カナビスはアンチ・ドラッグ
カナビス・ドクターたちの証言
Source: CounterPunch.org
Pub date: November 11, 2006
Subj: Marijuana, the Anti-Drug
Author: Fred Gardner
http://www.hempevolution.org/media/counterpunch/c061111.htm
最近実施したカリフォルニアのカナビス専門医師たち対する調査では、医療カナビス利用者の間で、処方医薬品や売薬の使用を止めたり減らしたりする人が広がっているという指摘が何人もの医師から繰り返し出てきた。こうした処方医薬品・売薬離れは、科学的な側面から見て、明らかにある種の問題を提起するものになっている。
カナビスによる治療が、鎮静系薬剤とともに興奮系薬剤の使用を減らすことにつながるという事実は、カナビスの薬草成分が体内にある各器官のホメオスタシス(恒常性)を修復する働きを持っていることを示唆している。これは実験室の研究からも確かめられており、カナビノイドが多くの神経伝達システムのリズムの乱れを正常化することが示されている。
また、当然のことながら、処方医薬品・売薬離れは同時に政治的な意味合いも持っている。カナビスを薬草として合法化すれば、製薬会社やそれを取り囲む化学薬品、石油、食品、金融などの業界は大きな打撃を受ける。簡単に言うと、アメリカでカナビスが合法化されれば、合成医薬品メーカーは売上げの半分を奪われる立場に置かれている。
カリフォルニアで、医師の承認による患者の医療カナビス利用を合法化した215条例が成立してからの10年が経過するが、この間、下の一つの例外的なグループを除いて、カナビスを処方する医師たちは患者に対する統一した質問書を用意してこなかった。このために、患者が処方医薬品を止めることを選択したかどうかについて全体的なデータを収集することはできない。しかしながら、処方医薬品・売薬離れを指摘する医師たちの一貫性は、どのように巧みに用意されたハードなデータにも増して説得力を備えている。
この夏、私は、医療カナビスの使用を承認した14万人の患者を追跡してモニターしている19人の医師グループで聞き取り調査をした。以下では、処方医薬品を減らした患者に対する質問書をベースに、各医師に内容を総括してもらった。
●医師たちの証言
*フランク・ルシード医師:
「慢性痛の患者さんたちからは、オピオイド、NSAID(非ステロイド性抗炎症薬) 、筋弛緩剤、睡眠薬、などの使用が減ったという報告をうけています。精神疾患や不眠症の患者さんでは、トランキライザー、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)抗うつ薬、睡眠薬の使用が減り、神経疾患の患者さんでは、オピオイド、筋弛緩剤、NSAID、偏頭痛薬のトリプタンなどの頭痛薬の使用が減っています。」
*モーリー・フライ医師:
「患者さんが中断したり量を減らしたりした医薬品としては、オキシコンチン、ノーコ、パーコセット、バイコディン、フレックスリール、ソーマ、バリウム、SSRI、血圧調整剤のノルバシック、チアジド系利尿薬などがあります。また、私の患者さん全体の約1%に見られるてんかん性発作に関してですが、ジランチンを中断したり量を減らしても、完全に発作が出なくなっています。緑内障患者さんの多くは、カナビスの利用することでチモプティック点眼薬を使わずに眼圧を正常に保っています。従来の処方医薬品が効かずに希望を失っていた慢性疾患の患者さんの多くが、健康状態が改善され、痛みやうつなどが減り、安らぎを得たと報告しています。」
*ヘレン・ナンバーグ医師:
ナンバーグ医師はカリフォルニア全域で5万3000人の患者に医療カナビスの推薦証を発行しているメディカナ・チェーンの医療ディレクターを努めているが、9クリニックの1800人の診察記録を調査した彼女の報告書には、「処方医薬品からの変更が極めて顕著で、1800人のうち51%が処方医薬品の代替としてカナビスを使っている。そのうち、48%が処方薬の副作用の防止が目的で、67%が処方薬の量を減らすために使っている。慢性痛みの治療では、以前はかかりつけの医者からヒドロコドンのようなオピオイドを処方されていた人の49%が代替としてカナビスを利用するようになっている」 と書かれている。
*フィリップ・デニー医師:
「カナビスを使うことで、多くの処方医薬品、とくに麻酔系医薬品の使用削減や中止した患者さんが際立っています。そうした患者さんは、たいていが50%かそれ以上使用量が減ったと言っています。」
*トム・オコーネル医師:
「バイコディンなどのオピオイド、リチウム、クロノピン、各種睡眠誘導薬、さらにプロザックやザナックスなど精神剤などです。患者さんには処方医薬品を止めるようには言いませんが、処方してくれた医師に相談することをすすめています。でも、私の感じからすると、ほとんどの患者さんは話していないようです。」
*ロバート・サリバン医師:
「オピオイド、筋弛緩剤、抗うつ剤、睡眠誘導剤、抗不安剤、ガバペンチン(neurontin)、抗炎症剤、偏頭痛剤、腸の調整剤、喘息や関節炎に使うプレドニゾン。」
*ウイリアム・イードルマン医師:
「オピオイド、睡眠薬、抗不安剤、SSRI抗うつ剤。」
*ハンヤ・バース医師:
「私の患者さんの90%は、いずれかの時点で従来の医薬品を試していますが、深刻な副作用にみまわれた経験を持っています。多くの患者さんが、カナビスを使えば、他の医薬品は必要なくなるか、通常よりも量を減らしても大丈夫だと言っています。初めて推薦証を求めてやってくる患者さんで、そのときに使っている医薬品のすべてが入った袋を持って来ることも珍しくありません。1年して推薦証の更新で戻ってくると、他の薬は全部やめた、あるいは多くを減らしたと言っています。」
「症状の緩和にアルコールを使っている患者さんや、あるいはアルコールや覚醒剤やヘロインなどの中毒になっている患者さんの大半が、カナビスを使うことでそうしたドラッグをやめることができるようになったというのも本当の話です。多くの患者さんが、痛みや不安といった症状を克服するために使っていたのですが、やがて中毒になってしまったと言っています。こうしたケースは、とくにホームレスや精神病の人に多くみられます。また、タバコの喫煙者でも、しばしば、カナビスがニコチンの代替になった人もいます。」
「何んと言っても私が驚くのは、カナビスには副作用が伴わず効果が高いことです。痛みを止めるだけではなく、気持ちが痛みに支配されないようになりますし、さらに、痛みの周囲の緊張した筋肉の症状が副次的なものに軽減してたりもします。」
「痛みや不安を抱えている人は、しばしば眠れなくなりますが、患者さんたちは、カナビスを使うと、よく眼むれるようになってすっきりと目覚めて、うつ状態に悩まされることも余りなく、1日を活動的に開始できると言っています。睡眠薬を利用する多くの場合は、特定の時間、例えば早朝の4時に飲むだけになっています。でも、その時間にカナビスを一服すれば、また眠りに戻って満足した朝がむかえられる人もいます。」
*ドクターA:
「麻酔系医薬品。そのなかには、フェンタニールのように強力な麻酔剤も含まれます。」
*ウイリアム・コートニー医師:
「私の患者さんでADHDの治療にカナビスを使っている人の割合は僅かですが、カナビスの利点に気がついた患者さんは、リタリンなどを続けることなくコントロールできると喜んでいます。」
*トッド・ミクリヤ医師:
「オピオイド、鎮静剤、非ステロイド系抗炎症剤、SSRI抗うつ剤の場合は、すべて深刻な副作用がありますが、どれも量を少なくなくしたり使用を中断できます。」
*ジェフリー・ヘルゲンレーター医師
「カナビスに関心のある専門医ならば、すぐにふたつの際立った事実に気が付くようになります。ひとつは、カナビスで治療がうまく行く患者さんの症状の範囲の広さです。そしてもうひとつが、カナビスを使って症状が改善した患者さんは、他の医薬品ではそれを達成できなかったと言うことです。」
「深刻な病状の患者さんから毎日のように聞く証言は、感動的で輝いています。ガンやエイズの患者さんの多くが、カナビスによって薬も減らせて、食欲が回復し、精神も緩んで、命が救われたと話しています。」
「カナビスのように、深刻な副作用なしに痛みを軽減したり消失できるような薬は他にありません。明らかに、カナビスは、脳の短期記憶や痛みの中枢に作用して、患者さんの痛みが常駐しないように働きます。また、カナビスには、筋肉の緊張を緩め、炎症を抑える働きもあります。」
「リウマチの関節炎を患う患者さんは、カナビスを常用することによって、最悪の炎症激発の頻度がほとんどなくなるほど状態が安定します。関節炎以外のリウマチの場合も同じように症状が改善します。」
「けいれんの治療では、早さと効力でカナビスよりも優れているものはありません。しかも目立った副作用も見られません。また、偏頭痛に苦しむ患者さんは、従来の薬の量を減らしたり中断しても、カナビスで頻度も程度も低減しています。」
「気分障害の患者さんの約半数は、カナビスのみで適切に治療できます。他の薬では、減らそうとすれば別の薬が必要になってしまいます。私の意見とすれば、不安障害、脳のトラウマや脳震盪後症状、ADD、ADHD、強迫神経障害、心的外傷後ストレス症候群(PTSD)で、カナビスよりも優れている薬はありません。」
「クローン病や潰瘍性大腸炎の患者さんでは、通常、ステロイドや強力な免疫調整剤をほとんど使わなくても、カナビスで気持ちが改善し体重が増えます。また、アルコールやヘロイン、覚醒剤などの中毒性ドラッグの依存症になっていた人たちも、カナビスを代替に使うことで生活と人生を変えています。」
「私のところでは僅かな例しかありませんが、透析を受けている末期肝臓病患者さんや、肝臓移植を受けた患者さんでは、精神の負担が軽減し、気分が改善しています。移植片対宿主不一致などの目立った症状も出ていません。また、研究や説明は十分ではありませんが、糖尿病では血糖値が僅かに下がり、コントロールも容易になったと報告を受けています。」
「睡眠のパターンは際立って改善しています。目覚めの悪さや強い副作用などなく、長く深い眠りを得ています。」
「多発性硬化症患者さんの多くは、カナビスを常用するようになってから何年も症状が悪化しない状態が続いていると報告しています。多発性硬化症やその他の神経変性疾患で共通している効果とすれば、痛みや筋肉のけいれんの軽減、食欲の改善、気分の改善、失禁の減少などが見られます。」
「てんかんの患者さんの多くでは、カナビスを使うと、他の抗けいれん剤との併用または不使用でも十分な治療効果があります。また、乾癬やルーパス、皮膚炎、ヘルペス、アトピーなどの全身性疾患に関連した皮膚病では、カナビスを常用することによって、全員とも、かゆみが軽減し小さくなっています。」
「喘息や睡眠時無呼吸、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性副鼻腔炎などの気道系疾患では、気道の刺激を抑えるために、喫煙ではなくバポライザーでカナビスを蒸気にして吸うことを強く奨励しています。」
「こうしたすべての臨床報告は、合成THCを併用するとオピオイドの量を半減できるという研究室の動物実験と結果と完全に符合します。幾多の科学研究で確立された法則では、げっ歯類の動物実験の結果は人間の証言より信頼性があると考えられています。」
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著者のフレッド・ガードナー は、 カリフォリニア・カナビス・リサーチ・グループが発行するオシャンネッシー・ジャーナルの編集長をつとめている。
カリフォリニア・カナビス・リサーチ・グループ
オシャンネッシー・ジャーナル