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6.2 免疫防御

肺の中の感染に対する防御の重要な細胞である肺胞マクロファージは、動物とヒトの研究の両方において大麻喫煙によって損なわれることが示された。動物実験が大麻の煙の曝露の後でのマクロファージ数の変化を示さなかったのに対し、その次のヒトにおける、非喫煙者と大麻、タバコ喫煙者とを比較する調査では、常習的な大麻喫煙者の大食細胞の数の増加が示唆された(Wallace et al., 1994; Barbers et al., 1987; Barbers et al., 1991)。これは、おそらく、大麻の煙によって誘発される何らかの肺傷害に対する免疫学的な反応を反映するのであろう。影響は、タバコの消費から独立して存在する(Wallace et al., 1994)。

これらのヒトの研究において収集されたマクロファージは、おそらく細胞機能での障害を反映する、形態の変化を有する。細胞質内封入体内の形の大麻の煙からの残留する分子が、細胞代謝回転のプロセスの一部として次の世代のマクロファージの間で循環することがわかっている(Davis et al., 1979)。そして一方、大麻喫煙が食菌作用あるいは呼吸性バーストを変えなかったという提議がヒトの研究にあり、それはおそらく、摂取された有機体の破壊を損なった(Lopez-Cepero et al., 1986) 。マクロファージ損傷のメカニズムは、完全には解明されておらず、更なる調査を必要とする。これらの研究は、習慣的な大麻の消費が生物体への侵入に対する呼吸器の免疫反応を下げることを示唆する。さらに、大麻汚染の結果としての重大な浸潤性真菌感染が、エイズに冒された一連の患者を含む、免疫力が低下している個体の間で報告された(Denning et al., 1991)。

これらの調査結果は、長期間にわたる持続的な大麻の消費が気道損傷、肺炎症と感染に対する肺の防御力の損傷を引き起こすことがあり得ることを示唆する。性別、年齢、人種、教育とアルコールの消費のために調整された疫学的研究は、毎日の大麻喫煙者には非喫煙者と比較してわずかに高い呼吸器疾患の危険性があることを示唆する。

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