オランダ警察協会会長

カナビス栽培を合法化すべき

Source: ANP
Pub date: 23 April 2008
NL: President of Police Association Proposes to legalize Cannabis Cultivation
http://www.encod.org/info/NL-PRESIDENT-OF-POLICE-ASSOCIATION.html
http://cannazine.co.uk/cannabis-news/united-kingdom/
dutch-police-union-chair-says-legalise-cannabis.html


「オランダにおいては、カナビスの栽培を合法化すべきだ。」  「同時に政府はハードドラッグを管理して配布できるような体制を整えるべきである。」

「わが警察は、こうした状況下においてのみ、ドラッグ犯罪組織と真正面から闘うことができる。」

大規模警察組織として知られるオランダ警察協会(NPB、Nederlandse Politie Bond)のハンス・ファン・デューイン会長(60)は、5月末の退任を前にしてオランダの新聞社の共同インタビューでこう語った。

デューイン会長によれば、ドラッグ関連犯罪に対する闘いにはほとんど成果がない上に、警察リソースの重荷になっており、警察官はドラッグ犯罪の捜査にあまりの時間を取られているために、他の種類の犯罪に費やすべき時間があまりにも少なくなっていると指摘している。また、年配の警察官の大半は同じように感じているように思うと話している。

さらに、オランダの政治家たちは、「国際的な圧力を受けるよりも現実を直視しないほうがよい」 と考えているので、カナビスの合法化について正面から取り組もうとしていないとも語っている。

現在のオランダのコーヒーショップをめぐる最大の問題は、ショップのフロントでは少量のカナビスの販売が認められているのに、商品となるカナビスの仕入れや栽培が禁止されているバックドア問題に集約されている。

政府は、栽培が認められない理由として国際条約の存在を上げているが、最近では、その国際条約を改訂するためにオランダ政府がイニシアティブを取るべきだという専門家や識者の意見が多くなってきている。今回の警察協会会長の発言もその延長線上にある。

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バックドア問題を解決するためには、単純にコーヒーショップを全閉鎖すればいいという人もいるが、全く現実を分かっていないだけではなく何の問題解決にもならない。

カナビスとコーヒーショップに関する13の誤解と1つの結論

実際、オランダ政府はコーヒーショップを全面的に閉鎖しようなどと考えていないし、できないことも理解している。一応は、コーヒーショップやグローショップに厳しく対処する姿勢を示しているが、実際には現実をあまり知らない外国向けのリップサービス的な側面も強い。

例えば、3月の始めにはヒルシバリン法務大臣が、カナビス栽培器具の販売禁止を検討していると伝えられたりしているが、前法務大臣が実施不可能を諦めた政策を蒸し返したに過ぎず、栽培現場がますますギャングのコントロール下に集約して外国までに拡散しつつある現状では、実際的な効果が上がるはずがない。

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オランダのコーヒーショップの バックドア問題

退任した警察官や法執行関係者がドラッグの全面合法化を掲げて運動に取り組んでいる団体としては、アメリカの LEAP (Law Enforcement against Prohibition)がよく知られている。

LEAPは、2002年に設立された団体で、現在のドラッグ政策が誤っていると考える現役および退役警察官を中心に、保護観察官、矯正官、裁判関係者、検察関係者、などで組織され、現在までに加わったメンバーは1万人に達している。全米各地に支部があり、講演や指導やアドバイスを行うスピーカーは常時100人を揃えている。講演会は毎日のように行われている。

LEAPは、(1)過去の歴史を示しながら、一般の人々をはじめ、マスコミ関係者、政治家に現在のドラッグ政策が間違っていることを伝え、(2)ドラッグ禁止法が引き起こしている警察官に対する社会の尊敬の失墜を回復することを通じて、暴力や腐敗や地下組織の一掃、ドラッグによる死亡事故や健康被害の害削減を目標としている。

ドラッグ問題の現場に深く関与した人たちが、ドラッグの全面合法化を訴えているのには迫力と説得力がある。

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