カナビスの害とその削減対策の基本
医師からの助言
Source: cannabistrust.com
Pub date: October 2004 Revised April 2005
Subj: Cannabis 窶 Proposals for a Harm Reduction Strategy
Web: http://www.schmoo.co.uk/cannabis/harmreduct.htm
http://www.budbuddies.com
他のドラッグに比較して少ないとはいえ、カナビスにも害はある。しかし、正しい知識を身につければその多くはユーザー自らが回避したり軽減することができる。今求められているのは、客観的な事実と害の削減対策だ。その手がかりとして、医療カナビスの給配支援活動とその啓蒙を続けるBud Buddiesのディテフィールド医師とブレワー医師による医療専門家向けのアドバイスが非常に役立つ。(オリジナル論文)
はじめに
イギリスでは1971年まで、指定薬局はカナビス医薬品を合法的に処方することができたが、カナビス禁止の流れは1930年代にアメリカの連邦麻薬局によって開始された精力的なキャンペーンにまでさかのぼることができる。
カナビスは強力な麻薬で手のつけられないような倒錯した行動を引き起こすとされ、「リーファー・マッドネッス(気違い草)」 によって、暴力犯罪やヘロイン中毒者があふれ、社会が脅威にさらされ、世の中が破滅する、と叫ばれた。
世界保険機構(WHO)の1955年の報告書によると、「カナビスの影響下では衝動的な殺人が起こる危険が非常に高く、冷血で、明確な理由や動機もなく、事前に争いもなく、たとえ全く見知らぬ他人でも快楽だけで殺してしまう。」 この報告の6年後、最初の国連ドラッグ会議が開催され、カナビスは国際的に禁止されることになった。
今日では、こうした表現は極端過ぎると誰でも認めてはいるが、カナビスに対する見方は大きく分裂している。カナビス擁護派は、カナビスがナチュラルで比較的害もなく有益な側面もあるドラッグなのにもかかわらず嘘の神話によるプロパガンダで悪者にされてきた [1 & 2]、と主張しているが、禁止派は、カナビスが有害なドラッグで個人や社会全体に害を及ぼしている [3 & 4]、と譲らない。
現在の信頼できるデータでは次のような状況になっている。
- ティーンエイジャーや若者たちの間では好奇心からのカナビスが気まぐれ的に使われているが、大半は20代後半までに熱が冷めて止めてしまうのが一般的 [5 & 6]。
- カナビスは世界中で最も広く使われている違法ドラッグで、1億4600万人が使っている。この数は、1997年に初めて発行された世界ドラッグ報告と同じ数字で現在でも変わっていない [7]。
- イギリスではこれまでおよそ8500万人がカナビスを試したことがあり、過去1年間では300万人以上がカナビスを使っている [8]。
- 2002年にイギリスにおいて、違法ドラッグのうち最も頻繁にカナビスを使っていた若者は、11〜15才で全体の13%、16〜24才で27%だった。また、カナビスの使用が年齢とともに急激に増えている。11才での使用率が1%に過ぎないのに、15才では31%に跳ね上がっている [9]。
- 2000年のイギリス犯罪統計のよると、違法ドラッグとしてはカナビスが最も普通に使われており、16〜29才を対象とすれば、44%がカナビス経験があり、過去1年間では22%、過去1ヵ月では14%になっている。
イギリスでは2004年1月にカナビスの分類がBからCへダウングレードされたが、その結果、カナビスの使用が増加したという主張があるが、一方では、それは緩和されたことで自分が使っていることを認めやすくなったからに過ぎないという解釈もある。
いずれにしても、実際、薬局や医療保健関係者がカナビスとその使用について質問されることが今まで以上に多くなっている。
害の削減とは
レイトンとシンゲルは [10]、害削減(Harm Reduction (HR))には2種類あり、広範囲な政治目標としての削減と、使用上の健康被害の削減とを明確に区別している。
その上で、害削減はドラッグの使用を減らしたり止めさせることを目標とはしているものの、使用を続ける人にとっても害を減らす戦略を含んでいなければならず、まずその中心的課題として使用そのものに伴うユーザーの健康への害削減を目標としなければならない。さらに、そうした戦略がドラッグ関連の害全体の削減にどれだけ成果を上げたかを評価しなければならない、としている。 [10, p.213]
ここで重要なのは、害の削減が禁欲指向をベースにしたものではなく、それとは逆の立場から、どのようにドラッグを扱ったら害を削減させることができるかということに力点が置かれている点だ。
「害の削減という言葉は、個人のドラッグ乱用が起因する害を最小限に抑えるために提供される活動やサービス全体を意味している。」 (イギリス政府、1998)
カナビスの害削減
以下では、カナビスの害削減問題を公平かつ広範囲な視点で見るように留意している。その理由のひとつは、特に長期使用に関連した害については長期にわたる研究が乏しく、健康への影響などの因果関係を明確にすることが難しいという背景がある。また、カナビスの害削減についての議論にもさまざまな意見があり、一部の議員たちは害の削減が違法なカナビス使用の隠れみのになると考えている、といった事情もある。
カナビス関連の害の削減について現実的に評価しようとする上で一番の障害になるのが両派の感情的で非理性的な政策論議だ。とりわけ、害の種類やその範囲をめぐってはいつも争点になる。
ジョナスが主張するように [11]、害の削減戦略は、さまざまなドラッグの摂取が起因しておこるネガティブな結果の実例を集積した疫学的なデータをベースにして作成しなければならない。一旦、因果関係が明らかになれば、実際のネガティブな影響の削減により多くの努力を集中し、避けることのできない悪影響については真摯な教育で補うことができる。だが、残念なことに、現在のところ利用できる疫学的なデータはほとんどない。
両派は、害に対する誇張や過小評価をやめて歩み寄り、一貫した信頼できるメッセージを用意し、害削減計画のコストと利益を計算し、政策の及ぼす影響を評価する必要がある。また一方では、保健医療関係者は、当然のこととして、カナビスの使用によって人が遭遇する可能性のある害についてはよく理解していることが要求される。
これまでの調査研究では、カナビスを使っている人の一部や特別にヘビーな使い方をしている人たちはさまざまな問題に遭遇する可能性が高いことが示されている。こうした害には、カナビス自体が直接関係している健康問題のようなものばかりではなく、社会問題や雇用問題、さらに現在のカナビス政策にによってもたらされる法的問題なども含まれる。
以下では理解を簡単にするために、こうした害の一部について概要を示し、特に関心の高い問題に焦点を絞っている。ただし、いずれも特定の政策を擁護するための議論ではないことを最初にお断りしておく。
健康に対する害
カナビスで急性中毒になることはまずない [12]。また、カナビスが原因で死亡することもまずない [13-14]。
王立カレッジの名誉会員であるレズリー・アイバーセン博士は、「カナビスはアプピリンよりも安全な薬で、長期間使用しても深刻な副作用はない。」 [15] と述べている。また、イギリスで唯一医療マリファナの治験が許可されているGW製薬の文書によると、「カナビスの安全性については、数百年にわたって死亡例は一件も報告されていないほど確かなものである。実際、カナビスの致死量は通常使用の4万倍と見積もられており、アスピリンの23倍、モルヒネの50倍に比較してはるかに高い。」 [16]
現在、カナビスが使われている方法では公衆衛生上のリスクはごく僅かで軽度なもので、アルコールやタバコといった最も普及しているドラッグに比較すれば、社会の負担になるような害はきわめて限定されている [17 & 18]。
薬物乱用諮問委員会の報告書によれば、(4.4.1) 一般的なカナビス・ユーザーの喫煙本数はタバコのユーザーよりも少なく、それも30代になるまでには吸うのを止めてしまうので、肺がんを誘発する原因と考えられている危険因子に晒される期間も限られている [19]。
カナビスを使用すると脈拍が平常値よりも20〜100上昇することもあるが、こうした増加は始めの10〜20分程でピークに達し、その後は急速におさまる。効果の持続具合はカナビスを吸ったか食べたかによって異なり、前者で3時間、後者で5時間続く (Graham 1986; Hall et al. 1994; Joy et al. 1999)。血圧は座っているときは上昇し、立つと減少する。このために、座っている状態から立つと血圧が変化し立ちくらみやめまいを起こすこともある。
しかし、こうした心臓や血管関係への影響は、ユーザーの大半が若く健康ことを考慮すれば臨床的には無視できる程度のもので、それも使い慣れれば起こらなくなる。 (Hall 1994; 1998: Joy etal.)
薬物乱用諮問委員会の報告書 (4.3.3) によれば、カナビスの心臓や血管に対する影響はスポーツしているときの状態と同程度で、健康な青年や若い成人の場合はほとんどリスク要因にはならないと考えられる [19]。
健康問題の2大焦点--呼吸器疾患と精神症
だからといって、カナビスが全く無害なドラッグというわけではない [19]。カナビス使用の健康への害は、主に、タバコの喫煙者と同様の呼吸器系の疾患と潜在的な精神症を持つ一部の人のリスク増大という問題に焦点が絞られる。そのほかの害の可能性については大半が動物実験レベルであったり、検証が不十分で結論がでていない。
害削減対策の2大要素--カナビスの品質と摂取法
カナビスの使用と健康の害について調べた科学文献や研究の要約を読むと、害の削減対策を考えるうえで最も重要な要素としては、カナビスの品質とその摂取法の2点が挙げられている。
急性的な害
カナビスの使用に伴う急性的な害として最も一般的なものには、不安、パニック、パラノイアといった精神のネガティブな変調があげられる。こうした悪影響は、特に初体験の人や経験の浅いユーザに多い。また、記憶力や学習力、瞬間的判断力、パニック行動や精神運動障害といった認知性の混乱が起こることもあるが、一般に、こうした悪影響はカナビスが効いている数時間だけに限定され、それ以降は持続しない。
カナビスを使用すると、複雑な瞬間的判断機能が損なわれて日常の行動に影響を与え、また、精神運動障害によって自動車の運転や機械の操作などで事故を起こすリスクが増える可能性が指摘されている。
しばしばカナビスとアルコールは併用されることがあるが、精神運動障害が重なり合って運転能力をいっそう損なう [22]。つまり、カナビスはアルコールによって引き起こされた精神運動障害を増幅する可能性がある。
精神的な問題を抱える一部の人たちは、精神障害に陥るリスクが高まる [23]。
慢性的な害
何年にもわたりカナビスを毎日のように常用しているユーザーが最も受けやすい悪影響は精神的な依存性が生じることで、各種の精神行動障害や身体的行動障害などを伴って、何か問題が起こった時に適正に対処していくような能力が損なわれる [24]。
呼吸器への悪影響としては、特にカナビスとタバコを混ぜて使うと慢性気管支炎や細胞が前ガン状態になる可能性がある [25]。この場合は明らかに摂取法によってリスクの程度が変わるが、害の削減という観点からジョイントにタバコを混ぜるという習慣に対して代替案を出そうとしても感情的な反発があって、いまだ広範囲な検証は行われていない。
カナビスの煙もタバコの煙も発がん性物質や呼吸器にダメージを与える物質を多く含んでいる [26 & 27]。さらに、カナビスにタバコを混ぜて使うユーザーの多くがタバコの常用者でもあり、その双方が加重されて呼吸器への悪影響を起こすことが示されている [28]。また、バド・バディーズの調査によると、ジョイントにタバコを混ぜて吸っている人の中には、カナビスはそのようにして吸う必要があると誤解している人たちもいる。
ハイリスク・グループ
特定のグループに属する人たちはカナビスの急性及び慢性の副作用に遭遇するリスクが高くなる [17,27,28]。こうしたグループとしては、未成年や妊娠中の女性などがある。
他の薬物との併用
カナビスと他の薬物との併用で症状が重くなったりすることがあるが、そのような薬物としては、一般に、アルコールや精神安定剤、抗鬱剤のと併用が多い [40]。併用すると、単独使用に比較すれば、適応力が低下し積極的な反応が乏しくなる [29 & 30]。
統合失調症のリスク
カナビスの悪影響で特に疑われることが多いのが統合失調症だ。精神症になりやすい気質の人は、長期間ヘビーな使用を続けると症状が助長されて、統合失調症を招きやすいことが研究で示されている [31]。
最近オーストラリアで出版された研究報告書では、生涯ベースで考えて統合失調症に陥りやすさにカナビスの使用がどのように影響するかを出生時期を基準に8つのグループに分けて調査している。各グループの統合失調症になる人の数を予想する際に、次のような4つの仮説を使っている。
- カナビスの使用と統合失調症には因果関係がある
- 統合失調症になりやすい気質の人はカナビスでそれが促進される
- カナビスの使用が統合失調症の症状をさらに悪化させる
- 統合失調症の人はカナビスの常用者になりやすい
調査結果によると、オーストラリアではこの30年間にカナビスの使用が急激に広まり、カナビスを初体験する年齢も下がったが、統合失調症の出現率がとくに増加した証拠は得られなかった。また、データの傾向分析でも、統合失調症の発症年齢にはグループごとにはっきりとしたパターンは見付からなかった。ただ、統合失調症の人がカナビスを使っている率は概してどのグループでも多くなっている。
結論としては、「カナビスの使用と統合失調症の発症には因果関係は見出せなかったが、しかし、精神症になりやすい気質の人では症状が促進され、すでに発症している人では症状がさらに悪化する。」 [16]
しかしながら、興味深いことに、一部の統合失調症患者たちはカナビスの使用で 「人の声の幻聴がおさまる」 と答えており、こうした患者ではカナビスの使用が病気の発症を高めるとする直接的因果関係は薄い [16a]。また現在、GW製薬では統合失調症の治療に使うカナビス医薬品を開発を進めており治験の第3ステージに入っているが [16b]、この分野におけるさらなる研究が必要になってきている。
統合失調症のニュージーランドの研究
世界的に有名なニュージランドのオタゴ大学の研究では、デニディン生まれの1000人について30年以上にわたって追跡調査しているが、その結果、研究者たちは 「カナビスを使うのは、少なくとも、青年期前半以降にすべきだ」 と忠告している。研究が示唆しているところによると、遺伝的に統合失調症になりやすい気質の人が脳の未発達な若い時期にカナビスを始めると大人になってから問題が顕在化する可能性が高くなる。
この研究では、カナビスが精神症を引き起こすのは使う人の特別な遺伝気質に依存するとしているが、一方では、カナビスが引き金になったとされる精神症の率は、遺伝的な気質を持ち、さらに青年期に使っていた人に限っても15%程度におさまっている。
デニディン総合健康発達研究所では、調査に参加した803人に対して、13才、15才、18才の時のカナビスの使用状況について、本人以外にも家族や身近な友人に繰り返し聞き取り調査している。ここでは精神症を 「1年に1ヶ月以上にわたって、幻覚や妄想、愉快な気持ちの喪失、日常活動への不適応、行動の混乱などが常時続いている人」 と定義している。
18才時には27%が最低月一回、人によっては毎日カナビスを使っていたが、26才時点では全体の3%に何らかの精神症が認められ、1%が統合失調症、2%が軽い統合失調状態になっている。ティーンエイジャーのときにカナビスを使っていた人が精神症になる率は全体で8%なのに対して、遺伝的な気質を持つ人の場合は15%に上昇している。
カナビスと精神症のこうした関係は他の研究でも確かめられているが、さらに正確な遺伝子をピンポイントで特定するための研究がオタゴ大学とロンドン王立カレッジ、ウイスコンシン大学の協力で進められている。
人はCOMTと呼ばれる遺伝子を2つ持っているが、それぞれは2人の親から1つずつ遺伝する。遺伝子には3種類の組合せが存在し、各人はそのどれか1つの型をもっている。理論的には、このうちカナビスで精神症になりやすい気質の組合せ確率は全体の25%になる。
この調査にたずさわっている研究者の一人であるオタゴ大学リッチェ・ポウルトン助教授は、この発見が少数の特定グループの人たちにとっては重要な意味を持っている、と述べている。「少数のグループでしかも発達期にカナビスを使うという限られた場合ですが、間違いなく精神病になる率が確実に増えるのです。」
「ですが、この発見を過剰に心配する必要はありません。また、カナビスが極めて危険であるとか、逆に安全であるとかとかいう極端な見方のどちらも支持するものではありません。」 「どちらも事実ではありませんし、いずれの場合も、若者にそうした極端な吹き込みをすれはいずれしっぺ返しをくいます。」
「人口全体からみれば、カナビスに関連した精神症という問題は健康的には重大なリスクとは言えません。」
カナビスの医学使用
カナビスを医療利用している人たちは、関節炎、癌、てんかん、緑内障、エイズ、多発性硬化症、慢性疼痛などさまざまな疾患に対処するために、自分の判断でカナビスを使っているが、多くの人にとって、カナビスは従来の療法にすべて失敗して最後にやっとたどり着いた 「安住の地」 になっている。
多くの患者にとっては、カナビスを食べて摂取する方法のほうがより効果があるようだ。食用摂取では代謝によって11-ハイドロキシー・テトラヒドロカナビノールが生成されるが、この代謝物質はジョイントやバポライザーなどを吸って得られる通常の活性成分Δ9-テトラヒドロカナビノールの4倍の活性を持っている。11-ハイドロキシー・テトラヒドロカナビノールはカナビスを吸ったときには生成されない。
しかし、エイズ患者など食欲不振で体重の減少に苦しんでいる場合には食用は難しいので吸引が最も効果的な摂取方法になる。
一方、カナビスやカナビノイドをベースにした治療薬が合わない絶対禁忌疾患もある [32]。一部の疾患薬とカナビスを併用するといずれ精神症に発展するリスクがあることが示されており、特に精神症歴のある患者に対しては十分な根拠がない限りカナビスを絶対に避ける必要がある (Hall, 1999)。
抗パーキンソン病薬レボドパをカナビスと併用すると相互作用が生じるので、現在のところこのグループに属する医薬品との併用は絶対避けなければならない。また、シトクロムP450 3A4酵素は薬剤の代謝に排他的に作用するので(理論的にはフェンタニールが問題)、カナビスとの併用は将来の実験結果を待たなければならない。
害削減の方法
上にあげたような健康への害を削減する具体策はたくさんある。使用の頻度を減らすことを前提にしない害削減の方法もあれば、使用を減らしたり中止することを目標にした方法もある。
しかし、いずれにしても、ストレスの原因とまともに向き合わずにカナビスの自制だけを求めると、それがさらに大きなストレス要因になって問題をさらにこじらせてしまう可能性もある。
ドラッグ乱用諮問委員会の 「ドラッグ乱用と環境(1998)」 9.47 によると、「ドラッグを取り上げてしまうと苦痛や精神的な不快感が増し、それが鬱病や上下幅の激しい不安定な気分障害の引きがねになることがある。このような状態下では、気分を高めたり良くするために、自己判断で精神作用のある薬物(違法ドラッグを含む)を使って不快感を緩和しようとするケースも見られる。」
「若者の間での失業や無関心、過激な暴力やセックスといった問題に対処するための対策を立てる際には必ずドラッグ乱用問題が出てくる。」 (国連麻薬部会、若者とドラッグ、全体総括、1999)
ここで注意しておかなければならないのは、一部のカナビス・ユーザーの間では、カナビスがアルコールなどに比較してトラブルが起きにくいと考えて、カナビスの使用そのものを害の削減対策として使っている人もいるということだ [33]。他にも、自己処方で、多発性硬化症や慢性疼痛といった病気の症状緩和にカナビスを利用している人たちもいる。
いずれにしても、他のドラッグ同様、カナビスの場合も害に立ち向かう一番の武器になるのは知識だ。確かに、知識が必ずしも行動を変えるという保証はないが、センセーショナルに偏よらず実験に根ざした正確でタイムリーな情報があれば、カナビス使用者はどのように使えばどのような問題が起きる可能性があるのか知ることができるので、カナビス使用の短期および長期的リスクを判断するための実践的な材料になる。
害の削減対策を立てる第一歩は情報の収集だ。使っているカナビスのタイプ、使う頻度や量、摂取法、使う動機(気晴し、医療等)を調べ、さらにその人の病歴や年齢、健康阻害要因なども考慮する必要がある。
カナビスの品質による害削減
害削減にあたって最も重要なのはカナビスの品質だ。カナビスの形状には大別してバッズと固形のハシシがある。バッズには植物のかたちを保ったまま乾燥したものと粉にしたマリファナがあるが、マリファナにはカナビス以外のハーブなどが増量化のために混ぜられていることもある。ハシシはカナビス以外の薬物が混入されている危険がさらに高い。その典型例としてはイギリスのソープバーが知られている。
混ぜ物としては、増量のためのキャトニップやオレガノなどの香辛料、効力を増強するためのアニマル・トランキライザー(馬用等)やケタミン、ハシシ粘着のためのテレピン、着色用のヘンナやコーヒー、燃焼をよくするためのジーゼルなどがある。
また、カナビスを栽培するときに使われる農薬や化学肥料などのほか、虫食いや乾燥が不十分でカビなどが生えたもの、燻れてバクテリアやボツリヌス菌などに汚染されたものも害になる。
いずれにしても、素性の不確かなカナビスにはリスクが伴うので、とりあえずは疑ってかかるほうが好ましい。注意深いベテラン・ユーザーはルーペで細部を観察したり、香りや燃焼具合を確かめている。
吸引法の改善による害削減
最も効果的で簡単な害削減の方法は煙を吸わないことだが、多くのユーザーにとってはリスクの最小化といった理由だけで喫煙ではない摂取法を受け入れるとは限らない。リラックスや刺激を求めてカナビスを使おうとする動機を過小評価してはならない。その気持ちはカナビスに害があることがわかっていても使い続けるほど強い。
カナビスとタバコを混ぜてジョイントにして喫煙している場合は、タバコを混ぜずにカナビスだけをパイプで吸うことでニコチン中毒などタバコに関連したリスクを取り除くことができるが、しかし、ピュアーなカナビスをパイプで吸ったからといって、燃焼過程で発生する炭化水素化合物の害の大半が取り除かれるとも考えられない。
吸引という方法にこだわるなら、害の削減という観点からはバポライザーによる吸引方法が好ましい。
カナビスの活性成分(THC)は植物全体の組織に分布しているわけではなく、メス株の花の部分に多くみられるトリコームといわれる小さなマシュルーム状のヘアのなかに含まれている。バポライザーを利用すれば、タールになる植物の組織を燃焼することなくトリコーム内のTHCだけを蒸気にして取り出すことができる。
研究によればTHCは摂氏185度で蒸気になることがわかっている。温度調整のできる高機能なバポライザーを使い、温度を180から225度に設定することで植物のセルロースの燃焼を防ぎ、ベンゼンやトルエン、ナフタリンの生成を完全に抑えることができる [35]。この結果、バポライズによって熱分解で生成する煙の化合物を劇的に減少させてカナビノイドだけを取り出すことができる [36]。これに対して、ジョイントで喫煙した場合は燃焼温度は700〜900度に達し、有害な熱分解副産物が多数生成される [36]。
高機能なバポライザーは高額なので、多くのユーザーは害削減という目的だけで購入するのは躊躇してしまうだろうが、ジョイントで吸った場合はTHCの50%が燃焼過程で破壊されてしまうのに対し、燃焼を伴わないバポライザーは効率がよいので最終的には節約につながる。バポライザーへの初期投資は、カナビスの量を減らせる分で数ヵ月で回収できる上に、さらに害の削減にもなる。
水パイプを使うと害の削減になると多くの人が誤解しているが、実際には反対だ。水を通した吸引で煙の温度を下げ純化するという仮説は部分的には正しいが、タール分は水には解けないために吸引した煙にはタールが濃縮してしまう。THCも水に不溶解なので濃縮されるが、全体としてタール分のほうが割合が多いので、水パイプを使った総合的な結果としてはジョイント喫煙に比較して30%以上も多くタールを吸引することになってしまう [35 & 36]。
食用の影響
特にカナビスを食用した場合の長期的な健康への影響について論及した報告書はないが、世界保健機構(WHO)の報告には次のような記述がある。
「カナビノイドを短期または長期にわたって使用しても、人間や動物の肝機能に影響を与える兆候はほとんどない。動物実験では、カナビノイドは腸運動を低下させ胃の内容物の排出を遅らせる働きがあることが示されているが、その結果として便秘を引き起こすというような明確な証拠はない。また、通常のカナビスの使用の範囲では、アルコールの体内吸収に影響を与えることもほとんどない。」 [37]
不安やパニックになりやすい人の害削減
カナビスを使うと不安やパラノイアやパニックになりやすい人への最良のアドバイスは、カナビスの使用を中止させることだ。
しかし、使い続けることを選んだのなら、適切なセッティング・ガイドラインを設けるようにする。1回のカナビスの限度量を決め、不安を助長するような他のドラッグとの併用は避けて、安全な場所で信頼できる安心感のある友人と一緒に使うようにすれば、深刻な悪影響の発現はある程度抑えられる。重要なことは、例えそのような不快な状態になったとしても、たいていは数時間でもとに戻るということだ。
統合失調症の人や精神症になりやすい人の場合は、不安やパニックなどの症状が増幅されたり、以前経験した症状がぶり返しやすい可能性があることを心得ておく必要がある。大半のユーザーでは使用量を控えれば軽い精神的な不快感なら緩和されるが、特にこのグループに属する人の場合は使用を中止することが最善の害削減といえるだろう [17, 23, 24, 32]。
精神運動障害の削減
自動車事故におけるカナビスの関与の大きさについてはいろいろな議論がある。いずれにしても、精神運動障害があれば、予期せぬ状況や緊急事態でユーザー本人だけではなく周囲の人にも害を与える可能性が増える。
カナビスの影響下にある状態での自動車の運転や機械の操作、特に不慣れで継続的な注意力を要する作業は避けるべきだ。また、こうした状況でアルコールを併用することは絶対にしてはならない。
呼吸器障害の削減
呼吸器の障害については、日常的に、ジョイントやボングを共用せず、クリーンな喫煙器具を使うこと心がけていれば、インフルエンザのような感染症のリスクを減らすことができる。また、食用で摂取したり、バポライザーを使えば喫煙に関連した害を避けることができる。
食用に関しては摂取量の判定が難しいのでかえって害があるという異論もあるが、それは、カナビスを喫煙した場合には効果は10〜20秒で発現するのに対して、食用の場合は1〜2時間もかかってしまうことが理由になっている [3 & 32]。
喫煙を好む大半のユーザーにとっては、タバコを混ぜないこと、水パイプよりもジョイントで吸うこと、深く吸い込まないこと、といった害の削減対策が有効だろう。
また、吸引は直後に効力がわかるので過剰摂取する危険性はないので [38]、効力の強いカナビスを使って吸い込む煙の量を減らすことができる。
「もしユーザーが自分の望む状態を得る際に摂取量を自分で調整できるならば、カナビスの効力が強くても悪影響はほとんどない。むしろ、強いカナビスを使うことで吸う量を減らすことができるので、その分だけカナビス喫煙の呼吸器へのリスクも軽減することができる。」 (6.14) [Cannabis: The Scientific and Medical Evidence Lords Science & Technology Select Committee 1998]
認知障害の削減
長期使用者の認知障害に対する害削減は非常に微妙な問題で、日常的な状況対処だけで改善することは難しい。
しかし、ユーザーに、カナビスの使用で日常生活や他人とのやりとりに問題が起きるという自覚があれば、支えになってくれる人を見付けて使用量を加減してもらったり、量の限度を監視してもらったりするとよいだろう。
依存性の削減
カナビスの依存性については、しばしば過小評価されたり無視されてきた。確かに多くのユーザーは他人の助けなどなくても自分でカナビスの使用をコントロールできるが、中には、深刻な問題に遭遇し、専門家の助けを借りて害を削減したり使用を中止しなければならない人もいる。
害削減の方法は、使用パターンの強固さやどのような具合に問題が発生するのか、さらに依存から脱出しようとする本人の自覚の度合などによって大きく変わる。
信頼性の高い薬物依存評価方法としてはSDS (Severity of Dependence Scale) が知られている。指標は最大スコアは15で、値が大きいほど依存性が高くなる。ロブソンとブルースは201人の問題を抱えたグループと380人の通常のユーザーグループで聞き取り調査を行っているが(1997)、問題のあるグループでは、ヘロイン関係で12.9、アンフェタミン6.1、クラック・コカイン5.5で、カナビスは2.6だった。これは、依存性がないとされているLSDの3.1、エクスタシー1.3の中間に位置している [32]。
依存を克服する際に支援が必要となる場合は、認知行動アプローチ、つまり感じ方の変化と自己理解を意図的に導き出して気持ちの負担を軽減する方法で、自己救済に役立つ何らかの薬物を利用するのが普通だが、カナビスの場合には、まだ、そうした薬物はあいまいで確定されたものはない [40]。
カナビス依存をもっと総合的に診察するためにはさらにシステム化された研究体制が必要だが、現在のところ専用の治療法はほとんどなく、アルコールの治療を改良した程度の手法に限られている [41]。
法や社会に起因する害
カナビスを禁止する意図で策定された刑事裁判システムからはさまざまな害が派生している。カナビスを使っている本人、その家族や友人のいずれもがそうした害に遭遇する可能性があり、少なくとも、カナビス使用に刑法を適用しようとすること自体がカナビスを使うことからくる直接の害と同しような深刻な害の原因になっている。
一般的に、軽微なカナビス事犯で刑事有罪判決をうける大半の人々は他の面では法を遵守しているが、有罪判決は雇用に重大な影響を与える。一方では、有罪になった多くの人は、たとえ、さらなる刑事裁判に巻き込まれたり人間関係や住居を失うことになってもカナビスの使用をあきらめない。そうした意味で、現在の刑事裁判システムは目的を果たしているとは言えない [8]。
ドラッグ・テストは、職場でドラッグに起因する労働力の低下を前もって防止しようとする目的で行われていることになっているが、この対策は、実際の労働力の低下よりもドラッグを使っているかどうかを峻別するために行われている、との批判もある [42]。
体内組織に入ったカナビスは数週間にわたって検出可能なので、テストではその時点での使用や労働力の低下を正確に反映するものでもない。確かに、ドラッグ・テストは一部の人たちには抑止力になるだろうが [42]、それも社会のコストとトレードになっている。
カナビス・ユーザーに必要な法律認識
多くのユーザーがカナビスで有罪になるとどのような結果になるか知らず、大したことではないと誤解している。
イギリスではドラッグ分類の法律改正でカナビスが合法化されたと思い込んでいる人も一部いるが、使う動機がどんなものであれ(娯楽、医療目的…)使うか使わないかは個人の選択にまかされているいう認識がとても大切だ。
法執行に伴うカナビス事犯と刑罰の重さの関係は、イギリスではそれぞれの地方で大きく違う。
カナビスがC分類にダウングレードされてから、警察はカナビスの使用に対しで警告書の発行で済ませることが多くなってきたが、たとえカナビス事犯の警告書だけでも、子供を相手にする職場などでは雇用問題に発展することもあることを強調しておかなければならない。
また、建物に入居しているテナント、特に公共テナントでは、店内でカナビスが使われただけで、薬物乱用法8条違反 「店内でカナビスが使われているのを黙認した」 とされ、店主は立ち退きを求められることに注意しなければならない。
カナビス購入に伴う危険
カナビスの入手には潜在的な危険がつきまとう。違法な市場には売買を規制する仕組みがないのに加え、多くのディーラーがカナビス以外のドラッグも同時に扱っている。ストリート・ディーラーの多くはドラッグをただ自分の金儲けの道具としてしか考えていないので、特に多発性硬化症などの医療ユーザー弱者は売買の危険だけではなく暴行や窃盗の対象にもなりやすい。
また、一部の人たちはそうした被害を避けるために犯罪組織との接触しないで済むように自分自身でカナビスを栽培しているが、そこにも危険が伴う。カナビスが分類変更されたといっても栽培事犯は最高14年の懲役刑であり、警察や司法も、栽培は所持よりも重大な事件として扱っている。
未成年のドラッグ・テスト問題
政治やマスコミから、学校でもドラッグ・テストをやるべきだという大きな圧力が加えられている。その目的は、ランダムにテストを繰り返すことで違法なドラッグに手を出す生徒たちの数を減らすことにある。
しかしながら、ドラッグ・テストが必ずしもドラッグの害の削減にはつながるとは限らない。カナビスは数週間にわたって体内から検出されるために、生徒たちはカナビスのかわりに検出期間の短い、さらに強力なドラッグを使うようになってしまう。
ジェセフ・ランティー基金などが資金提供した研究によると、ドラッグ使用後の検出期間は、アンフェタミンで1〜4日、カナビスは30日以上、コカインで2〜5日、LSD、エクスタシー、ヘロインなど阿片系で1〜4日になっている [8]。
さらに、ドラッグ・テストでは間違って陽性になるという恐れもある。テスト・キットを製造しているプレベテックス社では、学校で行われているドラッグ・テストの精度が97%であることを認めている。これは、学校が毎週10人づつテストしたとして年間10人の誤りが出ることを意味しており、この結果は生徒本人や家族に深刻な影響をもたらす可能性がある。なかにはケシの実の付いたパンを食べてアヘンの陽性反応が出た例すらある。
アメリカにおいては、尿検査を誤魔化す目的で、ドラッグをやっていない生徒が自分の尿をドラッグ・ユーザーに売っていたという事例が報告されている。この例をみれば、生徒が尿検査を受ける際には厳重な監視をしない限り、違法ドラッグの削減というドラッグ・テストの目的は達成できないことになる。
実際問題として、ドラッグ・テスト・プログラムでは薬物の使用を止めさせるどころか、一部の人たちは開きなおって継続して使うようになりやすいことが示されている [43]。
ドラッグ・テストに関する議論では、害の削減という見地に立ち、ドラッグ・イデオロギーではなく教育を基本ベースにして社会や学校のドラッグ使用を問題にすべきだ、という強い反論がある。
カナビス効力の神話
カナビスの効力が1960年代ころに比較して大幅に増えているという主張があるが、科学的な証拠はほとんど皆無だ。センセーショナルなタブロイドは、種の交配による品種改良と栽培技術の発達によって少しばかり効力が増しただけ過ぎないにもかかわらず大騒ぎで糾弾している。
カナビスの活性成分THCを測定する装置は1970年代の後半までは実質的になかった。何年も経ってから測定された1960年代のカナビスの資料は光や空気の影響で活性が大幅に損なわれており、比較対象しては全く意味を持っていない。
そもそも、カナビスの強力な処方薬は決して新しいものではなく、ビクトリア王朝時代のチンキ溶剤はTHC濃度が25%もあった [45]。また、アルコールやブタンを使って抽出して得られるカナビス・オイルではTHC濃度は50%を越えている [1, 46 & 47]。
医療関係者の役割
これまで一般的な観点からカナビスの使用に焦点を当ててきたが、冒頭でも触れた通り、特に医療関係者はカナビス・ユーザー(と潜在ユーザー)に対して、カナビスの害とその削減方法について正確な情報を提供できるようになることが重要な課題になってきている。
こうした状況下で、カナビス・ユーザーの中でも最も弱い立場にあるのが医療カナビス患者たちだ。医療関係者は、医療的な必要性が明らかな患者に対してカナビスを合法的に利用できるように法律を温情のあるものに改正することを要求して政治的な議論に加わり、さらなる害の削減を支援することが望まれている。
1998年の 「カナビスの科学と医薬部会の報告書」 には次のように書かれている。[Cannabis: The Scientific and Medical Evidence Lords Science & Technology Select Committee 1998]
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(8.4)
喫煙法の利点である吸収の迅速性を維持しながら、副作用のない別の摂取法(吸入、舌下、直腸)の研究を進める。
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(8.9)
カナビスそのものではなく、化学合成したカナビノイド・ドロナビノール(合成THC、マリノールの主成分)やその派生物ナビロンは医学的価値があるとして既に政府から公認されているので (5.11-17)、カナビスは向精神薬として禁止しておくにしても、その主要活性成分THCは例外として合法的に医学使用できるようにする。
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(8.6)
カナビスとカナビス樹脂を乱用ドラッグ規定の第1表(スケジュールI)から、医師が調合薬として適切に処方できるように第2表(スケジュールII)に変更するように政府に働きかける。正式の医薬品ではないが、登録した患者には医師や薬局が処方薬として提供できるようにする。
このような政治的状況変化を促進するためには、医療関係者が働きかけるのが最も効果的であり、役目でもある。
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