留置された翌日、良介は弁護士が来ていると連絡を受け、面会をすることになった。良介は弁護士をまだ頼んでいないのに、と疑問を持つ。昨日聞いた当番弁護士というやつだろうか。とにかく、自分の状況を相談できる相手が出来そうな事にほっとする。
面会室に、30代後半の壮健な男がいた。弁護士との面会の場合は、警察官の立ち会いがなくてもよいらしく、警察官は出て行った。
「弁護士の渡辺と言います。よろしくお願いします。」
「久保田です。私、弁護士を頼んだ覚えはないのですが、当番弁護士の方ですか?」
「いえ、私は当番弁護士ではありません。実は、上田さんから連絡がありましてね。あなたの事情も聞きました。困っているだろうと思いましてね。力になれればと、こちらに伺ったというわけです。」
「そうですか。誰も相談できる相手がおらず、参っていたところだったんです。ありがとうございます。」
良介は、素直に渡辺弁護士と上田に感謝した。こういうのを地獄に仏というのだろう。
「では、時間がないのでさっそく話を始めましょうか。上田さんに聞いたのですが、あなた、奥さんの病気のために大麻を所持したということでいいんですね。自分では使ったことはないと。」
「・・・ええ。そうです。妻は癌で、激しい痛みがありました。通常の痛み止めは効果がなく、大麻が効くという話を聞き、使いました。実際に大麻はとても効果がありました。」
「なるほど、分かりました。それで弁護についてですが、最初に契約についてお話しなければなりません。逮捕されて送検されると弁護士をつけることができます。私は、私選弁護士ということになりますね。それで、かかる料金ですが、まず契約金が30万円です。そして、執行猶予になればその報酬を、30万円いただきます。最初にお金の話をするのは心苦しいけど、こちらも仕事ですから伝えないといけないんです。」
「お金は貯金があるので大丈夫です。他に心当たりもないし、渡辺さんはこういうケースになれてらっしゃるんでしょう?」
「そうですね。経験は多いです。」
「それじゃあ、私の弁護をお願いします。」
「妻が使ったとなると、罪が妻にも及んでしまいますよね。」
これは、良介が一番気になっていることだ。
「これは、微妙なところですね。まず、本人が大麻と知っていて使ったかどうか。知らなければ、罪に問うのは難しいでしょう。知っていたとしたら、これは難しいのですが、大麻取締法では医療目的で施用を受けることが禁止されています。しかし、事情が事情ですからね。裁判官がどう判断するかになるでしょうね。」
「よかった・・・。妻には、大麻だと知らせていません。」
良介は少しほっとした。
「それで、取り調べではどのようにしゃべったのですか?」
「それが、妻のことを話すとまずいかと思い、自分で吸うために購入したと話してしまいました。」
「それは、ちょっとまずいなあ。まあ、その状況ならしょうがないですけどね。それで、今後どうしていきましょうか?ひとつは、自分で吸うために購入したということにして裁判を終わらせる。反省した態度を示せば、初犯だし執行猶予になるでしょう。もうひとつは、医療目的であったことを正直に話す。検察には、供述を覆すことになり悪い印象を与えることになるので、裁判は大変になるかもしれない。でも、情状酌量の余地があるから無罪の可能性もある。今まで、自分が使わず、人に医療目的で使うためだけで所持して捕まったというケースはないんですよ。だから、裁判所がどう判断するかは分からないところがあります。ただ、これは実際に本当のことで嘘をつくわけではないし、あなたの名誉も守られる可能性がある。」
「どっちがいいのか。正直なところわかりません。でも、自分が悪いことをしたとはどうしても思えないのです。なんで裁判になるのか、まだ、自分の立場を受け入れられないんです。」
「そうですか。私としては、これは重大な人権侵害だと思っています。問題の提起の為にも、医療目的であることを主張して闘ってみたい気がします。久保田さん次第ですが。」
「先生、結構熱いですね。留置場で同室の人は、罪を認めて早めに裁判を終わらせたいという弁護士が多いと聞いていたのですが。」
「ははは。私は、とにかく正義と真実を大事にしたいと思ってるんですよ。仲間からはちょっと青臭い奴と言われますけどね。」
渡辺弁護士は笑いながら言った。良介は、この先生は信用できそうだと思う。
「もう少し考えさせてください。ひとつ、お願いがあります。妻の病院に行って、妻の主治医とお話ししてもらえませんでしょうか。妻の様子を聞いてきていただきたいのと、妻にこのことを伝えたくないので、僕が急な海外出張で行けなくなったことにしておいて貰えないか、と頼んでいただけませんか。」
「わかりました。私はあなたの味方です。あなたのいいようにしますから安心してください。」
(編集部注)良介が私選した弁護士は、自分で使うのではなく、人が医療目的で使うための大麻を所持していたケースを知らないようだが、現実には、そのようなケースが過去にあったようだ。病の父親に使わせる目的で、繁華街で外国人から大麻を買い、張り込み中の刑事に職質され逮捕に至った例だ。この例では、もちろん尿検査の反応も出ず、不起訴になったと当事者から聞いたことがある。
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福田首相が辞めるらしい。公明党には暗に交代を求められ、党内でも福田さんでは選挙に勝てないと囁かれ、せっかく消費者庁を創設しようとしているのに、「消費者がやかましい」と放言した農林水産大臣に、またしてもの事務所費問題まで出てきてしまい、もうしばらく総理をやろうと思って内閣改造をした福田さんも、さすがにダメだこりゃ、と思ったのに違いない。
今のところ、薬物乱用対策推進本部のサイトは更新されておらず、今後の「5か年戦略」で大麻の種の取り締まりを強化するという厚労省の方針を文書で確認することはできない。
総理大臣が変わって、薬物乱用対策推進本部の方針、特に大麻の扱いについて、何か変わるだろうか。所信表明演説の直後に政権を投げ出して未だにヘーキで議員を続けている安部氏が首相になったときも、薬物政策に関して、大麻の扱いについて、何も変わらなかった。もうずっと延々と同じような厳罰政策が続いているように思える。いったい、いつからこんなことになっているのだろうと遡ると、GHQに大麻取締法を強いられたことに行き着く。
大麻取締法は、所管する厚生労働省の権益に属し、薬物政策を盾にして、天下り法人を作って食い物にしてきた。大麻の事実など、どうでもいいのである。大臣が代わろうと同じ穴の狢。政策については、政治家が方向性を出すのではなく、官僚たちが決めて、それを大臣たちに吹き込んできた。
福田首相の後に誰が就くとしても、現在の自公政権のうちは、官僚による前例踏襲が続くだけだろう。
人気凋落の自民党は、人寄せパンダを立てて総裁選挙をお祭り騒ぎに演出し、マスコミを動員して支持率の回復を狙ってくるのだろう。
30~40万票と、2400億円あります。新総理、大麻どうすか?
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「医療大麻を推進する会」の上田は事務所で仕事をしていた。そこに電話がかかってきた。
「もしもし。上田ですが。」
「上田さんですか?佐藤ですけど、ソーマ君が捕まったんですよ。上田さんに連絡してくれって頼まれて電話しました。」
「何?いつ?」
上田はしかめ面で答える。
「×日に自宅に踏み込まれたらしいです。ソーマ君栽培してたでしょ。通販で種買ったらしいんだけど、そこから足がついたみたいですよ。」
「最近、種を売ってる業者から捕まることが多いねえ。で、他に誰か捕まったりしてないの?」
「それが、たまたま一緒にいた人が捕まっちゃったらしいんですよ。そうそう。上田さん会ったことある人ですよ、多分。奥さんが癌とか言ってた。」
「ああ、久保田さんか。困ったことになったな。でソーマ君は何か言ってた?」
「そうですね。何か、弁護士を紹介してほしいとか言ってましたけど。」
電話を切って、上田は名刺を探し始めた。
「あった、あった。」
上田は名刺に書いてある番号に電話をした。
「もしもし、渡辺先生?あの節はいろいろお世話になりました。ええ。ちょっと相談したいことがあるんですけど。そうです、ちょっとトラブルがあって。お会いできますか?ありがとうございます。じゃあ、そちらに伺います。」
上田は、弁護士事務所を訪ねた。事務所には30代後半の壮健な感じのする男がいた。
「先生、お久しぶりです。前回の裁判の時はお世話になりました。」
上田が挨拶した。
「いえいえ。結果が良くて良かったですね。で、今回は何でしょう?」
「それがですね、うちに出入りしてる若いのが、大麻所持で捕まってしまったんですよ。そいつは普通に、普通っていうのもなんだけどね、自分で吸うために栽培していて捕まったんですよ。ただ、その時一緒に捕まった人がいて。」
「はあ。その人に何か問題が?」
「それが、僕んとこに一回来たことがあって。奥さんが癌で、大麻を医療目的で使いたいっていうんでね。それが、あまりに真剣だったもんだから、うちの若いのを紹介というかね、連絡先を教えたんですよ。そしたら、今回捕まったってことで。まあ、僕も責任の一端があるかなと。」
「医療目的ですか。大麻って医療目的で使えるんですか?」
「ええ、漢方では昔から使われてきてますよ。今注目されてるのはエイズや末期がんの治療ですね。慢性の痛みや食欲増加にいいということで、欧米の大手製薬会社も研究してますよ。日本では大麻取締法で医療目的の使用は禁止されとるけども。ひどい人権侵害ですよ!」
「そうですか。それでその彼は純粋に医療目的なんですかね?」
「多分ね。あれは嘘をついている感じじゃなかったな。それで、先生、ちょっとその彼の相談に乗ってもらえないですか?」
「うーん、何だかややこしそうだな。まあ、上田さんに頼まれるとね。やだって言っても聞かないでしょう?」
「先生、ありがとう。よろしくお願いしますよ。」
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麻薬取締官事務所には留置場がないため、良介は近くの警察に移され留置場に入れられた。留置場は、8畳ほどの大きさで、部屋には何もない。窓には頑丈そうな金網が張ってある。部屋には5人収容されていた。
良介は部屋の人に挨拶をして、中に入った。留置場ということで、凶悪な人が同室だったらどうしようかと心配していたが、そのようなことはなく、みな気さくに話しかけてきた。同じ境遇で相憐れむというところもあるのだろうし、何より、娯楽がなく人と話すことが唯一の楽しみであるようだ。
同室者は、2人が外国人で3人が日本人であった。2人の外国人は、東南アジアから出稼ぎで、不法労働ということで逮捕になったらしい。日本人は、1人は傷害事件、1人は覚醒剤所持で逮捕されたらしい。もう1人は老人だが、どうも1人暮しで認知症になってしまい、周囲を徘徊し、女性にわいせつ行為をはたらこうとしたという理由で逮捕されたようだった。
覚せい剤所持で逮捕された男は、ちょうど良介と年も近く、同じ薬物犯ということで、良く話しかけてきた。
「あんた、大麻で捕まったんだってな。俺もやったことあるけど、あれは悪いものとは思えなかったね。シャブに比べりゃあ酒みたいなもんだよな。」
「はあ・・・。」
良介は、気のない感じで返事をした。
「あんた、でも、やりそうにみえないけどね。真面目なサラリーマンって感じじゃん?どうしてやるようになったの?」
「・・・。」
良介は、話しかけながら、感情が抑制できなくなってくるのを感じた。「急に逮捕され、取り調べを受け、そして今は留置場にいる。自分は妻の病気を良くしたかっただけなのに、ひどい状況になってしまっている。これからどうなってしまうのかも分からない。そして、妻は今どうしているのか。大麻がなくなって。痛みはきっと強くなっているに違いない。今の自分の状況をどう伝えるべきなのかも分からない。何故こんな目に逢わなければならないのだ。」良介は俯き、悲しみと怒りで背中を震わせる。男が良介の肩を叩く。
「おいおい、大丈夫か?まあ、急なことで無理もねえよなあ。俺も最初はつらかったぜ。今はだいぶ落ち着いてきたけどな。」
「すみません。急に色々あったもんで。もう大丈夫です。」
その後、男の逮捕の経緯や取り調べなどについて聞いた。薬物犯なので参考になるだろうということだった。
男は、1週間前に覚せい剤所持で現行犯逮捕された。警察で取り調べを受けて、送検されたばかりだ。これから検察で取り調べを行う予定で、留置場で待機させられている。
「今は、待ちぼうけさ。いつ検察に呼ばれるか分からないし。弁護士も付けたんだが、これがひどい弁護士でねえ。」
「弁護士?そういえば取締官が弁護士をつけられると言っていましたが、具体的にはどうするんですか?」
「当番弁護士ってのがいるんだよ。要は、警察で営業してる連中だと思うよ。当番で俺たちの弁護してくれる奴が決まってるってわけ。でも、選べないし、選べたとしても、どいつがいいのか分んねえからなあ。まあ、警察が紹介してきたのを頼むしかねえわな。それで俺の弁護士はひどくてよ。弁護士なのに取調官みてえな感じで。しかも薬物関係はあまり専門ではないとか言いやがって。とにかく正直に全部言って罪を素直に認めろ、しか言わねえ。言い逃れて向こうの心証を悪くすんなってのよ。まあ、証拠もあるし言い逃れようがねえから、とっとと罪を認めて早く裁判終わらせてえのは分かるけどよ。でも、俺の罪を軽くするためにどうすりゃいいのかもっと考えてくれてもいいよな。あれじゃ裁判官や検察とグルだぜ。誰か知ってる弁護士がいりゃあ、そっちに頼んだ方がいいぜ。」
注)当番弁護士制度について。男は「警察から紹介される」といっているが、正しくは日本弁護士連合会による制度である。逮捕された人が当番弁護士によって1回無料でアドバイスを受けることができる制度。警察に当番弁護士を呼んでほしいと伝えると弁護士会に依頼してもらえる。その後の弁護も依頼できる。
http://www.nichibenren.or.jp/ja/legal_aid/on-duty_lawyer/index.html
「そうですか。」
良介は、もちろん知っている弁護士などいない。しかし、まずは誰でもいいから相談できる人、外の世界と連絡を取ってくれる人が欲しい、と思った。
9時に消灯になり、良介は布団に横になった。なんとなく考え事をしていると、なんだか隣の布団が騒がしい。
「俺はもう帰るよ。もうこの船も港に着いただろう。」
認知症の老人が騒いでいる。
「開けろ、開けろ!」
扉を叩いている。
「どうしました?」
良介が聞くと、
「母ちゃんか、今から帰るぞ!」
と、すっかり興奮状態になっている。ここがどこなのか、自分が話しているのが誰なのか、全く分からなくなっているようだ。
留置場の担当の警察がやってきて、
「爺さん、またかよ。困ったなあ。ここは留置場で、あんたまだ帰れないから。言っても分んねえだろうなあ。しょうがねえなあ。ああ、あんた、悪いけど爺さんの面倒みてくれないか。」
「え、私がですか?」
結局良介は老人の面倒を見ることになり、ほとんど眠ることができなかった。「ああ、何てことになってしまったのだ。」良介はあまりに疲れ果てて、自分のひどい状況が逆に笑えてきた。
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覚せい剤には使用罪があり、尿検査で陽性反応が出れば、それだけで逮捕される。だが、大麻には使用罪がないので、尿検査で反応が出ても、それだけでは逮捕されない。どこかで誰かの副流煙を吸い込んでしまっただけかもしれない。でも、どこかで誰かの覚せい剤を吸い込んでしまうと逮捕される。
ジャーナリストには、なぜ大麻には使用罪がないのかを考えてほしい。そのような意味もあって、「使用容疑でも調べる」といった表現については、これからも訂正を求めたいと思う。
考えてみるがいい(天木直人ふう)。大麻取締法にないのは、使用罪だけではない。目的もないのだ。
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相次ぐ大麻取締法違反事件の報道のせいか、検索エンジンから「大麻」をキーワードとする検索結果でのアクセスが増えています。
大麻の事実をご存知ない方には、まずアメリカ政府やイギリス政府が資金を出して研究した、大麻の医学的な研究結果などを知って頂きたいと思います。
参照:カナビス(大麻)主要報告書一覧(カナビス・スタディハウス)
大麻には、アルコールやタバコほどの害はないことが、科学的に明らかです。
一方、日本では科学的検証に耐え得るような大麻研究が行われたことはありません。
参照:厚生労働省が所有している全大麻情報[情報公開請求への回答 08/01/05]
日本政府が公的に出している大麻情報は、厚生労働省の天下り財団法人が「ダメ。ゼッタイ。」として国民に周知しているものですが、これは当の天下り財団専務理事が「情報が古くて見直す必要がある」と認め、厚労省の担当者(麻薬対策課情報係長)も、「まあ、根拠はないんでしょうね」と言っているシロモノなのです。「ダメ。ゼッタイ。」大麻情報は、15年前まで天下り財団がアメリカから輸入して国内の教育者向けに販売していた、薬物模造標本の説明書を翻訳しただけのものです。
相変わらず現日本政府は大麻の医学的な情報も持たず、無意味に大麻を弾圧していますが、例えばフランスやデンマークでの例をぜひご一読下さい。デンマークでは大麻の所持よりも、自転車に乗りながら携帯電話を使うほうが罰金が高いそうです。
参照:逮捕された人たちの話/デンマークでは
参照:逮捕された人たちの話/フランスでは
大麻の弾圧は、禁酒法に似ています。弾圧するからこそ、ブラックマーケットは繁盛するのです。アルコールほどの害もない大麻を弾圧し、ブラックマーケットに追いやることで、大麻ユーザーを他の危険なドラッグに近づけているのです。大麻は他の危険なドラッグの入り口になるという言い方をする人たちがいますが、それは大麻をブラックマーケットに委ねているからこそ起きている現象です。
大麻には酔う作用がありますし、決して無害ではありませんが、アルコールほど危険なドラッグではありません。栽培と流通に対して課税し、社会的に管理すればいいだけの話です。
マスコミは、著名人が大麻で逮捕されたりすると大騒ぎしますが、大麻で意識が錯乱して凶悪な事件になったことはありませんし、大麻で逮捕の報道を見ても分かるように、どこにも危害や被害どころか、迷惑すらかけていないのです。窃盗罪にすら罰金刑があるのに、このような大麻を懲役刑で罰するのは異常なことです。それは取り締まり当局の仕事と予算を増やし、刑事行政に費やす税金を無意味に浪費しているだけなのです。
近年では海外の研究機関が大麻のさまざまな医療効果を明らかにし、ハーバード大学医学部名誉教授のグリンスプーン博士は、「大麻はやがて21世紀のペニシリンと呼ばれるようになるだろう」と言っています。ところが、日本では、大麻取締法によって大麻の医療利用を懲役刑で禁じており、所管する厚労省は大麻の医学的研究すら禁圧しているのです。研究すら禁じておいて「ダメ。ゼッタイ。」と全くのデタラメ大麻情報を国民に周知教育し、洗脳しているのです。
縁あってこのサイトを訪れて下さったみなさん、ぜひ大麻の事実を知り、何が問題なのかを、厚労省に植えつけられた偏見を脇に置いて、考えてみて下さい。
大麻取締法は、もともとGHQに押し付けられた産業政策です。
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良介とソーマは麻薬取締官事務所に連れて行かれた。その後、2人は別の部屋に連れて行かれ、それぞれ取り調べを受けることとなった。
取調室は狭く、机といすがあるだけの殺風景な部屋だった。机の上には、ノート型コンピューターとプリンターが置いてある。取り調べを行うのは2人の麻薬取締官で、1人はベテランで40代後半位の男、もう1人は若い20代後半位の男だ。2人とも逮捕の時のような緊張感は漂わせてはおらず、どちらかといえば紳士的な感じである。
「どうも。私は岡村と言います。彼は部下の鈴木です。これからあなたのことをいろいろと聞かせてもらうよ。あなたは初犯だし、少量の所持だけだから、正直に答えてもらえば、罪はそれほど重くはならないよ。だから正直に話してくれよ。」
ベテランが自己紹介し、取り調べが始まった。岡村が主に取り調べを行い、鈴木がコンピューターで供述書を作成する係のようだった。
「あなた、名前は?」
「久保田良介です。」
「相馬とはどのような関係?」
「どういう関係といわれても、あまりよく知らないのですが。」
「知らないと言われてもね。家に一緒にいたでしょう?彼から大麻を買ったんだね?」
良介はしばらく黙っている。しかし、現物を調べられている以上言い逃れはできない。
「はい。彼から大麻を買いました。」
「で、久保田さん、買ったのは今回が初めてかな?」
「いえ、今回で2回目です。」
「大麻は自分で使ったんだね?使い方は、喫煙かい?」
「そうです。タバコに混ぜて喫煙しました。」
部下がコンピューターで供述書を作り、その場で印刷する。
「私、久保田良介、は○月×日、東京都渋谷区○○相馬正のアパートで大麻草2gを所持した。大麻草は乾燥させ、透明なビニール袋に入れていた。大麻草は、自分で使用する目的で相馬正から金5000円で購入した。相馬正から初めて大麻を購入したのは×月△日であり、今回は2回目の購入で、大麻を購入する目的で相馬の自宅を訪れた。・・・」
良介はその紙に署名と人差指で捺印させられる。その供述書を見ていると、自分が法律を犯した犯罪者なのだということを実感させられて、良介はひどく気分が落ち込んでしまった。
話がひと段落したところで、岡村が世間話でもするように話しかける。
「あなた、すごく真面目そうだし、大麻に縁がなさそうにみえるけどな。どうして大麻をやろうと思ったんだい?」
「いや、それは・・・。」
良介は言葉に詰まる。
「ところで、久保田さん、家族はいるの?連絡しようか?」
岡村が尋ねる。
「はい。妻がいます。でも病気で入院中です。心配させたくないので連絡はしないでください。」
「久保田さん。奥さんが具合悪いのに何やってるの?」
岡村が若干あきれた様子で言う。
「・・・はい。妻が入院してさみしさでつい手を出してしまいました。」
良介は動揺した様子で答えた。良介は妻に罪が及ぶのを恐れ、とっさに嘘をついた。
「いろいろと大変なんだろうけどねえ。こんなものに手を出しちゃダメだよ。まあ、奥さんには連絡しないでおくよ。でも、いずれ伝えてあげた方かいいよ。」
「お願いします。」
「じゃあ今日はこれで終わりだ。久保田さん、しばらく留置所にいてもらうよ。」
取り調べの最後に良介は尿検査をされた。尿検査の結果は当然陰性である。ようやく取り調べが終わり、良介は身も心も疲れ果ててしまった。何も考えることが出来ない。
取り調べの後、麻薬取締官二人が喫煙所で話している。
「岡さん、あいつ尿検査陰性でしたね。陽性だと思ったのに。」
「そうだな、なんか、引っかかるな。あいつ何か隠してないか?とりあえず送検になるな。」
岡村は良介の送検を決めた。
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脱法ドラッグ規制を強化 大麻種子も対象に、政府が5カ年戦略
政府は、麻薬に似た幻覚作用があり青少年を中心に乱用が広がる「脱法ドラッグ」の規制対象を拡大する。インターネットなどで流通が続いている新種の薬物について、薬事法で製造、輸入、販売を禁じる「指定薬物」への追加を急ぐ。大麻対策でも、食材や繊維材料などの用途以外の種子の不正輸入・販売を取り締まる方法を検討する。
一連の方針は、政府の薬物乱用対策推進本部(本部長・福田康夫首相)が今月下旬にも正式決定する2008年度からの「薬物乱用防止5カ年戦略」に明記する。 (16:23)
NIKKEI NET(日経ネット)
政府の薬物乱用対策推進本部は、平成15年7月に策定された「薬物乱用防止新五か年戦略」に取り組んできた。今年6月にその期限を迎えたので、これまでの5年間の取り組みをどのように総括したのか、7月に取材してレポートした。
参照:追跡「薬物乱用防止新五か年戦略」(08/07/04)
内閣府の担当者によると、7月の時点ではまだ総括は未着手だった。また、同本部のウェブサイトに掲載されている薬物の「正しい知識」のうち、大麻に関するデータを情報開示請求したところ、薬物乱用対策推進本部は大麻の正しい知識を全く把握していないことが今年2月に明らかになっている。
参照:内閣府から情報公開請求への回答(08/02/07)
つまり、日本政府は、大麻の何が問題で取り締まっているのかを全く認識しないまま、GHQに押し付けられた大麻取締法を頑なに守り続け、新たに種の規制を強化しようとしている。そのアメリカ連邦政府も、オバマが大統領になれば、少なくとも医療大麻の扱いに関しては、規制を緩和する可能性がある。
参照:アメリカ民主党大統領候補全員が医療カナビス支持を鮮明に-カナビス・スタディハウス
大統領選挙でオバマ氏が選出され、アメリカの大統領が医療大麻を認める政策を打ち出したとき、日本政府もそれに追従するのだろうか。情けない。
もとより、来年1月まで、現在の自公政権が存続しているかどうかは分からないし、日本でも政権交代が起きている可能性がある。
もちろん、仮に日本で政権交代が起きたとき、その新政権が大麻弾圧をやめる保障はどこにもない。現在の野党に対し、大麻取締法の問題を認識してもらえるよう、働きかけを行う必要があるだろうと思う。
現政権、厚労省、マスコミは、一体となって大麻弾圧を推進している。根拠もない脅しのようなプロパガンダによって、国民の多数が大麻について誤解している。実に、反国民的で犯罪的な行政であり、マスゴミである。
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「医療カナビスで乳がんを克服したメリッサ・エスリッジ インタビュー」という記事がカナビス・スタディハウスに掲載された。
大麻に医療的な効果があるのは今や医学的にも明らかで、制度的に扱う国や地域も年を追うごとに増えている。だが、日本では、大麻取締法によって、患者が大麻を選択する権利を懲役刑で禁じている。
先日、毎日新聞の記者氏は、「私たちは法律に依拠して報道している」と言ったが、現状の大麻取締法に依拠してしか記事を書けないのであれば、マスコミは医療大麻の事実について報道することはできないのだろうか。それは稚拙な言い訳に聞こえる。
このサイトは、人気ブログランキングの医療系のカテゴリーにも登録している。実際に病に苦しんでいる人がアクセスしている可能性もある。そのような人は、カナビス・スタディハウスに掲載されている数々の医療大麻の記事を読んで、どのような思いになるだろう。
多くの人に、医療利用を含む大麻の事実を知ってほしいと思い、このサイトでも記事を紹介したり、リンクしたりしているが、実際に病に苦しむ人に大麻そのものを紹介したり、提供することは、私たちにはできない。実際に大麻を提供することはできないのに、大麻の医療効果を喧伝することに申し訳ない思いも感じる。だが、問題の解決は、問題を問題として知ることからしか始まらないだろう。
大麻取締法の例に限らないが、ジャーナリズムには、事実に即して悪法を撃つ姿勢が必要ではないのか。悪法を批判できないのであれば、戦前の新聞と同じだ。それは社会を不幸に導く。記者クラブで得た大本営発表のような情報を垂れ流すだけでは「マスゴミ」でしかない。
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THCにはいろいろな相談が寄せられる。最近は種の規制が厳しくなり、実店舗でも、ネットでも、多くの種屋さんが撤退しているようだ。
大麻の種の売買自体は違法ではないが、発芽しないように処理されていない大麻の種を輸入することは、関税法で禁じられている。これまで、客が発芽させることを知っていて売ると、種屋さんは栽培の幇助として検挙されていた。だが、種屋さんたちは、「観賞用」とか、「発芽させるのは違法です」とか、ちゃんと断り書きを付けて売っていたので、取り締まり当局は捕まえるのに難儀していた。そこで、発芽しないように処理されていない種そのものを封じ込めることにして、関税法を適用することにした。
参照:大麻種子密輸に関税法初適用
ここのところ、種屋さんの販売記録を基に、種を買った人にガサに入る例が多いようだ。報道によると、栽培での検挙者数が増加しているらしいが、栽培するつもりで種を買った人にガサ入れしているのだから、栽培中に捕まる人が増えるのも当然だろう。捕まった種屋さんも複数あるようだし、きっと当局はまだまだ顧客リストを活用するのだろう。取り締まり当局は、おいしい芋づるを手に入れたのである。
捕まるかもしれない、という、種屋さんからの相談も何度かあった。夫が大麻を売っていて捕まったという相談も度々あった。聞くと、なんだかものすごい儲けていた話とか。
種を買った店に個人情報が残っていて、それが元でガサに入られて捕まったとか、本当に気の毒な人たちも多い。だが、種を売っていた者たちは、リスクを覚悟でやっていたことだろう。売って儲けて捕まった種屋さんや大麻屋さん、あるいはこれから捕まるかもしれない種屋さんや大麻屋さんには、しっかりと裁判で戦おうぜ、合法的に販売できる世の中にしようぜ、と言いたい。が、相談するだけ相談を持ちかけてきて、連絡がなくなる例が多い。・・・捕まってしまったのかもしれないが。
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昨日、毎日新聞の子供向け月刊誌「月刊Newsがわかる」の記者と話していて感じたことを書いておきたい。
記事の修正を求める私の言葉を、記者氏は真摯に聞いてくれたし、迅速に対応もしてくれた。そのことには率直に感謝したいと思う。個々の記者の良心に、大衆迎合とスポンサータブー、あるいはクロスオーナー制でどん詰まりになっているマスコミに、一縷の希望を見る思いもする。
私は、大麻の科学的な事実に基づいて記事を書いてほしいと要望した。一方では官僚の天下りを批判する記事を出しながら、他方ではその天下りが税金をたらふく使って無責任に垂れ流している情報を鵜呑みにする体質を改めて欲しい。海外の研究機関が次々と明らかにしている大麻の科学的な情報についても報道してほしい。そのようなことを伝えた。
記者氏は言った。「私たちは法律に依拠して報道している」と。
それならば、かつてのように、国家権力が言論や表現の自由を縛る法律を成立させた場合、それに依拠した報道をするということになる。治安維持法に毅然と対峙する根拠を失うことになる。ジャーナリズムが依って立つへきは、権力者の作った法律ではなく、事実であるべきではないのか。
マスコミという大きな組織のなかで、個々の記者ができることは限られているのだろう。社内的な力学に真っ向から立ち向かったところで、干されてしまうのが落ちなのかもしれない。だが、そのような、スポンサーや上司や長いモノには巻かれてしまう在り方は、そもそもジャーナリズムの否定ではないか。
ジャーナリストは、法律に依拠して仕事をするのではなく、事実に立ってものごとを報道してもらいたい。
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このサイトはできるだけ多くのお役人に閲覧してほしいと思っている。国益を損ねていることが明らかなのに、大麻についてのまともなデータも持っていないのに、敗戦以来、アメリカ連邦政府の金魚の糞のような薬物政策・大麻政策を続けている厚生労働省のお役人にもよく読んでほしいし、その他の省庁のお役人にも、厚労省の無策やアホさ加減を知って頂く意味でアクセスしてほしい。
だが、登録しないと読めないページについては、ちゃんとサポーター登録してアクセスするのが法律の決まりだろ。
今日、厚労省からのアクセスで、登録していないのにサポーター専用ページに複数回アクセスしようと試みたネットカフェ厚労省役人がいる。会費を払ってサポーターになりなさい。
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心当たりのある厚労省のキミ、今度やったらmhlw.go.jpからはアクセスできないようにするからね。
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産業大麻に関する構造改革特区の件、首相官邸のウェブサイトに、平成20年7月22日付、「内閣官房地域活性化統合事務局」の「構造改革特区及び地域再生(非予算関連)に関する検討要請に対する各府省庁からの回答について」という文書があった。これもPDFファイルで情報を探しにくいので、以下に抜粋する(PDFの47ページ)。
09 厚生労働省 特区第13次・地域再生第6次(非予算) 検討要請回答
要望事項:産業用大麻種子の流通体制構築(輸入規制緩和あるいは国内調達体制の確立)
提案主体名:産業クラスター研究会オホーツク「麻プロジェクト」
都道府県コード:北海道
規制の所管・関係省庁:厚生労働省 経済産業省
該当法令等;
・輸入割当てを受けるべき貨物の品目、輸入の承認を受けるべき貨物の原産地または船積地域その他貨物の輸入について必要な事項の公表を行なう等の件(昭和41年4月30日通商産業省告示第170号)
・輸入のけし、大麻種子の取扱について(厚生省通知:昭和40年9月15日薬務-第238号)
制度の現状:
輸入される大麻の種子については、熱処理等によって発芽不能の処理を施したものであることを証する書類(地方厚生局麻薬取締部が発行したものに限る。)を税関に提出しなければならない。
求める措置の具体的内容:
下記法規制緩和あるいは支援措置の実施
(法規制緩和)
学術上の分類は大麻(カンナビス・サティバ・エル)であっても、テトラヒドロカンナビノール(以下「THC」という。) の含有量が皆無である品種の大麻(以下無毒種)について、発芽不能処理を行わずその種子を輸入することができるものとする。
(支援措置)
国内における無毒種種子の流通体制の確立、または無毒種の開発に向けた研究の実施
具体的事業の実施内容・提案理由:
【提案の背景】
「北見地域産業振興ビジョン(経済産業省)」において、「遊休地を活用した産業用大麻の栽培及び建材等の開発」が推進すべきプロジェクトの一つに位置づけられていることから、提案主体は事業化に向け真摯に取り組んできた。しかし、国内で唯一事業化している栃木県においては県外への種子持ち出しを条例で禁じており、輸入についても法で制限されていることから、工業製品製造のノウハウを持ちながらも事業化に着手できない状態にある。こうしたことから、輸入、国内調達を問わず産業用大麻種子の流通体制確立に向けた法規制緩和もしくは支援措置の実施を要望するものである。
【大麻栽培による効果】
(1)大麻の繊維と茎を活用し、建材、断熱材、不織布、生分解性プラスチックとして利用可能。(廃棄物の減量及び化石燃料の使用抑制に寄与)
(2)生育速度が極めて速いことから二酸化炭素の固定化に特化しており、バイオマス燃料への転換などが期待できる。
(3)硝酸性窒素のクリーニングクロップとして地下水の浄化作用にも貢献できる作物である。(とりわけ北海道東部において地下水汚染が広がっている。)
(4)離農、減反等に起因して増加する耕作放棄地、休耕地(北海道1万ha)の農地保全を図るだけでなく、畑に工場を隣設して幅広く工業製品を製造することによって地域経済の活性化が可能である。
【代替措置】
都道府県知事による栽培許可の有無などの条件、制限や種子の管理方法などについて貴省の指示に従う。
【支援措置の要望】
地球環境保全が重要となる中、成長速度の速いバイオマスが注目されていることも併せ、公的機関による横断的な無毒品種の開発等を要望する。
○各府省庁からの提案に対する回答
措置の分類:C(特区・地域再生として対応不可)
措置の内容:Ⅲ(省令・告示上の手当てを必要とするもの)
提案に対する回答:
大麻事犯が急増しているという近年の薬物情勢の下、大麻乱用による保健衛生上の危害を防止するために、大麻の栽培を原則禁止している法の趣旨にかんがみれば、大麻の違法な栽培を助長することのないように現行の輸入体制を維持し、厳正に対処する必要があり、また、支援措置を講じる状況でもなく、その必要もないと認識している。
また、大麻の幻覚成分であるTHCは、微量の摂取でも精神作用が発現することから、THCの含有量が低い大麻であっても、抽出・濃縮等の方法によれば容易に乱用につながる危険性は十分に認められる。よって、大麻取締法は、THCの含有量にかかわらず、すべての大麻を規制対象としているところである。また、大麻種子の段階においては、生育した大麻のTHC含有量について判別することは極めて困難である。よって、THC含有量にかかわらず、すべての大麻種子の輸入について現行の輸入規制を維持する必要がある。
欧州やカナダでは薬物として意味のない産業大麻が生産され、自動車の内装や建築資材など、さまざまな分野で利用されているが、日本では厚生労働省という国賊が邪魔をして国益を大きく損ねている。
この際、厚生労働省は民営化してはいかがなものか。
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北見に「大麻特区」 産業用、道が認定(08/07 00:20)
道は六日、国の構造改革特区の北海道版「北海道チャレンジパートナー特区」に、北見市の「産業用大麻栽培特区」を認定した。麻薬成分が低い大麻の建築用資材などへの活用に向け、道が支援する。
同特区は二〇〇四年度に始まり、これまで四地域が選ばれている。北見市の特区は、遊休農地を利用した大麻栽培体制の確立が目的。輸入や国内流通が厳しく規制される大麻種子を確保するため道が検査態勢の整備など支援する。道は八日、市に認定書を交付する。
北海道新聞
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/politics/109668.html
厚生労働省は、精神作用のない産業用大麻の栽培についての特区申請もこれまで認めてこなかった。この記事によると、北見の「大麻特区」は「国の構造改革特区の北海道版」とのことだが、厚労省も認めたのだろうか。
政府の構造改革特区に関する対応は、首相官邸のウェブサイトに「構造改革特区(第4次提案募集)に関する当室と各府省庁のやりとり」のPDFが公開されていて、例えば長野県美麻村(当時)が申請した「産業用大麻の免許要件の緩和」について厚生労働省管轄分に次のような記述がある。(PDFの24ページ)
管理コード:090830
規制の特例事項名:産業用大麻の栽培に係る免許要件の緩和
該当法令等:大麻栽培者免許に係る疑義について(平成13年3月13日付け医薬監麻発第293号)
制度の現状:大麻取扱者の免許交付審査においては、その栽培目的が伝統文化の継承や一般に使用されている生活必需品として生活に密着した必要不可欠な場合に限り免許すべきと解している
措置の分類:C(特区として対応不可)
措置の内容:Ⅳ(訓令又は通達の手当てを必要とするもの)
措置の概要(対応策):
大麻の幻覚成分は微量の摂取で精神作用が発現することから、たとえ低濃度であっても、乱用のおそれがある。また、幻覚成分含有量の少ない大麻から含有量の多い大麻への転換も容易にできる。そのため、大麻乱用による保健衛生上の危害を防止するため、幻覚成分の多寡にかかわらずすべての大麻を大麻取締法で規制する必要がある。
大麻に関しては、その有害作用から栽培等の行為は厳重に規制し最小限なものとする必要がある。大麻の栽培を安易に認めると、不適正な栽培、盗難、乱用の助長の問題等が起こりうることから、保健衛生上の危害を防止するためにも、必要不可欠な場合に限定して栽培免許を付与することは必要である。
いわゆる産業用大麻といわれるものもその実態は大麻そのものであり、乱用のおそれがあることには変わりないことからも、いわゆる産業用大麻の栽培をその他の大麻栽培と区別することは適切でない。
各府省庁からの回答に対する構造改革特区推進室からの再検討要請:
幻覚成分の多寡にかかわらずすべての大麻を大麻取締法で規制した上で、幻覚成分が微量の産業用大麻をその他の大麻と区別して、保健衛生上の危害を防止するための適切な代替措置を講じる場合においては、現在全ての大麻について栽培を認めている「必要不可欠な場合」よりも広く、産業用大麻の栽培を認められないか、検討し回答されたい。併せて、右の提案主体からの意見も踏まえ、再度検討し回答されたい。
提案主体からの意見:
「大麻の幻覚成分は微量の採取で精神作用が発現する」との指摘について、どのような研究結果に基づくものか開示願いたい。その開示されたデーターに基き、本件品種が具体的に精神作用を及ぼす科学的事実を判明させていただきたい。
1998年6月のフランス国立保健医療研究所による「麻薬の危険度調査」において、大麻がヘロインやコカインといった他の薬物は勿論のことながら、アルコールやたばこよりも危険度が低いとされた(1998/6/17共同通信ニュースより)ことや、世界的に著名な医学書である「メルクマニュアル」において「(大麻が)重篤な生物学的影響があるとする主張の大部分は、比較的大量の使用者、免疫学的、生殖機能についての積極的な研究においても、ほとんど立証されていない(万有製薬㈱提供 メルクマニュアル第17版日本語版より引用)。」と指摘している点について、貴省の見解を伺いたい。
「幻覚成分含有量の少ない大麻から含有量の多い大麻への転換も容易にできる」との指摘があるが、欧州やカナダ等でも同様の状況にある中で、政府による一定の規制のもとで、広く産業用の大麻栽培が行われており、我が国においても保健衛生上の危害を防止しつつ、健全な大麻産業を興すことは可能であると思われる。貴省の回答を見るに、それが不可能であるほど我が国の行政・治安が欧州各国やカナダなどに比べて劣っているとの指摘とも受け取れるが、そのような解釈でよろしいか。
そもそも、構造改革特区制度は、様々な規制を地域を限って緩和することにより、当該地域の事業者の創意工夫による新たな産業の創出を主な目的として実施されているものと認識しており、現在の規制状況をそのまま回答している姿勢は、ほかに産業の創出の難しい山間地の現状を全く省みない姿勢であると認識せざるを得ず、納得しかねる。
「大麻の栽培を安易に認める」との指摘であるが、本提案は、あくまでもカナダ政府の事例を参考としており、中央または地方政府の統制下における規制緩和といった意味からして「安易な栽培容認」とは言い難く、逆に栽培用途は限定されているものの、その品種については幻覚成分の多寡に関わらず許可されている我が国の大麻栽培の現状を改め、栽培用途の限定を緩和する代替措置として、幻覚成分の極めて少ない品種に限定することを求めていることからして、保健衛生上の危害を防止するための安全策を十分に講じた上での提案であると考える。欧州や、カナダに於ける産業資材としての大麻の活躍はめざましいものがあり、石油に頼らないバイオマス資源の開発は、広範な業種に新しい道を拓くものであり、安易に規制を考える姿勢は、石油輸入国である我が国の国益を阻害していると言わざるを得ない。もとより「幻覚成分の多寡にかかわらずすべての大麻を大麻取締法で規制する」ことに異論はないが、その規制のもとで、地域の事業者の創意工夫による健全な大麻産業を創出するためにも、法によらない本提案については、上記の措置を講じた上で緩和していただくことを希望する。
「措置の分類」の見直し:C(特区として対応不可)
「措置の内容」の見直し:Ⅳ(訓令又は通達の手当てを必要とするもの)
各府省庁からの再検討要請に対する回答:
大麻の幻覚成分であるTHCについては、「体重60Kgの人間が3ミリグラム相当を吸煙摂取しただけで作用がある」との報告(依存性薬物情報研究班編「依存性薬物情報シリーズ 大麻」)があり、THC含有量が0.3%以下のいわゆる産業用大麻であっても1グラム摂取すれば大麻の作用が現れる。また、THC含有率を高める大麻の栽培方法やTHCを大麻草から抽出・濃縮する方法が一般書籍にも掲載されている。さらに、THC含有量が低い大麻といわれるCBDA種は劣性遺伝であり、在来種との交配により幻覚成分含有量が通常の大麻と同様になり、恒常的にTHC含有量が低く保たれるものではない。したがって、THC含有量が多い大麻と少ない大麻を区別して規制することはできない。「メルクマニュアル」の「大麻が重篤な生物学的影響があるとの主張はほとんど立証されていない」との記述の「重篤な生物学的影響」が何を指すのかは明らかでないが、他方、同書では「大麻の慢性ないし定期的使用は精神依存を引き起こす」、「吸われた大麻は夢幻様状態をうむが、その状態では観念がばらばらになり、不安定となり、自由に流動するようである」、「精神分裂病様症状が、抗精神薬(例、クロルプロマジン)で治療を受けている患者においてさえ、マリファナによって悪化する場合がある」、「多量使用者は肺の症状(急性気管支炎、喘鳴、咳、粘液分泌過多のエピソード)を発生し、さらに肺機能が障害されることがある」、「長期多量使用者の少数サンプルにおいて認知機能低下が一部の検査で同定された」といった記述があり、大麻の人体への有害な影響を示唆している。また、フランス国立保健医療研究所の「麻薬の危険度調査」で大麻が、アルコールやたばこよりも危険度が低いとされたとあるが、マリファナの吸引によって幻覚等の作用が生じうるのに対して、たばこやアルコールでは通常の喫煙、飲酒で幻覚を生じることはない。WHOの1997年報告では大麻乱用の急性効果として知覚発達と精神運動作業の悪化等、慢性的効果として知覚機能の選択的低下や大麻依存症候群等の健康被害が指摘されている。「1961年の麻薬に関する単一条約」でも大麻はヘロイン等と同様に最も厳重に規制すべき附表Ⅳの薬物に分類されている。
「措置の内容」の項目にある通り、これは「訓令又は通達の手当てを必要とするもの」であり、法改正を必要としない、厚生労働省という役所による施策に過ぎない。
やりとりで出てくるカナダでの産業大麻については、カナダ大使館のウェブで紹介されている。
■カナダの麻(ヘンプ)栽培
麻栽培には長い歴史があります。世界でも最も古くから使われている資源の1つである麻は1万年以上の昔から食品、繊維、燃料として使用されてきました。18世紀や19世紀にはカナダでも広く栽培されていましたが1938年に栽培が非合法化されました。しかし麻が再び見直されるようになって10年、今では、世界的に麻市場は商業的な成功を収めています。
1998年にはカナダでも研究および商業目的での麻栽培が合法化され、農家の関心を集めました。カナダ政府も法令の改正や数百万ドルの研究開発補助金を投入して、カナダの麻栽培を積極的に支援しています。
(以下略)
カナダ大使館 - 経済/ビジネス - 農業・食品・水産品 - カナダの麻(ヘンプ)栽培
長くなったので、厚生労働省の言い分がいかに非科学的で馬鹿げているかは改めて指摘する。
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大麻栽培の摘発急増 10年で5倍、厚労省調べ
大麻を栽培して摘発されるケースが急増している。厚生労働省によると、昨年までの10年で約5倍。インターネットの普及で種子を入手しやすくなったことや、種子の所持を取り締まる法律がないことが背景にある。
7月、大津市の自宅官舎で大麻を栽培したとして、国土交通省の職員(43)が逮捕、起訴された。厚労省近畿厚生局麻薬取締部によると、四畳半の洋室を栽培専用にし、日光が入らないよう窓はアルミのシートで目張り。電熱器をぶら下げ、湿度調整用のエアコンまで備えていた。
約20―60センチに育った鉢植えの大麻約50本と、種子が数十粒押収された。職員は「育てやすい種類の種をネットで買い、栽培した」と供述している。
同取締部によると、栽培による摘発は1997年には全国で42件だったが、その後増加し、昨年は192件に達した。
大麻取締法は大麻の所持や譲渡を禁じているが、種子は対象外。ネットや輸入雑貨店で「観賞用」「合法」など“逃げ口上”付きで売られている。〔共同〕(14:01)
日経ネット:2008.8.2.
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20080802AT3K0200802082008.html
相変わらず大麻栽培や所持で逮捕される事件報道が後を絶たない。が、大麻で意識が錯乱して通り魔事件になったとか、大麻が直接のきっかけになって他者や社会に被害が生じたという報道はない。そのような事件があれば大麻に偏見を持つ主流マスコミは飛びついて大騒ぎするだろう。報道されるのは、営利目的や個人利用目的の大麻栽培や所持が主だが、最近は種の規制を強化したい取り締まり当局の意思を反映した記事も目立つ。上の日経の記事もそうしたひとつだ。
大麻には覚せい剤のような中毒性はないし、意識が錯乱して刃物を振り回すような危険性もない。むしろ、近年では大麻の医療的な有効性が海外の研究機関によって次々と明らかになり、癌の増殖を抑制する効果など、今後の研究成果が期待される分野も多い。それにも拘らず、日本では厚生労働省が大麻の薬学的研究を禁じ、精神作用のない産業用大麻すら新たに栽培免許を出さない。なぜマスコミはこような馬鹿げた施策を批判しようとしないのだろう。
多くの社会問題で官僚機構の機能不全が問題視されており、マスコミがそれを叩くこともある。だが、現実にはマスコミの報道にもさまざまなバイアスがかかっており、第4権力としてのマスコミのあり方にも大きな問題がある。マスコミ自身は自分たちの抱える問題を追及することができない。クロスオーナーシップが認められているのは先進国では日本だけだそうだ。
大麻取締法は大麻の所持や譲渡を禁じているが、種子は対象外。ネットや輸入雑貨店で「観賞用」「合法」など“逃げ口上”付きで売られている。
まるで大麻の種の売買が禁じられていないことが問題だと言わんばかりだ。取り締まり当局の話をそのまま垂れ流しているだけ。やはり日経は「日本株式会社の社内報で記者は社畜」(佐高信)なのだろうか。
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