科学的検証

カナビス神話を暴く


The Lindesmith Center
Lynn Zimmer, Associate Professor of Sociology, Queens College
John P. Morgan, Professor of Pharmacology, City University of New York
October 1995 c Open Society Institute/The Lindesmith Center

This article is reproduced here for educational purposes under the Fair Use Doctrine
http://www.druglibrary.org/schaffer/hemp/general/mjmyth/exposing_index_1095.html


1920年代以来、カナビス禁止法支持者たちは、カナビスの危険性をさまざまに誇張し続けてきた。時代ごとに強調される誇張対象は入れ替わってきたが、これまでに放棄された主張はない。実際、禁止法初期のプロパガンダに使われた「リーファー・マッドネス」という主張は、バージョンを変えて今日でも政府やメディアのレポートで使われ続けている。

1970年代の一時期、科学的な研究の結果が政府のカナビス政策に影響を与え始めた。研究者たちの集めた証拠のレビュー [1] や政府の委員会 [2] の勧告に従って、カナビス事犯の刑罰が緩和され、多くの州が非犯罪化に向かっていった [3]。だが一方では、 カナビスの害毒の可能性に対する懸念に対応するために、政府は科学的な研究を目的に国立薬物乱用研究所(NIDA)を新たに設立し、資金の大半をそこから提供するようになった。

1970年代に実施された最も重要な研究は、ギリシャとコスタリカとジャマイカの3地域で行われた大規模なフィールド調査研究で、日常的な環境の中でカナビスがユーザーにどのような影響を与えているかが調べられた。カナビスの影響についての聞き取り調査を補足するために臨床試験や研究所での実験も行われ、科学文献を通じて議論が続けられた。これらの研究のデータは多数の書籍や学会誌で発表され、脳、肺、免疫と生殖、パーソナリティや発育への影響、動機の状態、中毒性などカナビスの影響に関してさまざまな問題が扱われた [4]

こうした研究がカナビスの害毒に対する不明なすべての問題に答えられたわけではないが、たいていは、カナビスが比較的安全なドラッグであり、完全に無害とは言えないものの、大半のユーザーや社会に対して深刻な害になることはない、という見方を支持するものだった。それ以降も何年にもわたって何千もの研究が行われてきた。その多くはNIDAが資金提供したものだったが、総じてカナビスの安全を再確認し補強するものだった。

時には、以前考えていたよりも大きな害毒が見つかったとする研究も出てきたが、この 「カナビス神話を暴く」 では、その多くが方法論的に重大な欠陥があり、追認研究でも再現できていないことを明らかにしている。

1980年代以降になると、連邦政府はあらためてカナビスに対する戦争を再開し、カナビス研究への資金提供も研究成果の公表も極めて政治的な色彩を帯びるようになってきた。実際、NIDAの役割はドラッグ戦争を遂行する一機関になってしまった。その結果、科学的研究としては正統性が疑われるようなものであっても害毒を主張する研究は多数の新聞や雑誌に掲載される一方で、深刻な害毒を見出せなかった研究は無視されるようになってしまった。



さらに詳しくは

カナビスの神話と真実 1997
「カナビス神話を暴く」 を土台にして、同著者たちが大幅に加筆して再編集した決定版。
カンナビスト・サイト に抄訳あり。