コーヒーショップの裏側



コーヒショップ・カレッジは医療カナビス運動から生まれた。

イギリスの医療カナビスの運動家として知られるコリン・デビスは建設現場での転落が原因で脊髄に損傷を受け、激痛を抑えるために大量のモルヒネ注射に頼らなければならなくなった。モルヒネで痛みはおさまるものの精神的な苦痛は増すばかりだった。

ある医者からカナビスを薦められて試してみると心身ともに改善された。しかしイギリスではカナビスは禁止されており、多量の入手が困難なので自分で栽培を始め、同じような境遇の仲間のために医療カナビスの合法化運動にも係わるようになった。

同じ頃、カナビスが認められている隣国のオランダでは、ワーナード・ブリューニングやハーレムのウイリー・ウォーテルのノル・ファン・シャイクが医療カナビス患者のためにメディウイードの販売を初めていた。コリンは雑誌社の紹介でノルと知り合いになり、ハーレムにあるウイリー・ウォーテルを訪れダッチ方式のコーヒーショップとメディウイード・システムの先見性に強く感動した。

ちょうどそのころ、2001年の夏にイギリス当局はカナビスの緩和の方針を表明したこともあって、コリンはイギリスで最初のコーヒーショップをストックポートに開くことを決心し、ノルに協力を求めた。オランダの経験を手本に、コリンは店の名前を「ダッチ・エクスペリエンス」と名付け、2001年9月15日に開店することになった。

しかしそれを知ったストックポート警察は開店当日にコリンを逮捕し閉店を命じた。抗議のために仲間が全国から集まり警察へのデモが繰り返された。そんな中でイギリスの運動家たちはノルにコーヒーショップの裏側で行われている運営の実際を指導してほしいと要請するようになった。それを受けてノルはオランダの経験をすべて伝えるためにコーヒーショップ・カレッジを開催することにした。

コーヒーショップ・カレッジは、メディウイードの創始者でもあるオランダのポット・ファーザー、ワーナード・ブリューニングの協力を得て2002年3月に開校された。5日間の講習には医療カナビス患者のクリス・ボールドウインやレズリー・ギブソンも参加した。

この2人とカナチョコレートの配布運動に取組み先年亡くなったビズ・アイボルにコリンを加えた4人はイギリスでは医療カナビス運動の英雄とされている。

講習生には当時拘留中だったコリンの姿はないが、クリスと レズリー、そしてレズリーの夫で現在 THC4MS (多発性硬化症患者用医療カナビス・チョコレート配布運動) の先頭に立って活躍しているマーク・ギブソンの顔も見える。

コリン・デビスの物語やコーヒーショップ・カレッジ開校のいきさつについてはノル・ファン・シャイクの著書 「 The Dutch Experience」 に詳しい。