付録 2 ドラッグの分類と薬理

カナビスがどのようなドラッグであるか見る場合は、他のドラッグと比較してみるのがわかりやすい。そこで、種々の代表的なドラッグについて分類し比較しておこう。「ドラッグ」という名称は、一般には、あらゆる薬物、例えば胃のクスリやビタミン剤などを含めた総称であるが、特に向精神的な心理・肉体作用を有する薬物(向精神薬)を指して使われることがある。この本でドラッグといえば後者を対象としている。


●ドラッグを精神作用上から分類すると次の3つのグループに大別される。

A 精神抑制薬または鎮静薬
  1   催眠薬 ・・・ バルビツール酸誘導体
  2   トランキライザー ・・・ クロルプロマジン
  3   抗てんかん薬 ・・・  

B 精神高揚薬
  1   意識高揚薬(覚醒剤) ・・・ アンフェタミン、コカイン
  2   抗うつ剤  

C 精神攪乱薬
  1   意識拡大薬 ・・・ カナビス、LSD
  2   麻酔薬 ・・・ アヘン、ヘロイン
  3   アルコール類 ・・・ アルコール
  4   せん妄発現薬  

このように、精神作用はそれぞれ抑制・高揚・攪乱に分類されるわけである。しかし、こうした分類はあくまで大別的・形式的であって、分類が同じものであっても作用が似ているわけでもない。


●また、学問的というわけではないが、ドラッグ使用者たちは経験的に興味ある分類を行っている。もっとも、次にあげるようなグループ分けは厳密には分類と呼べないかもしれない。しかし、ドラッグの効果だけではなく依存性の型や危険性なども考慮されていて独特のグループ分けになっている。一つは Hard Drug と Soft Drug に分ける方法で、もう一つは Body Drug と Head Drug に分ける方法だ。

(1) Hard Drug (Heavey Stuff)
  耽溺性薬物 ・・・ アヘン、モルヒネ、ヘロインなど

(2) Soft Drug (Light Staff)
  非耽溺性薬物 ・・・ カナビス、マリファナ、(LSD)


または

(1) Body Drug
  意識を下げ、身体的依存性がある薬物・・・ アヘン、モルヒネ、ヘロイン、バルビツール酸誘導体、アルコールなど

(2) Head Drug
  意識を上げ、身体的依存性がない薬物 ・・・ カナビス、マリファナ、LSD、(アンフェタミン)


●次に、各々のドラッグの薬理学的な性質をまとめて表にしておこう。カナビスには深刻な問題がないことがわかる。

LSDのところの*は、LSDの耐性が例外的であることを示している。LSDの場合、耐性が急激に進み、普通、毎日摂取していると3日目には1日目の量では効かなくなる。しかし、耐性は1週間おくと急激に消失する。