ドラッグ・テストの種類と問題点


ドラッグ・テストは、サンプルとして尿・血液・毛髪・汗・唾液などを採取して行われるが、カナビスの検出にはどれも専用キットや特別な装置が必要で、病院で通常行われている尿や血液検査で判明することはない。また、血液の採取には資格が必要な上により侵害的なので、血液検査は交通事故などの特別な場合を除けば余り行われない。

検査の方法も、大別すれば2段階あり、最初は免疫法などの簡易的な方法で分析が行われる。この段階の検査では、異物混入や偽装などの事前チェックも行われ、尿の温度や成分による性別・年齢なども確認される。そこで擬陽性になったり、不信のある場合、また精度の悪い唾液検査で陽性になった場合は、次のクロマトグラフ法などのさらに詳しい検査が行われる。

実際のドラッグ・テストでは、検査装置の閾値設定について十分なコンセンサスが形成されていない。多くの場合、検査の感度が悪いことではなく感度を上げ過ぎると間接喫煙や通常の売薬、ヘンプオイルなどに対しても陽性になりやすいことが問題になっている。アヘン系の検査では、ケーキなどに使われているけしの実を食べて陽性になってしまったという報告もある。閾値について熟知している医療関係者が少ないことも問題になっている。

また、現在では、ドラッグを触ったどうかを検査するスプレー型の簡易検査装置(I-Spy、イスラエル)や特定波長の光を当てて判定する瞳孔検査なども開発されている。この分野は需要が高いので今度さらにいろいろな手法が出てくると思われるが、簡易的な方法は常に正確性に問題があり、誤って陽性にされる可能性がある。検査が広まれば広まるほど検査官の平均的な質も落ちてくるので、こうしたトラブルも増えてくるに違いない。

学校でのドラッグ・テスト
Making Sense of Student Drug Testing - Why Educators Are Saying No

尿 $10-$50 マリファナ
コカイン
アヘン系
アンフェタミン
PCP
窶「 学校で最も使われているが、アルコールやタバコは検出されないことがある。
窶「 マリファナは体外に排出されるのに時間がかかるので検出されやすいが、コカインやヘロイン、アンフェタミンなどは排出が早く検出されないことがある。
窶「 尿の採取中も監視されるので侵害的で嫌な気分にさせられる。
窶「 採取した標本に何かを混ぜられる恐れがある。
髪毛 $60-$75 マリファナ
コカイン
アヘン系
アンフェタミン
PCP
エクスタシー
窶「 費用が高い。
窶「 アルコールは検出できない。
窶「 つい最近のドラッグ使用は検出されないことがある。
窶「 差別的である。黒髪の人はブロンドの人よりも陽性になりやすい。黒人の方が白人よりも陽性になりやすい。
窶「 間接喫煙で間違って陽性になることがある。
$20-$50 マリファナ
コカイン
アヘン系
アンフェタミン
PCP
窶「 結果を解析できるラボが限られている。
窶「 間接的なドラッグ付着でパッチが汚染され、間違って陽性になることがある。
窶「 発疹のある人、体毛の濃い人、切り傷やすり傷がある人はパッチを貼ることができない。
唾液 $10-$50 マリファナ
コカイン
アヘン系
アンフェタミン
PCP
窶「 最近のドラッグ使用しか検査できず、対象ドラッグも限られている。
窶「 開発中の技術なので、正確性に不安があり、テストのガイドラインも確立されていない。

職場でのドラッグ・テスト
Independent Inquiry into Drug Testing at Work

尿 2〜3日 窶「 最も広く使われている。20年以上の歴史がある。
窶「 最もカナビス使用の検出に向いている。
窶「 サンプルは再検査のために適切の保存しておく必要がある。
窶「 差替えや異物混入など最もごまかしが多い。
窶「 現場検査で陽性になった場合にはラボでの確認が必要。
唾液 24時間 窶「 直近のドラッグ使用の検出にむいている。
窶「 特にカナビスとヘロインなどのあへん系ドラッグに向いている。
窶「 現場検査では、口をゆすがれたりして薄くなったり、異物が混入しやすい。
窶「 サンプルの保管には冷蔵が必要。
窶「 現場検査では専用の長めの綿棒を使ってできる。
窶「 ロードサイドでの検査が可能。
窶「 陽性の場合はラボでの確認が必要。
24時間 、2〜3日 窶「 サンプルの汗は、専用のパッチを貼って採取する。
窶「 最高1週間貼ったままにしても検出できる。
窶「 はがすと24時間でドラッグ成分が変質してしまう。
窶「 信頼性が劣る。
窶「 警察は熱心に取り組んできたが、能率は上がらない。
血液 最高31時間 窶「 差替えられやすいので、サンプルの保管には注意が必要。
窶「 ラボでの分析が必要。
窶「 現場検査で結果を得ることはできない。
毛髪 1週間〜18ヶ月 窶「 アルコールは検出できない。
窶「 直近の使用の検出には向いていない。
窶「 ラボでの分析が必要。



運転関係のドラッグ・テスト
血か尿か、流動問題

尿 窶「 THCの存在そのものではなく、その代謝物を検知するだけ。
窶「 検知期間が長く、ドラッグ使用直後の悪影響を調べるには適正さを欠いている。
窶「 素面のカナビス・ユーザーを 「酔っぱらい」 としてしまう恐れがある。
窶「 免疫学的検査なので現場で結果が得られるが、擬陽性以上はラボでの確認が必要。
窶「 大半の擬陽性はラボで擬陰性になるが、警察は擬陽性を陽性と判定してしまうことがある。
血液検査 窶「 カナビスの代謝物だけではなくカナビスそのものの検出可能。
窶「 THCの血中濃度が5ng/ml以下の場合は事故のリスクを高めることはないと 指摘 されている。
窶「 平均的なカナビス・ユーザーでは摂取後1〜3時間以内にこのレベル以下に下がる。
窶「 運転に悪影響を及ぼすとされるTHC血中濃度の閾値についてはコンセンサスが確立してない。
窶「 侵害性が高い
唾液検査 窶「 現行の唾液検査方法では、カナビスは摂取後およそ1〜2時間程度しか検出されない。
窶「 唾液中のドラッグを確認するための適切な閾値についてはコンセンサスが得られていない。
窶「 交通現場での唾液検査に対する基準を確立した国はない。