Weekly News

2007年12月27日



2007年カナビス10大ニュース

アメリカ・ワシントンDC発


1.DEA、カリフォルニアに医療カナビス・コミュニティへ空前の攻撃

2007年は、連邦当局がカリフォルニアの医療カナビス・コミュニティに対して空前の攻撃を仕掛けてきた。DEAによる医療カナビス・ディスペンサリーの強制捜査数は 
最高を記録 し、また、ディスペンサリーやクラブに店舗や建物を貸している家主に対しても、契約を打ち切らなければ最高20年の懲役と財産を没収すると脅迫する手紙を何百通も送りつけてきた。警告書 が届き始めた夏以降、州内の有名な医療カナビス・クラブが相次いで閉鎖に追い込まれている。


2.DEA行政法判事、連邦のカナビス独占供給体制に反対判決

2月、DEAのメリー・エレン・ビッツナー行政法判事は、学術研究目的でのカナビスの民営栽培について、「公共の利益」に合致するものだという 判断 を示した。この判決では、マサチューセッツ大学アマースト校が連邦食品医薬品局(FDA)の認可した研究に使うためのカナビス栽培を認めるように申請したことに対して、DEAが 不適切に拒否した と裁定を下している。これに対して、当局側はいまだに控訴も却下もしていない。


3.カナビス成分が乳癌や肺癌の転移や拡大を抑える

分子癌治療ジャーナルに掲載された2件の臨床前研究によると、カナビスの成分がさまざまな癌の転移や拡大を抑えることがわかった。最初の研究はハーバード大学によるもので、マウスに移植した肺腫瘍がTHCの投与3週間後には、無投与の対照群と比較して成長が50%以上抑えられたと発表している。2件目の研究はカリフォルニア太平用医学研究センターによるもので、CBD投与すると乳癌の転移に関係している遺伝子の活動を顕著に制限して乳癌の拡大を抑えることがわかった。


4.2006年のカナビスによる逮捕者数が過去最悪を記録

9月に発表された連邦捜査局(FBI)の年次定型犯罪報告書によれば、2006年のカナビス事犯で警察に逮捕された人の数が82万9625人に達し、年間逮捕者数では 過去最悪を記録 した。現在、カナビスによる逮捕者は38秒間に一人の割合になっている。


5.ニューメキシコ州、医療カナビスの使用を認めた12番目の州になる

4月にニューメキシコ州では、議会を通じて認定患者が医療カナビスを使うことを認める州法が成立した。医療カナビス患者を州による逮捕や追訴から保護する州法が成立したのは、1996年以降12番目 になるが、住民投票ではなく議会による法制化されたのはニューメキシコ州を加えて4州しかない。また、2007年には、ロードアイランド州バーモント州ワシントン州 が議会で医療カナビス法を修正している。


6.カナビスの臨床2研究、HIV患者に「明白な医療恩恵」を確認

後天性免疫不全症候群(エイズ)ジャーナルに掲載された 臨床試験データ のよると、HIV陽性患者では、カナビスの喫煙で日々のカロリー吸収量が増加して、体重が増える状態が良好に維持される一方で、認知能力への悪影響のないことが明らかにされた。また2月には、サンフランシスコ総合病院の研究チームは、カナビスの吸引でHIVの神経因性疼痛がプラセボに比較して顕著に軽減することを神経学ジャーナルで報告している。


7.バポライザー研究、気化によるカナビス搬送システムは「安全で効果的」

臨床薬理学&治療学ジャーナルに掲載された臨床試験データによると、蒸気(バポライズ)によるカナビノイド摂取法 は、喫煙での呼吸器系へのリスクを避けながらも吸入による迅速な効果の発現を求める患者にとって、安全で効果的な搬送方法であることが確かめられた。研究者たちは、「気化されたカナビスの吸引では、燃焼ガスに曝されることもなく・・・THCの搬送装置として効果的でしかも明らかに安全性を備えている」 と結論づけている。


8.カナビス禁止法のよる納税者コストは年間400億ドル以上

10月に発表された経済分析報告によると、カナビス禁止法のよる納税者のコストは年間420億ドルに達し、刑事裁判に税収の多くが浪費されている。


9.連邦巡回控訴審、病気の緩和目的でのカナビス使用の基本的権利を認めず

3月、第9回連邦巡回控訴審は、医師の監督下で 「身体の機能を守るために、耐えがたい痛みを避けて生きる」 ことが憲法で保証された権利とは言えないという判決 を下した。判決の意見書では、「医学と一般の社会通念からすれば……法的にカナビスの医療目的の使用を認めようとする機運も高まってはいるが、現在の法律の認識では、カナビスの医療使用が 「基本的」 で 「秩序ある自由という概念に潜在的に合致する」 権利であるという結論にはまだ到達しているとは言えない」 と書いている。


10.FDA独立諮問委員会、カナビノイド・ブロッカーの安全性を認めず

6月、食品医薬品局(FDA)の独立諮問委員会は、14対0の票決で、論議の的になっているカナビノイド・レセプターのアンタゴニスト(ブロッカー)である リモナバント が、アメリカの規制許可に合致せず人間の使用には安全とは言えないという結論を出した。委員たちは、リモナバントを処方された患者では、うつ、吐き気、嘔吐、さらに自殺傾向が高まることが示されていると報告している。ヨーロッパでは、現在、リモナバントはアコンプリアの商品名でダイエット補助薬品として販売されている。