後熟成処理と効力の増強



効力は何で決まるか

カナビスの効力は、THCそのものの重量ではなく、仕上ったバッズやハシシの重量に対する比率(%)で表す。これは、THCが他のドラッグのように単離して結晶化できないという事情から来ている。

植物はTHC以外のカナビノイドも生成するが、なかにはカナビゲロール(CBG)のように乾燥時にTHCへ変化する成分もあるので、絶対量は刈り入れ直後よりも若干増える可能性もある。しかし、THCは時間が経つと少しずつ不活性のカナビノール(CBN)へ変化していくので、実質的には増加することはないと考えてもよい。

絶対量があまり変わらないとすると、収穫後の乾燥過程でカナビノイドの成分を残したまま、水分やセルロース、クロロフィルやテルピンなどの生成物をできるだけ取り除けば、相対的にはその分だけカナビノイド濃度が高くなる。つまり、効力が増す。

要するに、効力の強いものに仕上げるには、まずTHCが多く生成する植物を育て、収穫後の乾燥ではできるだけ重量を軽くすればよい。


バッズ

収穫直後の植物は約80%が水分だといわれている。当然、そのままでは吸ったり保存したりは出来ないので水分を取り除く必要があるが、バッズに仕立てる場合は、乾燥し過ぎて組織がもろくなったり、逆に乾燥不足で水分が残り過ぎてカビやバクテリアなどが生えないようにしなければならない。

バッズの組織が崩れにくい状態に保つには水分を10%以上残し、カビが生えないようにするためには水分を15%以下に抑える必要があるとされている。普通のバッズはこの程度に仕上げる。

さらに水分や不要成分を取り除き効力を高めることも行われている。この工程は厳密には、乾燥 (dry) ではなくデシケート (desiccate) と呼ばれるが、時間がかかるので、たいていは消費に追い付かない。組織ももろくなるので保存も難しくなる。

また、単時間でバッズを仕上げる方法として、水を使って急速熟成させる方法 (water curing) も知られている。


ハシシ

さらに濃度を高めるには、カナビノイドが集積している樹脂だけを集めてハシシにすることもできる。ハシシの製法 には大きくわけて、手もみ、ポリネーター、アイソレーターがある。

この中で最も効力を高めることができるのがアイソレーターで、カナビノイドの含まれる樹脂が水に溶け出さないという性質を巧みに使い、氷水のなかで撹拌・冷却して樹脂腺毛トリコームを剥がして集める。この方法で作られたハシシにはTHC濃度が50%を越えるものもある。


ハシシ・オイル

さらに効力を強めたものとして ハシシ・オイル がある。これはアルコールやブタン・ガスなどを利用して化学的にカナビノイドを抽出したものだが、この方法は主に、効力の弱い下葉やクリッピングで取り除いた剪定葉などからカナビノイドを取り出すために使われる。

一般に、オイルのままでは取り扱いや摂取が難しく、結局は濃縮成分としてバッズやハシシに混ぜて効力を高めるために利用される。