医療カナビスで乳がんを克服した

メリッサ・エスリッジ インタビュー

Source: Pot Culture, Abrams Image, New York
Pub date: 2008
Subj: Melissa Etheridge Interview, Medical Marijuana
Author: Shiriey Halperin & Steve Bloom
https://secure.norml.org/catalog/BOK007.html


3000万枚のアルバムを売り上げ、ブルース・スプリングスティーンと共演したことでも知られ、2度のグラミー賞とドキュメンタリー映画 「不都合な真実」 でアカデミー賞歌曲賞にも輝いたメリッサ・エスリッジは、2004年に乳癌の診断を受けた。ロック・スターとしての彼女の将来に暗雲が立ちこめた。

体にできた最初の腫瘍を取り除き、次に癌性の部分を丹念に取り除くために何週間にもわたる困難な治療が続けられた。彼女が根気よく化学治療に耐えられた理由の一つには医療カナビスがあった。

現在では癌から開放されたメリッサは、どのように医療カナビスの助けを借りて、ステージにカンバックできるようになったのかをポット・カルチャーに語ってくれた。


化学療法では体がどのようになりましたか?

最初に診断を受けたときには、化学療法が癌を殺す薬で、髪の毛が抜けるぐらいしか思っていませんでした。ですが、医療コミュニティから多くを学ぶようになると、化学療法が本当はどんなものが分かってくるのです。

毒を体に入れることなのです。その毒が人を殺す前に、癌を殺すことを期待してそうしているのです。毒は全身に運ばれて死んだような状態になります。極めて容赦ない強い痛みと不快感が襲ってきます。

それを克服するために、ステロイドや強い鎮痛剤、胃の酸を中和するための制酸剤などが与えられますが、それらはどれも数多くの副作用も持っているのです。

そこで思ったのです。2時間ごとという煩雑さはあるものの、副作用がないカナビスを吸ったり、食べたり、あるいはバポライズするのに比べて、これらの薬をすべて服用する理由があるのだろうかと。


カナビスが別の選択肢になり得るということはどこで知ったのですか?

公式の所からはけっして知らされないことでも分かってくることはいろいろとありますが、今回は、化学治療が始まると親しい友だちがいろいろと教えてくれたのです。化学療法をやり遂げることができた唯一の方法がカナビスだったと語っている人が何人もいると言うのです。

乳癌の診断を受けた時は、以前のように決して取り乱したりするようなことはありませんでした。常にナチュラルでロックンロールな女になっていたからです。ですから、特にドラッグを別扱いすることもありませんでした。もっとも、これまでにドラッグを本格的に使ったことは決してありません。

ですが、化学療法という現実を目の前にして、多くの人から今こそカナビスをやるべき時だと聞かされたのです。


医療カナビスはどのように役に立ちましたか?

吐き気がすぐにおさまりました。それが最も役に立ったことで、吐き気は全くしなくなりました。食欲が戻りますので、体重と体力を維持することができました。必要な場所にいくことができましたし、全く動けなくなるということもありませんでした。

でも、痛みは2時間で戻ってくるので、2、3時間ごとにカナビスを吸わなければなりませんでした。痛みがある程度以上になるまでは絶対に吸わないようにもしていましたが、本当に調子が悪くなると、体のバランスまで失ってしまうのです。そんな時にカナビスを吸うと 「ノーマル」 になれるのです。

ハイになるのとは違います。健康な時にカナビスを吸えばいつもの意識とは違ったハイな気分になりますが、身体が病んでいるときには体の中をピースにしてくれるのです。


医療カナビスを入手するのに苦労しましたか?

いいえ。カリフォルニアに住んでいますので医療カナビス・クラブの人が届けてくれましたから。好みはチャーチと呼ばれる銘柄でしたが、なかなか手に入りませんでした。私にはインディーカ系列の品種がよく効くことも分かりました。バブル・クシとかスノキャップなども良かった…


どのような方法でカナビスを摂取していましたか?

もともとスモーカーではありませんから2時間ごとに吸うのは苦手ですし、咳き込んで吐き気がする時には無理です。そのうち、チャンバーが3連になった水パイプなどのほうが楽なことに気づきましたが、ROORのボングが最も良いことも発見しました。

また、ボルケーノというバポライザーがあるのを教えてもらいました。カナビスをたくさん燃やして吸うと、脳に届いた煙はしばしばめまいを伴ったハイをもたらしますが、バポライザーでTHCを吸引するとそのすべての効果が現れて、霧がかかったようなハイではなくよりクリアなハイが得られます。

食べたりもしました。カナビスの治療成分であるTHCやCBDは油性ですから、バターのようなものと一緒にする必要があります。チョコレートやクッキーにするのはそれが理由です。時には、バポライザーでも調子が悪くなることもありますので、カナビス・バターをポテトなどに塗ったりして食べました。

確かに、カナビス調理品を食べるのは味がいまいちですが、薬としては食べたほうが長い時間効いてくれます。


合法的にカナビスを治療に使えないことについてはどう思いますか?

とても悲しくなります。多くの人が恩恵を得ているわけですし、法律を破りたくないので、合法なら使うという人もいるのです。

医療カナビスを使っている人たちはみんな良い市民ですし、恐れるような人たちでもありません。そうした人たちが、カナビスを手に入れることに四苦八苦して本来よりもダメージを受けたり、使い過ぎて中毒したりするのを見るのはとても悲しいです。


カナビスとその位置付けについてすべての人が知らねばならないことは?

カナビスは、地球が私たちに与えてくれたハーブです。永久になくなることはありません。しかし、ホモセクシャリティやセックスのような面もあります。歴史の教科書からは意図的に消されることもあります。

ですから、何千年にもわたって大きなカナビス文化が生まれ、カナビスの知識が育まれてきたという事実が忘れられないようにしなければなりません。

カナビスは、世の中の透明性と平和にとって素晴らしい道具として使われてきたのです。敵対する人間が二人いれば、カナビスを吸わせてから喧嘩させればいいのです。馬鹿らしくて喧嘩するのを止めてしまいます。

カナビスにはスピリチュアルな面もあります。地球も生き物であり、人間もそれに合わせて生きていかなければならないのです。これからの時代の新しい考え方を理解しなければなりません。そしてそこから何を利用できるのかを知るようにしなければなりません。

現代の人間は化学薬品を体に無理やり押し込み続けていますが、それをやめて、カナビスのような天然のハーブを使うようにしなければならないのです。目をしっかり開けて、すべてのことに対して自分自身で真実を感じ続けるのです。

カナビスが役に立つことは誰でも知っているのです。しかし、それを話すことを恐れているのです。尋ねもしないし、教えもしないのです。アメリカの文化は、「OK、やってもいいから、見えないところでやってくれ」 と言っているように思えます。私たちは、真実を直視して語ることを恐れているのです。


いまでもカナビスをやっていますか?

ええ、ときどきですが。


メリッサ・エスリッジ公式サイト
ピンク・ブレスレット・ファンド


Melissa Etheridge & Joss Stone - Janis Joplin Tribute (YouTube)

このビデオ(後半)では、化学療法で髪を失ったメリッサのステージが見られる。曲は、ジャニス・ショプリンのピース・ オブ・マイ・ハート(Piece of My Heart)。癌の痛みと不安と戦いながら、自分を励まし強く生きようとする彼女の姿が歌詞とシンクロしている。メリッサ・エスリッジの圧倒的最高の必見パフォーマンス。(2005年2月、第47回グラミー賞ジャニス・ショプリン・トリビュート)

現在のメリッサ・エスリッジは同性愛者としても知られている。2007年に、アル・ゴア前米副統領のドキュメンタリー映画「不都合な真実」でアカデミー賞歌曲賞を受賞した記者会見でオスカー像を手にしながら、「私の寝室に入れる唯一の裸の男性」 と語ったというエピソードが伝えられている。

このインタビューの後半で彼女が語っていることは、医療カナビスについてだけではなく、地球温暖化の問題や同姓愛の問題も含んでいる。

「不都合な真実」 の挿入歌 『I Need to Wake Up』 (目覚めよう 今) では、「行動しなければ、目覚め、変わり、奮い立ち、声を上げよう、心の覆いを突き破らなければ、私は眠っていた、目覚めなければ、たった今」 (湯川れい子訳) と歌っている。

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