カナビスとアルコールは比較できない
神話
カナビスとアルコールは全く性格の異なる別のものなので直接比較することはできない。両者の害と比較しても、カナビスの害が減るわけでもなく、カナビスを容認する根拠にはならない。
事実
カナビスとアルコールを直接比較することはできないという主張は、アルコールと比較されると主張の脆弱さが浮き彫りになることを恐れるカナビス反対派の詭弁に過ぎない。
確かに、両者は違うものであり比較できない部分もあるかもしれないが、例えば、直接原因による年間の死亡者数、通常の使用量に対する致死量、酔いによる社会的な迷惑度、自動車死亡事故のリスク、暴力犯罪率、健康被害による医療コストなどを比較することはできる。実際に、さまざまは要素を点数化して統計的に比較することは、社会政策を決める上での必要不可欠な手法となっている。
例えば、2006年7月にイギリス下院科学技術委員会がドラッグ分類を改めるように提案した 報告書 の中心的土台となった 研究 では、ドラッグの害に関して身体的な害、依存性の害、社会的な害の3つのカテゴリーに分けて、それぞれについて3つのパラメータを使った評価法を開発し、実際的な証拠に基づいてアルコールやタバコも含めて20種類のドラッグの害を 多面的に評価 して各ドラッグのリスクをランク付けしている。
このランク表では、カナビスのリスクはアルコールやタバコよりも下になっている。筆者らは、ドラッグをABCの3段階で区分すれのであれば、アルコールはAランク、タバコがBランク、カナビスがCランクになるとしている。
また、カナビスの害がアルコールやタバコよりも少ないことを示したこの他の表とすれば、次のようなものもよく知られている。
薬物が直接または主要な原因で死亡した年間のアメリカ人の数
タバコ |
340,000 〜 450,000 |
アルコール (交通事故死の50%、殺人の65%がアルコール関連だが、その数は含んでいない) |
150,000+ |
アスピリン (自殺も含む) |
180 〜 1,000+ |
カフェイン (ストレスや胃潰瘍、不整脈のトリガなど) |
1,000 〜 10,000 |
合法医薬品の過剰摂取 (自殺、事故) 合法処方医薬品、特許医薬品、バリウム/アルコールなどアルコールとの併用 |
14,000 〜 27,000 |
違法ドラッグの過剰摂取 (自殺、事故) 全違法ドラッグ合計 |
3,800 〜 5,200 |
カナビス |
0 |
社会政策の決定にあたっては、全体のバランスが最も重要で、カナビスに害があるにしても刑罰のよる取締りをしなければならないほどのものなのか、刑罰にかかるコストに見合う効果があるのかどうか、などを検証しなければならない。
実際は、害削減という観点から、最も社会全体や個人に害が少なくなるような決定をすべきで、現在のカナビスの場合は、カナビスそのものからくる害よりも、カナビス禁止法がもたらしている害のほうが大きい。
アルコールの場合も、アメリカでは禁酒法で取り締まった時代があるが、禁酒法のほうが大きな社会的害をもたらすことがわかって廃止された。
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