多様な摂取法

カナビスの薬効成分は炭素と水素と酸素からなるTHCと呼ばれる化合物で、血液中に取り込まれていろいろな薬理作用を引き起こす。 カナビスはいろいろな方法で摂取することができる。大別すれば、
1. 煙りにして吸う
2. 蒸気にして吸う
3. 食べる
4. 飲物にして飲む
5. チンキ、カプセル、錠剤、スプレーで摂取
といった方法がある。また、身体の側からみれば、
1. 肺から吸収する
2. 胃と腸から吸収する
3. 粘膜から吸収する
という形態に分けることができる。

煙や蒸気は空気に混じって肺から血液に吸収され、迅速に薬理効果が発現する。このために慣れれば、活性成分の含有量が違うカナビスを吸っても摂取量をコントロールは容易でオーバードーズする危険は余りない。この性質はカナビスの安全な利用においてはとくに重要で、他のドラッグと際だった違いになっている。

だが、カナビスを食べたり飲んだりする方法では胃や腸が吸収するのに時間がかかるので、摂取量をコントロールすることは難しい。予期せぬオーバードーズに陥る可能性があるので、効果の分かっていないものを摂取するにはまず少量で試してみるなどの注意が必要だ。

また、THCは油や糖やアルコールなどにはよく溶けるが水にはほとんど溶けないという性質がある。このことは食べたり飲んだりする方法では極めて重要なポイントになっている。ただ単にマリファナやハシシを食べてもTHCは十分吸収されず体外にそのまま排出されてしまうので、事前に油や糖分などと一緒にカナビスを調理しておかないと効果は得られない。

さらに、医薬品としてカナビスを使う場合には、アルコールの溶液にしたチンキやカプセル、錠剤、スプレーなどで摂取することもできる。これらは主に呼吸器などの弱った病人が定量を簡単に摂取できるようにしたものだが、それだけに事前の製造に十分な素材チェックと安定した管理が要求される。

このように多様な摂取法が可能なドラッグは他にはない。このことはまたカナビスの医療使用においては使用法に明確な基準がなく、医師の側からすれば処方しにくい一因にもなっている。