ジャマイカとコスタリカで行われたフィールド研究では、カナビス・ユーザーと非使用者の間でホルモン・レベルに何ら違いが見出されなかった。また、カナビス・ユーザーの疫学調査の中に、生殖力が重要な問題として取り上げたものもない。
1974年に、男性の長期のカナビス・ユーザーにおいてテストストロンが減少し、性機能が低下し精液の異常が見られたという研究が報告されているが
[34] 、その後に同じ研究者によって行われた実験室での研究では、初期にはテストストロンが急激に減少するものの、喫煙9週後には慢性的な影響は見られなくなり精液の質と量の違いを見出せなかった
[35] 。
他の研究ではほとんどがテストストロンの減少を再現できなかった
[35] 。1日にジョイント20本づつ30日間という極めて多量のTHCを投与した研究の一つで、わずかに精液の濃度が減少しているが
[37]、いずれの研究にしてもテスト結果は正常範囲内に収まっており、実際に生殖力に影響することはほとんど考えられない。
雄の動物実験でもいくつかの悪い結果がでているが、いずれも1日当たり極めて多量のTHCを投与した場合に限られている
[38]。さらに注目すべきことに、人間の実験でも研究室の動物実験でも、いったんTHCの投与を中止するとどの実験でも変化は元に戻って回復している。