かゆみ
Source: NORML & NORML Foundation
Updated: Jan 17, 2008
Subj: Prurtitis
Author: Paul Armentano, Deputy Director
Web: http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7014
かゆみ (そう痒症) は、さまざまな皮膚病にともなう症状のほか、肝不全などの深刻な肝臓疾患の2次症状としてもあらわれる。他の皮膚感覚と違い、一般に、かゆみは中枢神経系の活動によって引き起こされ、通常の標準的治療法ではほとんど改善しない。
科学文献を検索してみると、かゆみの治療にカナビノイドを使った臨床研究は3件見つかる。アメリカ胃腸病ジャーナルの2002年8月号では、マイアミ大学医学部の研究チームが、3人の胆汁うっ滞性肝疾患患者に5mgのTHCを投与して治療に成功している[1]。
カナビノイド治療を行う以前には、標準的な治療法を試みたが改善はみられず働くこともできなかったが、カナビノイドを投与した晩から、3人ともかゆみが弱まって睡眠に「めざましい改善」がもたらされ、徐々に仕事に復帰できるようになった。また、3人のうち2人は、うつの症状も解消した。研究者たちは、「THCは、胆汁うっ滞性肝疾患の患者では効果的な代替治療法として利用できる」 と結論を書いている。
その翌年、炎症研究ジャーナルの2003年6月号でイギリスの研究チームは、実験的にかゆみを引き起こした12人に合成カナビノイド・アゴニスト HU211 を周辺投与したところ、著しい軽減効果が得られたと報告している[2]。彼らは、それ以前にも、HU210 を人間の皮膚に局所適応して、実験的に引き起こした痛みや急性の灼熱感の軽減に成功している[3]。
さらに最近の研究としては、ポーランド医科大学皮膚学部の研究チームが、エンドカナビノイドをベースにした局所適応クリームで、血液透析患者の尿毒性かゆみや異常な乾燥症が軽減したと報告している[4]。1日2回3週間のクリーム適応で、患者の38%が「完全にかゆみが消え」、その他の患者も「いちじるしく軽減」した。患者の81%が、カナビス治療で乾燥症が完全に無くなっている。
こうした有望な予備結果を得て、現在では、皮膚科の一部の専門家たちは、カナビノイドとカナビノイド・システムには 「かゆみに効果的に対処する新しい道が約束されている」 としている[5]。
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[1] Neff et al. 2002. Preliminary observation with dronabinol in patients with intractable pruritus secondary to cholestatic liver disease. American Journal of Gastroenterology 97: 2117-2119.
[2] Dvorak et al. 2003. Histamine induced responses are attenuated by a cannabinoid receptor agonist in human skin (PDF). Inflammation Research 25: 238-245.
[3] Dvorak et al. 2003. Cannabinoid agonists attenuate capsaicin-induced responses in human skin. Pain 102: 283-288.
[4] Szepietowski et al. 2005. Efficacy and tolerance of the cream containing structured physiological lipid endocannabinoids in the treatment of uremic pruritus: a preliminary study. Acta Dermatovenerologic Croatica (Croatia) 13: 97-103.
[5] Paus et al. 2006. Frontiers in pruritus research: scratching the brain for more effective itch therapy. Journal of Clinical Investigation 116: 1174-1185.