Jack A. Cole
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「中毒は克服することはできる。だが、着せられた罪は決して克服できない。」
ドラッグ戦争に勝利はない、ドラッグ合法化を主張する警察官たち (2006.11.29)
スティーブ・クービー 氏は、1980年代から褐色細胞腫として知られる非常に稀な副腎癌に似た病気を患い、さまざまな治療を試した後で、医療カナビスだけで対処することで病気を克服してきた。
1996年に成立したカリフォルニア住民215条例の起草者に加わったことでも知られ、1998年にはカリフォルニア州知事選挙にリバタリアン党から出馬している。
その後、カナビスの栽培が発覚して起訴されたが、生命をつないでいるカナビスが断ち切られることを恐れてカナダに亡命した。しかし、2006年1月にアメリカへ 強制送還 され投獄された。一時はカナビスが断たれて生命の危機も伝えられたが、周囲の支援と幸運も重なって4月始めには自由の身となった。
同年8月には、シアトルで開催されたヘンプ・フェスタで、リバタリアン党からアメリカ大統領を目指すと宣言し、カリフォルニアを中心に各地を回って支持を訴えた。その甲斐が実って予備選挙でも最後まで高い支持率を維持していたが、先ごろデンバーで開催された党大会で、後から参入してきたボブ・バーに敗れた。
リバタリアン党の正式な大統領候補で選ばれたボブ・バーは、以前は共和党の反ドラッグ政策の急先鋒として知られ、ワシントンDCで成立した医療カナビス条例を連邦法でつぶしたことすらある。だが、2000年の大統領予備選挙で敗れ、マリファナ・ポリシー・プロジェクト (MMP)からは 「素晴らしいニュース」 だと言われ、2003年には議員からも退いていた。
しかし、その後、ドラッグ戦争に対する自分の考えは間違っていた と表明し、MMPのロビー活動に協力することを宣言した。今回の大統領選挙にあたっては、MMPの支援を受けてリバタリアン党の予備選挙に加わり、その抜群の知名度と行動力で大統領候補に指名された。本選挙で当選すると考えている人はいないが、共和党のマケイン候補の票をかなり奪うという見方もあり注目を集めている。
リバタリアン党は、民主党、共和党に次ぐアメリカで3番目に大きな政党で、実際の内情は複雑だが、社会や経済に関して個人の自由を最大限に認めることを最も大きな柱として掲げ、州の政治に対しても治安や安全保証意外は連邦政府の干渉を認めない立場をベースとしている。ドラッグにしてもそれを使うかどうかは個人の問題だとして、クービー氏は明確にすべてのドラッグの合法化とDEAの解体を公約に掲げていた。
ボブ・バーの変節 やLEAPの急速な拡大は、現在のアメリカの底流に大きな変化が起きていることを象徴している。アメリカはもはや、「Just Say No!」 の御託だけでは全く通用しない時代になっている。
スティーブ・クービー氏は、また、長年の医療カナビスの使用経験から、ジョイントで吸う場合には半分までしか吸わないことでタールの摂取を避けたりする方法などを提唱したり、栽培面でもさまざまな工夫をしてきたことでも知られている。
今年は、有機栽培したカナビスの抽出液から均一で発現の早い効力の高いピルを製造することに成功し、政府の認証を獲得することを目指してCALYX製薬というベンチャーを立ち上げている。開発チームには製薬会社の元CEOや、製薬開発に20年携わってきたベテラン研究員なども含まれている。
現在、天然のカナビスを素材にした製薬開発としては、イギリスの GW製薬、カナダのカナサット製薬、オランダの エコー製薬、ドイツの 臨床調査研究所、などが知られているが、アメリカで天然のカナビスを使った製薬開発は初めてのことで、今後の成り行きが注目される。
なお、クービー氏の場合は、ピルは喫煙やバポライザーを好まない人がターゲットで、カナビスの全面合法化を求めていくことには変わりはないと明言している。