ジョイント・スモーキング

  

カナビスやタバコを紙に巻いて吸うという習慣は比較的新しい。それまでは粘土や木や金属で作ったパイプが主体で、何かに巻くといえば葉巻のように植物の葉が使われていた。

木材パルプが開発される19世紀半ばまでは紙は貴重品で巻紙として使われることはなかった。それまでの紙は大半がカナビスの繊維から作られていたが、木材パルプの進出で需要を奪われた。しかし、カナビスから作った紙はパルプのような化学薬品が使われておらず、上質で薄く強く、燃やしても無味無臭でタバコの巻紙に適していたので急速に広まった。同時にカナビスをジョイントにして吸うという習慣も始まった。

興味深いことに、同じジョイントといってもアメリカとヨーロッパでは中身が違う。普通、アメリカのジョイントは粉状のマリファナだけを巻くが、ヨーロッパではカナビスとタバコを混ぜて巻く。これはアメリカでカナビスといえばたいていがマリファナで、それ自体がタバコのように燃えるのに対して、70年代までのヨーロッパでは、カナビスといえばマリファナではなくハシシが主体だったので燃えにくくタバコに混ぜて燃やした、という事情の違いからきている。

  

またジョイントの形状も異なり、アメリカではフィルター無しのストレートな棒状をしているのに対して、ヨーロッパのものはフィルターを使った円錐型をしている。これはやはりマリファナとハシシという使うカナビスの違いに起因していると思われる。ヨーロッパのジョイントはタバコを混ぜるといっても当初の目的はハシシを吸うことだったので、燃えやすいジョイントの先端を太くして無駄をなくすためだったのではないか?

  

アメリカのジョイントにフィルターが使われなかったのは、タバコのニコチンの心配がないことと、禁止で取締りが厳しく証拠が残らないようにするためだと思われる。ヨーロッパのジョイントも当初はフィルターは使われていなかったが、タバコの害が知られるようになってジョイントの改良が進みフィルターが入る長めのジョイント・ペイパーが開発され今の形状になった。

現在、オランダでは証拠が残らないようにする必要もなく、バッズも豊富に使えるので様々なジョイントが工夫されている。ユニークな形状を競う コンテスト もよく行われている。