拝啓 スティーブ・クービー様

潮目が変わったドラッグ戦争


ジャック・コール
LEAP 代表

Source: Kubby Maling List
Pub date: 15 June 2008
Dear Mr. Steve Kubby
Author: Jack Cole
http://www.kubby.com/family/Steve.html


拝啓 スティーブ・クービー様

私はジャック・コールと申します。LEAP (Law Enforcement Against Prohibition、禁止法に反対する法執行官) の代表を務めています。私は、ニュージャージ州警察で26年間警部補として勤務し、そのうち14年間は州麻薬事務所の一員として主に秘密捜査にたずさわった退役捜査官ですが、その経験をもとに今では、アメリカのドラッグ戦争の悲惨な失敗とその結果から生み出された戦慄すべき恐怖を証言する活動を行っています。

仲間のトニー・ライアンから、あなたが以前カリフォルニアの保護観察官をしていたので、LEAPのスピーカー(講演者)に誘ってみてはどうかと薦められました。確かにまだLEAPには加わっておられないようなので、あなたがLEAPの主張する 「すべてのドラッグを合法化して規制管理する」 ことに対してどのように考えておられるかわかりませんが、私の経験や書いたもの、またビデオなどを参考にしていただいて、是非LEAPに加わってほしいと思います。


「私はドラッグ合法化を求める警察官、お気軽に質問をどうぞ」

添付した 論文 は、LEAP設立以来4年間に世界中で650回以上の講演で使ったものですが、昨年、国際ハームリダクション協会から、「政策とハームリダクションに関して世界でも最高の情報を備えた文書50」 のひとつにも選ばれました。

また、LEAPでは、「私はドラッグ合法化を求める警察官、お気軽に質問をどうぞ」(Cops Say Legalize Drugs. Ask Me Why.) というキャンペーンを展開していますが、なぜ合法化を求めるのかを仲間の警察官や裁判官、検察官たちが能弁に語った興味深いビデオもご覧になることができます。
http://www.youtube.com/watch?v=MEdzZaXwf8o  (Part1)
http://www.youtube.com/watch?v=E48guWoQGa4  (Part2)

一見していただいて何か疑問やコメントがありましたら、末尾の連絡先にお気軽にお尋ねください。もし、われわれの活動が正しいと思われるのであれば、どうぞLEAPに加わって、この困難な活動にお力を貸して下さい。


5年間でメンバーは世界90カ国1万人

少し長くなりますが、LEAPのこれまでの活動について紹介させて下さい。LEAPは2002年3月に設立された非営利の国際教育機関で、アメリカのドラッグ戦争が破綻していると考えて、われわれの若い世代の人生を逮捕や投獄で破壊したりせずに、死亡や疾病、犯罪、中毒などを低減させるような代替政策を支持したいと思っている法執行官たちに声をとどけることを使命としています。

LEAPは、「禁止法に反対する法執行官」 という意味ですが、1933年に禁酒法を終結させたように、現在のドラッグ禁止法を終わらせたいと考えています。当時は、禁酒法という厄介な法律があったために、アルカポネなどのギャングが密造と暴力で大儲けしていましたが、法律が撤廃されると一夜にして商売は崩壊しました。

今日では、ドラッグ帝王やテロリストたちが世界中で違法ドラッグを売りまくり、その額は年間5000億ドルに達すると言われています。しかし、ドラッグ禁止法を撤廃すれば同じことが起こって崩壊させることができます。

ドラッグを合法化して規制管理すれば、禁止法が生み出している暴力や強奪犯罪は終わります。そうすれば、ドラッグ中毒を犯罪問題としてではなく健康問題として扱えるようになり、この悲惨な戦争の犠牲者であるわれわれの子供たちの命を守ることができます。

LEAPを設立したときは警察官が5人でしたが、現在では1万人にも迫っています。メンバーは、アメリカだけではなく、アメリカのドラッグ政策の悪影響を受けた世界90カ国にも及んでいます。LEAPのスピーカーは、警察官、保護監察官、看守、矯正官、裁判官、検察官など全員が元ドラッグ戦士です。州刑務所所長、FBIやDEAのエージェントだった人でさえ85人も登録されています。


こちらから有権者のところに出向く

難問もあります。ドラッグ政策の改革を求めるにあたって、有権者にわれわれの考え方をどのようにもらすれば聞いてもらえるかということです。この問題の解決には、質問が来るのを待っているのではなく、反対に質問を持っていくことで対応してきました。

有権者たちは毎日のようにどこかで集会を開いています。市民センターやコミュニテー・センターだったり、あるいは学校のPTAや理事会などにも参加しています。そこで、自分たちの政治信条をベースに討論し合っているのです。そのような現実を考えて、われわれは待っているのではなく、こちらから有権者のところに出向くようにしたのです。この考え方は、世論を喚起する上で非常に有効な方法であることが分かっています。

LEAPは、市民や専門家、教育者、宗教関係者たちの公開の討論会でも意見を述べますが、われわれが主要なターゲットとしているのが商工会やロータリー・クラブ、ライオンズ・クラブ、キワニス・クラブといった市民グループです。そのようなグループの人たちの大半は保守的な人々で、いかなるコストがかかろうともドラッグ戦争を継続しなければならないとする主張に賛同しています。

彼らはまたコミュニティでも非常に確固とした位置を占めている人たちで、地元で強い存在感を示すために市民組織に属しています。誰もが毎回きちんと投票に行きますし、多くの政治家たちに直接話しかけて影響を与えることができます。そうした人々と討論を行うと大多数の聴衆が最後にはLEAPの目標に賛同してくれますので、政治家たちに、「ドラッグ政策について話を聞くべき人がいる」 と言ってくれるのです。

また、LEAPは国内や国外の法執行関係のいろいろなコンベンションに参加していますが、われわれのブースに立ち寄って一対一で話しをした人たちに最後に確かめますと、やはりドラッグ戦争を続けるべきだとする人はたったの6%だけで、何とも言えないという14%を除く、実に80%の人がドラッグ戦争は終結させるべきだというLEAPの主張に賛成してくれます。これは驚くべきことです。

さらに興味深いことは、その80%のうちでもほとんどの人がLEAPと話をする前には、誰でもが 「ドラッグにソフトだ」 というレッテルを貼られるのに恐れて、ドラッグ戦争について本当に思っていることをお互いに話し合うことができないのが職場の現実だということに気づいていなかったのです。


デベートでの支持

LEAPでは各種のデベートにも積極的に取り組んでいます。例えば、私は、2007年1月22日に、カンサス地区のエリック・メルグレン連邦地方検事とウイチタ大学で公開討論を行いました。その模様は ビデオ でも見ることができますが、デベートの終了時にモデレーターがLEAPの主張に賛成の人に挙手を求めたところ、聴衆の80%以上が手を上げています。

また、同年4月10には、ホワイトハウス麻薬撲滅対策室(ONDCP)が資金提供しているバルチモア高度ドラッグ流通地区対策(HIDTA)担当のトーマス・カー局長ともデベートを行いました。このLEAP vs HIDTA討論は、広域バクチモア指導者会議の年次セミナーで、ドラッグ禁止法を続けるべきかどうかをめぐって行われたもので、46人の聴衆の中には警察の上層部のほかに公衆衛生関係者なども含まれていました。

90分のデベートが終わって、モデレーターが、すべてのドラッグを合法化すべきだと思う人、ドラッグ戦争を継続すべきだと思う人、意志表示を差し控えたい人、それぞれに挙手を求めたところ、70%がドラッグ禁止法の終結に賛成、禁止法を続けるべきが約15%、棄権が15%と彼は見積もっていました。

われわれは、政策立案者専門のカンファレンスにも出向いています。例えば、全国州議会議員カンファレンスには、シアトルとナッシュビル、ボストンで教育ブースを設けて、LEAPのスピーカーが一対一で1942人と話をしています。その結果、83%がドラッグを合法化すべきだという考え方に賛同し、ドラッグ戦争を続けるべきだとした人は6%だけで、どちらとも言えないとする人が11%でした。

このことは、もし政治家たちに、ドラッグ政策改革を支持することで得られる票よりも失う票の方が少ないことを分かってもらえれば、彼らはドラッグ禁止法を終結させることを意味しています。そうするためには、LEAPには膨大な会員がいることを示すことが効果的です。

2009年までには、ドラッグ禁止法の終結を求める法執行官が1万人に増え、この政策が正しいと賛成してくれる市民も100万人にすることが可能だと思っていますが、そうなれば、政治家たちの禁止法終結への支持はいっそう確信に満ちたものになるはずです。


時代はすでに変わりつつある

このようにしてLEAPは、これまでタブー視されてきたドラッグの合法化について正面から議論する気運を全国で作り出してきましたが、現在では、多くの政治家が、合法化して規制管理することについて言及しても何も問題ないと感じるようになってきています。

実際、ニューヨーク州では、アルバニー郡の検事やエリー郡の幹部が破綻したドラッグ戦争は止めて新しい政策を実行すべきだと語っています。

2006年4月の聖金曜日のことですが、ニューヨーク州バッファローのシスター、カレン・クリムチャック(Karen Klimczak)さんが、クラック中毒者を自称する者に殺害されました。クラックを買う金ほしさに彼女の携帯電話が狙われたのです。

翌朝になるとレポーターたちが、エリー郡の幹部であるジョエル・ギアンブラ行政官のところに押しかけ、郡を覆っているドラッグ問題の脅威にどのように対応するつもりなのかと質問を浴びせかけました。

それに対して、ギアンブラ行政官は深く息を吸い込んだあとで、「ドラッグの合法化について話し合いを始めるべき時だ」 と答えたのです。驚いたレポーターたちはただちに、選挙で選ばれた行政官がそのようなことを考えても許されるのかと追求して、彼を悪魔扱いしました。

彼は、翌週の月曜日にも別のプレス・カンファレンスにも呼ばれました。しかし、今度はLEAPの創始者の一人であるピーター・クライストも演壇に加わり、ギアンブラ行政官の考え方が正しいとメディアに説明したのです。それをきっかけピーターは、バッファロー地区のあちこちのラジオやテレビのトークショウに出演して、ドラッグを合法化して規制管理するというギアンブラ行政官を支持する話を繰り返しました。

それから2週間もしないうちにバッファロー・ニュースは、ギアンブラ行政官に 『ドラッグ法は機能しない。合法化すべき時』 と題する論評を書くように要請することを決めています。翌朝の新聞には、 『ギアンブラはドラッグのパイオニア?』 と題する自らの論評も掲載し、リード文には 「今から何年も前に合衆国の女性参政権獲得のために活動したスーザン・アンソニーなとのパイオニアと同じ道を辿ることになるかもしれない」 と書いています。

こうしたメディアの驚きと転向は、ギアンブラ行政官の勇気ある発言を支えたLEAPの信頼性が直接的に表出した結果だと言えます。


政治潮流の変化

直接政治の場面でもドラッグ戦争の失敗が語られるもの普通になってきています。例えば、2006年11月に開催された全国ヒスパニック州議会議員カンファレンスでは、破綻したドラッグ戦争を糾弾し、投獄よりも治療を求める決議案が採択されています。

この動きは、2007年6月に全国225都市の市長が参加して行われた全国市長カンファレンスに引き継がれ、満場一致で同様の決議が採択されています。同月には、ニュージャージー州ニューアークのコリー・ブッカー市長が、ドラッグ戦争によって街が破壊されており、それを止めるために、かつての公民権運動の抗議者のようにドラッグ法改革のデモを繰り広げて、逮捕されることも厭わないと語っています。

2008年の大統領予備選挙では、マイク・グラベル元上院議員(アラスカ民主)、デニス・クシニッチ下院議員(オハイオ民主)、ロン・ポール下院議員(テキサス共和)の3人がドラッグ戦争の終結を主張していましたが、このようなことは以前では決してありませんでした。

ドラッグ戦争の継続を主張している候補にも容赦のない質問が向けられています。ニューハンプシャー州で行われた集会では、LEAPのスピーカーでもある ブラドリー・ジャーディス がジョン・マケイン候補に自分の経歴を話した後、「あなたのような力のある政治家がどうしてドラッグ戦争の失敗を認めようとしないのでしょうか? われわれに必要なのは、ドラッグに対するスマートな対処であって、タフな対処ではありません」 と問い質しています。

また、最近、非常に保守的なことでも有名なマクローリン・グループのテレビ・トークショウでも、フォーリン・ポリシー・マガジンに 「合法化せよ」 という記事を書いたドラッグ政策アライアンスのエサン・ネドルマン代表との討論番組を放送しています。

2007年10月4日には、サンフランシスコのギャビン・ニューソム市長がテレビで、「本当に真剣になって、一夜でこの国の犯罪を70%削減しようと思うのなら、ドラッグ戦争を終わらせることです。犯罪や暴力について本当に心の底から真剣に考えるのなら、このドラッグ戦争を終結させるべきだという結論に至ります」 と語っています。


世界に広がるLEAPの活動

LEAPは、これまでにアメリカで3000回のプレゼンテーションを実施してきましたが、世界の国々にもその活動は広がっています。

2003年には、ベルギー・ブラッセルのヨーロッパ議会をはじめ、イタリアのローマ、アルバニアのティラナ、メキシコのユカタンでプレゼンを行いました。

2004年には、ニュージランドを訪れ、2週間のツアーで全国をめぐり90回のプレセンを行っています。その後、オーストラリアのメルボルンに1週間滞在して、第15回ドラッグ・ハームリダクション国際カンファレンスに出席し、東南アジア諸国から訪れた40人の警察関係者たちもLEAPに参加してくれることになりました。

また、カナダでは、2005年と2006年を通じて165ケ所でプレゼンを行っています。

2006年の夏には、LEAPの理事の一人である ジェリー・キャメロン 元警察所長が、イギリス、スコットランド、アイルランド、オランダを訪れています。アイルランドに入るころにはメディアにも大きく取り上げられるようになって、ジェリーは到着したその日からたくさんの新聞、ラジオ、テレビのレポーターたちに囲まれました。

2006年9月18日には、イギリス自由民主党の幾人かの年長国会議員がすべてのドラッグの合法化を求める声明を発表していますが、スコットランドの7700人の警察官が加入するストラスクライド州警察連盟の会長であるジム・ダフィー監察官も議員たちに同調して、イギリスで6人目のLEAPのスピーカーに加わってくれました。

私も、2006年11月から12月に イギリス 各地で18回のプレゼンを行いました。LEAPの主張に対する受け入れかたは、かつて経験したことのないほど良好なもので、メディアの取り上げ方もポジティブなものでした。さまざまな階級の警察官からも支持を受けましたが、その中には、ケンブリッジシャー州のトム・ロイド元警察本部長も含まれています。彼は、現在ではヘロイン・ユーザーに政府のきちんとしたヘロインを処方することに力を注いでいます。

2006年12月19日には、オーストラリアの連邦上院議員がわざわざマサチューセッツのLEAPの事務所まで訪れて、アメリカがもたらしたドラッグ禁止法の災いを清算するために、自分や同僚に力を貸してほしいと申し出てくれました。


ますます高まるドラッグ戦争終結への関心

2007年5月には、ポーランドのワルシャワで開催された第18回ドラッグ・ハームリダクション国際カンファレンスに参加して100人の新メンバーを獲得し、15カ国に人たちからLEAPを自分の地域でも組織したいとして招待を受けました。

その後私はハンガリーのブタペストを訪れ、ハンガリー市民の自由連盟と一緒に5日官で、2つの大学とハンガリー警察アカデミー、5人の国会議員にプレゼンを行いました。その他にも2つの大手新聞社のインタビューを受けて、65万人が見ている全国テレビにも出演しました。

最終日には、首相事務所からの要請でハンガリーの上級政務次官と30分間にわたって会談し、ドラッグ政策を改革するわれわれの仕事への協力を約束してくれました。

2007年9月4日から11日にかけては再びイギリスのケンブリッジを訪れ、第25回経済犯罪国際シンポジュウムで90カ国900人の警察関係者にプレゼンを行いましたが、毎年違法ドラッグには5000億ドルが使われており、その収入は査察を受けることもなく組織的に投資され、正直なビジネスではとても太刀打ちできなくなっていると説明すると、参加者の大多数が、禁止法を終結させるべきだというわれわれの主張に賛同してくれました。

2007年10月には、タイのバンコクで開催された 『ドラッグ政策とハームリダクション』 と題するオープン・ソサイエティ協会カンファレンスに招待されプレゼンを行いました。プレゼンは好評で、13カ国47人の招待者と28人がLEAPに加わってくれました。ハームリダクションに関心のある人たちは、ドラッグ禁止法を終結させれば死亡、疾病、犯罪、中毒を減らせることに気づき始めていますので、この会議では手応えのある成果を感じることができました。

2008年2月には、カナダのバンクーバーで開催された 「Beyond2008」 カンファレンスにも参加しています。この会議は、現在国連のドラッグ犯罪事務所(UNODC)が取り仕切っている国際ドラッグ・コントロール・システムを検証するために世界のNGOから情報を集めるために準備されたものです。

さらに来年は、アメリカで600以上のプレゼンを行い、イギリス・ケンブリッジで開催される組織犯罪国際シンポジュウムに参加し、秋には新しい情報を持って再びニュージーランドを訪れることにしています。


一緒に安全で過ごしやすい社会を築きましょう

もし、スティーブさんやご家族、友人、あるいは知人の方々が、明るい未来に向かって世界を変える運動に参加したいとお考えでしたら、是非今すぐに サイトのメンバー登録ページ を訪れてわれわれの仲間に加わって下さい。

どなたでもメンバーになることができます。会費は無料です。メンバーが多ければ多いほど、この自己永続的で膨張を続けるドラッグ戦争という破滅的な政策を早く終結させることができるのです。

わたしたちは、あなたとともにドラッグ戦争が生み出している苦悶を終わらせることで、ドラッグ禁止法の執行の役割を課せられて著しく弱体化してしまった警察官の仕事を深く尊敬される栄誉あるものに回復したいと思っています。

みんなで力を合わせれば、より実効性のある倫理性の高い方法で安全で過ごしやすい社会を築くことができるのです。

ピース
ジャック・コール


Jack A. Cole
Executive Director
Law Enforcement Against Prohibition
121 Mystic Avenue, Medford, MA 02155
(781) 393-6985 LEAP Office (781) 393 2964 FAX
(781) 396-0183 Home Office (617) 792-3877 Cell
jackacole@leap.cc
www.leap.cc

「中毒は克服することはできる。だが、着せられた罪は決して克服できない。」


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スティーブ・クービー

Re: LEAPスピーカーへのお誘い

ジャック・コール様

LEAPのスピーカーへお誘いいただいて大変ありがとうございます。献身的で英雄的な警察官や検察官、裁判官などの皆様とともにLEAPで活動できることはこの上ない名誉です。

念のために申し添えますと、トニー・ライアン氏が指摘したように、私は保護観察官として働いていたことがあります。学校を卒業して初めて就いた仕事で、ロサンゼルス郡保護観察局の少年補導員として2年間働きました。

私は、子供の親として、禁止法がもたらしている暴力、腐敗、犯罪を終わることを望んでいます。また、リバタリアン党の一員として、ドラッグ戦争を終結させるためには、すべてのドラッグを合法化することで犯罪組織が利益を得られなくすることが最善の方法であることも心得ています。

私は、LEAPの新しいメンバーとして、すべてのドラッグの合法化を率直に支持するLEAPの警察官や検察官、裁判官の皆様に加わって、ドラッグ戦争と呼ばれる悪夢を最も早くで最も安全に終結させるために力を注ぎたいと考えています。

レッツ・フリーダム・グロー (Let freedom grow)
スティーブ・クービー

ドラッグの合法化が暴力を終わらせる、メキシコ国境の際限のない暴力と腐敗  (2006.7.28)
ドラッグ戦争に勝利はない、ドラッグ合法化を主張する警察官たち  (2006.11.29)

スティーブ・クービー 氏は、1980年代から褐色細胞腫として知られる非常に稀な副腎癌に似た病気を患い、さまざまな治療を試した後で、医療カナビスだけで対処することで病気を克服してきた。

1996年に成立したカリフォルニア住民215条例の起草者に加わったことでも知られ、1998年にはカリフォルニア州知事選挙にリバタリアン党から出馬している。

その後、カナビスの栽培が発覚して起訴されたが、生命をつないでいるカナビスが断ち切られることを恐れてカナダに亡命した。しかし、2006年1月にアメリカへ 強制送還 され投獄された。一時はカナビスが断たれて生命の危機も伝えられたが、周囲の支援と幸運も重なって4月始めには自由の身となった。

同年8月には、シアトルで開催されたヘンプ・フェスタで、リバタリアン党からアメリカ大統領を目指すと宣言し、カリフォルニアを中心に各地を回って支持を訴えた。その甲斐が実って予備選挙でも最後まで高い支持率を維持していたが、先ごろデンバーで開催された党大会で、後から参入してきたボブ・バーに敗れた。

リバタリアン党の正式な大統領候補で選ばれたボブ・バーは、以前は共和党の反ドラッグ政策の急先鋒として知られ、ワシントンDCで成立した医療カナビス条例を連邦法でつぶしたことすらある。だが、2000年の大統領予備選挙で敗れ、マリファナ・ポリシー・プロジェクト (MMP)からは 「素晴らしいニュース」 だと言われ、2003年には議員からも退いていた。

しかし、その後、ドラッグ戦争に対する自分の考えは間違っていた と表明し、MMPのロビー活動に協力することを宣言した。今回の大統領選挙にあたっては、MMPの支援を受けてリバタリアン党の予備選挙に加わり、その抜群の知名度と行動力で大統領候補に指名された。本選挙で当選すると考えている人はいないが、共和党のマケイン候補の票をかなり奪うという見方もあり注目を集めている。

リバタリアン党は、民主党、共和党に次ぐアメリカで3番目に大きな政党で、実際の内情は複雑だが、社会や経済に関して個人の自由を最大限に認めることを最も大きな柱として掲げ、州の政治に対しても治安や安全保証意外は連邦政府の干渉を認めない立場をベースとしている。ドラッグにしてもそれを使うかどうかは個人の問題だとして、クービー氏は明確にすべてのドラッグの合法化とDEAの解体を公約に掲げていた。

ボブ・バーの変節 やLEAPの急速な拡大は、現在のアメリカの底流に大きな変化が起きていることを象徴している。アメリカはもはや、「Just Say No!」 の御託だけでは全く通用しない時代になっている。

スティーブ・クービー氏は、また、長年の医療カナビスの使用経験から、ジョイントで吸う場合には半分までしか吸わないことでタールの摂取を避けたりする方法などを提唱したり、栽培面でもさまざまな工夫をしてきたことでも知られている。

今年は、有機栽培したカナビスの抽出液から均一で発現の早い効力の高いピルを製造することに成功し、政府の認証を獲得することを目指してCALYX製薬というベンチャーを立ち上げている。開発チームには製薬会社の元CEOや、製薬開発に20年携わってきたベテラン研究員なども含まれている。

現在、天然のカナビスを素材にした製薬開発としては、イギリスの GW製薬、カナダのカナサット製薬、オランダの エコー製薬、ドイツの 臨床調査研究所、などが知られているが、アメリカで天然のカナビスを使った製薬開発は初めてのことで、今後の成り行きが注目される。

なお、クービー氏の場合は、ピルは喫煙やバポライザーを好まない人がターゲットで、カナビスの全面合法化を求めていくことには変わりはないと明言している。