神話 7

妊婦のカナビス使用は
胎児を害する


The Lindesmith Center
Lynn Zimmer, John P. Morgan
http://www.druglibrary.org/schaffer/hemp/general/mjmyth/Exposing_07_1095.html


反ドラッグ・キャンペーンでは、妊娠中の母親のドラッグ使用が胎児に害を与え、カナビスが出生異常や発育不良の原因になる、と声高に叫ばれている。


事実
胎児のときにカナビスの影響を受けると幼児期に低体重や奇形になるという研究も散見されるが [43]、妊婦に影響があることの知られている他の要因、例えば、母親の加齢、社会経済的状態、アルコールやタバコの使用といった条件を考慮してデータ補正すると、カナビス使用が胎児へ悪影響を及ぼすという関連性はいずれも統計的有意性を失ってしまうことが指適されている [44]

大半の研究ではカナビスの悪影響を見出すことはできていないが [45]、たまたま悪影響が見つかったという報告があると、マスコミはたいていの場合、その研究の質を検証することなしにそのまま大々的に報道してしまう。

現在しばしば出てくる主張に、妊娠中のカナビス使用が小児白血病を引き起こすというものがある。根拠になっている研究では、小児白血病児を生んだ母親グループと正常児を生んだ母親グループを対象にして、妊娠前または妊娠中にカナビスを使用した率を比較している。前者のカナビス使用率が5%だったのに対し、後者は0.5%で、このことからカナビス・ユーザーから生まれる子供の白血病リスクが10倍になると結論された [46]

しかしながら、対照群の母親に対する調査は電話で行われており、そもそも、見知らぬ人からの電話で過去のドラッグ歴を問われて本当のことを答えるなどとはほとんど考えられないのに加え、国の調査で示されている一般のカナビス使用率も少なくとも10%を越えている。後者の0.5%という数字は信頼性を欠いている。

また、カナビスが胎児に害を及ぼす根拠として、カナビス・ユーザーから生まれた子供を追跡調査した2つの長期研究が引き合いに出される。しかしながら、よく検証してみると、例えカナビスの影響があったとしてもそれは極めて軽微なものであることがわかる。

カナビスの影響を受けた新生児で視覚反応にわずかの欠陥が観察された例もあるが、その後6ヵ月,12ヵ月、18ヵ月、24ヵ月時点では何の違いも見つかっていない [47]

3才時点でみられた相違点は、「中程度」のスモーカーの子供が精神運動機能に優れていたことだけで、4才時点では、週平均ジョイント18.7本という 「ヘビーな」 ユーザー群の子供が言葉の発達の標準的テストの1項目で点数が低くなり [48]、6才時点では、その子供たちのコンピュータ能力が低く 「要注意」 スコアだった、としている。しかし、それ以外のテストや測定の結果には何の相違も見つかっていない [49]

また、3才児を対象として標準的なIQテストでカナビスの影響を受けた子供とそうでない子供を比較した研究も行われているが、全体のスコアには何の相違も見つかっていない。しかし、対象を人種で分けると、アフリカ系アメリカ人の子供において、妊娠3ヶ月にカナビスの影響を受けた場合は1項目で、妊娠6ヵ月に影響を受けた場合に別の1項目で点数が低かった [50]

妊娠中の女性は、カナビスを含めてできる限りドラッグを使うべきべはないというアドバイスは妥当なものだが、科学的な検証結果でみる限り、カナビスが人間の胎児の発達に悪影響を与えるようなことはほとんどないと言うことができる。