オランダ与党CDA議員代表

コーヒーショップの全面閉鎖を主張

Source: DutchNews.nl
Pub date: November 10 2008
Pressure mounts on soft drugs strategy
http://www.dutchnews.nl/news/archives/
2008/11/pressure_mounts_on_soft_drugs.php


オランダの政権政党・キリスト教民主連盟(CDA、41議席)の議員代表であるピーター・ヴァン・へール議員は、9日のCDAの党会議で、コーヒーショップを全面閉鎖すべきだと呼びかけた。オランダはこれまで少量のカナビスの販売に関しては黙認政策を取ってきたが、今後、さらに圧力が増して政策が変わる可能性もある。

へール議員は、「現在の政策は犯罪を防止することに失敗しており、ソフトドラッグを販売しているコーヒーショップなどの施設はすべて閉鎖しなければならない」 と主張した。

これに対して、連立与党の第3党であるキリスト教連合(CU、6議席)は支持を表明したが、連立与党の第2党である労働党(PvdA、33議席)は強く反対している。

へール議員の呼びかけは、数週間前にローゼンタール市とベルヘン・オプ・ゾーム市が来年の春までにすべてのコーヒーショップ閉鎖する計画を発表したのを受けて行われた。オランダ南部国境に接する両市は、ベルギーやフランスから多くのドラッグ・ツーリストが訪れ、駐車違反や立小便、ドラッグ密売などの迷惑に悩んでいた。


黙認政策では他国の納得が得られない

エラスムス大学のヘンク・ブント犯罪学教授は、新聞のインタビューで論文を引用しながら、黙認政策では他国の納得が得られないとして、2年以内にすべてのコーヒーショップが閉鎖されることを望んでいると語っている。

現在のオランダの容認政策では、コーヒーショップで5グラムまでのカナビスを購入できるようにはなっているが、コーヒーショップがカナビスを栽培したり仕入れたりすることは禁止されている。

「この容認政策が策定されたのは1970年代のことで、当時は、少量販売を無視してしまえば外国にも受け入れられると考えたわけですが、とんでもない見当違いだったわけです。」


世論調査は閉鎖には反対

へール議員の呼びかけ後に1200人を対象に実施されたADニュースの世論調査では、実際にカナビスを吸っている人の割合は3人に1人だが、全体の3分の2の人がソフトドラッグの販売を認めた現在の政策をやめることには反対している。また、68%の人がカナビスの栽培を非犯罪化すべきだと回答している。

この記事とともに行われているウエブ投票

運用センスの問題、合法化すべき、うまく機能している、で80%になっている
この他、記事の読者コメントも全面閉鎖に反対する意見で占められている


今回の呼びかけを内閣の担当大臣ではなく議員代表であるへール議員が行ったのは、連立政権の協定で基本的なドラッグ政策の変更は行わないことが決められているからだと思われる。

へール議員(元環境相)は9月にも、オランダでの原子力発電所新設は避けられないと発言するなど論議を醸している。この問題も連立協定で新設しないことになっているが、結局は、次期政権へ向けての思惑が働いているように思われる。

現在のオランダ議会の議席数は、閉鎖に賛成するキリスト教民主連盟とキリスト教連合を合わせても47議席で、全議席(150議席)の過半数には遠く及ばない。閉鎖には強く反対しているのは労働党ばかりではなく、前回の選挙で最も議席を伸ばして25議席を持つ野党第1党の社会党(SP)も同様で、2年以内に閉鎖が行われる見込みは全くと言ってもよいほどない。(オランダの政党の種類

他の新聞に詳しく 掲載 されたエラスムス大学のヘンク・ブント犯罪学教授の話しによると、黙認政策では他国の納得が得られないばかりか犯罪を助長しているから閉鎖が必要だとしているが、なぜコーヒーショップを全面閉鎖すれば迷惑問題や犯罪、健康問題などが解決するのかについては全く説明されてない。これでは観念論にしかなっていない。

これに対して、2008年5月、現場を熟知するオランダ警察協会のハンス・ファン・デューイン前会長は、ドラッグ関連犯罪に対する闘いにはほとんど成果がない上に、警察リソースの重荷になっているとして、「オランダにおいては、カナビスの栽培を合法化し、同時に政府はハードドラッグを管理して配布できるような体制を整えるべきである」 と 指摘 している。

コーヒーショップをどのように扱うかについては基本的に自治体の決定に委ねられているが、コーヒーショップの全面閉鎖には明確に反対している市長も少なくない。

例えば、アムステルダムのコーハン市長 (PvdA)は、ドラッグ政策の本来の目的からしてもコーヒーショップは残すべきだと主張している。また、マーストリヒトのリーアス市長 (CDA)も、国会議員時代にはコーヒーショップに反対していたが、市長になってからその必要性を認識していろいろな対策を講じている。

また、オランダ第5の都市である アイントホーヘン(人口21万)のロブ・ファン・ジーセル市長 (PvdA)は、最近、現在の15軒では人口に対して少な過ぎるとして、管理しやすい小型のコーヒーショップを増やしたいと語っている。

その他、ティルブルグ市のフリーマン市長、ナイメーヘンのグラフ市長、テルヌーセンのロニク市長、ナールデンのレウンケル市長なども、政府に対して観念論ではない実務的なドラッグ政策を求める書簡を提出している。

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