植物の性別や部位での効力の違い

translated and arranged from
MARIJUANA Grouwer's Cuide, Capter 3.5
Mel Frank & Ed Rosental


カナビスの効力は、品種以外のも様々な要素が影響して大きく変化する。効力の大半は植物と樹脂を生成する腺毛の発育状態によって決まるが、効力は遺伝的要素と環境的要素の影響を受け、どの品種においても植物ごとに非常に大きな個体差が認められる。

近年は人工的に成育環境をコントロールしたシンセミラ栽培がメインとなってきたが、環境テクニックの詳細を理解するためにも、まず植物一般にみられる遺伝的な要素の影響や成育の典型的なパターンについて知っておかなければならない。


同品種内でのカナビノイド濃度の違い

同じ品種の植物であってもTHCの濃度には顕著な差が見られる。その違いは、吸ったときにどっち植物のほうが品質が良いかを特定できるほど大きい。この事実はベテランの栽培者にはお馴染みのことで、しばしば全体の植物の中で特定のひとつが際立っていることに気付く。研究でもTHCの濃度には5倍以上の違いがあることが示されている。

しかしながら、同一品種の植物全体を見てみるとカナビノイドの濃度は比較的似ているともいえる。最もバリエーションの大きいのが第2分類に属する品種で、植物ごとに特定のカナビノイド濃度が高くなる。


植物の部位での違い

カナビノイドの濃度は植物の場所によって違い、特に、樹脂を生成する花の腺毛の部分で濃度が高い。植物の中で最も高いのは、雌花の種を包む包葉の腺毛で、逆に、種や根には腺毛がなく、ごくわずかのカナビノイドしか存在しない。種を吸ってもハイにはならず頭痛がするだけだ。もし種でハイになったとすれば、おそらく種には包葉が十分に付いていたからだ。

植物の部位ごとに濃度が高い順に示すと、

1. 雌花の房 ジョイントを作るために小さな包葉だけを何百と集めるのは容易ではないが、小さな葉を含め花全体 (種は除く) では十分な量が得られる。
2. 雄花の房 この部分は品種による差も大きい。
3. 成長点 開花する前は、主茎や枝の成長点が最も効力が強い。
4. 一般的に言って小さい葉ほど効力が強く、(a)花の部分の小葉、(b)植物中部の枝に付いた葉、(c)主茎の大きな葉、の順に下がる。
5. 葉柄 順序は葉と同じ。
6. 順序は葉と同じで、小枝ほどカナビノイド濃度が高い。直径2ミリ以上の茎にはほんの僅かしか含まれていないので吸う価値はないが、花を支えている小さな茎はかなり効力が強い。
7. 種や根 ほんの僅か(0.01%以下)しか含まれておらず、吸ったり抽出したりする価値はない。

この順序はかなり一貫したもので、例外があるとすれば、雌花に付いた小葉で、ときには花自身よりも強いことがある。また、成熟しきった雄の葉よりも成長点のほうがしばしば強い。

雄花の出す花粉のカナビノイドは量に幅がある。葯の内部は花粉が成長するところだが、対になった2つの葯をはさんで両側には列をなす腺毛が見付かっている。花粉は大きな腺毛の頭部に比べると小さく、直径は21〜69ミクロンほどしかない。腺毛が壊れると少量の樹脂が花粉に付着するが、花粉のサンプルに見付かっているTHCの大半は採取したときに花を揺すった際に腺毛の頭部に触れて付いたものだ。ある研究では、サンプルの花粉からは十分にハイをもたらすほどの0.96%以上のTHCが見付かっている。


植物の部位ごとの効力と比率

どの植物でもカナビノイド濃度は上部になるほど高く、頂上のバッズの部分で最も高くなる。利用価値のある部分で最も少ないのが主茎の下部の大きな葉で、側枝にそって生えている葉には成長点からやや劣る程度のTHCがある。

下の表のサンプルは高品質のコロンビアとメキシコ産の商品で測定したものだが、、サンプル2は例外的に下部の葉にも4%のTHCがある。

植物の部位による葉のTHC濃度(重量%)
部位 サンプル1(SP-5) サンプル2(SP-5) サンプル3(UNC-335)
上部(トップ) 6.1 6.9 4.8
中部 3.0 5.5 3.1
下部 0.8 4.0 1.5
比率 8 : 4 : 1 1.7 : 1.4 : 1 3 : 2 : 1
Fairburn, J. W., and Leibman, J. A. 1974. The Cannabinoid Content of Cannabis sativa L. Grown in England. J. Pharmacol. 26: 413-419.

注目すべきは、同じ品種のサンプル(SP-5)の1と2の大きな違いで、兄弟姉妹間の植物ですら大半の特徴のにおいて際立ってひろいバリエーションが見られることだ。一般に見られる傾向とすれば、品質が高い品種ほど部位ごとの比率の傾きは顕著になる。

ここに取り上げたI型の高品質植物でも上部と下部の差が大きくなっている。1番のサンプルは、2番があまり変わらないのに対して、比率の傾きはより大きくなっている。一般に、低品質の品種では傾きはあまり目立たず、2番のサンプルに似ている。


性別による効力の違い

通説では、雄よりも雌のほうが効力が強いとされているが、科学者たち必ずしもそうは見ていない。しかし、どちらにも真実だともいえる。高い品質の品種では、雄の葉は雌と同程度のカナビノイド濃度を持っており、どのケースでもどちらの濃度も非常に高い。

性別での違いが最も顕著なのは花の部分だ。雄花は雌花と違ってハイをもたらさないこともあるが、高品質になればなるほどその差は小さいようだ。上質のI型の植物では、通常、雄花の房は雌に匹敵する効力を持っている。低品質のIII型では、一般に雌花のほうが雄よりも効力は2〜3割強い傾向がみられる。

II型の植物で個体差は最も大きいが、葉や花において雌は平均して2割ほど高くなっている。

雄(M)と雌(F)の花部におけるTHCとCBD濃度(重量%)
原産地 性別 THC CBD 植物の型
メキシコ M 3.70 0.86 I
F 3.70 0.35
インド M 4.30 0.12 I
F 1.80 0.19
タイ M 3.20 0.08 I
F 3.20 0.42
インド M 0.81 2.10 II
F 1.30 0.89
パキスタン M 1.37 1.24 II
F 0.71 1.50
トルコ M 0.84 2.11 II
F 0.92 1.33
インド M 0.15 2.20 III
F 0.12 1.20
ポーランド M 0.04 0.97 III
F 0.06 1.10
Doorenbos, N., Fetterman, P., Quimby, M., and Turner, C. E. 1971. Cultivation, Extraction, and Analysis of Cannabis sativa L. Ann. N.Y. Acad. Sci. pp 3-24.