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3.5 他の地域での大麻の使用

10世紀以上にわたり、アヘンと大麻は多種多様な病気の治療における治療薬として、また、儀式の一部として、また、アフリカやアジアの国々の食物の中のスパイスとして使用されている(UNDCP, 1997)。そこには、しかし、これらの国々と世界の他の地域での大麻と他の違法な物質の使用についての傾向に関する調査データは限られたものしかない。時折の調査は特定の国から報告されるが、ほとんどの場合、これらのデータは大麻使用のレベルの粗雑な徴候を提供するだけである。調査方法はめったに報告されず、結果はたいてい要約形式でのみ発表される。そして、報告された使用率が、使用の経験についてなのか、あるいはより頻繁な使用について言及しているのかどうかしばしば不明瞭であり、異なる年齢層と男性と女性についての使用率に関するどのようなデータもめったにない。しばしば、最も重度の使用者である若年成人の大麻の使用率が控え目に述べられる、すべての成人についての全体的な大麻の使用率のみが報告される。

サンプリングと調査の標準化された方法の不足、限られたデータの報告、これらの国の大部分からの詳細な年齢と性別に特定的な率の欠如は、これらの国の間での比較可能なデータ収集を促進する緊急の必要性を示す。この点で、WHOは、最近、比較可能なデータ収集を促進し、より正確に大麻使用の率とパターンにおける異文化間の違いを評価するための、国による使用に向けた標準化された調査方法の使用に関するガイドラインを完成させた。*1 これらの警告と共に、データは以下で簡潔に述べられる。

3.5.1 アフリカ

アフリカの部族もまた大麻のかなりの使用をした-タンザニアではドラッグは南部高地の食事の中に発見されており、そこでは、大麻の葉と種子はスパイスとして特別な料理の材料に使用された。また、タンザニアの伝統的な治療者は耳の痛みの治療に大麻植物からの抽出物を使用するのが知られている(Kilonzo & Kaaya, 1994)。

大麻はサハラ以南のアフリカにおける伝統的な精神活性物であり、主に儀式的、あるいは医療の目的に使用されるが、酩酊剤としても様々な程度に認められている(DuToit, 1980)。中等学校の学生の間での精神活性物質の使用に関する少数の研究がサハラ以南のいくつかの国、主にナイジェリアとケニアで行われており(Adelekan, 1989; Dhadphale et al., 1982)、青年達の間に様々な物質の実験と使用の存在を示したが、普及率は一般にヨーロッパより低いものであった。
1990年と1994年に、ジンバブエで二つの大きな調査が中等学校の学生の中で行われた(Eide&Acuda,1995;1996)。1990年に、大麻の生涯使用の普及率は12~14歳の間の学生の少年達で5.5パーセントと少女達で1.0パーセントの間で、17~18歳の学生の少年達で12.7パーセントと少女達で3.2パーセントの間で変化した。大麻使用は高密度な都市部に住む社会経済的に下側の層の男性の間でより普及しており、おそらく比較的低い価格を反映している。

1994年のデータは、私立学校の学生の間での大麻の生涯使用が増加傾向にあることを示しており、社会経済的に低い層からより高い層への普及を示唆している。この傾向は、さらに調査される必要がある。また、過去30日間の大麻使用は男子学生の間で1994年の調査でわずかに増加した。

これまでに大麻を使用した経験の低い率が、ナミビアとナイジェリアでの小さな調査で報告された。 1991年の600人のナミビアの学生と彼らの両親の調査では、両親の8.2パーセントがそれまでに大麻を使用したことがあり、3.3パーセントが毎日のユーザであると報告された。学生の間では、7.0パーセントはそれまでに大麻を使用したことがあり、3.7パーセントは時々の使用者であり、そして、0.7パーセントは毎日の使用者であった。ナイジェリアのイロリンで、1988年の1041人の中等学校の学生に対する自己管理による調査では、タバコと大麻の使用が男性にかなり起こったのを示し、一方、調査された他のどのような精神活性物質についても性差は認められなかった。ナイジェリアのラゴス州では、1991年の調査で、サンプルの5パーセントがそれまでに大麻を使用したことがあったと報告された。

南アフリカでは、1990年に3000人以上の14歳以上の個人に対する精神活性物質の現在の使用に関する調査が行われた。町での9パーセント、不法入居者社会での22パーセント、および部族の領域での5パーセントと比較して、都市部の全ての成人男子の13パーセントで現在の大麻の使用が報告された(Rocha-Silva, 1991)。疫学的研究は1991年にケープ・ペニンシュラの16の異なる学校の7340人の学生に実行され、総サンプルの7.5パーセントがそれまでに大麻を吸ったことがあったと報告された。女性より男性の方がそれまでに大麻を吸ったことが多くあり、そして、学校では学年が増加すると共に生涯使用の増加する傾向があったFlisher, 1993)。田舎と都市の両方の10歳から21歳のアフリカ人の若者に焦点を合わせた別の研究は、大麻使用が都市の男性の中で優勢に見つけられたと報告し、5.5パーセントが現在の使用者であったことを示した(Rocha-Silva et al., 1996)。

3.5.2. ラテンアメリカとカリブ海

ブラジルでは、3つの大きな全国的な学校を拠点とする調査が1987年、1989年、1993年に行われ、調査された人口に対するこれまでに大麻を使用したことのある人のパーセンテージは、1987年で2.9パーセント、1989年で3.4パーセント、1993年に5.0パーセントであった。使用の最も高い普及率は、ブラジリア(1987年で5.6パーセント、1989年で4.0パーセント、1993年で5.3パーセント)とサンパウロ(1987年で3.5パーセント、1989年で4.7パーセント、1993年で5.7パーセント)であった。また、1993年、ポルトアレグレには、大麻の報告された生涯使用8.0パーセントがあった(Carlini et al., 1990; Galduroz et al., 1994)。

コロンビアではいくつかの薬物使用の調査が行われている。Torres de Gelvis & Murelle (1990)は、1987年のコロンビアでの4つの都市中心部の2500人の居住者の調査の調査結果を報告した。回答者は12~64歳の間であった。男性の2パーセントと女性の0.3パーセントは前年に大麻を使用していた。率は最高水準の20-24歳の年齢層で3パーセントとすべての年齢層で低かった。生涯の率に関して、男性の10パーセントと女性の3パーセントはそれまでに大麻を使用したことがあった。

1992年、コロンビアでのNational Household Survey on Drug Abuse(薬物乱用の国民世帯調査)(Ospina et al., 1993)では、成人の5.3パーセントが、少なくとも(男性の10.4パーセントと女性の1.7パーセント)一度大麻を使用したことがあると報告された。使用度では、18-24歳の間で最も高く、1.5パーセントが前年に使用していた。12~17歳の0.5パーセントのみが過去12カ月の間に使用していた。

1988年、Mexican household survey of psychoactive substance (メキシコの精神活性物質使用の世帯調査)では、12~65歳の間の回答者の3パーセントの大麻の生涯使用の全体的な率を発見した。男性の間では、大麻の使用は女性より高く(7.6パーセント対2.2パーセント)、より若い年齢層の中ではより普及している。最も高い使用率は、北西部の領域で、そこでは12~34歳の回答者の15.4パーセントがこれまでに大麻を使用したことがあると報告されており、7.9パーセントは昨年の間に使用したと報告され、4.0パーセントは過去一ヶ月の間に使用していると報告された(Centros de Integracion Juvenil, 1992)。大麻はメキシコで過去3年間に最も多く開始の報告された薬物である(Tapia-Conyer et al., 1994)。

Alfaro-Murillo (1990)は1983-97の期間にわたって行われたコスタリカでの薬物使用の一連の調査をレビューした。そして、これらの最も最近のものであり代表的なものは、1987年の14~60歳の2700人の回答者の多段階調査であった。サンプルの3パーセントのみが、これまでに大麻を使用したことがあると報告した。同じ著者は1985年の818人の高校生の学校調査が5パーセント未満の大麻の使用を報告する大まかな結果を報告した。

A cross national analysis of psychoactive substance use in Latin American and Caribbean countries(ラテンアメリカ及びカリブ海の国々における精神活性物質使用の国際的分析)ボリビア、コロンビア、ドミニカ共和国、エクアドル、グアテマラ、ハイチ、ジャマイカ、パナマ、パラグアイとペルーを含む(Jutkowitz&Eu,1994)では、ジャマイカが29パーセントと調査された全ての国で最も高い大麻使用の生涯普及率を示した。他の国では、10パーセント未満の回答者が、これまでに大麻を使用していた。生涯普及率のレベルは、これらの大部分の国々で同様であった:グアテマラ7.3パーセント、コロンビア6.5パーセント、パナマ6.1パーセントとペルー8.3パーセント。パラグアイは生涯普及率1.4パーセントで、ドミニカ共和国は2パーセントであった。

同じ研究では、ハイチを除く全ての国で、男性の方が女性より、これまでに大麻を使用したことがあり、現在使用しているようだと報告された。グアテマラやパナマのような普及率の高い国では、大麻使用はアルコールやタバコと同じくらい早い時期(15歳かそれ以前)に始まり、生涯使用者はかなりの比率で、現在その物質を使用している(平均40パーセント)。ハイチやドミニカ共和国のような普及の低い国では、大麻使用は平均して、アルコールやタバコの使用より高い年齢(20代)で起こる (Jutkowitz & Eu, 1994)。

Smart & Patterson (1990)はバハマの学生と未成年の非行者の間での薬物使用の調査の結果を報告した。11歳以上の学生のサンプルの8パーセントがこれまでに大麻を使用していた。

3.5.3 アジア

インドには、様々な宗教的な慣習の一部としてヴェーダの時代から大麻使用の長い伝統がある。いくつかのアジアの国では、大麻が調味料として食物にも加えられおり、漢方療法(ハーブ療法)にも使われている。そのような範囲の使用は、文書の裏づけがなされていない。

精神に作用する効果のための使用に関して、ほんの最近、限られた調査資料がいくつかの地方で大麻使用のパターンあるいは傾向に関して集められた。一般化は、使用のパターンの地方的な違いのために難しい。北部インドの3つの州で1989年と1991年に行われた調査(Indian Council of Medical Reserch,1993)で、生涯普及率は3パーセントで現在の使用の普及率は1パーセントであることが明らかになり、1989?1991年の間でいかなる増加をも示す証拠はなかった。バラナシでは、調査対象の4326人の大学生で、彼ら全体の間での大麻の使用が4.5パーセントであることが分かった。1976年の10.2パーセントからのこの普及率の低下は、主に時々の使用者であり、女子学生の間での著しい増加と共に習慣的な使用者の比率は実際には増加している (Reddy et al., 1993)。南部インドでは、7パーセントの生涯使用の普及率が2.5パーセントの現在の使用者と共に報告された。学生の調査において、10パーセントと27パーセントのより高い普及率の数字が報告されている(おそらく使用経験)(Indian Council of Medical Research, 1993)。

世帯調査は、インドの農村地帯、都市部のスラム地域、 都市で、10歳以上の人の間で実行され、以下に示す大麻使用の経験の普及を発見した:農村地帯の3.2パーセント;スラム地域の3.2パーセント;そして、都市の2.7パーセント(Mahado,1994)。農村地帯での大麻使用は主に宗教的な目的のためであるのに対して、その他の2つの地域において、その使用は主にレクリエーションであった。大麻使用は、使用の社会宗教的な背景を与えられる農村地帯においては問題行動としては認められないが、都市部では常軌を逸した形態の行動として認められるように見られた(Machado,1994)。

大麻の使用に関する調査結果は、アジアの地域の他のどの国からもWHOには入手できなかった。


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*1WHO Manual on Substance Abuse Epidemiology (in draft). WHO
Programme on Substance Abuse, Geneva 1997.より入手可能

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