カナビス咳止めシロップ


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Cough Syrup


「カナビス・インディーカは、咳止め薬の成分として人間が利用できる最もすぐれたものの一つで、喉の不快感を鎮めてくれる。しかも、モルヒネのように気分を落ち込ませるようなこともない。」 ホーバート・ヘア、実践治療学(1895)。

咳というのは自然と体に備わった防御作用で、喉の気道から余分な唾液を取り除く働きがある。カナビスにはいろいろな作用があるが、喉を乾かして広げて気道から不要なものを排除する能力も備わっているように思える。医学用語ではないが、これを 「ドライ・マウス効果」 などと呼ぶ人もいる。カナビスには痛み止め鎮静作用もあるので、それらが相乗して咳止め薬の成分として効果をもたらしているのだろう。

子供用の咳止めシロップ。ビクター社。


子供用の咳止めシロップ。製造元のオハイオ州コロンバスのワレンティー社(1920年代)は、現在はローム&ハース社として知られている。ラベルには次のように書かれている。

「1000CT、子供用咳止めスペシャル。1錠中の内容量:カナビス抽出液1-20グレン、ヒヨス1-20グレン、ヨーソライム1-2グレン、トコン粉末1-12 グレン、アロマティック。使用法:6錠を60ccの水に溶かして10〜15分おく。咳止めや去痰薬としては3cc服用。大人の場合はそのまま1〜2錠摂取。ワレンティー製造会社、オハイオ州コロンバス。」 (1グレン=0.065グラム)

ボトルの高さは16センチ。前面のラベルの約90%はもとのままの状態。口は直径2.5センチ、厚さ5ミリ。機械製造ボトル。


コロンバス製薬会社(1920年代)の2種類の異なる子供用咳止め薬のラベル。今日では、この会社はロクサン・ラボと名を変えて、カナビスのTHCを化学合成したマリノールを提供していることでも知られている。



テネシー州ブリストル、SE.マッセンギル社の製品と製品カタログ。アーカンサス州ラッセルヴィル、C&Dドラッグ・ストアの好意による。


Dr.CP.ダンカンの咳止め、バルサム。カナビス含有特許薬。テネシー州ナッシュビル、ウエブ・メディシン社製造。クラシックな長い首を持った高さ15センチの液体ボトル。ハンドメイドで、首にはくびきが鋳込められ、注意ラベルも張られている。裏にははっきりとした浮きだし文字も見られる。ラベルには次のように書かれている。「カゼ、咳、喘息、喉頭炎、気管支炎、胸の痛みや圧迫感、喀血など喉や肺や胸のあらゆる疾患を緩和」。

このボトルは明らかに1880〜1890年代のもので、この時代の頂点に位置する。100年以上経ても液体やコルクもそのままで残されている。現在では使用を禁止されているが、このボトルに使われているモルヒネやカナビスのような成分は体調を改善する働きがある。医師のクラシック・パテント医薬品で製薬会社が配合したものではない。1890年代のシカゴの老舗の薬局にあったもの。(オークション・サイトの記述より)


クロコール咳止めシロップ。上の2つは異なるバージョンのボトルとパッケージ。オークション・サイトの記述によると、「クロコールは、鼻感冒、咳、流行性感冒薬。コルク未開封のボトルには、オハイオ州デイトン、クーパー製薬。ボトルの高さは13センチ、首の長さ4センチ、厚さ2.5センチ。紙ラベルは100%無傷で文字も鮮明。ボトルには欠けたところがない。箱は1900年代の良き時代を感じさせる。」 と書かれている


ウイリアム・ワーナー社製ボトル。首のラベルには16オンス(450cc)のカナビス溶液とある。希少もの。コルク栓で高さは20センチ。当時のままの液体が入っている。非常に重量があり、2重箱の4ポンド特別郵便で出荷されていたと思われる。ラベルには次のように書かれている。

「G421シロップ。トルーバルサムとコデインの混合液。ワーナー・スペシャル。カナビス、ロベリア、コデイン硫酸塩。アルコール分10%。クロロフォルム。気管支炎鎮静薬、去痰薬。ウイリアム・ワーナー社。ニューヨーク、セントルイス。」

ボトルの裏面には丸に囲まれた浮きだし文字で社名が書かれている。このボトルには開封された形跡はない。1900年代のもの。




Dr.マカリスター咳止め混合液。以下はオークション・サイトから。

シカゴのジョン・P・リー・ドラッグハウス社製カナビス特許医薬品。未使用。ボトルの高さ12センチ。教会の建物のような形で角はアールになっている。ラベルも真新しい状態で、「百日咳、喉頭炎、風邪、咳に処方。特に子供の場合は就寝前に砂糖ひとさじを加える。」と書かれている。

全体の印象から、これは1906年に施行された食品医薬品法をくぐり抜けるために製造されたものの一つらしい。100年以上経てもコルクやビクトリア調の箱もそのままで残されている。

クロロフォルムやカナビス・インディーカのような成分は、現在では麻酔薬として規制されているが、気分を良くする働きがある。主成分はこの2つでアルコールに溶かれている。医師のクラシック・パテント医薬品で製薬会社が配合したものではない。シカゴの老舗の薬局にあったもの。




ハゾルティン社製ピソ・ブランド治療薬。上は浮きだし文字のない緑色のボトル。下は浮きだし文字入りのキュートな長方形ボトルで高さ7センチ。ラベルには次のように書かれている。

「ピソ治療薬。咳・風邪用。1オンス当たり0.5グレインのカナビス・インディーカ抽出液。ペンシルバニア州ウァレン、ピソ社。Dr.MC.タルボット。」


「大衆薬ピソ・キュア(Paso' Cure for Consumption)」。成分表を見れば咳止め以外の何者でもないが、1906年に施行された純食品医薬品法で真っ先に標的にされたので商品名を変えている。右側のラベル(The Great American Fraudより)を見るとその対応を早さに感心する。Consumptionをいう言葉にクレームをつけられると瞬くまに変更している。


ピソ・キュア。上の「大衆薬ピソ・キュア」と成分は同じ。偽装カナビス医薬品の章を参照。


ニューヨーク、タンクロ社から発売された風邪薬 Complete Cold Treatment のボトルと箱。

とても興味深い商品。カナビス・サティバではなく、カナビス・アメリカンと書かれているところに注目。当時は、普通にアメリカでヘンプとして栽培されていた植物には陶酔成分はないとされていたが、薬として効果があることがわかっていたらしい。この商品には、当時、咳止めとしてどの薬にも使われていたクロロフォルムやアルコールも入っている。

このボトルは全く破損もなく真新しい状態で保たれている。箱は年月を経て若干の裂け目があり、蓋は紛失しているが、全体としてはほぼ当時のままで、初期の医薬品の様子をよくあらわしている。(オークション・サイトから)