偽装カナビス医薬品


Medical Cannabis Picture Gallery
Quack Cures
http://antiquecannabisbook.com/chap15/Quack.htm


偽装医薬品という観点からみれば、さまざまな理由で製造業者たちはカナビスよりもアルコールやアペン系薬剤に関心が高く、実際、カナビスの偽装医薬品としてきちんとラベルの付けられた商品といえるのは今まで1種類しか見付かっていない。

ピソは、食品や医薬品のいんちき商品を暴露したことで知られるサミュエル・アダムスの 「アメリカの大嘘商品」 で取り上げられた唯一のカナビス・ブランドで、つぎつぎに新しい手口をあみだした。

ピソの製造元であるエズラ・ハゾルティン社は、1880年代以前にもアヘン偽装製品の販売を自らあきらめ、その後、「大衆薬ピソ・キュア(Piso’s Cure for Consumption)」 を出した。ここでは 「治療」 と言わないで 「キュア」 という同義語を使っている。

次に、1906年の純食品医薬品法の施行に先だって、事前にもっとまともな 「ピソ・キュア」 という名称に変えている。施行後はしばらくしてから、また、咳や風邪用として 「ピソ治療薬(Piso’s Remedy)」 に変更している。

もともとピソという言葉は、スペイン語で 「一杯ひっかけて踊りに行く」 という意味があり、エズラ・ハゾルティンはそのことをよく知っていたに違いない。


サミュエル・アダムスの 「アメリカの偉大なる詐欺師たち」 の写真(1907年版)。


大衆薬ピソ・キュア。このボトルは明らかに1906年の純食品医薬品法の前に製造されたもの。成分は、それ以降、咳止め・風邪薬として出されたものと同じ。


ピソ・キュア。ラベルは半分なくなっているが、法施行後、名前を変更しているのがよくわかる。成分はカナビス・インディーカ、クロロフォルム等。


ボトルは透明な黄緑色で高さ12センチ。ピソ・カンパニー、ピソ・キュアという浮き出し文字が見られる。


ピソの最後のバージョン。ここではカナビスの文字がなくなっている。おそらくこの商品は1937年のマリファナ税法の施行後に出したものだと思われる。マリファナ税法は、大恐慌の最中、カナビス医薬品のすべてに1オンス1ドルの課税をしたので、咳止めシロップの製造は財務的に見合わなくなった。一つの時代が終わった。




ピソ・キュア。ボトルのパッケージと説明書。


ピソ・キュアの雑誌全面広告。


ピソの宣伝用はがき。


ピソ治療薬。結局、ピソの商品はこのミュージアムのどのジャンルに入れるべきなのか?




トラベリング・メディシン・ショウの広告とクーポン券。