ディンゲル議員 カナビスの習慣が特に若者の間で広まっていることはよく知られていることで、そのことは新聞にもよく書かれているのです。あなたは、ミシガン州のようにカナビスを規制する法律を持っているところもあると言いますが、それはそうでも、すべての州が持っているというわけでもない。前にも言ったように、どこでもカナビスの習慣が広がってきていて、毎年のように犠牲者の数が増えているのです。
ウッドワード氏 そのようなことを示す証拠はありませんが。
ディンゲル議員 私には、あなたの発言が私の州の医療専門家の上部の人たちの感想を反映しているなどとはとても思えない。ミシガン州では、特にウェイン郡、あるいは私の選挙区の医療専門家たちは、カナビス医薬品に1ドルの税金がかかるにもかかわらず、カナビスによる犠牲者を減らす法律ならば、どんなものでも喜んで受け入れようとしていることは間違いないのです。
ウッドワード氏 法律が問題を完全に抑え込むことができるのならば、多分それも正しいと思いますが、法律が単に幾ばくかの費用を課すという条項を含んでいるからと言って、必ずしも結果を伴うわけでもなく……
ディンゲル議員 (話をさえぎって)それは、単にあなたの意見に過ぎない。ハリソン麻酔薬法についてあなたが言っていたことと同じことだ。
ウッドワード氏 もし、法律の草稿時に、われわれのところに協力を要請してくれていれば……
ディンゲル議員 (話をさえぎって)今あなたはこの法律にぜんぜん協力的ではないではないか。
ウッドワード氏 実際問題として、この法律はオピアムやコカインの使用を抑制するのに役立ちません。
ディンゲル議員 自らを医療関係者と任ずるのならば、国の大切な活力を食い荒らそうとしているこの災いを抑えることに最大限の協力をするのが道理というものではないのか。
ウッドワード氏 そうしていますが。
ディンゲル議員 あなたは、単に、この法律の草稿の作成に協力を求められなかったことを嫉んでいるだけなのではないのか?
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レスター・グリンスプーン博士(1928年生)は、ハーバード大学医学部精神医学部の名誉教授で、1967年以来カナビスの研究を続けている。カナビスの2大記念碑といわれる著作、『マリファナ再考』(1971)と『マリファナ、禁断の薬』(1993、共著)の著者としても知られている。また、現在では、ユーザーの体験談を収集した、『医療マリファナ』 と 『マリファナ・ユーズ』 という2つのウエブサイトを運営している。
グリンスプーン博士は、世界で最も尊敬をあつめているカナビス擁護者で、現在でも、カナビス改革運動に活発に加わり、深い思いやりとともに真実に鋭く迫った記事も多数発表して、多大な貢献を続けている。
この文書は、『マリファナ、禁断の薬』 (Marihuana, the Forbidden Medicine, By Lester Grinspoon and James B. Bakalar. Copyright c 1993 Yale University) の第1章をベースにして作成されたもので、詳細な部分では削除されているところもあるが、最近の医療カナビスをめぐる情勢の変化などについては書き加えられている。参考文献一覧は 『マリファナ、禁断の薬』 から転載。