ホームメイド・ハシシオイル

ポリネートやアイソレータではトリコームがたくさん生えていることを前提にしている。シード・バンクのようなところから供給されているカナビスの品種はインディーカ種とのハイブリッドなので問題ないのだが、アメリカや日本などで繊維目的に栽培され野性化したような植物はサティバ種で効力が弱くトリコームの量自体が少ないのでハシシ製造には向いていない。しかし、このような場合もハシシオイルにしてやればかなり強いものを作ることもできる。

装置としてはキッチン用品だけでも可能で、図の例はソックスレイ型の抽出器になっている。下部でアルコールを加熱し純粋の蒸気を作り、上部で冷却して再び液体にして下に戻して循環するようになっている。

図の装置は数百グラム単位のかなり多量の処理を目的にしているが、個人ベースで数十グラム程度を原料にするのであれは、容器を二重にせず胴長のパイレックスやコーヒードリッパーなどを利用したもっと簡易的な装置の方が適している。透明の容器を使えば内部を観察しながら操作できるので初心者にもやりやすい。しかも、少量ならば調理時間も短くアルコール量も少なくてすむので引火の危険なども減る。


Cannabis Alchemy, David Hoge, The Twentieth Century Alchemist, 1973

溶液にはできるだけ純粋のエタノールを使う。消毒用のエタノールでは水分が多過ぎて沸点が高くなり過ぎる。エタノールの沸点は78度なので、引火事故などを起こさないように加熱はかならず湯煎で行う。換気に注意し、ガスは使わず電気プレートなどで加熱する。

材料のカナビスからは種を除かなければならないが、オスの葉や下葉や小さな茎などはTHCを含むので加えることができる。原料はできるだけ細かくして体積を減らして必要なアルコール量を少なくし、事前に数日間アルコール漬にしておいて第一段階の溶出を済ませておく。第二段階ではそのまま装置に移して加熱しアルコールを循環させて2時間ほど溶出する(DIAGRAM 1)。


第三段階では、中間に水切り用の網受けを置き、原料が溶液に落下しないようにコーヒーフィルタやガーゼなどを敷いて移し、上部から常に純粋のアルコールが注がれるようにして付着した溶液を1時間ほどすすいで洗い流す(DIAGRAM 2)。細い串やスプーンを挿入しておいて外部からかき回わせるようにしておくとよい。

装置が大がかりな場合は第四段階として、原料の部分にカップを置いて上から落ちてくるアルコールを回収して溶液を煮詰める。しかし、パイレックスなどの小型装置では回収は考えず、溶液を手なべに移して湯煎でアルコール分を蒸発させてしまうほうが簡単。

できあがったハシシオイルはグラスに混ぜて吸うこともできるが、湯煎中の手なべにチョコレートを加えて食用にするのもよい。チョコレートとしては味が良くないが、糖分や油分はTHCの体内への吸収を長時間にわたって促すので強く持続した効果が得られる。またチョコレートが皮膜になってTHCを酸化から守る働きもあるので保存にも適している。