マリノールは

カナビスのような喫煙の害もなく

安全で効果に優れている




神話

食品医薬品局(FDA)は1985年に、合成THCのマリノールを、安全で、癌の化学療法にともなう吐き気や嘔吐の治療やエイズ患者の体重減少の治療に医療的価値がある医薬品として認定している。しかも、経口投与するマリノールは、カナビスの喫煙に伴うような健康への害は引き起こさない。 アメリカ連邦麻薬局(DEA)の医療カナビス神話 2-7


事実

DEAのこの神話では、マリノールがカナビス 「喫煙」 のような健康への害は引き起こさずに効果があると述べているが、この言い回しで、マリノールにはメリットだけで何の問題もないと思い込ませようとしている。


●しかし、1999年に発表された全米科学アカデミー医学研究所(IOM)の 報告書 には、マリノールについて次のように書かれている。

「経口マリノールの場合、水に対する溶解性が悪く、しかも生体的活性効率も低いために肝臓での通過が早過ぎて、投与した量の10〜20%しか血液に取り込まれない。効果の発現も遅く、ピークに達するのにも摂取後2〜4時間もかかってしまう。これに対して、カナビスの吸引は迅速に吸収され、発現が早い。・・・マリノールは、生体的活性効率が圧倒的に低いにもかかわらず、患者個人の反応のバラツキが非常に大きい。」

また、「経口投与によるマリノールは、吸収が遅いためにすぐに効果が感じられず、さらなる投与を繰り返して過剰摂取になりやすいことがよく知られている」


●マリノールの製造元のユニメッド製薬が行った臨床試験のよれば、最も頻繁に現れるマリノールの副作用としては、全身では無力症、心臓血管関係では動悸、頻拍、血管拡張、顔面紅潮、消化器関係では腹痛、吐き気、嘔吐、神経関係では記憶喪失、不安、緊張、運動失調、混乱、離人症、目眩、多幸感、幻覚、パラノイド反応、眠気、思考異常などが認められ、これらの症状の発生率は3〜10%だとしている。

さらに、天然のカナビスのように精神作用を穏やかにする成分が含まれていないので、精神への影響が大きく長時間続くという問題もある。(マリノール 対 天然のカナビス)

これに対して、カナビスを喫煙で摂取した場合は発現が早く、慣れれば吸っている途中で簡単に中断することができるので上のような副作用は最小限に抑えることができる。また、カナビスの喫煙による呼吸器系の害といっても、カナビスでは肺癌や気腫を引き起こさない ことが研究で示されており、さらにバポライバーを利用すれば煙のよる害は全くといってよいほど避けることができる。


●この神話では、吐き気や嘔吐に苦しむ患者に対してマリノールがカナビス以上の効果を持っているという印象を与えようととしているが、実際には、いくつもの研究でカナビスのほうがマリノールよりも効果が高いことが示されている。

例えば、2007年6月に発表された コロンビア大学の研究 では、カナビス(THC3.9%)を喫煙した患者では平均して4日間で1.1kgの体重増加が見られたが、マリノールの経口投与の場合は、「現在推奨されている服用量の8倍」 を摂取した場合にやっと同じ程度の体重の増加が見られたと報告している。

また、痛みについても、2008年7月に発表された 神経因性疼痛モデル・ラットを使った動物実験 で、多種類のカナビノイドやテレピン、フラボノイドを含んだ天然のカナビスの抽出液(サティベックス)のほうが、単独の成分しか含まないマリノールなどの合成カナビノイよりも抗痛覚過敏効果に優れていることが示されている。


●さらに、この神話では、喫煙による治療の優位性については全く無視している。吐き気や嘔吐などをはじめ体重減少をともなう消化器系の疾患に苦しんでいる多くの患者にとっては、口から摂取する医薬品は、飲み込んだり消化器官に到達させるのに困難をともなう。しかも効果の発現に時間がかかる。

この点では、カナビスの煙による吸引は容易で、効果も迅速に発現する。カナビスに備わっているこの2つの特徴は、医療面では決定的に重要でユニークなものになっている。