オランダ、これ以上の緩和なし

司法大臣、議会のカナビス栽培計画を拒否

Source: Associated Press, (Source:Winnipeg Free Press)
Pub date: 23rd June 2006
Subj: Dutch Reject Looser Rules On Marijuana
Web: http://www.mapinc.org/newsnorml/v06/n817/a05.html


オランダ・アムステルダム発 -- オランダの司法大臣は昨日、当分の間、国のカナビス政策をこれ以上緩和するつもりはないと議会の要請を拒否した。

ピエト・ハイン・ドナー司法大臣は、南部のマーストリヒトで大規模なカナビス栽培を行うパイロット・プログラムの実施の許可を求められていたが、これに反対する姿勢を示した。

大臣は、議会に対して、栽培の規制管理を許せば合法化を明確に認めることになり、オランダの法律と他国と締結した国際条約に違反することになるので受け入れることはできないと説明し、提案を受け入れるくらいなら辞任するともほのめかした。

オランダの寛容政策は30年の歴史があるが、法律的にはカナビスは違法扱いになっている。しかし、少量の所持なら起訴されないことになっており、コーヒーショップでも販売が認められている。

こうした状況は、オランダの政策がコーヒーショップでの販売を認めておきながら、一方では栽培や供給を禁止し摘発するという変則的な土台の上で成り立っていることを意味している。今回の要請は、こうした矛盾を解消することを求めたもの。

支持者たちは、栽培を規制管理すれば、ユーザーが自分の吸っているカナビスの成分や安全性についてもっと的確な情報を知ることができるようになると主張している。

コーヒーショップ向けのカナビスを市などが規制管理して栽培する対策は、昨年の3月にマーストリヒト市長が提案していた。昨年の12月には、ドナー司法大臣も、議会から要請でしぶしぶ検討を約束していたが、今回はそれに正式に返答し、拒否したもの。

しかし、議会の多数ばかりか、連立を組んでいるVVD(自由民主党)やD66(民主66党)、さらに野党のPvdA(労働党)も栽培のパイロット・プランに賛成しており、大臣の頑なな態度には失望が広がっている。VVDでは、内閣の危機を回避するために、提案を受け入れるように大臣を説得するように動くと見られている。

オランダ内閣は、先に移民問題の処理をめぐっても硬直な対応に終止して批判が高まっており、危機的状況にある。

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オランダのコーヒーショップの バックドア問題 は、容認政策が始まったとき以来大きな問題になってきた。

30年前は大半が密輸入されたハシシが使われていたこともあって、容認政策が密輸を奨励することになることが問題とされた。しかし、ワーナードがアメリカからシンセミラをもたらした ことで、国内での個人栽培が盛んになり、密輸問題は自然消滅してしまった。

しばらくはこうした状況が続いていたが、犯罪組織も大規模栽培に取り組むようになってきて状況が変わってきた。貧しい家や農家を狙って栽培させたり、空き家やトレーラーなどでの栽培も日常化した。照明用の電気はもっはら盗んで賄われるようになり、あからさまな犯罪行為が横行するようになった。

ところが、警察が取締りを強化すると、以前からの良質の個人栽培者はリスクが高くなってやめてしまうようになる。だが、これがまた組織犯罪の拡大を招くという悪循環を引き起こし、カナビスの栽培がますます犯罪の温床になってしまった。


オランダでは、コーヒーショップを通じた寛容政策が正しかったという点では、国や政党や議員の評価が一致している。アメリカなどからは寛容政策を放棄するように再三圧力が加えられているが、それに同調する意見はほとんど聞かれない。また、30年の容認政策でカナビスの健康問題が取りざたされたことも事実上ない。

現在の最大の問題は、犯罪組織の温床になってしまった栽培問題にどう対処すべきかに集約されている。結局,所持や販売を認めておきながら栽培や流通を禁止しているという中途半端な状態が行き詰まってしまったということができる。

こうした認識が議員の多数に行き渡り今回のうねりになって現れた。ドナー大臣はかねがねカナビスには硬直的な態度に終止しており、今回の対応で指導力をますます失うことになるだろう。栽培問題の解決にはまだ長い紆余曲折が続くことになる。


一方、ヨーロッパやカナダ、アメリカ(州)などではカナビスの非犯罪化が進んでいる。しかし、オランダのように所持だけではなく販売まで認めているところはない。

しかし、所持だけの非犯罪化政策は、オランダ以上に組織犯罪の温床になってしまっている。カナビスを販売することは犯罪とされているために、入手したければ直接犯罪組織に接触しなければならなくなる。犯罪組織は品質の悪いカナビスばかりか、あらゆるドラッグを売り付けようとする。

今回、オランダが栽培までの合法化を通じて組織犯罪の温床を除去しようとしているのを見てもわかるように、結局、非犯罪化政策は犯罪組織ばかり助長する結果にしかならない。

このことは、多くの人が気づき始めている。アメリカやカナダなどでも、非犯罪化ではなく、カナビスをアルコールのように合法化して規制と課税でコントロールすることを掲げた運動が急速に広まってきている。

SAFER
TaxandRegulate.org
BC Marijuana Party (マーク・エメリー)
Cannabis Facts for Canadians