多彩な治療効果をもつカナビジオール

 
カナビジオール


Source: NORML Blog
Pub date: October 9th, 2008
Is There Anything CBD Can’t Do? Then Why Is It Illegal?
Author: Paul Armentano, NORML Deputy Director
http://blog.norml.org/2008/10/09/
is-there-anything-cbd-cant-do-then-why-is-it-illegal/


ブラジル・サンパウロ大学のカナビス研究者として著名なアントニオ・ザルディー博士は、2008年9月、過去5年間にカナビジオール (CBD)に対する興味が 「爆発的に増加」 していることを示す 科学レビュー を発表したが、その理由について次のように 書いている

「さまざまな疾患に対して、カナビジオールが広い範囲で治療効果を持っていることがいろいろな研究で示されてきた。そうした疾患には、パーキンソン病アルツハイマー病脳虚血糖尿病関節リウマチ炎症性疾患吐き気ガンなどが含まれている。」

レビューでは、カナビジオールの治療効果について詳細が述べられているが、その一部を抜粋すると…

  1. 抗てんかん作用
    トコフェロール 「1973年、エリザベスのグループは、CBDが実験動物で痙攣を抑制したと報告している。」

  2. 鎮静作用
    「不眠症の患者に高容量のCBDを投与したところ、プラセボに比較して睡眠時間が増加した。」

  3. 抗不安作用
    「CBDには明らかに抗不安効果があり、その効果は脳の抗不安活動パターンと同様の様相を持っている。」

  4. 抗精神病作用
    「臨床研究では、統合失調症患者の代替治療法として、CBDは安全で効果的で良好な耐性を持っていることが示されている。」

  5. 抗筋緊張作用
    「通常の治療に加えてCBDを投与したジストニア患者5人を対照にしたオープン研究で、CBDには人間の筋緊張異常症を抑制する効果があることが示されている。」

  6. 抗酸化作用
    「CBDには、他の抗酸化剤に比較して同様またはそれ以上にヒドロペルオキシド誘発性酸化障害を抑制する作用のあることが明らかにされている。また、CBDは、グルタミン酸神経毒に対してアスコルビン酸塩やα-トコフェロールよりも防護作用に優れており、このことはCBDが強力な抗酸化剤であることを示している。」

  7. 神経防護作用
    「ラットの褐色細胞腫P12細胞株にベーターAペプチドを暴露すると、細胞の生存率が目立って減少することが確認されているが、ベーターAペプチドを暴露する前に、細胞をCBDで処理すると生存率が著しく上昇した。」

  8. 抗炎症作用
    「CBDを腹腔内または経口投与したところ、関節炎の進行が抑えられた。」

  9. 心臓保護作用
    「CBDには大きな心臓保護効果がある。」

  10. 糖尿病への作用
    「非肥満性糖尿病(NOD)マウスが糖尿病を発病する前にCBD治療を施しておくと、発症率が治療しない場合の86%から30%に大きく減り… また、11〜14週の潜在または初期ステージ糖尿病にあるメスのNODマウスにCBDを投与したところ、病気の兆候が改善されることも示されている。」

  11. 制吐
    「強制的に引き起こした吐き気が、CBDとTHCで完全に収まった。しかし、急性の嘔吐が起こらないようにするアンタゴニストのオンダンセトロンではそこまでの効果は見られない。」

  12. 抗がん作用
    試験管内で8種類の腫瘍細胞株にいろいろなカナビノイドを投与した研究では、明らかにテストした5種類の天然のカナビノイド成分に効果が見られた。その中でもCBDが、最も強力にガン細胞の成長を抑制する効果を示した。」



この他にCBDの重要な特徴として 次のような性質 も知られている。

  • CBDには毒性や精神活性がない  THCとの決定的な違いは精神活性がないことで、THCの精神活性を緩和する働きがある。

  • CBDの気化温度は66℃  THCの気化温度が約200℃であることはよく知られているが、CBDの気化温度が66℃であることはあまり知られていない。つまり、エタノール(気化温度は78℃)でカナビスの成分を抽出すると、CBDが気化して失われる可能性がある。

    また、喫煙やバポライザーで摂取する場合は問題ないが、クッキーなどに加工する場合は加熱によりCBDが気化してしまう。このために、時間をかけて室温でアルコール抽出するなどの工夫が必要になる。

  • THCに変化する  CBDはほとんどどの植物からでも抽出される。全カナビノイドに占める割合はほぼ0%から95%まで変化するが、CBDはTHCとともに自然生成されるカナビノイドの2大成分となっている。

    CBDとTHCは化学構造が似ているために、酸性状態下では環化してお互い同士が相互変換する。このことで、体内で生化学的にバランスを取る働きもあると思われる。また、この性質を利用して、ドイツのTHCファームは、繊維用の合法ヘンプからCBDを抽出し、化学的に異性化してTHCにした合法溶液を製造している。

  • カナビノイド・レセプターとは結合しない  CBDは、カナビノイド・レセプターのCB1やCB2とは直接的には結合しないことが知られている。このために、その時々の状態に応じて、エンドカナビノイドやTHCが過剰な場合にはレセプターと結合するのをブロックしたり、逆に不足している場合には結合を促進したりする。この辺りの詳細な作用についてはまだあまり知られていない。

  • CBDはミトコンドリアの恒常性を保つ  ミトコンドリアはすべての細胞を生み出す強力な生成作用素で、細胞の機能を正常に保って損傷を防止するようにカルシウム・レベルを維持する作用があるが、CBDによってミトコンドリアの恒常性が保たれる。(Cannabis compound can help cells  PhysOrg.com, 2009.2.19)

  • 規制薬物の第1類  アメリカでは、今日でも連邦法でCBDは 「乱用の恐れが高く、医療使用は受け入れられない」 規制薬物の第1類に分類され、臨床研究を行うことすらほぼ不可能な状態になっている。

Cannabidiol: from an inactive cannabinoid to a drug with wide spectrum of action  Antonio Waldo Zuardi, Rev. Bras. Psiquiatr. vol.30 no.3 Sao Paulo Sept. 2008

THCとCBDでは脳機能への作用が全く異なる  (2009.1.20)

また、2008年3月26日には、BBCが 『Should I Smoke Dope?』 というタイトルの ドキュメンタリーを放送 しているが、THCのみと、THC+CBDをミックスした溶剤をレポーターに注射する実験が行われている。


http://jp.youtube.com/watch?v=VLejxGd6Pn0

後者の場合は気持ちよさそうな笑いを伴った体験をするものの、前者では恐ろしいパラノイヤに襲われ、レポーターは 「精神をずたずたにされて、もうこりごりだ」 と語っている。つまり、THC単独の投与ではカナビスの本当の効果は分からないことを示している。こうした点からすれば、THCとCBDの脳に対する作用が全く異なたとしてもそれほど意外なわけでもない。