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聖バフォ教会
最初の教会は1313年に建てられたがやがて火災で焼失し、現在の建物は1350年頃から建設が始まった。東側の聖歌隊席、真ん中の翼廊、現在パイプオルガンのある西側(グローテ・マルクト側)の3期に分けて130年がかりで現在の姿になったという。教会の塔の高さは80mもある。
当初はカソリック教会だったから装飾は現在とは全然違っていただろうが、まず内部に入ってキリストの絵や十字架など全くないことに驚かされた。ゴシック様式の高い天井、そこから吊る下げられたランタン、床の墓石などからここが教会であることは一目瞭然なのだが、祭壇らしい祭壇もなく壁面やステンドグラスもギルドなどの紋章はかりでキリストの姿はない。一番目立つのはやはりパイプオルガンだ。コンサートホールが教会になっているという感じだ。
当初のパイプオルガンはもっと小型のものが聖歌隊席の北側の壁にかかっていて、今の場所は大きなステンドグラスだったので、下は祭壇になっていてもっと教会らしかったかもしれない。しかし300年使ってきた古いオルガンが機能しなくなり、1735年から3年間かけて西側の壁に現在のパイプオルガンがつくられた。
他の国とは違ってオランダはオルガン王国であちこちの都市や村でも普通に見かけるが、この教会のパイプオルガンは特に有名だ。17世紀に大発展したハーレムはとても豊かだったらしく、町の長老たちの決定ですぐに建設が開始されたという。一刻も早く国一番のオルガンを持ちたいという心意気はハーレム人の気質を表しているような気がする。カナビスの取組みにもそれが現れているのでは・・・
パイプオルガンの高さは約30メートルで、使われているパイプの数は5000本以上。オルガンは空気を送り込んでパイプに共鳴させる構造になっているから、裏側では足踏みのフイゴを数人がかりで踏み続け管を通して空気を鍵盤のところまで送り込むようになっていたという。奏者は鍵盤やペダルなどを操作してそれぞれのハイプに空気を送り込んで演奏するわけだ。考えただけでもこれが途方もない楽器であることがわかる。
完成するとたちまち大評判になり、1740年と1750年にはヘンデルが、1766年には10才のモーツアルトがこれを演奏したという。今でも隔年で国際オルガン・コンクールが開催され、頻繁にリサイタルも開かれている。もっとも現在ではふいごではなく送風機が使われているらしいが。
見学後にパンフレットで、オルガンの右下の小さなチャペルが「犬のささやき」という名前だったことを発見した。以前に見た教会の内部を描いた絵で犬連の人がいるのに気付いてヘーと思ったことがあるが、まさか犬のチャペルまであるとは想像もできなかった。専任の世話係りもいたと書かれている。
教会の外側にはへばりついて小さな店が並んでいた。今は土産物屋やどういうわけか床屋だったりするのだが、昔は野菜の市場だっと書かれている。教会の隣りは肉のギルドハウスだし、この教会の役割が単に信仰の場というばかりではなく、日常生活でコミニュティ・センターとして気軽に利用されていたように感じられてハ-レムへの親しみがいっそう増した。
(2003年10月)
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