「分かりました。とにかく、痛みだけは取ってください。」
「痛み止めの治療も同時に行いますよ。モルヒネなども必要があれば使いますね。」
放射線治療が開始になった。治療は驚くほどあっけない。放射線を当てる位置を決めたら、機械の下に横になり、5分程したら終わってしまう。放射線は早苗の体を通り抜けていったのだろうが、熱さも痛みも無い。これを毎日、数週間続けることになる。
痛み止めの治療も始まった。消炎鎮痛剤とモルヒネの錠剤である。モルヒネを飲んだ後、早苗は眠気と軽い吐き気を感じた。しかし、陶酔してしまうようなことは無い。早苗は麻薬と聞いていたので、恐ろしいものを想像していたが、痛み止めで使う量ではそういう作用は無いようだった。
数日後、背中の痛みが軽くなってきた。痛み止めと放射線が効いてきたのだろう。しかし、両足のしびれるような痛みには効果がないようだった。相変わらず両足には感覚が無く、動かすことも出来ない。そして、長い時間正座をした後のようなジンジンと痺れるような痛みが常にある。
夕方に早苗の部屋に良介が来た。
「どうだい?落ち着いてきたかい?」
「うん。何とか。でも、まだ足が自分のものじゃないみたい。」
「きっと時間がかかるんだろう。あせらずやっていこう。」
「ごめんね、心配かけちゃって。仕事も早く切り上げたんでしょ?」
「・・・いいんだよ。それより、今は何とか病気をよくする事を考えようよ。」
その後、2人は他愛も無い話しをした。早苗は明るく普段どおりに振舞った。良介に心配をかけたくない、頑張って病気に勝たなくてはならない、と自分に言い聞かせていた。良介も笑顔で話しをした。良介は自分で早苗の病気の事を調べて、早苗の状態があまり良くないことを理解していた。しかし、早苗に暗い顔を見せると心配させてしまうかもしれないと考えていた。2人は、不安の中、お互いに明るく話をした。そして、お互いが無理に明るく話していることに気付いていた。2人は暗い話をかき消すように、面会時間が終わるまで話をした。
(つづく)
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シーン3 入院
整形外科医が話し合っている。
「L1から3(第1~3腰椎)の骨メタ(骨転移)で、L1が圧迫骨折しています。脊髄も圧迫されています。下肢は対麻痺で、感覚障害と痛みもあります。」
「メタはかなり多発しているね。原発は?」
「まだ分かりません。入院して一通り検査しようと思いますが。」
「うーん。難しいねぇ。これだけ骨メタがあると、オペ(手術)もリスクが高いし。麻痺が出て間も無いから、今後の事を考えるとすぐに治療をした方がいいんだけどね。」
「ラディエーション(放射線治療)でしょうか?」
「俺もそう思うね。原発も分からないし、内科に入院を頼むかな。」
腫瘍内科医の長島治郎が救急室に呼ばれた。長島医師は38歳、中堅の医師である。
「あ、どうも先生。この方なんですけど。」
整形外科医がMRIのフィルムを示す。
「ええ。電話で聞きました。骨メタで脊損になっているんでしたね。オペは難しいですか?」
「そうですね。メタが広汎で、オペはリスクが高くて出来そうも無いな。ラディエーションがいいと思いますが。」
「そうですね。分かりました。こちらで診ていくことにします。」
「よろしくお願いします。」
早苗は救急室のベッドで横になっている。その側に、呆然と血の気の抜けた顔で良介が座っている。そこへ、長島医師が現れた。
「こんにちは。内科医の長島と言います。入院の主治医になりました。よろしくお願いします。救急室はあわただしくて落ち着かないでしょうから、まずは内科の病棟に移りましょう。後でゆっくりお話しますね。」
早苗は内科の病棟に移った。内科の病棟は、救急室の慌しさと違い、明るくゆっくりとしていた。個室に入院となった。良介は長島医師に呼ばれて出て行った。清潔だが何も無い部屋で、一人寝ていると白い壁が寂しさを掻き立てる。看護師がやってきて、痛み止めの坐薬を入れてくれた。少し痛みは軽くなったようだ。気持ちも少し落ち着いてきた。
「一体自分はどうしてしまったのだろう。夫の様子や医者の話し振りも何だか隠し事をしているようだ。」
不安が頭をもたげてくる。
「ひょっとして、とても悪い病気なのかもしれない。」
早苗の頬を一筋の涙が伝った。
(つづく)
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【衝撃事件の核心】「大塚愛かわいい」真っ昼間、厚労省リモートホスト残して書き込む“ネカフェ役人天国”
MSN産経ニュース 2008.7.19 09:09
“ネットカフェ役人”-。東京・霞が関にある厚生労働省。そこには、まさにそんなネーミングがぴったりの呆れた勤務実態があった。厚労省の官用パソコンから、職員らが1日に12万件も「ゲーム」や「お笑い」にアクセスしていた事が発覚した。後期高齢者医療や医師不足などで社会の不信や反発を招いている厚労省。職員らは信頼回復に躍起になるどころか、職場をネットカフェ状態にしたような緩みようだったのだ。(鎌田剛)
大麻が絡む記事になると偏見に満ちた論調ばかりの産経ですが、この記事は面白かった。頑張れ産経。
厚労省のパソコンのアクセスが、もともと野放し状態だったわけではない。仕事と関係のないHPの閲覧規制を可能にするソフトは平成17年7月に導入済みだった。投資、ギャンブル、ドラッグ、アダルトといった分野は規制していたのだ。
今回、サボリの温床として明るみに出たのは、そこでは規制されていなかった「チャット」「ゲーム」「お笑い」といった分野のHPへのアクセスだった。
「ゲームなどには思いが至らなかった」
厚労省統計情報部はそう話している。
厚労省ではさっそく、6月18日に、これらのHPへのアクセスを規制した。
まさか勤務時間中にネットでゲームをやってる奴がいるとは統計情報部も思わなかったということでしょうか。ゲームサイトへのアクセスを規制したって、なんだか、校則の厳しい学校のようです。いっそ「靴下は白だけ」にしたらどうでしょうか。
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シーン2 救急受診
「久保田さん!!」
救急隊の声で目が覚めた。相変わらず背中から両足に電流が流れるような痛みが続いている。冷や汗は引いたようだ。洋服が汗にぬれて寒さを感じ、早苗は震えている。
「急に背中が痛くなって・・・。」
救急隊員は担架を持ってきて、早苗をそこに移した。体を動かされるたびに、息が止まるような痛みが走る。
「大丈夫です。これから病院に搬送しますから。」
「とにかく、この痛みを何とかして下さい。」
早苗は痛みの中、救急隊員に必死に言葉を搾り出した。
救急車はサイレンを鳴らして病院に向かう。救急車の中で、早苗は自分の足を動かそうと試みる。数センチ動かすのが精一杯で、自分の足ではないように感じる。自分に何が起こったのだろう。不安と痛みで、時間がとても長く感じられた。
救急車は、地域で最も大きな総合病院に到着した。救急車の扉が開くと、看護師と医者が待っていた。早苗はストレッチャーで病院の救急室に運ばれた。救急隊員と若い医師が話している。
「発症の状況はどうだったんでしょうか?」
「32歳、女性です。本日、午後4時10分頃、段差を降りた事をきっかけに、痛みと両下肢の麻痺が出現したようです。その後、短時間意識消失。到着後呼びかけのみで意識回復し、その後会話も出来ています。」
「バイタルは?」
「到着時血圧80、脈拍100、熱はありません。ショックだったようですが、救急車の中で自然に血圧100まで回復しました。既往は特に無いようです。」
「分かりました。ご苦労様です。」
早苗がベッドに横になっていると、あわただしく看護師が入ってきて、血圧や体温を測った。その後、医師が入ってきて、痛みについていろいろと話を聞き、その後、診察をはじめた。特に両足の感覚や動きについて入念に診察をした。その後、
「検査をするので、ちょっと待っていてください。」
と言って出て行った。
「背中の痛みと両足の対麻痺か。脊髄だな。レントゲンとMRIをやろう。」
検査の結果は、深刻なものだった。腰椎に腫瘍の固まりがいくつも多発していた。さらに腰椎の一つは潰れており、骨片が脊髄神経を圧迫している。腫瘍が骨を壊しながら大きくなり、弱くなった骨が潰れてしまったのだ。腫瘍で最も大きなものは、骨から脊髄神経の方に染み出しているように見える。
良介が病院に到着した。
「どうしたんだ?」
「急に背中が痛くなって、足が動かなくなったの。救急車を呼んでここに来て、今検査が終わったところ。」
「大丈夫かい?」
「分からない。まだ、背中と足がしびれるように痛むの。さっきよりはよくなってきているけど。」
早苗は良くなっているというが、良介にはとても辛そうに見える。
「せっかくの結婚記念日なのにごめんね。」
「早苗のせいじゃないよ。気にするな。とにかく病院にまかせよう。」
いったい何が起こったのか、良介は混乱していた。
「旦那さんですか?ちょっとお話が。」
良介は医師に呼ばれた。
「奥様は、痛みと足の痺れでこちらに見えられました。足を診察すると、麻痺、つまり動かなくなっていて、どうも背骨の神経がやられているようなんです。」
「えっ?何ですか、それは?そういえば、最近背中が痛いといっていたけど、でも、それ程強い痛みではないと言っていましたが。」
「そのようですね。今日、段差を降りたのをきっかけに急にひどくなったようです。それで、検査をしたのですが・・、ちょっと、悪い話をしなくてはなりません。」
「何でしょうか?」
「背骨が潰れて折れてしまっています。それが背中の神経を圧迫して、神経を障害しているようです。そのせいで、痛みと麻痺が出ている。そして、背骨に腫瘍、おそらく悪性の癌があり、どうもそれが骨折の原因のようです。」
「癌・・・。」
良介は絶句した。
「とにかく、入院ですね。」
(つづく)
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注意!この文章はフィクションで実在する人物や団体とは一切関係がありません。
医療大麻についてのフィクションを書いて、試験的に公開してみます。題名も仮称ですし、不完全なものです。もし皆さんの反応があれば、インタラクティブに変えていこうと思います。感想等書き込んでいただければありがたいです。
シーン1 発症
早苗はこのところ背中に鈍い痛みを感じていた。台所で立ち仕事をしたり重いものを持ったりした時に痛みは強くなるが、少し休めば気にならなくなるので、深刻には考えていなかった。「私も年かしら?」、何より、今まで風邪すらほとんどひかず、体は丈夫な性質であった。
「今日の夕飯はどうしようかしら?」、今日は早苗と夫にとって特別な日である。ちょうど2年前のこの日に2人は結婚式を挙げた。結婚してからの日々は幸せそのものだ。子供はいないが、夫婦はまだ2人きりの生活を楽しみたいと考えている。夫の久保田良介は会社員で、上司にも部下にも信頼されている。どちらかと言えば仕事人間だが、家庭をおろそかにしているわけではない。「怖いぐらいに幸せな日々だ。」、早苗は思う。
早苗は夕飯の準備を始めた。高い戸棚の中にある食器をとるために、踏み台に上った。そして、そこから降りた瞬間。背中に電撃を受けたような激しい痛みが早苗を襲った。声にならない声をあげ、その場に倒れこむ。両足がしびれるように痛み、動かすことが出来ない。全身から冷や汗が出る。歩くことが出来ず、両腕で床を這って電話のところに行き、119番に電話をかけた。何とか自宅の場所と痛みの症状を伝え、早苗は気を失ってしまう。
(つづく)
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厚生労働省では、勤務時間中にネットゲームに興じているお役人様が多いそうです。
厚労省はネットカフェ? 職員が業務中に「2ちゃん」「ゲーム」三昧
MSN産経ニュース/2008.7.13 01:22
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080713/crm0807130121005-n2.htm
「2ちゃん」で煽ったりといった工作活動でもしているのでしょうか。以前、総務省や文科省や厚労省がWikipediaを編集していたというニュースもありました。
厚生労働省からは「薬物」などの項目で編集があったほか、アダルトゲーム「ななついろ★ドロップス」の項目で解説も書き加えられていた。
総務省や文科省もWikipediaを編集していた 「WikiScanner」日本語版で判明
ITmedia News/2007年08月29日
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0708/29/news059.html
当サイトについて言えば、お役人様が仕事絡みの検索で辿り着く例もあるのだろうと思います。厚生労働省からは頻繁にアクセスを頂戴しています。それなのに人気ブログランキングのクリックはしてくれないのです。
厚生労働省の方には、仕事として、しっかりと、このサイトに書いてあることを、隅々まで、精読して頂きたいと切に願います。ただの見張りではなく。
go.jpという政府機関のドメインからのアクセスをちょっと抜いてみました。下がその表です。
IPを丸々晒すと個人が特定されてしまうかもしれないし、それはせっかくアクセスしてくれたのに悪いような気もするし、それよりまた勤務時間外にでもアクセスしてもらうほうが良いので、個人がバレバレになりそうな表記は避けてあげました。・・・しかしまあ、よくIP晒してアクセスしますねえ。
国土交通省からのアクセスが多いのは、職員の事件があったので、関連記事を検索した結果のようです。
厚生労働省はもうずっと常連さんです。読んで学んだことを政策に活かしなさいね。
警察はさすがにIPは晒しませんが、サーバー業者に押しかけてサーバー丸ごと探ったりしていたそうです。業者に文句言われました。
最高裁からもよく来て頂いています。大麻取締法の勉強でしょうか。何か分からないことがあったらメール下さい。
お役人の皆様、私たちは決して薬物乱用防止に反対しているのではありません。現在の科学的知見に基づく大麻の事実、大麻取締法の制定過程、その後の変遷、海外の事情等を再検証し、大麻政策を見直しましょう、大麻の可能性を活かせる日本社会にしましょう、と申し上げているのです。
大麻は、伊勢神宮で頒布される神符のことでもあります。GHQに大麻を弾圧されたのは、ある意味で敗戦を象徴していると思いませんか?
大麻の復権は、大和の復権という意味を内包していると、個人的には思っています。
ホスト | 閲覧ページ数 | 最後の訪問 |
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mlit.go.jp (国土交通省) |
93 | 2008年 7月 14日 - 17:18 |
courts.go.jp (最高裁) | 69 | 2008年 7月 14日 - 17:14 |
courts.go.jp (最高裁) | 54 | 2008年 7月 16日 - 05:04 |
mhlw.go.jp (厚生労働省) | 36 | 2008年 7月 15日 - 15:03 |
mlit.go.jp (国土交通省) | 19 | 2008年 7月 11日 - 15:43 |
primaff.affrc.go.jp (農林水産省) | 8 | 2008年 7月 09日 - 13:24 |
****.go.jp (××基盤機構) | 6 | 2008年 7月 09日 - 15:42 |
mlit.go.jp (国土交通省) | 6 | 2008年 7月 11日 - 08:55 |
mlit.go.jp (国土交通省) | 6 | 2008年 7月 16日 - 13:38 |
shugiin.go.jp (衆議院) | 6 | 2008年 7月 14日 - 18:45 |
mlit.go.jp (国土交通省) | 4 | 2008年 7月 11日 - 12:45 |
mlit.go.jp (国土交通省) | 4 | 2008年 7月 11日 - 13:44 |
mlit.go.jp (国土交通省) | 4 | 2008年 7月 10日 - 17:06 |
*****.go.jp (国土交通省××空港事務所) | 4 | 2008年 7月 09日 - 14:27 |
yusei.go.jp (郵政省) | 4 | 2008年 7月 14日 - 14:57 |
mof.go.jp (財務省) | 2 | 2008年 7月 11日 - 10:59 |
mlit.go.jp (国土交通省) | 2 | 2008年 7月 11日 - 10:28 |
mlit.go.jp (国土交通省) | 2 | 2008年 7月 11日 - 13:44 |
たまにはどう?↓
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面白い、つまらないビデオがありました。政府インターネットテレビ、内閣府制作の「厚生労働省 麻薬取締官」。捕まったことのある者として言えば、ちょっと美化しすぎてない?けっこうマヌケな奴もいたような気がするけど。誰と誰と誰とは言わないけど。変装のつもりなのか、似合わない髭が不審者にしか見えない奴とか。通報されないように気をつけてほしい。
私を担当したマトリたちは概して紳士的でした。捕まったほうが言うのもなんですが、悪い奴らではないように感じました。
この人たちは、これが仕事なので、この人たちに「大麻で逮捕するな」と言ってもしょーがないのですよね、政策を変えなければ。
大麻取締法を所管し、立法事実を把握する責任がある部署、厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課。本人たちが自覚しているかどうか、その罪は極めて重い。いつまで根拠もなくこんな馬鹿げた税金の無駄使いを続けるつもりなのか。俺が政権を取ったらクビにしてやる。ところだ。
大麻取締法を改正したらタクシーで帰っていいよ。天下りはダメゼッタイだけどね。
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【産経関西】大麻事件で整備局が全職員から聞き取り調査へ
2008年7月10日
http://www.sankei-kansai.com/2008/07/10/20080710-000909.html
国土交通省大戸川工事事務所主任が官舎で大麻を栽培し逮捕された事件で、近畿地方整備局は10日、木下誠也局長名で職員に対し、綱紀の厳正な保持を呼びかける文書を出した。
整備局は今後、職員自身や同僚に違法な薬物などの使用がないか、所属長を通じて全職員約2500人からの聞き取り調査も実施する。
聞き取り調査で、「ハイ、私もやってます!」と手を上げる人、いるんでしょうか。・・・いや、いなくていいんですけど。
ラグビー部の監督は辞めたんですけど、木下局長は辞めないんでしょうか?・・・いや、辞めなくてもいいんですけど。
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国土交通省職員が官舎で大麻を栽培して捕まった件、ウェブ上のニュースを見ると、各社とも麻薬取締事務所の報道発表を簡単に伝えるものですが、顔写真入りは産経だけです。さらに産経は、9日の一報に続き、12日には『【衝撃事件の核心】官舎は大麻畑…ジャンキー公務員夫婦のトンデモ生活とは?!』という、御用サブカル誌(?)の如きタイトルの記事を掲載しました。(*サブカル誌をバカにしているのではありません。御用をバカにしています。)
この事件はまだ容疑者が逮捕されたばかりであり、どのような背景事情があったのかなど、全く分かりません。容疑者は推定無罪の立場に在るわけです。それを、産経は、次のように書いています。
官舎の一部屋を大麻栽培部屋に“改装”し、夫婦で大麻を吸っていたという、ただあきれるばかりの犯行だった。
まだ判決が出ていないどころか、公判も始まっていないどころか、起訴されてすらいないどころか、取り調べが始まったばかりなのに、産経は取締当局の発表を偏見でコテコテと飾り立て、「ただあきれるばかりの犯行だった」と結論を出しています。産経はいつから裁判官の仕事を兼務するようになったのでしょうか。ただあきれるばかりです。大麻関連の報道に限りませんが。
大麻取締法では、種子の売買は禁じておらず、購入者が栽培すると知っていて種子を販売、提供しない限り罪には問われない。捜査関係者は「『観賞用』と説明されると、言い逃れとは分かっていても追及は難しい」とため息を漏らす。
種の売買も逮捕できるようにすればいいのに、と、捜査関係者と一緒にため息を漏らす産経記者が目に浮びます。
事態を重くみた厚労省は今年4月、種子を販売している店舗の情報収集を始めるなど、実態把握に乗り出した。ただ、販売規制に向けた具体的な動きは今のところないという。
販売規制に向けた具体的な動きを早く始めればいいのに、と、ため息を漏らす産経記者が目に浮かびます。
「大麻には使用罪がある」と言い張り、自社の記事の事実関係を確かめることもできない、まだ事件の背景や事情も分からないのに容疑者を「ジャンキー」呼ばわりする、ジャンク記事。ただあきれるばかりです。
参考:この事件の各社の一報(各社の掲載期間によりリンクはそのうち途切れます)
【産経】自宅官舎で大麻草栽培 国交省主任を逮捕 「妻と吸った」
2008.7.9 13:40
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080709/crm0807091341016-n1.htm
【朝日】国交省官舎で大麻草栽培の疑い 近畿整備局職員を逮捕
2008年7月9日13時45分
http://www.asahi.com/national/update/0709/OSK200807090044.html
【毎日】大麻栽培:官舎で55本 国交省職員逮捕 近畿麻薬取締部
2008年7月9日 23時39分
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080710k0000m040136000c.htmlka
【読売】国交省職員、官舎に“大麻部屋”…鉢植え55本や種
2008年7月9日13時58分
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080709-OYT1T00423.htm
【時事】大麻栽培、国交省職員を逮捕=大津の官舎で-近畿厚生局
2008/07/09-13:39
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_date2&k=2008070900407
【共同】国交省職員官舎で大麻栽培 近畿厚生局、容疑で逮捕
2008/07/09 13:26
http://www.47news.jp/CN/200807/CN2008070901000368.html
(この項続く)
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アメリカの大麻規制は日本より緩いと一般的に思われているようで、確かに医療使用を認める12州や、州レベルでは個人的な利用を非犯罪化しているところもあり、全体としては日本より規制が緩いと言えるかもしれません。が、欧州では個人的に利用する大麻は既に容認状態で、アメリカよりもさらに社会的に許容されています。
日本ではGHQの指令のままに大麻弾圧を開始して以来、ヘロインなどの蔓延に対処する厳罰化の流れで大麻の罰則も強化されてきました。少なくともアメリカでは大麻の医学的・社会学的研究が数々行われてきましたが、日本ではまともな研究は全く行われていません。かつて、厚生省麻薬課の課長は、禁止されているから研究できないと言いました。研究を禁止しておいて大麻が有害であるとプロパガンダしているのです。根拠も何もあったものではありません。
大麻の医療的な価値についても同様です。厚生労働省には仕事中にネットで遊んでる輩が大勢いるようですが、海外の大麻研究事例さえ把握していないのです。それは当方の情報開示請求で明らかになった、同省が所有している大麻についての全情報を見ても明らかです。厚労省には海外の薬物研究について情報を収集する担当者がいるにも拘らず、です。昼間はネットで遊んで帰りは居酒屋タクシーでしょうか。
参照:厚生労働省が持っている大麻情報の全て[情報公開請求への回答]
医療大麻に関するアメリカ連邦政府のデマは「カナビスに医療価値はない」をご参照下さい。
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談話室へのアクセス解析を見ていたら、「大麻 北海道 どこにある」というキーワードでYahoo検索から探しに来てました。そんな書き込みあったかなーと、思わず私も探してしまいました。が、お役に立てずに申し訳ないです。
「大麻で捕まったらどうなる」というのもありました。何かお役に立てたとしたら、それもまた残念なことではあります。
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国土交通省の職員が官舎で大麻を栽培し、近畿厚生局麻薬取締部に逮捕された事件は、今月9日に起きたことで、マスコミ各社も当日に報道した。まだあまり時間も経っていないから、今後の追跡報道がどの程度の騒ぎになるか分からない。が、昨秋、関東学院大学ラグビー部の学生が寮で大麻を栽培して捕まった事件ほど、マスコミは騒いでいないように見える。
ラグビー部の学生の件では、まるで袋叩きにするかのような報道で、逮捕された学生が警察から検察に送られる姿を、殺人犯でも映すかのようにテレビが垂れ流していた。記者会見を開いて謝罪した監督も、結局辞任に追い込まれた。
産経抄は「いかにも幼稚で、薄気味悪い感じさえしてくる」と書いた。どっちが。と私は思った。
国土交通省の職員が大麻を栽培したのは官舎だった。今後、上司が監督責任を問われ、何らかの処分を受けることになるのだろうか。もちろん、個人的に利用する大麻栽培は制度化・合法化して社会的に管理するのが良いと主張している者として、上司の処分を求めたり、責任を問うつもりなどない。ラグビー部の監督も辞める必要などなかったと思う。ただ、今回の件は、あまり大騒ぎにはならないようだな、という印象を持ったのと同時に、ラグビー部の事件の際の、マスコミ挙げてのバカ騒ぎは何だったのだろうと、改めて対比して考えた。
それまで規制の緩かった、輸入モノの大麻の種の取り締まりを、今後は厳しく処罰するゾという、取締当局の大々的なプロパガンダに、大学ラグビーの名門という舞台装置がまんまと使われてしまった、ポピュリズムに根を張るマスコミも、当局発表を垂れ流して虚しく大騒ぎした。取締当局にとっては、願ってもないストーリーを展開することができた。そういうことだったのだと、改めて思う。その後、大麻の種を売っていた店も次々と摘発され、流れが作られた。種を買って栽培していた者が捕まり、種を買った店にガサが入り、栽培すると知っていて売ったとして店の関係者が捕まったり、店の顧客リストから捜査が及んだ例もあった。今回の国交省職員の件も、種はネットで買ったと話しているそうだから、先に店が挙げられていたのかもしれない。そういう意味では、同じ流れで起きている事件かとも思う。
ネットで種を売ってる人、買ってる人、お大事に。
で、ここを読んでる政策担当者さん、取り締まり屋さん、それで、何か解決する?
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