神話 5

カナビスは 免疫機能を損なう


The Lindesmith Center
Lynn Zimmer, John P. Morgan
http://www.druglibrary.org/schaffer/hemp/general/mjmyth/Exposing_05_1095.html


カナビスはさまざまな感染症にかかるリスクを大幅に増やす、という主張がこれまで広く繰り返されてきた。最初に言われ出したのは1970年代だったが、80年代に入ってエイズに苦しむ人たちがカナビスを使っていると報道されると、あらためてこの主張が声高に叫ばれるようになった。


事実
カナビスが免疫機能を損傷するという主張を煽る根拠になった最初の研究は、カナビス喫煙者グループと対象となる非喫煙者グループから白血球を取り出して前処理を行った試料を免疫活性剤に晒してその違いを調べた結果、カナビス喫煙者の試料のほうが 「形質転換」 の率が低く、免疫機能の低下が見られた [26]、というものだった。

しかしながら、多数の科学者グループが同じ方法を用いて追試実験を行ったが、どれも最初の研究を再現することはできなかった [27]。反対に、1988年に行われた研究では、カナビス喫煙者の白血球を免疫活性剤に晒すと感応性が増加することが実験で示されている [28]

実験動物を使った研究の中には、THCの投与で免疫機能が損傷されることを見出したものもあるが、極めて多量投与した場合に限られている。例えば、リス猿を使ってヘルペス(疱疹)が増えたという実験では、1日体重1Kgに対して100mgが投与されていた。この量は人間に精神効果を起こす必要量のおよそ1000倍に相当している [29]

人間のカナビス・ユーザーにおいて細菌やウイルスや寄生虫など感染症が増えることを示すような臨床あるいは疫学研究は存在しない。1970年代にジャマイカとコスタリカ、ギリシャで行われた3つの大規模なフィールド研究でも、カナビス・ユーザーと対照群の間には感染性疾患の被患率に何らの違いも見つかっていない [30]

カナビスの使用でHIVに感染するリスクが増えるようなことはなく、また、エイズ患者に対して発症を早めたり、症状を悪化させることもない [31]。実際、連邦食品医薬品局(FDA)でさえHIVの消耗症候群に対して合成THCであるマリノールの使用を認めており、THCによっていかなる免疫損傷も起こらないことをその理由にしている [32]

今日では何千人ものエイズ患者が、吐き気と闘い、食欲を増進させるために毎日カナビスを吸っている。カナビスの吸引と免疫反応とどう係わっているのかということについては科学的根拠が十分にわかっていないが、最近、リンパ組織に周辺カナビノイド・レセプターが関係していることが発見され、免疫システム増強剤としてのTHCの可能性について積極的な探求が始まろうとしている [33]