栽培条件による効力への影響
translated and arranged from
MARIJUANA Grouwer's Cuide, Capter 19
Mel Frank & Ed Rosental
ここではカナビスの効力に影響する環境的要因について取り上げるが、まず強調しておかなければならないのは、カナビスの効力を決定する一番重量な要因は 「遺伝」 だということだ。効力の強い植物は、効力の強い植物の種から育つ。健康に成熟した植物からは高効力のバッズが豊富に収穫できる。
効力増強証明の難しさ
効力の問題は混乱とミステリーに包まれている。その多くは、肥料や土壌会社の宣伝やカナビス栽培本などで、効力を増強してスーパーグラスが育つことを謳っていることが原因となっている。だが、植物の効力を増減させたりできるような魔法や秘密の公式などあるわけはない。よい種を選択して、よく育った植物を収穫することの2つが何も増して効力を決定する。
実際に今までに、特別の環境因子を工夫して強い植物を作るという方法が実演されたことはない。実演できない最大の理由には、(1) 効力に対する環境因子の影響が遺伝特性に比べれば小さく識別が困難なこと、(2) 効力が増加したことを証明することが難しいこと、の2つがあげられる。
通常のカナビノイドの測定の大半は、資料の効力のを求めているだけで、そのままでは効力が強くなったことを証明できるわけではない。どの品種の植物であっても、効力にははば広い個体差があるので、比較テストを行おうとすればよほど説得力のあるサンプリング方法を採用しなければならない。さらに、効力は時間とともに変化するので有意性のある比較は非常に難しい。科学論文はこの困難さを反映している。
効力研究のなかには、植物全体の葉を採取したり、収穫したすべての植物の葉を混ぜ合わせて効力を測定したものもあるが、このような方法では適正な結果は得られない。効力の弱い下部の葉や成長の悪い植物が混入すれば全体の効力は下がってしまう。
健康に育った植物では葉の総量だけではなく下部の葉も多いが、貧弱な植物では相対的にバッズの部分が大きいので、見掛けでは植物全体の平均のTHC濃度が高くなってしまうこともある。このようなサンプリングの不備からは、貧弱な植物のほうが効力が強いといった結論が導き出される可能性すらある。
効力の実験をするには、環境因子を考える前に、まず効力の遺伝特性を分析しなければならない。サンプルは同品種で、成育ステージや性別、部位、テストする部分などが同等でなければならない。その上で、最も簡単で実際的な方法としては、それぞれの環境で花が満開期に達したときに収穫して、最もよく育った植物の頂上のバッズ同士を比較してみることだ。
ストレス
環境的な要因は遺伝に比較すると小さく、またどれか一つだけが際立っているというわけでもないが、その中でも多くの人が経験的に認ているのがストレス要因だ。
ストレスとは、植物の健康や活力を脅かそうとする環境条件を意味している。自然条件としては、他の植物との生存競争や水の不足、やせた土壌といったものがあげられるが、カナビスの栽培者の間では昔から人為的に、植物の根元に裂け目をいれたり、大胆に剪定したり、茎を曲げたり、水をカットしたりしてストレスを加える栽培法が知られている。
だが、栽培者によるこうした伝統的な工夫は、当初は必ずしも効力を増強させることを目的としていたわけとは限らない。例えば、シンセミラ栽培は何世紀も前から行われてきたが、これは効力を増強する目的ではなく、単に種のないもののほうが吸いやすいということから始まったに違いない。
一般的に言って、ストレス要因は植物の成長を遅くするが、一方ではカナビノイドの生成にはあまり影響しない傾向がみられる。その意味で、ストレスと効力の増強の間には関連性があることになる。
確かに、効力も植物の成長因子には大きな影響を受けるが、それはストレスではなく気候による要因のほうが大きい。比較的暑く日光が強く乾燥した土地で育った植物は枝が密でよりコンパクトで小さな葉をしているが、高い効力を持つ植物はこのような条件を好む傾向がある。これに対して、低温度で、日光も強烈ではなく、湿度の高い地域では背が高く枝や葉も大きく育つが、効力は一般に弱い。
光合成とカナビノイドの生成率の関係については明確とは言えないが、相関があると考えることができる。例えば、日光は成長因子ではあるが、多くの場合、日光を多く受けた植物ほど早く大きく育つ。ところが一方では、強烈な日光で育ったコンパクトな植物で最も効力が高い。これは、強い日光が植物内の組織の温度を上げて、光合成サイクルを抑制するためだと思われる。
日中、光のエネルギーの吸収と生体エネルギーへの変換はスムーズに行われるのに対し、糖質の生成は阻害されることは他の植物でも確かめられているが、カナビスの場合も、カナビノイドの生成は高い温度に影響されずに持続するに違いない。このように考えれば、効力の強いカナビスが熱帯地方でコンパクトに育つこともある程度合点がいく。
ストレスの加え方
ストレスを加えるといっても、可能な限りより大きくより健康な植物を育てるようとすることが必ずしも悪いわけではない。実際の経験からしても、最も効力の強い植物は、最も健康で最も活力がある植物であることが多い。
確に、成長率を抑制する要因は効力に影響を与える。成長が遅いほうがカナビノイドの濃度が高くなる傾向が見られる。ある実験でも、平均収量が160グラムの植物のほうが250グラムの植物よりも若干効力が強くなっている。だが、このことは、植物の植物を損なうほどではなく、成長率を鈍らせるという程度の範囲内で言えることであって、損傷が大き過ぎれば生存が脅かされ、効力も成長率も下がってしまう。
当然のことながら、成長率が下がれば収量も減る。ストレスによって効力が増すといってもごくわずかなものに過ぎないので、全体の収量が減ることのほうが実際的な影響が大きい。従って、もしストレスを加えることを計画しているのなら、植物が十分に成長するまで待ったほうがよい。
室外栽培では、植物の成長が中盤以降になるまでストレスは加えるべきではなく、バッズの収量が大きくなるようにすることが第一だ。室外においては成長を抑制するのに水を制限するのが手っ取り早いが、しおれかかった植物に水をやらなければ枯れてしまう。
他の植物との生存競争も効力を高めることが確かめられている。しかし、幼少の時期に競争にさらすべきではなく、しばしば負けてしまうので相手を取り除いて保護しなければならない。
その他にストレスを加える安全なやり方としては、植物の開花が始まったら大きな葉をすべて剪定して取り除いてしまう方法がある。しかし、室内栽培においては植物は常にデリケートな状態におかれているので、可能な限り大きく健康な植物を育てようとするほうが最善といえる。
栄養素
多くの栽培者が肥料について大きな関心を寄せているが、これは自分でコントロール可能な部分として、植物の成長にとって栄養素が重要な役割を担っていて、効力とも関係していると感じているからだ。この見方にはそれなりの根拠があり、古くから、効力の強い植物はしばしば特定の土壌のタイプ、例えば鉄分の豊富な赤い土壌に育ち、またチッソやカリウムの量にも影響をうける、と言われてきた。
土壌と効力との関係は、主に栄養素であるチッソ(N)、リン(P)、カリウム(K)の量と結びついている。これらが適量よりも多少前後するとストレス要因となり植物の生体量は減少し効力は多少増加するが、栄養素が適量か若干多いくらいであれば、植物の成長を促進し収量全体とすれば効力にもポジティブな影響を与える。つまり、より効力の強い植物は適正な栄養素で育ち、あまりに不適切な場合は育ちも効力も期待できないということになる。
以下の表は、一般論として、栄養素が効力にどのように影響する可能性があるかを示している。
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