7. 内分泌・生殖系に対する影響
大麻の男性と女性の生殖系に対する影響の研究は、以下に述べることについて調査した:下垂体ホルモン、黄体形成ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、それらは性ホルモン(エストロゲンとテストステロン)の合成と正常な生殖器の機能;LHとFSHレベルを変える下垂体ホルモンプロラクチン;エストロゲンとテストステロンのレベル;生殖器の生理的状態に寄与する。
7.1 男性の生殖ホルモン
THCの処置が雄の実験動物でLHとテストステロンの血漿中濃度を下げるという一般的な合意があるが(Symons et al., 1976; Chakravarty et al., 1982; Puder et al., 1985; Fernandez-Ruiz et al., 1992)、ヒトの男性における影響は明白なものではない。初期の研究は大麻の曝露はヒトの男性の血漿中LH、テストステロン濃度の一時的な減少を生じる(Schaefer et al., 1975; Cohen, 1976)あるいは影響はない(Cushman, 1975; Mendelson et al., 1978)の両方を報告した。しかし、慢性の大麻の曝露がヒトの性機能に影響を及ぼすという調査結果(Kolodny et al., 1974; Hembree et al., 1979; Issidorides, 1979)は、カンナビノイドが精巣の機能を制御し、精巣の特性に若干の影響を及ぼす生殖ホルモンを変えることを示唆する。
以降の研究は主に、2.8パーセントのTHCを含む1~2本の大麻タバコを吸った後に血漿中LH濃度が不変であったことを確認した(Cone et al., 1986)。毎日の曝露は、大麻使用者であった男性において、経口のTHCあるいは大麻喫煙のどちらもLHとテストステロンの血漿中濃度への影響はなかった。同様に、LH、FSH、プロラクチンとテストステロン循環濃度は、大麻使用者と非使用者の間で臨床的に異なるとは確認されなかった(Markinanos & Stefanis, 1982; Dax et al., 1989; Block et al., 1991)。
これらのヒトの研究における矛盾する結果は、実験的な方法の違いや以前の大麻の曝露の起こりうる影響(すなわち耐性)と分析対象における他の薬物の、動物実験では慎重にコントロールされることができる影響を反映する可能性があった。
7.2 女性の生殖ホルモン
Δ-9-THCは、完全なままと卵巣切除された実験動物の両方で、急性に、あるいは繰り返し投与されるとき、LH、FSHとプロラクチンの下垂体分泌を変える (Steger et al., 1980, 1981)。雌のラットでLHの正常な循環濃度を抑制することに加えて、THCは排卵にとって不可欠であるをLHとFSHのサージ妨げる。
結果として、THCは完全なままのラットとサルの排卵を妨げる(Smith et al., 1979)。さらに、成熟している雌のラットの最初の排卵の発生は、THCの春機発動周辺期の投与の後で遅れる (Field & Tyrey, 1986)。 持続性プロラクチン濃度は、急性に、あるいは繰り返しTHC処置された、完全なままと卵巣切除された、雌のラットの両方でかなり減少した(Field & Tyrey, 1986)。そのうえ、様々な状況の下で起こっているプロラクチンサージは、THC投与によって妨げられる(Steger et al., 1983)。THCの処置は、また、サルの月経の周期の正常な周期性を崩壊させる。
大麻喫煙者は、不十分な黄体期のためにより短い月経周期を持つ。血漿LH、プロラクチンと性ステロイドホルモンに対する大麻喫煙の急性の影響が成人の女性のグループの月経周期の卵胞期と黄体期の間で評価されたとき、月経周期の黄体期の間に血漿LHとプロラクチンが抑制され、それによってその周期が短くされたことが分かった(Mendelson et al., 1985, 1986)。しかし、自己申告性の慢性的な大麻使用者は、非使用者と比較して、LH、FSHとプロラクチンの循環濃度にどのような変化も認められなかった(Block et al., 1991)。大麻の曝露に対するホルモンの反応は月経周期の段階に依存するように見える。
7.3 標的器官
前述のホルモンの変化に加えて、動物実験はカンナビノイドの曝露が精巣、精嚢と前立腺の重量を減らし、卵巣の重量を減少させ、下垂体と副腎の重量を増加させることを示す。
これらのカンナビノイドの影響は、末梢神経と脳の部位での作用に起因すると考えられた。