スパールネ川

中世時代に成立したオランダの都市の多くが防衛のために運河で町を囲いその内側に城壁を築いた。たいていの場合いは防衛しやすいように星形をしている。ハーレムはスパールネ川の蛇行を利用して運河を掘り町を形成してきた。川は天然の要塞でもあったっが、また内陸のハーレメル湖を北海と結ぶ重要な交易路でもあった。



オランダでは土地が平坦なので川が勢いよく流れるような光景はなく、どちらに流れているのかさえ気が付かないほどなので人口的に掘った運河と区別しにくい。そのことはハーレムでも同じなのだが、決定的に違うのはスパールネ川に架かる橋は交易船が通行できるようにすべてが跳ね橋や回転橋になっていることだ。



スパールネ川沿いの道を歩くのは楽しい。道も蛇行してカーブがあるから同じ風景でも見る角度が変わって飽きない。また、どの橋も形がさまざまで橋の見本市を見ているようだ。散歩の起点をアドライン風車にすると、まず風車のまわりがレジャー用のヨットやクルザーのドックになっていることがわかる。ここを出入りする船を追っていくと橋が次々と開いていく。



第一の橋に面して、ウイリー・ウォーテル・インディーカ店がある。天気が良よければ店の前のテラスに腰掛けて一服しながら船の行き来と橋の回転とアドリアン風車を堪能できる。風のある土曜日には風車も回転するらしい。




HempCity WebSite から転載

先を行って大きくカーブするとアドリアンは視界からはずれ、こんどは美しい跳ね橋が見えてくる。それを過ぎてしばらく行くとテーラー博物館にたどり着く。対岸には運河クルーズの観光船が停泊していた。







テーラー博物館を過ぎるとかつての計量所(1598年)があり、ここで荷揚げされた商品がすぐそばのグローテ・マルクトの市に並べられたのだろう。いまは役割を終えて酒場になっている。





さらに行くと回転橋がある。町の中心と対岸の住宅地を結ぶこの橋は人の通行が多い。跳ね橋はオランダではあちこちで出会うが回転橋は余りお目にかからない。橋の上に残された人は橋の係官で、船にあわせて自転車でやってきて中央の操作盤で回転させる。





橋の中央から来た道を振り返って見ると、計量所とテーラー博物館、跳ね橋、観光クルーズ船のほかにもバッフォ教会の尖塔がそびえ立っていた。



さらに行くと町は華やかさを増し自動車の交通量も増えてる。



かってのグローバル・ヘンプ・ミュージアムの辺りからは自動車用に作られた大げさとも思えるような片開きの橋が見える。


HempCity WebSite から転載



(2003年10月)