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5.5 大麻使用による精神障害

推定的に大麻使用と結びつけられている、主な精神医学的な症候群と行動に関する障害は:無動機症候群、依存症候群、大麻に誘発された精神病、統合失調症の惹起と悪化である(Basu et al., 1994)。

5.5.1 無動機症候群と大麻精神病

無動機症候群と大麻に誘発された精神病に関する証拠の状態は、1981年のWHOの報告から実質的に変わっていない。両方の場合において、仮定された障害の存在は、依然として制御されていない臨床所見に依存する。重度の大麻使用が自発性を損なうことができるという合理的な自己申告性の証拠はあるが、無動機症候群は明確に定義されておらず、その中心的な特徴は慢性的な重度の大麻使用者における慢性の中毒症の影響と明確に区別されなかった。

推定上の'大麻精神病'の存在も、大部分は重度の大麻使用の後に、急性の器質性で機能性の精神病性障害になっている、大麻を節制している日には障害が緩解している個人の臨床所見に依存する。また、尿にカンナビノイドを持っている人と持たない人で精神病性障害の臨床症状と経過を比較している症例対照研究は限られた数しかない。さらにより最近の研究で、短時間の自己制御の経過を伴う急性の器質性精神病性障害の発生が若干の合意を見た(Chaudry et al., 1991; Thomas, 1993)。しかし、'大麻精神病'の現象学は明確に定義されておらず、推定上の障害は、大麻ユーザーの間で起こる統合失調症と他の精神病性の問題から識別され無かったことは真実のままである(Andreasson et al., 1989; Mathers & Ghodse, 1992)。そのような障害の立証は、より多くの研究証拠を必要とする。

5.5.2 大麻依存症候群

臨床的、疫学的研究は、大麻依存症候群の状態を明らかにした。依存の診断基準における耐性と禁断症状に以前与えられていた重要性の減らされた重点は、大麻依存症候群の存在に関する懐疑的な態度の主な理由を取り除いた。標準化された診断基準を用いた臨床的、疫学的研究は、特に長期の重度の使用者における下げられた自尊心と抑うつ状態のような他の関連した問題、大麻使用による職業的な遂行能力を損なう認知性、自発性のハンディキャップ、物質の使用の制御の損傷あるいは損失によって特徴づけられる大麻依存症候群の正当な証拠を示した(Anthony & Helzer, 1991)。他の精神活性物質と同様に、依存を進展させる危険性は、毎日の大麻使用の経歴で最も高い。毎日大麻を使用する人々の半分が依存するようになると見積もられる(Anthony & Helzer, 1991)。大麻依存症治療プログラムは広範囲にわたらず、そして、治療の結果はしばしば、物質の使用者が卓越した経済的な安全の感覚、より低いプログラムから抜ける傾向を有していること頼りとし、これらのプログラムに留まることは大麻喫煙をやめることの最も大きな成功率を有している(Stephens et al., 1993; Roffman et al., 1993)。普及人口の概算と少数の治療を求める大麻使用者との間の大きな相違は、治療が無い場合における高い率の赦免と、治療を求め、使用を止める自発性の不足を考慮から外すことはできないことを示唆する。

耐性と禁断症状が物質依存の診断基準といまだに広く考えられているので、大量の耐性の実験的な証拠が大麻の作用の多くにある点に注意する価値がある。これまでのところ、退薬症候群の生成について一般的な合意がない。しかし、最近の研究が、ラットへのカンナビノイドの長期的な投与は他の乱用薬物で観察される仕方に類似した方法で中枢神経系を変え、また、大麻退薬症候群に相当する神経適応的な過程を誘導することを示した(de Fonseca et al., 1997)。一方、退薬徴候が慢性的にカンナビノイドと一つの新しい受容体アンタゴニストとを処置された動物で記述されている(Aceto et al., 1995; Tsou et al., 1995)。

5.5.3 大麻使用と統合失調症

疫学的研究は、大麻使用と統合失調症との間の関係のはっきりした証拠を症例対照、断面、前向き研究から示した。Andreasson他(1987)の前向き研究は、18歳からの大麻使用の頻度とそれ以降の15年にわたって統合失調症と診断される危険性との間の用量反応相関を示した。関連は不確かではないが、その重要性は、それが大麻使用による統合失調症の促進を反映するのか、大麻や他の薬物の増加した使用が統合失調症の結果によるのか不明であるために論争中である(Williams et al., 1996)。より最近の研究において(Allebeck et al., 1993)、ストックホルム郡の大麻依存症と精神病の診断をもつ229人から、112人は統合失調症のDSM III-R診断基準を満たした。ほとんどの場合、定期的な大麻使用は少なくとも1年、精神病の発症に先行し、そして、それは大麻が統合失調症の危険因子であるという議論を支持する。さらなる支持的な証拠は、WHOによる統合失調症の国際的な前向き研究によって提供された(Jablensky et al., 1991)。

5.5.4 その他の障害

いくつかの他の精神障害が、大麻使用と結びつけられた。これらは以下を含む:健忘症候群、持続性の離人症とフラッシュバック。慢性的な重度のアルコール使用者に起こるウェルニッケ‐コルサコフ症候群に相当する健忘症候群の存在を支持する証拠はない。慢性的な重度の大麻使用がより微妙な認知障害をもたらすかもしれないといういくらかの証拠(認知性の影響の章で報告された)がある。その他の2つの障害は少数の病歴、フラッシュバックの事例で支えられるだけであり、これらの影響が大麻と他の薬物使用のどちらに起因していたかに関してかなりの不確実性がある。

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