未成年者と親のための害削減の方法

カナビスと精神病の研究では最も指導的な立場にあるイギリスのロビン・マリーとメリー・キャノンの両博士も加わった レビュー では、過去の論文を検証した後の結論で次のように書いている。
「若者の大多数は未成年期にカナビスを利用しても害を受けることはないが、害は精神脆弱性を抱えた少数の人に出現する。疫学エビデンスは、精神的に脆弱を抱える未成年に対して、特に早い時期のカナビス使用を思いとどませるように親や教師や保健指導者が強く働きかける必要があることを示している。」

害削減の方針

カナビスが原因で統合失調症になることがあるのかどうかについては未だ定説が定まっていないが、精神的に脆弱を抱える未成年の場合,カナビスが病気の発症を促したり悪化させる可能性があることについては、研究者たちの間でもコンセンサスが形成されていると言ってもよい。

確かに、リスク・グループは少数に限定されていえるとは言えるが、しかしだからと言って、未成年でもリスク・グループでなければカナビスをやっても問題がないということを意味しているわけでもない。

このあたりのことは、セックスの場合と似ている。特に、未成年の女性の妊娠や出産については、たとえ身体的に出産に問題のない場合でも、学業や社会的・経済的には大きな問題になる。こうしたリスクを避けるには、自分の体を大切にして、出産や妊娠は成人にまるまで待つように教育する必要がある。

しかし、だからといって、ただ未成年でのセックスを禁じていれば十分なわけではない。未成年といえども、突然セックスしたくなるシーンが必ずでてくる。友人との関係もある。

害削減教育では、自分の意志でどうにもならない状況に陥らないためにはどうすればよいのか、相手に何を要求すべきか、最低限何を守らなければならないのか、それができなかったときにはどうすればよいのか、などを教えることが重要になる。


カナビスを使うのなら18才になってから

おそらく現在では、カナビスを使う最も大きなリスクは逮捕されることだが、それでもカナビスを使うのであれば、少なくとも使うのは18才になるまで待つことが原則だ。未成年は身体や心、知力などが急激に発達する時期でもあり、将来に最も大切な時期でもある。カナビスが未成年には不相応であることは、運転、飲酒、タバコ、結婚、各種の取引契約などと同じだ。

原則
  • カナビスを使うのは18才になってから
  • カナビスを使うなら、カナビスをリスペクトして節度ある使い方をする
  • カナビスを乱用しない
  • 法的リスクをバカにしない

18才前にどうしてもやりたくなったら、最低でも次のことを守る。
  • 毎日はやらない。せいぜい月に1〜2回ぐらいまでにする
  • ストーンするのは1日に2〜3時間までを限度として、勉学に支障が出ないようにする
  • カナビスをやることをしっかり自覚して、ピーク時間や終了時間を予想しておく
  • 品質の良いカナビスを少しだけきちんと吸う
  • 必ず匂いをかいで、ケミカルな感じやカビ臭がしないか確かめる。品質の悪いものはやらない
  • タバコを混ぜて吸わない
  • アルコールや他のドラッグとは併用しない

つきあいで断れない場合
  • 前回から時間が経っていなければ、まだ、前のが体に残っていると言ってパスする
  • 煙をあまり吸い込まない
  • 2〜3回吸って十分ストーンしている素振りをする
  • 本や音楽に浸り十分ストーンしていることをアピールする
  • スペース・ケーキなどは、苦手だとはっきり断る
  • どうしても食べなければならない状況なら、事前に「お腹が空いた」といってがさのある物を食べて、ケーキの吸収を緩慢にして効果を薄める

参考


カナビスで精神病の予兆をキャッチする

誤解を恐れずに大胆に分類すると、カナビスの効果には、リクレーショナル用途の「高揚」型と、痛みや不安を和らげるための医療カナビス用途の「安堵」型がある。高揚型では普通の状態の気分をアップさせるのに対して、安堵型では調子の悪い状態を普通に戻す。

このことは特に若者の場合に顕著で、大半の人が高揚感を求めてカナビスを使っているが、もし、安堵感を求めてカナビスを使っている若者がいれば精神的な障害が原因になっている可能性がある。逆に言えば、安堵感を求めてカナビスを使っていないかをチェックしていれば、病気の早期発見にもつながる。

たまに皆んなで騒ぐ高揚型と違い、安堵型の場合は、いつのまにか一人で常用して使うようなシーンが多くなる。未成年の子供が、いつのまにか一人で多量にカナビスを使うようになっていたら精神病の予兆を表している可能性がある。こうした場合は、カナビスをやめさせれても病気が治るわけではないので、慎重な対応が必要になる。

自己チェック・リスト
  • カナビスをやって皆んなで騒いでも楽しくない
  • カナビスを使うと自分の状態が良くなると思う
  • カナビスを使っていると安心できる
  • カナビスを使っていても、使っているという自覚がなくなる
  • いつのまにか次のカナビスを使っている(チェーンスモーキング)
  • 同じ曲ばかり何度も繰り返し聞いている(無意識の反復)
  • カナビスでバッドな感じになったときに、さらにカナビスを使って良くなろうとする

こうした自覚が多くみられれば、精神病の予兆かもしれないと考えて、次のような対処を心掛ける。
  • 惰性度 や 乱用度 をチェックする
  • カナビスの使用量をできるだけ少量にする
  • アルコールとは絶対に併用しない
  • カナビスを入手するときは、精神病に治療効果の高いとされるCBD(カナビジオール)の多いインディーカ系の品種を選ぶ
  • 使用回数と量が増えないように注意する
  • 1回の使用量とインターバルを決めて使う
  • カナビスでバッドになったとき、それを良くしようとさらにカナビスを使わないようにする。ますますバッドになることが多い
  • 医者の医薬品を使っている場合は、カナビスが相乗効果や相反作用を起こさないか注意する

保護者チェック・リスト
  • カナビスを使うのは、たまに友達と騒ぐとき程度なら余り病気の心配はない
  • いつのまにか、一人でしじゅう使っている様子が多いようなら病気の可能性を疑ってみる
  • 病気の場合、カナビスを使うと自分の状態が良くなると思っているので、完全にカナビスを取り上げると反発して状態がより悪くなる可能性もある
  • アルコールとは絶対に併用させない
  • 使用回数と量を減らすように言う
  • 1回の使用量とインターバルを決めて守らせる
  • 一人でやらずに親などの見守っているところで、会話をしながら使うようにさせる
  • たまに、惰性度 や 乱用度 をチェックさせる
  • 精神科医に相談する
  • 精神科医の処方した薬とカナビスが相乗効果や相反作用を起こしていないかチェックさせる
  • カナビスで子供の精神疾患がよくなる例もあることを知っておく (医療カナビスで子供のADHD治療、 カナビスは第一選択薬、子供の精神障害、 ジェフリーとの旅路