第2章 カナビスの製法と摂取法

普通に「カナビス」といった場合、厳密な意味での植物(カナビス・サティバ)そのものを指すのではなくて、 植物からつくった製品を総称して使う。カナビスを意味する同義語は実に多種多様で、それぞれの国・地方によって異なる。 さらに陰語まで加えるとその数は無数である。しかもカナビス製品の型状は一つだけではなく、大別して3つのタイプがあり、 各々は効力ばかりではなく名称も異なるのである。また、カナビスの摂取法にもいろいろある。大別すれば、
  1. 煙りにして吸う
  2. 食べる
  3. 飲物にして飲む
という方法があるが、これらの流儀も国によって少しずつ異なっている。 この章では、カナビス製品の基本的な型状と名称について述べたあと、それらの製法、及び摂取法について詳しく述べよう。



1 カナビスの型状と名称

カナビスを指す通語・陰語・一般名をいちいちリスト・アップしていたら膨大な数にのぼる。 しかも、それにカナビスに関わっている独特の言いまわしなどを加えたら辞書が一冊できてしまうほどである。 しかしながら、日本のようにカナビス使用の歴史が浅いところでは独特の言いまわしはまだほとんどない。 したがって多くの場合、外国、とくにアメリカ流の言いまわしを模倣することになる。 アメリカでもカナビスが広く使われるようになってくるに従い、カナビスを指すいろいろな言葉ができ上がってきたのである。

陰語については後でちょっと触れることにして、ここではまずスタンダードな言葉から説明しよう。ラテン語の cannabis はギリシャ語(kannabis)に起源をもち、また、英語の hemp は初期 Old English のhenep, haenep から派生したものである。 cannabis の語源と hemp の語源も、語源学的にははっきりしていないが、おそらく同一の源で、それも東洋から発するものと思われる。 また marijuana(marihuana) という言葉は、メキシコで使われていたスペイン語 mariguana あるいはポルトガル語の mariguango (共に“酔わせる”の意)から派生したらしい。さもなければ、メキシコで使われるスペイン語のスラング Marijuana(Mary Jane)または Maria y Juana(Mary and Jane) から来ているのかもしれない。 あるいはもっと古く、アズテックの Milan-a-Huan から来ていて、スペインの初期の征服者達がこれを発音できなくって、 代わりに maria-juana と発音したことに始まるのかもしれない。

また、ハシシ hashish の語源には面白い話が伝わっている。11世紀のペルシャではイスラム教の分派どうしで 激しい抗争が続いていたが、その中でイスマイリ派に属するニザリ教団は暗殺によって自らの力を誇示していた。その教団の首領は Hasan-ibn-al-Sabbah (山の長老)と呼ばれ、部下にカナビスを与えて思うままにあやつり、暗殺を命じていたといわれている。 この話は、マルコ・ポーロや十字軍などによってヨーロッパに伝えられ、首領の名前から、hashish とか、 assassins (暗殺) とかいう言葉ができたのである。(65ページ参)

陰語を除けば、これら cannabis, hemp, marijuana, hashish という言葉が最もよく知られているが、 この他にも各地域では独特の言葉が使われている。例えば、インド人はカナビスをバングとかガンジャとかカラスとか呼んでいる。 また、メキシコ人は mota、moto、Mo-tul、manteca などと、中央アフリカ人は M banzhe、mata、Kwane、dagga などと、 ブラジル人は maconha、diamba、pango、fumo、de Angola などと呼んでいる。 また、北アフリカや近東では kif、keif という言葉がよく使われている。

こうして言葉を並べると、かなりゴチャゴチャしているが、アメリカで使われる陰語やスラングに比べれば、 まだすっきりしている。隠語をいちいち上げていたらきりがないが、その中でも有名なものは boo, duby, charge, gage, grass, green, hay, mary, pot, reefer, tea, weed などというものであろう。 陰語に関する一般的な特徴は、言葉が簡単なことと各々の言葉には別の意味があることである。 たとえば“grass”といえば誰でも知っている簡単な言葉であるし、しかも普通は“草”を意味する言葉である。 この例のように、陰語には身近なところで使っている言葉が転用されたものが多い。

また、カナビスをもっと文学的に表現した言葉もある。多くは東洋に発し、カナビスを賛美する言葉であるが、 そのうちのいくつかを挙げておこう。The Heavenly Guide, Poor Man's Heaven, Soother of Grief, Unconquered, Hero-leaved, Light Heart, Joy, the Rejoicer, Victorious, Desired in the Three Worlds, Pills of Gaiety, Sky Flier, さらにこの本の題名にもなっている Fancy's Leaf 等々。

これまでなんのことわりもなしにカナビスの同義語をただ並べてきたが、全てが同じ型状をしているわけではない。 例えば、マリファナといえばカナビス・サティバの葉を乾燥させて粉状にした“茶”の形状をした製品であり、 また、ハシシといえば樹脂だけを集めたチョコレート状の固まりである。しかも効力は後者のほうがはるかに強い。 一般論からすれば、カナビスには基本的に三つの型状・品等があり、各々は樹脂の含有量、つまり効力の点ではっきりと区別される。 上でも述べたように、インドではカナビスをバング、ガンジャ、カラスと呼んでいるが、 その各々は基本となる三つの型状に対応している。効力は、カラスが一番強く、バングが一番弱い。ガンジャの効力はその中間である。 カナビス製品についてこれらはぜひ知っておかなければならないことなので、一応列挙しておこう。

(1)バング:  普通は、特に栽培した植物ではなく野生化した植物の頂芽や葉を乾燥して作られる。樹脂の含有率は低い。 形は“茶”に似ている。インドでは飲料や糖菓子にして摂取される。

(2)ガンジャ:  ガンジャは、特別に栽培したメス株の頂芽の部分を加工したものである。 要するに、バング様の粉状のカナビスを粘着性のある樹脂でおおって固めたようなものである。 したがって、バングよりも樹脂の含有量が多く、効力はバングの2〜3倍である。普通、喫煙法で摂取される。

(3)カラス:  特別に栽培したメス株の頂芽から抽出した樹脂のみを集めて固めたものである。 したがってバングやガンジャよりも樹脂の含有量が多く、バングの5〜10倍の効力がある。形はチョコレート状である。 普通、喫煙法で摂取される。

これが基本となる三つの型状である。 インド地方に育つカナビス・インディーカは樹脂の浸出量が多いので、この三つの型状の製品のいずれをもつくることができるが、 カナビス・ジャポニカやアメリカーナなどは樹脂の浸出量が少なく、バングに相当する製品、つまりマリファナしかつくることができない。 また、日本やアメリカ、ヨーロッパでハシシと呼ばれるカナビスは本来インドのカラス(ガンジャのこともある)であり、 輸入されたものである。“マリファナ”も“ハシシ”も重要な言葉なので、一応列挙しておこう。

(4)マリファナ:  マリファナという言葉はバングと同義語で日本や西洋のカナビス・サティバから作られたバング相当製品を指す。 したがって、普通はガンジャやカラス(ハシシ)を含めない。バングは、インドでは食べるか飲むかして摂取されるが、 日本や西洋のマリファナは、普通、喫煙法で摂取される。

(5)ハシシ:  ハシシという言葉はカラスと同義語であり、主に日本や西洋で使われる言葉である。 正しくは、粉状にしてふるいにかけたカラス及びその調合薬を指す(しかし、普通はそれほど明確に使い分けられていない)。

カナビスの三つの型状はアルコールの場合に対比することができるかもしれない。 つまり、バングはビールに、ガンジャはウィスキーに、カラスはもっと強いウォッカに、である。 一般的に言って、カナビスの場合もアルコールと同様にそれぞれの型状で“酔い”が異なる。 つまり、ビールをたくさん飲んでもウィスキーの酔いにはならないように、 ガンジャの効力に相当する2〜3倍量のバングを摂取しても決してガンジャの酔いとは同じ酔いにはならない。 また、ビールを好きな人があまりウィスキーを飲まないのと同様に、 普段マリファナを吸っている人がガンジャやハシシを常に欲しがるというようなことはあまりない。


2 バング、ガンジャ、カラス、マリファナの製法

以下にあげる製法のうち最初の三つはインド地方で行われている方法の例である(R.N.;I.C.Chopra)。 このうちガンジャとカラスの製法は樹脂の浸出量の少ない日本のカナビス・サティバに直接当てはめることはできない。 しかしマリファナの製法にあたって一つの参考にすることはできるだろう。

バングの製法
バングは、野生又は栽培された植物のメス・オス両株から花のついた頂芽と葉をとり、それを乾燥したものである。 ところによっては種子も含まれることがあり、また未乾燥の緑色の葉が使われることもある。 植物の活性成分は、植物が成熟し、花をもつようになったときに最も多くなる。その後は次第に減っていって、 下部の葉が落ちはじめ、頂芽が黄色くなると消え始める。したがって刈り入れはこの段階に達する前に行われる。 刈り入れた植物は交互に太陽と露にさらして乾燥させ、十分に乾燥したら、適当な木片にたたきつけて茎から葉と花の部分をとる。 これを押し固め、陶器製の容器に入れて保存するのである。また、葉は時に15%程の湿気を含んだ荒い粉状にされることもある。

ガンジャの製法
ガンジャは、特別に栽培したメス株の植物の花のついた頂芽を、主に花頂から出てくる樹脂性の浸出物で固めて乾燥 したものである。この樹脂浸出物は、花から種子が落ちないように押さえつけるために出てくるものである。 ガンジャ用に栽培した植物の刈り入れは、下部が落ち、花の部分が黄色くなりかけたときにはじめる。 花の部分の頂芽を取り、そこについている小さな葉と花の集体を粘着させてかたまりをつくる。これをガンジャと呼ぶ。 原料は、最終的に三つの型に処理され、三種のガンジャ、flat ganja, round ganja, choora ganja がつくられる。

flat ganja の調整法は次のようなものである。まず、原料をうね状に稜をつくって拡げ、 足で踏みつけて花の部分をくずして平らにする。原料を時々かき混ぜながらしばらくの間乾燥し、そして再び踏みつける。 そのあとで原料を集めてchakki と呼ばれる平たい円盤状のかたまりをつくり、それを何重にも重ねて60〜90cmの高さにする。 これにしばらくの間圧力を加え、かたまりを密にし、化学反応を促進させる。 そのあとでこれを倒してこわし、再び厚めに拡げ足で踏みつける。刈り入れから4日目、ガンジャの貯蔵準備をする。 ゴミや石や種子や葉などを取り除き、ガンジャの貯蔵場所に運ぶ。 こうして得られたガンジャは粘着性の平らなかたまりで、緑色か緑色っぽい茶色でよどんだ色をしている。 ガンジャはべとつかず、硬くてもろい。また、わずかに香りを持ち、ちょっと苦い味をしている。

原料を踏みつけて平らなかたまりにするかわりに、手のひらや足の裏などで小さな円柱状、 つまりソーセージ状に丸めると円柱状のガンジャができる。これを round ganja と呼んでいる。 また、flat ganja と round ganja の破片を集めたものを choora ganja という。 choora ganja は flat, round ganja を湯で煮てばらばらにして、お互いがくっつきあわないような樹脂性の小片にしてつくってもよい。 良質のガンジャは四塩化炭素で樹脂を抽出すると、15〜25%の樹脂を産する。また、その残留物も15%以下である。


カラスの製法
カラスは、メス株の花頂から集められた樹脂からつくられたものである。普通、北部を除き、インドで栽培した植物は、 そのまま単独に集められるほどの樹脂を産しない。9〜10月頃になると、植物の先のほうに大きな房状の花が現れる。 そしたら花頭をとって乾燥させ、その後でほぐして砕く。この粉をすりこぎでこねて粘着性のかたまりをつくる。これがカラスである。 最優良のカラス樹脂は、中央アジアのトルキスタンにある中国の Yarkand 産の植物からつくったものである。 インド地方で売られているカラスは特徴のある香りを持った緑がかったかたまりをしている。 品質のよいカラスの樹脂成分はおよそ40%であるが、効力は樹脂量だけでは判断できない。 カラスはしばらく経つと茶色っぽい暗い色に変わり、硬くなって粘性がなくなり、効力が失われる。 ただ日光と湿気を避ければ急に失われることはない。14年目のサンプルで70%ぐらいの活性を保っている例もある(Chopra)。

マリファナの製法
マリファナは、そのもとになるカナビス・サティバが濃い霧を受けたか受けないかで味が変わるといわれている。 カナビス・サティバは強い草なので、薄い霧では殺されることはないが、濃い霧では殺されることもある。 秋が来て霧がかかる前に刈り入れると、葉は冬の間も湿気がある。薄い霧の後に刈り入れた葉は少しぱりぱりする。 また濃い霧の後の葉は茶色っぽくなり、煙を吸うと強い味がする。しかしながら、どの状態で刈り入れても効力は失なわれないようだ。 要するに刈り入れは個人の味の好みに合わせればよい。もし、異なった品質(blend)のマリファナが欲しかったら、 刈り入れの時期や植物の部分や乾燥法によって分ければよい。 また、一般論からすると、大きくて緑色の濃いメス株の植物のほうが効力は強い。

マリファナの製法は、基本的にはバングと同じである。 しかし、日本やアメリカでは、マリファナがカナビス・サティバからつくることのできる唯一の型状なので、 一般にバングよりは手をかける傾向がある。刈り入れの時期は、普通、夏を過ぎてからである。 インドなどのような暑い地方では7月頃に刈り入れるところもあるらしいが、日本では、9月頃になるまで充分に成熟しない。 刈り入れの時期のめどは8月終わりから10月初めまでである。また、刈り入れを行う時刻は、真昼が一番よく、明け方が一番悪い。 というのは、植物の働きは昼間が一番活発で、樹脂成分が葉に集まるからである。

刈り取ってきた植物は茎がついたままで乾燥してもよいが、量がそれほど多くなければまず葉を茎から切離してから 乾燥したほうがよい。 植物の中でもメス株の花とそのまわりの小さな葉が最も効力が強いから、まずこの部分を他の部分から分けなければならない。 これを乾燥してふるいにかけ、種子を分離すると通称スーパー・グラスができ上がる (種子を包んでいる皮、つまりガク片も強い効力をもっているからはがし落とすとよい)。 また、葉の部分を乾燥すれば、普通のマリファナができ上がる。 茎を乾燥して細かく砕いたり、オス株の植物を乾燥して加えることもあるが、 これらは一般に効力が弱いので、量を増す目的以外は行なわれない。

乾燥法には大別して三つの方法がある。 つまり、自然乾燥法、人工乾燥法、及び両者を併用した方法である。 自然乾燥法は、太陽の熱で乾燥するために天気の良い日と日数が必要である。 普通は、日陰干しで少なくとも1週間はかけるほうが良い。そうしないと吸った感じが青くさい感じがするからである。 茎がついている植物を扱うときには茎(枝)をまとめて上下を逆さにしてどこかに引っ掛けて乾燥させるとよい。 人工乾燥法の場合は、オーブンや電気ゴタツなどを乾燥機として利用する。 温度は、葉を焦がさないように比較的低く徹底して乾燥させる。 第三の乾燥法では、最初の数日間自然乾燥し、その後で人工的に乾燥する。 これは、雨の日が続いたりしてカビなどが発生してきたときに用いるほか、自然乾燥だけでは十分に乾燥しきれない場合にもよい。 原料はすでにかなり乾燥しているから短時間で処理できる。

また、最後にマリファナの効力を増すための方法をいくつか上げておこう。 ただし、これらの中には科学的な根拠が薄弱で本当に効力が増すかどうか怪しいものもある。 また、健康への害がどうなのか断じ難いものもあるので危険だと思われるものは避けたほうがよい。

   (1)sweating 法:マリファナを砂糖水に浸けておき吸うときに乾かす。
   (2)ドライアイス法:ドライアイスの上にマリファナをのせ、全体を金属製の箱に入れ2〜3日密封する。
   (3)フリーザー法:マリファナを箱などに入れて密封し、2週間ほど冷蔵庫のフリーザーに入れておく。
   (4)カビ法:マリファナをポリ袋などに入れて2〜3ケ月地中に埋めてカビを生やす。
   (5)アルコール法:マリファナにワインなどの酒類をふりかけてポリ袋などに入れて密封する。
   (6)LSD やコカインやクリスタル(粉状のアンフェタミン)を加える。
   (7)Dhatura と呼ばれる植物を加える。また、アヘンやヒ素やストリキニーネを加える方法もある。(インド)


3 カナビスの摂取法

カナビスの摂取法には喫煙ばかりでなく、飲料にして飲んだり、糖菓子にして食べたり、 葉を噛んだりする方法もある。どのやりかたが最もよく用いられるかはその国・地方の習慣でいろいろ変化する。 たとえば、インドではバングを主に飲料や食用で摂取するが、これに対して日本や西洋のマリファナは主に喫煙法によって摂取されている。 一般論からいえば、喫煙法が最も手軽で効率がよい方法(同量のカナビスを吸った場合と食べた場合とでは、前者のほうが効力は強い) であり、しかも high の状態をコントロールしやすい。

飲料
(1)バング飲料(インド):  最も簡単なバング飲料は、バングに少量のブラック・ペパーと砂糖を加え、 それを適当な量の水に入れて溶かしてつくる。時にはこれにアーモンドやアイスクリームや凝乳などを加えて栄養価を高めることもある。 さらにまた、飲み物の味やにおいを良くするために次のような成分がよく加えられる。 アニスの実、キュウリ、メロンの種子やケシの実、サフロン、丁子香、しょうずく、じゃこう等々。また、フルーツ・ジュース、 例えばざくろ、なつめやし、ココナッツミルクなどのジュースも飲み物の一成分としてよく加えられる。 飲料に使われるカナビスは、普通バングであるが、時にはガンジャが用いられることもある。
(2)Tea(アメリカ):  1リットルの湯に半カップのマリファナを入れ煎じる。クリームや砂糖やレモンなどは入れない。

食用
(1)Majun(インド):  バングを少量のバター油で焼き、それに砂糖やスパイスを加えてペースト状になるまで焼く。 食べるときには barfi と呼ばれる小片に切る。
(2)Halwa (インド):  ヤシ糖の液にバングを入れて、煮て、布でこす。 そして活性成分を含んだろ過液に小麦粉やバター油を入れて溶き、普通の方法で焼く。
(3)Curry(インド):  バングの葉を粉にしてカレーに混ぜ、種々のカレー料理に使う。
(4)Churum(インド):  ガンジャを湯で煮て硬めのペースト状にする。それに砂糖やスパイスを加えて油で揚げる。 そして、粉状にくずし砂糖とバターを加えて食べる。churum は何ヵ月も保存できる。
(5)Cake(アメリカ):  ケーキの原料にマリファナ1カップと余分にタマゴ1個を加え、普通の手法でケーキをつくる。
(6)Fudge(アメリカ):  ファジの原料にマリファナを加えよく混ぜて、普通の手法でファジィをつくる。
(7)Spaghetti(アメリカ):  スパゲティ・ソースの上にマリファナをふりかける。
(8)この他、中近東や北アフリカなどでも   Manzul、Ma'agum、Garawish、Stuffed dates、Turkish Delight などと呼ばれる菓子が食用に作られている。

CHEWING
バングの葉を時々催眠薬や陶酔物としてガムのように噛むことがある。寒い季節に体があまり水分を要求しないとき、 また旅行をしているときなど、この方法が用いられる。

喫煙
喫煙はカナビスの最も一般的な摂取方法である。チロンを用いたガンジャとカラスの喫煙法について述べ、 その後でマリファナの種々の喫煙法について述べよう。

(1)チロン:  ガンジャやカラスの喫煙には、チロンと呼ばれる陶器製あるいは木製の小さな喫煙具が使われる(図2参)。 普通大きさは10cmぐらいである。頭部がボウルになっていて、下方へ管が伸びている。 使い方は次のようにする。まず、ガンジャを左手の手のひらにのせ、少量の水を加えて湿らせる。 そして柔らかくなるまでこねてチロンに入れる。その上に炭のもえさしか、 牛のふんでつくった火種をくすぶらせたものをのせる。そして、湿った布をチロンの首にまきつけ、左手でチロンを握るようにして持ち、 チロンの下部を右手の手のひらでうける。右手の親指と人さし指の間に小さなすき間をつくり、そこに口をあて、 煙りを肺の奥まで吸い込むのである。煙りは肺の中にできる限り留めて、ゆっくりと鼻からはき出す。 カラスもガンジャとほとんど同じ方法で吸われる。ただ、カラスをチロンに入れる前に普通、カラスを少し暖める。

(2)パイプ:  タバコ用の普通のパイプでマリファナを吸うこともできるが、中には純粋にマリファナ用につくったパイプもある。 例えば、南アフリカでは dagga を吸うのに細かい竹でつくったパイプ(a ) や牛の角でつくったパイプ(b, c)やレンガでつくったパイプ(d)などを使う。 また、インド製のパイプで、細長い中空の柱を立て、その頭にボウルを置き、根元からは柔らかいゴム状の管が出ているものもある。 また、変わったものとしては、フルーツ・パイプがある。これはリンゴなど果実の芯を中ほどまでくり抜いてボウルを作り、 側面に穴をあけて吸い口にしたパイプである。これまで上げたパイプはすべてマリファナ用であるが、 やはり最も広く使われているパイプは、タバコ用のブライヤー・パイプ(普通は小型)であろう。 パイプはしばらく使っているとボウルの内面に炭ができて煙りのにがさが弱められ、煙りを肺の奥まで入れやすくするといわれている。

普通、マリファナはあまり細かくない粉状のものを使う。 吸い方のテクニックは、要するに、タバコの場合のようにふかすのではなく、マリファナが無駄にならないように 文字通り煙りを吸い込むことである。ただ、火をつけるとき、強い炎で必要以上にマリファナを燃やしてはならない。 また、煙りを肺の奥まで吸い込むためにゆっくりと確実に煙りを吸う必要がある。 そして、煙りはできるだけ肺の中に留め、鼻からゆっくりと吐き出すようにする。

(3)水パイプ:  水パイプにはいろいろな形、大きさのものがあるが、いずれの場合も煙りをいちど水に通して冷やし、 また煙りのにがみをとるように工夫されている。図Cは北ブラジルで maconha と呼ばれるカナビスを吸うのに使われている水パイプで maricas として知られているものである。b,c の本体はガラス製、a,d の本体は陶器製である。 日本やアメリカ、ヨーロッパで使われている水パイプは、普通タバコ用のもので、純粋にマリファナ用といえるものは多くない。 後者に属するものに竹製の水パイプがあるが、これについては次項で述べる。

水パイプの利点は、煙りを冷やし、にがみをとって吸いやすくすることばかりではなく、 煙りを本体の中にとじ込めて逃げないようにしておくことにもある。従って貴重品であるハシシの喫煙には水パイプがよく用いられる。 吸い方のテクニックは、パイプの場合とほぼ同じである。



(4)竹製パイプ:  これは水パイプの一種であるがマリファナ専用でタバコには使わない。 構造が簡単で、しかも竹があれば作るのも簡単である。図5a のパイプは本体の竹が直径4〜7cm、高さ20〜40cmぐらい、 ボウル部の竹が直径1cmぐらいである。ボウルは竹の節を利用したり、細い竹をつめこんでもよい。 ボウルの穴は普通のパイプよりもやや大きめで、吸いかすの灰を吸い込める程度にする。 ボウルは一つだけではなく、二つ以上つけることもできる。この場合の hit は一層強烈になる。

使い方は次のようにする。ボウル竹の下端が3pぐらい沈むまで水を入れる。そしてボウルに少量のマリファナを入れ、 本体上端の吸い口に口を押しあてる。ゆっくりと吸いながらマリファナに火をつけ、ゆっくりと吸う。 そしてマリファナが燃えつきたら、最後に強く吸って灰を水の中に吸い込んでしまう。この際、細い棒で押し込んでやってもよい。 こうして灰が水の中に落ち込むと、ボウルの穴から空気が一気に入り込み、それに従って煙りも肺の奥まで一気に入り込むのである。 煙りは出来うる限り肺の中に留めてゆっくりと鼻から吐き出す。 この竹製水パイプの利点は煙りに全然無駄のないことと、最後に強く吸い込むので自然に煙りが肺の奥まで入り込むことである。 このためにマリファナの消費量が少なくなるばかりか、酔い(ストーン)の状態もシガレットなどの場合よりも強くなる。 この方法は、マリファナ喫煙法の中で最もすぐれたものの一つである。

この方法の変形として b  のような手軽な方法もある。 これは、2本の細い竹と口の広い適当なビンを利用したものである。使い方は上の場合とまったく同じである。



(5)マリファナ・シガレット:  これは結局タバコのシガレットと同じで、 マリファナを紙(シガレット・ペイパー)で巻いたものである。 マリファナの摂取法としては最も一般的で、最も広く行われている方法である。 普通、マリファナ・シガレット(ジョイント)の作り方には基本的に言って二つの方法がある。 つまり、タバコの中身をマリファナに入れ替える方法と、シガレット・ペイパーで直接マリファナを巻く方法である。 ここでは後者の場合を詳しく述べよう。

まず、シガレット・ペイパーを用意しなくてはならないが、残念ながら日本では売っていないから、 外国製のものを手に入れる必要がある。 アメリカなどではいまだに自分でタバコを巻いて吸う人がいるから、百種類以上のシガレット・ペイパーを売っている。 最もよく知られたペイパーには“Zig Zag”とか“Top”、“Riz-La”、“OCB”などがある。 これらは本来タバコ用であるが、純然たるマリファナ用のジョイント・ペイパーもある。 例えば、マリファナの辛さを緩和するために sweet な香料を浸み込ませたもの、色ペイパーをはじめ、なかには星条旗や100ドル札をあしらったペイパーさえある。 ほとんどのペイパーが“Gummed”ペイパーであり、片端に切手と同じ種類のノリがついている。

もし、ペイパーが手に入らなければ、なるべく普通の紙巻タバコのペイパーに似た適当な紙を見つけるよりしかたがない。 戦争中、辞書の紙をペイパー代わりに使ったそうだが、いい方法である。また、和紙などにもいいものがある。 だが、中には燃えると有毒なガスを発するものがあるから多少注意を要する。 最も確実なものは、普通の紙巻タバコのペイパーを舌で湿らせてはがして使うとよい。

ジョイントの巻き方は図の要領でやればよい。 結局タバコの場合とほとんど同じであるが、次の2点だけは違っている。つまり、細目に巻くこととペイパーを2枚使うことである。 この各々にはいくつかの理由がある。細くするのはマリファナが貴重品であり、 細くても煙りは十分に吸い込めるのでその方が経済的だからである。つまりタバコの場合はほとんどの煙りをただふかすだけだが、 これに対してマリファナの場合は、煙りをゆっくりと肺の奥まで吸い込むので、一度に多量の煙りを必要としないのである。


また、ペイパーを2枚使うのには3つの理由がある。
   (a)マリファナの葉脈や小枝がペイパーを破らないようにするため
   (b)ゆっくりと燃えて煙りを逃がさないようにするため
   (c)2枚のほうが1枚よりも巻くのが簡単でしっかり巻けるため、である。

巻き上げたジョイントの両端は同じ硬さにならないことがあるが、 そのときは普通やわらかい端を口にくわえて硬い端に火をつける。 また、燃え方をゆっくりさせるために、火をつける前に全体をなめて湿らせておくとよい。 吸うときはパイプの場合と同じように、ゆっくりと確実に肺の奥まで煙りを吸い込む。そして、できる限り肺の中に留めて、 ゆっくりと鼻から吐き出す。

ジョイントを吸っていくと短くなって指では持てなくなる。この短くなった燃えさしのことをローチ(roach)と呼んでいる。 ローチには今まで吸ってきた煙りの“ヤニ”がたまっているのでカナビスの活性成分がより集中しており、より大きな hit が得られる と言われている。このローチを上手に吸うためにいろいろな方法がある。
   (a)カクテル;紙巻タバコの片端を抜き出し、そこにローチを詰め込んで吸う。
   (b)ジェファソン・エアプレーン;紙マッチの下端を二股に剥ぎ、そこにローチをはさんで吸う。
   (c)ローチ・ホルダー;先のとがった器具でローチをくし刺しにして吸う。
   (d)ローチ・クリップ;電気端子をはさむワニグチやヘアピン、金属製のせんたくばさみなどでローチをはさんで吸う。

(6)スティーム・ボート(蒸気船):  まず、長さ20cm〜1m、太さ4〜7cmぐらいの紙筒をつくり、 ジョイントを差し込むための小さな穴を数ヵ所(ないしは1ヵ所)あける。穴にジョイントを差し込み片端に口をつける(図7参)。 そしてもう片端は(自分か友達の)手で密封する。ジョイントに火をつけ、ゆっくりと吸う。 最初は煙りがなかなか口元に届かないから、一呼吸入れてもよい。 煙りを十分に吸い込んだら煙りが肺の奥まで入り込むように最後に手を離して一気に強く吸い込む。 このやりかたをスティーム・ボートと呼ぶのは紙筒が船体に、燃えているジョイントがマストに似ているからである。 この方法では煙りが途中で冷やされ、空気とも十分に混じるから吸いやすくなる。 ただ、マリファナの消費量が多くなりがちなのが欠点である。

(7)その他の方法:  今まで述べてきたのは一人でもできるが、最後に二人でやるやりかたを二例ばかり挙げておこう。 その一つは、通称スーパー・チャージといって、一人が相手の口の中へ煙りをふき込んでやる方法である。 つまり、一人がパイプのボウル部(ジョイントなら火のついている端)を口にくわえて空気を送り込んで煙りを出してやる。 もう一人の、煙りを吸う人は口元をパイプ(またはジョイント)と少し離し、煙りが出てくるのを見ながら吸い込むのである。 こうすると空気と煙りがよく混じって吸いやすくなるし、力まずゆっくりと肺を煙りで満たすことができる。 また、もう一つの方法は、少々手荒いが、小さな穴をあけた大きなポリ袋を頭にかぶり、首元でしっかりとおさえて密封し、 友達に穴からパイプで煙を吹き込んでもらうやりかたである。するとポリ袋は煙りで満たされ、呼吸する気体はすべてマリファナの煙になる。


4 喫煙法の注意

これまでいろいろな喫煙法について述べてきたが、いずれの場合にも体得しなければならないテクニックというものがある。 要は、できるだけ快い体験をすることであり、また自分の high をコントロールすることである。

初心者がカナビスに慣れ親しむには、普通次のような三つの段階を経なければならない。つまり、
   (1)煙をきちんと吸うテクニックを習得し、
   (2)次にカナビスによって生じる効果を感じ取り high の状態がどのような状態なのか知り、
   (3)自分に最も合った high の状態を見つけ出して、今度はその状態を得るためのテクニックを習得する、という段階である。

初めてカナビスを吸った人は、普通なかなか high の状態になれないものである。 この最大の理由は、煙りをきちんと十分に吸い込むことができないために、十分な量の活性成分が体内に吸収されないためであろう(※)。 カナビスをタバコのように吸って(ふかして)いたのでは、効果的に high の状態を得ることはできない。 カナビスの吸い方の基本は、煙りをできるだけ肺の奥まで吸い込み、そこにできうる限り長く留めることである。 そのためにいろいろなテクニックが工夫されている。

例えば、竹製水パイプやスティーム・ボートで最後に強く吸い込むのは、煙りが自然と奥まで入り込むようにするためだし、 また煙りを鼻からゆっくり吐き出すのは煙りが一気に外へ出てしまわないようにするためである。 このようなテクニックを習得するには練習が必要であり、ただ漠然とやっていたのではなかなか上達しない。 特に、女性の初心者のなかには吸い方がまずいために high の状態を得ることができず、 自分にはカナビスが効かないと思い込んで止めてしまう人がいるが、こういう人はまず正しい吸い方をマスターしなければだめである。

しかしながら、正しいテクニックを習得した後でも high の状態を得ることができない人もいる。これはまだ慣れていないために、 実際に high になっていても本人が気づかないためだと思われる。カナビスが“幻覚剤”と言われているせいか、 初心者の中には high になると幻覚が見えるはずだと思い込んでいる人もいるが、実際にはカナビスで幻覚が見えることはまれである。 そのために初心者は high になった気がなかなかしないのかもしれない。 一般に初心者が最初に感ずる効果は、音楽がいつもより鮮明に聞こえたり、時間を遅く感じたりするような効果が主で、 視覚的な効果は比較的少ない。だが、一つの効果が感じられるようになると、その幅は急速に拡まり、 次々と新しい効果を感ずることができるようになる。そして、数ヵ月すると基本的な効果がだいたいすべてわかるようになってくる。 こうして high の状態に慣れ親しむようになると余裕が出てきて自分をコントロールできるようになってくる。

この段階にまで来たら、次は自分に最も合った high の状態を見つけ出し、 今度はそれを積極的に得るためのテクニックを習得しなければならない。一般的に言って、たくさんのカナビスを吸えば それだけ high のピークは高くなるが、それと同時に不快感や疲労感などが現れてくるものである。 従って、快い状態を得るには決してカナビスを吸いすぎてはいけない。 過量はカナビスの質によって異なるばかりか、人によっても異なるし、また、同じ人でもその時の調子によっても異なるので、 一般的にどのくらいの量なのか言うことはできない。

時にはいつもより多量に吸っているのに満足できず、吸い足りないと思うことがあるが、 そんなときは実際には吸いすぎている場合が多く、中断して別のことを考えるべきである。 また、グループで吸っている場合は吸いすぎる傾向が大きいので、みんなで注意しあうべきである。 人にむりやり吸わせたりすることは本来避けるべきであり、むしろ自分の high の状態をコントロールすることに気を配るべきである。

自分の適量を見つけ出すためには、毎回摂取量と high の状態を注意深くチェックする必要がある。要は最小の摂取量で十分な high を 得るようにすることである。そのためには時間をかけてゆっくりと吸い、徐々に high 近づいていくとよい。

自分に合った high の状態をつくることができるようになると、単なる楽しみにとどまらず、 カナビスを明確な触媒として知的な仕事に利用できるようになる。さらに人によっては全然カナビスを吸わなくっても high の状態に 持っていけるようになるといわれる。(第3章-5参照) ただ、意味のある high の状態を得るためのテクニックは、あせらずに何ヵ月もかけて練習と体験を積み重ねて はじめて体得できるものである。

ただ漠然と吸っている人たちや、単なる kick のために吸っている人たちはこの第三の段階にはなかなか達しない。 そればかりか、調子にのって吸いすぎたり、また自分をコントロールする能力がないのに 無理しすぎたりしてバッドトリップに陥ることがしばしばある。 カナビスはアルコールと違ってたくさん摂取できるからといって自慢になるわけではない。


5 カナビス使用の一般的なパターン

ここでカナビスの摂取法のまとめとして、カナビス使用に関する平均的なパターンがどのようなものであるか述べよう。 日本やアメリカで最も広く使われているカナビスはマリファナである。 また、最も一般的なカナビスの摂取法は喫煙法であり、一部の国々で行われているような、食べたり、 飲料にして飲んだりする方法は極めて少ない。こうした摂取法上の違いから出てくる非常に重要な点は、 同量のカナビスでは食べたりしたときよりも喫煙したときのほうが効力がはるかに強いにもかかわらず、 前者のほうがはるかに過剰摂取つまりオーバードーズする可能性が大きいということである。

このパラドックスは、喫煙法のほうがはるかに摂取量をコントロールしやすいことに原因している。 つまり、喫煙法では効果の発現が速く、そのためにたとえカナビスの品質(効力)が大きく変わったとしても、 熟練したカナビス・スモーカー達は摂取量を極めて正確に「計る」ことができるからである。 少なくとも数回カナビスを吸ったことのある人ならば、たいていは喫煙後すぐに(2〜3分後)カナビスの効果を感じることができる。 カナビスの使用者達はいったん自分が好ましいと思う量を吸ってしまうと、普通、それ以上は中止して吸わないものである。

しかしながら、カナビスを食べた場合は喫煙した場合のように摂取量を“計る”ことができない。 使用者達はファジなどの糖菓にしてある一定量のカナビスを摂取するわけだが、 この場合はいったん摂取してしまえばもはや体の中へ解き放たれた薬の量を調節することはできない。 日本やアメリカで使われているカナビスの効力にはピンからキリまであるので、 たまたま効力が高く摂取量が予期していたよりもはるかに多くなってしまい、psychotomimetic (精神異常を引き起こすような)量を 摂取してしまう人たちもいる。

日本やアメリカでは、一般的に言ってカナビスは喫煙法で摂取されているが、 それも普通は社交的なセッティングのもとで行われている。 典型的な例でいうと、使用者達は小さな円陣をつくって座り、ジョイントを回しのみする。 カナビスはアルコールと同様に社交上の円滑剤として非常に広く使われているが、ただアルコールの場合と違うのは、 カナビスによって多幸感が生まれ、しかもカナビスには比較的攻撃性を促すような効果がないために、 少なくとも表面上は他人とのかかわりが容易になるとカナビス使用者達が考えていることである。

だが、交わりが容易になると感じられる理由には別に2つの見方ができるかもしれない。 つまり、ジョイントを隣の人に回したりするような単純な行為が他人を意識させるからだ、と考えることもできるし、 また、実際上は人と人との交わりが難しいにもかかわらず、単に薬の効果で使用者達が内向的になってしまい、 交わりの必要度が少なくなるからだと考えることもできる。 普通の典型的な“マリファナ・パーティー”では6人程の人間が1人当たり1本ぐらいのジョイントを回しのみしていると考えてよい。 時には集まりの雰囲気とかマリファナの効力によって吸われるジョイントの数が多くなることもあるが、 一般的に言って一人当たりの消費ジョイントの数が2本以上になることは非常に稀だと思われる。

もちろん“マリファナ・パーティー”だけが唯一のカナビス使用のパターンというわけではない。 おそらくその次に一般的なパターンは音楽を聞きながら一人でジョイントを吸ったり、また異性同志、 ペアで1〜2本のジョイントを吸ったりしているようなパターンであろう。 いずれも一週間で一晩ぐらいマリファナを吸うというのがだいたいの平均であるようだ。

「米国カナビス委員会1971〜72」の報告によると、 カナビスを常用している人たちの間では一週間に一回以下という人が圧倒的に多い。 もちろん、毎晩のように吸っている人もいるけれども全体とすれば決して多くはない。 また、一日中吸っているというようなヘビーな使用パターンは常識的に見ても、また病的ではないかと考えられる点からしても、 とても平均的・一般的なパターンだとはいえない。