車に不具合が発見され、数十万台単位で自動車メーカーが回収(リコール)するといったニュースに触れることがある。自動車の欠陥は人命に直接関わることだから、リコールせずに放置した場合、事故に至る危険がある。
その点、報道はお気楽な商売のようだ。
よっしーさんが談話室で
「大麻やマリファナって、なんだこの記事w
ドラッグについて書く人間が、ドラッグの事知らなさ過ぎる。」
と突っ込みを入れた毎日新聞ウェブ版の件、報告が遅くなりましたが、記事を出した神戸支局の支局長さんに修正を申し入れてからの続報です。
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毎日新聞のネット版に次のような記事が出ている。
薬物乱用防止:「1回やったら死ぬ」 京都ダルク、神戸・井吹台中で講演 /兵庫
神戸市西区の市立井吹台中学校で1日、薬物経験者で薬物乱用防止を訴える「京都ダルク」の阪本高司さん(51)=大津市=が講演し、薬物乱用の怖さを訴えた。井吹台自治会連合会主催で2年生約360人が参加した。
阪本さんは中学時代に知人に誘われてから、大麻やマリファナなどさまざまな種類のドラッグに手をつけたという。これまでに出会った薬物依存者の死などに触れ、「10代に戻れるなら薬はしなかった。1回やったら死ぬ可能性がある」と語りかけた。
85年に「東京ダルク」が設立されたあと、全国各地にダルクが設立されており、来年度には「兵庫ダルク」が活動を始めるという。【井上梢】
〔神戸版〕
毎日新聞 2010年12月3日 地方版
引用元:
http://mainichi.jp/area/hyogo/news/20101203ddlk28040331000c.html
もうあまりにお粗末な記事で、呆れた気分で読み捨てたのだが、談話室でよっしーさんが適切なツッコミを入れた。
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毎日新聞がYahoo!ニュースに配信した記事、一部を修正して頂きました。迅速に対応して頂いた「月刊Newsがわかる」の記者氏にお礼を申し述べたいと思います。修正されたのは、「大麻はクワ科の植物」の削除と、「大麻や覚せい剤などの薬物使用は法律で禁じられている」という箇所の大麻についての削除です。
最初の電話では伝えていなかったのですが、「マリフアナを取ると、その時だけ物がきれいに見えたり、音に敏感になったりする。効果が切れると、うつや無気力の状態になる。使う量が増えるにつれ、イライラや不眠などの症状が出て、被害妄想やパニック、錯乱を引き起こす」という記述についても修正をお願いしました。
大麻の効果が切れると「うつや無気力の状態になる」とか、「使う量が増えるにつれ、イライラや不眠などの症状が出て、被害妄想やパニック、錯乱を引き起こす」という、ダメゼッタイ情報には根拠がないからです。記者氏は、この点については、文献を確認して書いた部分であり、一存で決められないので、上とも相談して対応するとのことでした。もし修正して頂けないのであれば、記述の根拠を教えて欲しいと伝え、改めて連絡を頂くことになりました。再度の回答があり次第、続報します。
「マリフアナ」という表現にも違和感を感じたので、「ア」は小さい「ァ」で、「マリファナ」の間違いではないのかと訊ねたところ、記者氏もそう思っていたらしいのですが、「マリフアナ」という表記で統一するよう指示があったそうです。「月刊Newsがわかる」を購読している子どもたちは、マリファナではなく、マリフアナという単語として覚えることになるのでしょうか。一体、何の穴だろうと思ってしまいました。
修正後の同記事。
警察庁がまとめた今年上半期(1~6月)の薬物事犯の検挙状況で、大麻の摘発が過去最多だった。10~20歳代の若者が65%を占め、大麻を栽培する事件も増えている。
大麻の葉や花を乾燥させたものがマリフアナだ。マリフアナを取ると、その時だけ物がきれいに見えたり、音に敏感になったりする。効果が切れると、うつや無気力の状態になる。使う量が増えるにつれ、イライラや不眠などの症状が出て、被害妄想やパニック、錯乱を引き起こす。
覚せい剤などの薬物使用は法律で禁じられているが、薬物の誘惑は生活の中に潜み、使ってしまう人がいる。中高校生の場合、友だちや先輩から勧められ、深みにはまってしまう危険が少なくない。薬物は犯罪につながり、乱用はその人の未来を確実に破壊する。薬物の成分は脳に負担をかけ、大切な神経をこわし、体の機能を失わせ命を縮める。きっぱりと断る勇気が必要だ。
酒(アルコール)やたばこはどうだろうか。実は脳を興奮させる作用のあるニコチンを含むたばこ、脳の神経に軽いまひをおこすアルコールは、薬物の入り口だ。くせになるとやめられないし(=中毒)、取りつづけると体に悪い。未成年者が喫煙や飲酒をしないように周囲の大人の責任も重大だ。
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Yahooニュースに毎日新聞配信として次の記事が掲載された。
<薬物と若者>増える大麻栽培事件 酒やたばこも実は薬物の入り口
8月10日12時31分配信 毎日新聞
警察庁がまとめた今年上半期(1~6月)の薬物事犯の検挙状況で、大麻の摘発が過去最多だった。10~20歳代の若者が65%を占め、大麻を栽培する事件も増えている。
大麻はクワ科の植物で、葉や花を乾燥させたものがマリフアナだ。マリフアナを取ると、その時だけ物がきれいに見えたり、音に敏感になったりする。効果が切れると、うつや無気力の状態になる。使う量が増えるにつれ、イライラや不眠などの症状が出て、被害妄想やパニック、錯乱を引き起こす。
大麻や覚せい剤などの薬物使用は法律で禁じられているが、薬物の誘惑は生活の中に潜み、使ってしまう人がいる。中高校生の場合、友だちや先輩から勧められ、深みにはまってしまう危険が少なくない。薬物は犯罪につながり、乱用はその人の未来を確実に破壊する。薬物の成分は脳に負担をかけ、大切な神経をこわし、体の機能を失わせ命を縮める。きっぱりと断る勇気が必要だ。
酒(アルコール)やたばこはどうだろうか。実は脳を興奮させる作用のあるニコチンを含むたばこ、脳の神経に軽いまひをおこすアルコールは、薬物の入り口だ。くせになるとやめられないし(=中毒)、取りつづけると体に悪い。未成年者が喫煙や飲酒をしないように周囲の大人の責任も重大だ。
「大麻を栽培する事件も増えている」件は項を改めて述べるとして、まず読後の第一印象は、これは厚労省所管の天下り財団法人が運営するサイト「ダメ。ゼッタイ。」ホームページの記述を元に、事実関係の確認もせずに書かれたのではないかという疑いだ。
大麻はアサ科の植物である。かつてはクワ科に分類されていたそうだが、平成3年の警察白書では既にアサ科として記述されている。
平成3年 警察白書
大麻は、アサ科の1年草である大麻草(カンナビス・サティバ・エル)から作られる。大麻の幻覚作用は、テトラヒドロカンナピノール(THC)によってもたらされると言われており、大麻草中のTHCの含有量は、成育地の環境、栽培方法等により異なるが、多いもので8%、平均1%から3%程度である。
「ダメゼッタイ」には大麻がクワ科と書かれているが、2006年9月に当時の糸井専務理事に対して問い合わせたところ、記述の見直しを検討すると回答したが、現在もそのまま放置されている。
また、「マリフアナを取ると、その時だけ物がきれいに見えたり、音に敏感になったりする。効果が切れると、うつや無気力の状態になる。使う量が増えるにつれ、イライラや不眠などの症状が出て、被害妄想やパニック、錯乱を引き起こす。」という記述も「ダメゼッタイ」に似た表現がある。このような大麻情報についても糸井元専務理事は「情報が古くて見直す必要がある」と認め、厚労省麻薬対策課の情報係長も「まあ、根拠はないんでしょうね」と他人事のように言っている。
毎日の記者は、「ダメゼッタイ」大麻情報を鵜呑みにして記事を書いたのではないだろうか。毎日新聞に記事の訂正を求めて電話した。
Yahooニュースの記事の下部には「薬物依存は、おそろしい」という毎日JPへのリンクがある。この「薬物依存は おそろしい」というシリーズは、毎日新聞が子供向けに発行している「月刊Newsがわかる」の転載だそうだ。こちらの記事でも大麻をシンナーや覚せい剤と同列に扱っていて、子どもたちに誤った知識を与えかねない不正確なものになっている。
Yahoo!ニュースに掲載されている「<薬物と若者>増える大麻栽培事件 酒やたばこも実は薬物の入り口」という記事は、子供向けの記事をアレンジして書かれたようにも思えるが、「月刊Newsがわかる」の編集担当によると、Yahoo!ニュースに出稿した記事がどの部署で書かれたものか分からないとのことで、改めて回答を頂くことになった。
それにしても、最近の毎日新聞は劣化が著しい。先に、関東学院大の学生が「自宅」で大麻を栽培して捕まったと報じていたので、「寮」であることを指摘し訂正を求めたが、黙殺された。記事の誤りを訂正することもできない驕った姿勢は、英語サイトで破廉恥な記事を掲載し続けて恥をかいた事件と通低する退廃があるのではないか。
参照:毎日新聞、「低俗過ぎ」英文記事問題で内部調査公表 再三の指摘放置、「深刻な失態」- ITmedia News
「酒やタバコは実は薬物の入り口」どころか、酒やたばこは大麻よりも毒性が強く、薬物そのものだ。そのことはアメリカの国立薬物乱用研究所(NIDA)やイギリスの科学技術委員会のレポートでも明らかである。
Yahoo!ニュースに配信された記事についての誤りや根拠については、毎日新聞社からの回答を得たら報告します。
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1977年9月10日、井上陽水が大麻で逮捕され、その4日後の14日、毎日新聞編集委員の関記者は、「記者の目」という欄に「たかが大麻で目クジラ立てて」と題する記事を書いた。
たかがマリファナぐらいで目くじら立てて、その犯人を刑務所にやるような法律は早く改めたほうがいい。
それからほぼ30年、特に近年は大麻についての医学的な研究が飛躍的に進み、今では大麻の成分が癌を抑制する効果を持つことも明らかになり、一進一退はあるものの、流れとしては、個人的な大麻所持など刑事犯の対象としない施策が欧州を中心に進み、医療的な利用も広がっている。
ところが、日本では大麻について公に議論することすらタブー視される状況が続き、マスコミは相も変わらずひたすら大本営発表のような警察情報を垂れ流している。言論状況はますます窮屈になり、いつか来た道を再現しているかのようだ。
毎日新聞は自社で報道した半年ほど前の事件についての引用に際し、事実確認もせず、曖昧な記憶に頼って誤った報道を行い、指摘を受けても早急に訂正しようという姿勢すら見られない。情報が生ものだという自覚が欠如しているとしか思われない。記者クラブという翼賛的で閉じた生ぬるい空間から社会を眺め、事件の背後にある問題を見極めようという姿勢など失ってしまっているようだ。
関西大学の大麻事件を報じる毎日新聞の記事に再び誤りを見つけたので、メールで訂正を求めたが修正されない。そこで昨日、大阪本社社会部デスク一色氏に電話を入れたが、取り込み中だったようで、代わりに牧野さんと名乗る女性記者と話し、改めて誤りを伝え、大麻の事実について調査報道などもしてほしいと要望した。
電話録音:http://asayake.jp/ongen/080520_m.wma(wma 2.06MB)
今見たところ、未だに修正されていない。事実関係を誤って報道していることに対し、あまりにも緊張感が欠けている。まだ寝ているのだろうか。
毎日新聞大阪へのモーニングコールはこちら:06-6345-1551
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毎日新聞に(また)誤りを指摘
訂正された記事に(またまた)誤り発見
毎日新聞大阪社会部デスク宛にメール
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1977年9月10日、井上陽水が大麻で逮捕され、その4日後の14日、毎日新聞編集委員の関記者は、「記者の目」という欄に「たかが大麻で目クジラ立てて」と題する記事を書いた。
たかがマリファナぐらいで目くじら立てて、その犯人を刑務所にやるような法律は早く改めたほうがいい。
それからほぼ30年、特に近年は大麻についての医学的な研究が飛躍的に進み、今では大麻の成分が癌を抑制する効果を持つことも明らかになり、一進一退はあるものの、流れとしては、個人的な大麻所持など刑事犯の対象としない施策が欧州を中心に進み、医療的な利用も広がっている。
ところが、日本では大麻について公に議論することすらタブー視される状況が続き、マスコミは相も変わらずひたすら大本営発表のような警察情報を垂れ流している。言論状況はますます窮屈になり、いつか来た道を再現しているかのようだ。
毎日新聞は自社で報道した半年ほど前の事件についての引用に際し、事実確認もせず、曖昧な記憶に頼って誤った報道を行い、指摘を受けても早急に訂正しようという姿勢すら見られない。情報が生ものだという自覚が欠如しているとしか思われない。記者クラブという翼賛的で閉じた生ぬるい空間から社会を眺め、事件の背後にある問題を見極めようという姿勢など失ってしまっているようだ。
関西大学の大麻事件を報じる毎日新聞の記事に再び誤りを見つけたので、メールで訂正を求めたが修正されない。そこで昨日、大阪本社社会部デスク一色氏に電話を入れたが、取り込み中だったようで、代わりに牧野さんと名乗る女性記者と話し、改めて誤りを伝え、大麻の事実について調査報道などもしてほしいと要望した。
電話録音:http://asayake.jp/ongen/080520_m.wma(wma 2.06MB)
今見たところ、未だに修正されていない。事実関係を誤って報道していることに対し、あまりにも緊張感が欠けている。まだ寝ているのだろうか。
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5月16日付の毎日新聞記事に誤りがあったので訂正を申し入れた件、修正されました。「大麻取締法違反罪で実刑判決を受けた」と書かれていたものが、「大麻取締法違反罪で執行猶予付き有罪判決を受けた」に修正されています。
当該記事:大麻取締法違反:所持容疑、関西大生ら逮捕 「学内で密売」
修正された記事を改めて読み、別の誤りに気が付きました。やはり本文の最後の箇所です。
大学生の薬物使用を巡っては、関東学院大(横浜市)で昨秋、当時のラグビー部員2人が自宅で大麻を栽培。大麻取締法違反罪で執行猶予付き有罪判決を受けた。
ラグビー部の部員2名が大麻を栽培していたのは「自宅」ではなく、「寮」だったはずです。毎日新聞の過去記事を見てもそのように報道されています。この2名の判決公判を伝える毎日の記事は次の通りです。
関東学院大:大麻栽培の元ラグビー部員に有罪 横浜地裁
関東学院大(横浜市金沢区)ラグビー部の寮で大麻を栽培したとして大麻取締法違反罪に問われた元部員の梅埜桂嗣(21)と中村大樹(21)の両被告=退学処分=に対し、横浜地裁は25日、いずれも懲役1年6月、執行猶予3年(求刑・懲役1年6月)を言い渡した。
「実刑判決を受けた」という記事を書いた久木田記者は、関東学院大の事件について触れる際、事実確認を全くしなかったのでしょうか。「執行猶予付き有罪」を「実刑」と書くなど、逮捕された2名の人権にも関わる誤報ではないでしょうか。自社の過去記事を参照すれば、自宅ではなく寮で栽培したことや、実刑判決ではなく執行猶予が付いたことなど、簡単に確認できたはずです。さらに言えば、元部員2名が大麻を栽培していたのが、自宅ではなく寮だったことが、ラグビー部の監督や大学の責任を追及するひとつの重要なファクターとなっていたのではなかったでしょうか。マスコミはそれでラグビー部監督や大学を袋叩きにしたのではなかったでしょうか。
この記事にOKを出したデスクもまた事実確認をすることなく通してしまったということでしょう。まるで伝言ゲームのようです。
1件の短い記事に、事実の誤りが2箇所もある。自社の過去記事に目を通すという簡単な確認作業を行っていれば、起こるはずもない誤りです。このようなことでは、今後、毎日の記事を読む際に、ディティールには誤りがあるかもしれないという前提で、眉に唾を付けてから読まなければなりません。
大丈夫か?しっかりしてくれ、毎日新聞。
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それではここで問題です。毎日新聞大阪社会部の九木田照子記者が書いた次の記事には誤りが1点あります。その誤りを見つけて下さい。
大麻取締法違反:所持容疑、関西大生ら逮捕 「学内で密売」
大阪府警薬物対策課と吹田署などは15日、大麻を所持していたとして、関西大(同府吹田市)工学部4年、市川聖(24)=同市千里山松が丘=ら3容疑者を大麻取締法違反容疑で逮捕したと発表した。市川容疑者は「学内で同級生ら約40人に密売した」と供述しており、府警は大麻の入手元や密売先を追及している。
他に逮捕されたのは、大阪市淀川区東三国、電気工事作業員、中塚真朗(23)▽同市東淀川区大道南、アルバイト店員、更家守(23)両容疑者。調べでは、市川、中塚両容疑者は今月8日、各自宅で、販売目的で乾燥大麻を所持。更家容疑者は同12日、自宅で大麻葉片を所持、大麻草を栽培していた疑い。3人は知人同士。
市川容疑者の供述などによると、約5年前から、インターネット通信販売や大阪・ミナミのアメリカ村で大麻を購入し、自分で使用。約3年前、購入資金を得るためスケートボード仲間らに売り始めた。携帯電話で連絡を取り、学内の芝生広場などで1グラム5000~8000円で売った。「同級生や後輩ら大学の12人を含め約40人に売った。警察は大学内に入って来ないと思っていた」と供述しているという。
大学生の薬物使用を巡っては、関東学院大(横浜市)で昨秋、当時のラグビー部員2人が自宅で大麻を栽培。大麻取締法違反罪で実刑判決を受けた。【久木田照子】
毎日新聞 2008年5月16日 東京朝刊
記事URL:http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080516ddm041040140000c.html
正解は本文最後の行、「大麻取締法違反罪で実刑判決を受けた。」です。
昨秋、たかが大麻で目クジラ立てて、寮の押し入れで大麻を栽培した学生を、マスコミこぞって袋叩きにしましたが、逮捕された学生2名は、裁判で懲役1年6月・執行猶予3年の有罪判決を受けました。実刑ではありません。このような誤報は、たかが大麻を栽培しただけで実刑になるかのような、事実とは異なる認識を読者に与えます。念のため関東学院大学に確認のうえ、毎日新聞東京本社読者サービスに訂正の申し入れをしたところ、大阪社会部の出した記事なのでそっちに言ってほしいとのことで、大阪社会部にわざわざ電話をかけ直し、訂正を求めました。事実を確認して対処して頂けるとのことです。
署名入りで記事を掲載する毎日新聞の姿勢には好感を持ちますが、事実に誤りがあってはお話になりません。もっとプロ意識を持ってお仕事頑張って下さい。
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4月12日付、毎日新聞のウェブに、次の記事が掲載された。毎日新聞の読者サービスの方の話では、新聞紙面には12日の夕刊記事として掲載されたものだそうだ。
大麻の種:ネット売買が横行 所持「合法」、栽培「違法」
インターネットなどを通じて大麻の種を入手し、栽培する事件が増えている。昨年の栽培事件の摘発件数は184件で、10年前の4倍以上に上った。現行法では大麻の種の所持・売買は犯罪にはならず、ネット上には海外産の販売サイトがあふれている。国外からの持ち込みの取り締まりも難しく、税関などの「頭痛のタネ」になっている。
警察庁によると、大麻栽培事件の摘発は2年連続で増加しており、昨年は、39件だった10年前の4.7倍だった。使用などを含めた大麻取締法違反事件全体の摘発は、3282件と10年前の約1.8倍にとどまっており、栽培事件が突出している形だ。栽培した大麻は売られることが多く、使用した人物まで突き止められない場合も少なくない。
ネット上の多くのサイトは「種の所持は違法ではありません」と宣伝する。「観賞用」などとして発芽させないよう注意している場合もあるが、一方で栽培マニュアル本を販売しているサイトもある。昨年11月、神奈川県警に逮捕された関東学院大のラグビー部員2人もネットで種を買い、寮内で育てていた。
大麻の種は本来、発芽しないよう熱処理をしたものに限って輸入が認められている。七味唐辛子など香辛料の材料や鳥の飼料として需要があるためで、中国やカナダから年間約1000トン前後が入ってきている。大麻取締法に種の所持・販売を禁止する規定がないのはそのためだ。
栽培事件の多発を受け、財務省は今年1月、種の不正持ち込みの取り締まり強化を全国の税関に指示した。今年4月には、中部空港税関支署がオランダから種約1000粒(重さ約17グラム)を下着に隠して密輸しようとした夫婦(別の容疑で逮捕)を関税法違反で告発した。全国初のケースだった。
しかし、不正持ち込みの種であっても、いったん税関を通過すれば摘発は難しい。外見上、熱処理されたかどうか区別がつかないという。東京税関監視部は「種は小さいため、少量なら検査で見つけるのは困難。ネットを通じ匿名での売買もできるため、販売業者が増える恐れもある」と懸念している。【曽田拓】
前記事に書いた通り、この「使用などを含めた」という表現は不適切なので、訂正して頂くべく、記事を書いた曽田記者と電話でお話し、メールした。
曽田記者から改めて電話を頂き、指摘した箇所の修正に応じて頂いた。確認したところ、「使用などを含めた」という表現は、「譲渡などを含めた」という記述に修正された。
曽田記者殿、そして毎日新聞殿、修正に応じて頂いたこと、感謝申し上げます。ただ、記事全体から受ける印象は、タイトルが示すように、「大麻の種の所持が合法なのが問題だ」という論調です。いかがなものか。イカンの意をお伝えしておきたいと思います。無意味でバカげた大麻弾圧こそが問題であるという視点についても、ぜひ検証して下さい。
曽田記者の記事に対する私の批評、言葉が過ぎる箇所、「オヤジギャグ」を削除し、「社会科」を「社会学部」に、「中学生」を「大学生」に、「正解はこちらまで教えてやって下さい」を「正解はこちらにお伝えしました」に、それぞれ修正しました。
曽田さん、ありがとうございました。お仕事頑張って下さいね。
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毎日新聞社会部記者
曽田様
電話でのご丁寧な対応、ありがとうございました。
曽田記者がお書きになった記事に対する私の批評をお読み頂いたとのこと、ありがとうございます。
電話でもお伝えした通り、ちょっと侮辱的な表現かな、という危惧も感じております。ご不快かと存じます。ごめんなさい。
但し、当該記事は、当局に聞いた話をそのまま書いただけで、まるで大麻の種の所持が合法であることに問題があるかの如き印象を受けます。『大麻の種:ネット売買が横行 所持「合法」、栽培「違法」』というタイトルがそれを如実に示しています。
曽田様は「第3条に使用を禁止する条文がある」とのことでしたが、これも電話でお伝えした通り、これは「大麻取扱者でなければ大麻を所持し、栽培し、譲り受け、譲り渡し、又は研究のため使用してはならない」ことを規定したものであり、禁止されているのは「研究のため」の「使用」です。大麻研究者免許を持たずに研究に使うことを禁じているのです。嗜好目的で大麻を吸引する「使用」を禁じたものではありません。
ジャーナリストには、このような法の矛盾、その矛盾の由来などをこそ、調査報道して頂きたいと私は切に願います。
また、曽田様のお話では、昨年度、この「使用」で摘発された者がいるかどうかは分からないとのことでした。それは事実を確認せずに報道したということではありませんか?
昨年、産経新聞にも同じような訂正の申し入れをしましたが、産経は当初、大麻には使用罪がある、だから「使用の容疑でも調べる」という表現は間違っていないのだと言い張っていました。私は、その記事に書かれた事件を担当した所轄の警察に電話をし、担当した刑事から、「使用容疑でも調べるという報道発表はしていない」と確認を取っていたのに、です。結局、その記事は共同通信が配信したものであり、産経は記事を買って自社ニュースとしてサンケイwebに掲載してるだけなので、自分たちでは真偽の確認ができないというお話でした。自社サイトに、自社ニュースとして掲載しておきながら、それがホントかウソか、自分たちでは確認できないというのですから、困った言論機関です。その記事は共同通信の適切な対応によって産経webから削除されました。
参照
・産経新聞は明らかな誤報を訂正しないのだろうか?
・「使用容疑でも調べる」産経記事は削除されました
曽田記者殿、確認を取らず、うっかり「使用などを含めた大麻取締法違反事件全体の摘発」とお書きになったことに、ジャーナリストとしての矜持と反省を少しでもお感じであれば、また、実際に「使用」で摘発された人が昨年度いないのなら、ご面倒なことなのだろうと拝察致しますが、記事を訂正して下さい。
改めて検討して頂けるとのことでしたので、お返事をお待ちしております。言論状況が圧迫され、表現の自由、ひいては思想と良心の自由までが息苦しくなっている日本の現状です。毎日ともあろうものが、ゆめゆめ権力の提灯持ちに陥らぬよう、衷心よりお願い申し上げます。
電話でお話した資料は以下の通りです。関記者のお名前は「一」ではなく、「元」でした。関記者の記事はかつて私たちのサイトで公開していたものですが、引用ではなく転載なので、著作権法に違反するかと思い、ウェブからは削除してあったものです。今回、曽田様にお見せする目的で再度公開ページに置きますが、このまま掲載を続けてもよろしいでしょうか?それとも、やはり、著作権を侵害する行為になるので、転載はお認め頂けないでしょうか?記事の訂正の件と併せてご回答を頂きたく、よろしくお願い申し上げます。
また、今回のような報道に対し、当該メディアに訂正を申し入れること、同時に、各メディアの対応を検証してネットで伝えることも、私たちの取り組みのひとつですので、このメールを含め、ご回答頂くメールや電話でのお話についても、公開させて頂くことを予めお伝え致します。よろしくお願い申し上げます。
◆関元記者の署名記事
◆踏み石論について
◆日本の公的大麻情報について
以上
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毎日に次のような記事が出ました。署名入り。曽田拓さん。
インターネットなどを通じて大麻の種を入手し、栽培する事件が増えている。昨年の栽培事件の摘発件数は184件で、10年前の4倍以上に上った。現行法では大麻の種の所持・売買は犯罪にはならず、ネット上には海外産の販売サイトがあふれている。国外からの持ち込みの取り締まりも難しく、税関などの「頭痛のタネ」になっている。
背景も海外も見ようとせず、当局に取材して聞いたまま、大麻の種が『税関などの「頭痛のタネ」になっている』などとして済ませています。こういうのをジャーナリズムと言うのでしょうか。
社会学部で取締当局に見学に行って、ゼミのみんなで担当者の話を聞いて書いた、大学生の宿題の作文といった感じです。
警察庁によると、大麻栽培事件の摘発は2年連続で増加しており、昨年は、39件だった10年前の4.7倍だった。使用などを含めた大麻取締法違反事件全体の摘発は、3282件と10年前の約1.8倍にとどまっており、栽培事件が突出している形だ。
「使用などを含めた大麻取締法違反事件」って、使用で摘発された人がいるのでしょうか。
この毎日の記事を読んで、カナビス・スタディハウスの「ドイツ、鉛混入カナビスのその後」という記事を連想しました。
ドイツでは、大麻に鉛が混ぜて売られ、健康被害を受けた人たちがいるそうです。イギリスではガラスが混ぜられていたというし。日本にもそのようなブツが出回っている可能性もあるのではないでしょうか。日本でこの種の健康被害が起きても、逮捕を恐れて病院に行かないケースが多いでしょうね。被害が拡大するばかり。(この件はほんのちょっとだけいいニュースが近いうちに書けるかもしれません) カナビス・スタディハウスには次の指摘があります。
こうした傾向については、最近、栽培場の摘発は厳しくなり、小規模な個人栽培が減少する一方で高度に組織化されたギャングによるカナビスの栽培と供給をコントロールが強まった結果、重量を増やして利益を確保しようとして異物混入が顕著になっているためだと指摘されている。
こうした異物混入問題の根本は、カナビスが禁止されていることが最大の原因になっている。違法であるために、いかなる規制も品質テストも受けておらず、ディーラーは利益を大きくするために何でもする。
こうした状況は、非犯罪化しても基本的には変わらない。結局は、カナビスを合法化して、規制・管理することで品質を保証する仕組みが必要になる。
他のドラッグに比較すれば、カナビスの場合は混入に対する対策が取りやすいともいえる。カナビスはもともとブレンドするという概念がないので、マリファナのように粉状になったものや、形の崩れたバッズを避ければ、それだけでかなり異物を排除できる。また、匂いや手触りを確認したり、バッズを指先で回したり振ったりして何か落ちてこないか確認することだけでも大いに役立つ。
それではここで問題です。
毎日の記事と、カナビス・スタディハウスの記事、どちらが背景まで伝えているでしょう。
(1)毎日新聞
(2)カナビス・スタディハウス
正解はこちらにお伝えしました。
毎日新聞 お問い合わせ
ドイツもイギリスも個人使用の少量の大麻は事実上の非犯罪化が為されています。日本では、パイプにこびり付いていたモノで逮捕された人もいます。彼我の差は大きい。
日本人を騙して金儲けするなら、鉛やガラスを混ぜた大麻ではなく、熱処理されて発芽しない中国産の大麻の種を「オランダもの」とか言って売りつけるのがリスクの低い詐欺手法かもしれませんね。
そんなことする人がいませんように。・・・もうとっくにいるかもなあ。
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