神話 14
オランダのカナビス政策は
破綻している
The Lindesmith Center
Lynn Zimmer, John P. Morgan
http://www.druglibrary.org/schaffer/hemp/general/mjmyth/Exposing_14_1095.html
カナビス禁止法を批判する人たちは、しばしば、オランダ・モデルこそ代替政策にふさわしいと指適しているが、禁止法支持者たちは、オランダの寛容政策は悲惨な結果を招いており、若者たちのドラッグ使用が急上昇している、と主張している。
事実
1976年、オランダ政府は2つの諮問委員会の勧告に従ってドラッグ政策を根本的に改定し、合法化ではないものの、販売を行う環境が公共の迷惑にならない限り大人にカナビスを販売しても警察や司法当局は無視するという 「グレー原則」 を掲げた。
この政策変更の土台となった理由としては次のようなことが上げられる。
- オルタネーティブなライフスタイルに対する寛容の原則
- 他の違法ドラッグに比較して、カナビスの使用には余りリスクがないこと
- カナビス・ユーザーを逮捕や起訴に伴う不利益から保護すべきという要求
- ソフト・ドラッグとハード・ドラッグの小売市場を分離すれば、カナビス・ユーザーがコカインやヘロインに手を出しにくくなるという考え方
政策変更で、カナビスの販売は、一連の規制を受けたコーヒーショップでオープンにできるようになった。規制には、広告の禁止、一度に30グラム以上の販売を禁止(現在では5グラム)、18才未満への販売禁止などがあり、また、店で他のドラッグを販売することは厳しく規制されており、発覚すれば直ちに警察に閉鎖される。これに加えて、地方政府はコミュニティの利益を守るために独自の規制、例えば地区ごとのコーヒーショップの数の制限などを設けることができるようになっている [87]。
容認後、オランダではカナビスの使用は増加したが、それでも使用率は近隣のヨーロッパ諸国と同程度のままで、全般的にアメリカよりも低い。
オランダの若者のカナビス使用(ages 12-18) [88]
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経験あり |
過去1ヶ月の経験 |
1984 |
4.8% |
2.3% |
1988 |
8.0 |
3.1 |
1992 |
13.6 |
6.5 |
アメリカの若者のカナビス使用(ages 12-17) [89]
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経験あり |
過去1ヶ月の経験 |
1985 |
23.6% |
12.0% |
1988 |
17.4 |
6.4 |
1993 |
11.7 |
4.9 |
アメリカの若者のカナビス使用(高校最上級生) [90]
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経験あり |
過去1ヶ月の経験 |
1985 |
54.2% |
25.7% |
1988 |
47.2 |
18.0 |
1993 |
35.3 |
15.5 |
オランダではカナビス・ユーザーの率が増えたとはいえ、コカインの使用率は増えておらず、ハードドラッグとソフトドラッグの市場分離が 「ゲートウエイ効果」 を抑制する働きを果たしていることを示唆している。1992年では、12〜18才のコカイン体験率は約1.5%で、過去1ヶ月でみれば0.3%に過ぎない [91]。
オランダのカナビス容認政策には他国からの批判もあるが、政府当局は1976年の所持および販売の非犯罪化方針を一貫して堅持し続けている [92]。
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