◆ 3.大麻使用の疫学
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3.1 大麻使用を評価する方法論的な側面

大麻使用のパターンに関する初期の文献は主に先進諸国での研究に基づいており、これらの国の青年と若年成人の間での広範囲にわたる大麻使用の出現、健康、これに至った法律と社会的な関心を反映している。しかし、増加する数多くの研究(例えば、 Smart et al., 1980;
Carlini et al., 1990; Adelekan, 1989; Kramer,1990)が発展途上国(この場合それぞれバハマ、ブラジル、ナイジェリア、およびベネズエラ)で実行され、それらは、同様に発展途上国における大麻使用に関する何らかの洞察を提供する。

大麻が違法な精神活性物質であるので、(大麻と大麻樹脂、抽出物、およびチンク剤は、1972年の議定書によって改正された1961年の麻薬単一協定でSchedule1に含まれている。)使用のレベルとパターンに関するデータはアルコールとタバコの使用にくらべて、広く利用可能ではない。そのうえ、大麻が非合法であることは、その使用の普及を過小評価するように作用する多くの潜在的偏りをもたらす。最初に、非合法な物質の使用者は、世帯調査で調査されるサンプルであると思われ、これらの連絡があった人は、調査に参加することを嫌うかもしれない。 2番目に、使用者が、参加することに同意しても、彼らは正直な応答を与えたいと思わないかもしれない。 これらの偏りにもかかわらず、違法な物質の使用の動向に関して推論を許すことができる、物質の使用の自己報告による、慎重に設計された研究の有効性の十分な証拠がある。

大麻使用の普及の世界的な数字を異なる方法のデータ収集、分析、定義、調査が実行された期間を与えて見積もる試みは全くなされていない。 しかしながら、国連Drug Control Programmeは加盟国によって与えられた数字に基づいて、1990年代の大麻'乱用者'(年間普及率)の数を1億4100万人、世界の人口の2.45パーセントと見積もった(UNDCP,1997)。

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3.2 北アメリカ

3.2.1 アメリカ合衆国

アメリカ合衆国は、この15~20年にわたって定期的に違法物質使用の調査を行った; これらは国立薬物乱用研究所(NIDA)によって1972年以来(NIDA, 1992)、米国中で定期的に行われた、National Household Survey on Drug Abuse(薬物乱用の国民世帯調査); そして、1975年以降毎年行われた、高校の最上級生、大学生、および若年成人のサンプルの全国的な'Monitoring the Future(未来をモニターします)'調査(Johnston et al., 1997)を含んでいる。

NIDA国民世帯調査は、当初2~3年毎に、ランダムに選ばれた米国中の世帯の12歳以上のおよそ9000人の人々に適用されていた。1991年以来、調査は30000人以上の参加者について毎年実行されている。

1992年に、国民世帯のサンプルの1/3は、彼らが大麻を試したと報告し、そして、9パーセントは昨年それを使用し、そして、4パーセントは彼らが現在の使用者であると報告した。 生涯使用は12~17歳で11パーセント、26~34歳で59パーセント、35歳以上で25パーセントの人が幾らかの使用で報告されている。使用の中止率は高く、かつて使用者であった男性の2/3以上と女性の3/4以上は共に過去1年間大麻を使用していない。毎週の大麻使用はまれであった: 男性の間で、それは女性より高く(男性の9パーセントと女性の6パーセント)、大麻を使用したことがある12~17歳の間で21パーセントと普及率のピークであった。 1974年から1990年までの期間の連続したデータは、大麻使用の普及が1970年代中に増加して、1979年にピークに達し、1980年代中に、1974年にされた報告より低いレベルまで着実に下降していることを示した。

'Monitoring the Future(未来をモニターします)'調査(Johnston et al., 1997)は、1975年以来、中等学校におけるアメリカ人の青少年の大麻の使用に広い変動を示す; 12年生(16~18歳)の間の生涯普及率は、1980年に65パーセントでピークに達して、1990年代前半までにほぼ半分に低下した; 最後の年の使用は、1979年に51パーセントでピークに達して、1992年までに60パーセント以上下がった。 また、非継続の割合もかなり上昇した(Table 1)。 また、大部分の他の違法物質の使用者が大麻を使用したが、それらの物質の使用における傾向は大麻使用における傾向から独立していた。

Table 1. 米国の12年生の間での大麻使用における傾向

%何らかの生涯使用、%何らかの過去12ヶ月における使用、%非継続の割合*

http://whqlibdoc.who.int/hq/1997/WHO_msa_PSA_97.4.pdf 
page5 Table 1参照

典拠:Johnston et al., 1997

* この変数は薬物を使用したことがある(あるいは10回以上それを使用した事がある)が、昨年はそれを使用しなかった人々のパーセンテージと定義される。 薬物使用の確認された永久的な中止、それは調査から論理的に推論することはできない、の含意を避けるために、調査員は'中止'よりむしろ'非継続'という用語を使用した。


大麻使用における10年間以上の安定した下降の後、1992年の8年生(14~16歳)の調査、および1993年と1994年の8年生、10年生、12年生の調査は3つの学年全てにおける突然の上昇、および大学生と若年成人の間でのより小さい上昇を示した。 開始率と継続的な使用の普及率の両方に増加があった(Johnston et al., 1997)。

グラフ
http://whqlibdoc.who.int/hq/1997/WHO_msa_PSA_97.4.pdf
page6参照

Johnstonと同僚は、1980年代の間の安定した減少とより最近の使用の増加について説明された、大麻使用に関する態度と信念を変える重要な証拠を整理した。 彼らは、大麻使用の危険性の認識の増加は、時間と共に減少した使用率と強く相関していたが、一方ごく最近では、大麻使用の認められた危険性に著しい衰退がみられると報告している(Johnston, 1995)。

3.2.2  カナダ

A national telephone(国民電話調査)は1994年にカナダ保健省によってカナダで15歳以上の12155人の人々を対象に行われた。 全体的に見て、サンプルの28.2パーセントは、それまでに、大麻を使用したことがあったが、7.4パーセントだけが昨年大麻を使用したと報告した。使用率は男性の間で女性の2倍高かった。現在の使用の普及率は 、15~17歳の26.1パーセントの高い値から、45~54歳の1.4パーセント、55~64歳の0.7パーセントへと年齢と共に下降した。中止率は著しく、それまでに大麻を使用したことがあった人々の26パーセントだけが昨年そうしていた。

1970年代の中頃からカナダ中の様々な州で行われたいくつかの学校調査がありる。
 最も一貫した傾向は1970年代における普及率の増加と、1980年代を通しての急激な下降である。オンタリオでは、違法薬物の使用率が隣接しているアメリカ合衆国より低かった。 年間の大麻の使用率における低下の規模は他の物質より大きかった。また、大麻使用者の間では、1979年以来使用の頻度も低下している(Adlaf et al., 1995)。 しかし、ここ最近の数年では、大麻使用の全体的な割合の増加があった。

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3.3 オーストラリアとニュージーランド

大麻は、オーストラリアで最も広く使用された非合法な精神活性物質であり続け、成人のおよそ1/3がその物質を使用したと報告しており、20~24歳の間の全ての若年成人の72パーセントが人生の中の何らかのポイントで大麻を使用している (de Zwart et al., 1994)。1993年に行われた成人の国民世帯調査では、使用の普及率は性別と年齢に関連があった。男性は女性より使用が顕著であり、45歳以上の成人は、より若い成人に比べて使用が少ないようであった。これは1970年代初期の若いオーストラリア人の成人の間での広範囲の大麻使用の開始を反映している(Donnelly & Hall, 1994)。

オーストラリアでこれまで大麻を使用していた人々の半分以上は使用を中止したか、あるいは毎週未満の使用を続けた。女性の7パーセントと男性の15パーセントは毎週の使用者となった。毎週の大麻使用はより若い年齢層の間で最も一般的であり 20~24歳の間で最も高く、その後急に下降している。大麻の使用は過去20年間にわたって劇的に増加しており、その物質を使用した経験のある人の割合は1973年の成人の12パーセントから、1985年に28パーセント、1993年には34パーセントにまで増加した(Donelly & Hall, 1994)。1970年代を通して市場調査会社によって行われた'総括的'世帯調査もまた、1973年から1984年の間で全ての年齢層の大麻使用の普及率の増加があることを示した(McAllister et al., 1991)。

ニュージーランドでは、1990年の調査で、15~45歳のニュージーランド人の12パーセントが過去12カ月間に大麻を使用したことを示した(Black & Casswell, 1991)。その年齢層のニュージーランド人の43パーセントは生涯の大麻使用を報告する。1991年、研究949は、13~14歳の子供が15歳までに、およそ10パーセントが1回以上大麻を使用しており、2.2パーセントが、10回以上大麻を使用していると報告したのを示した(Fergusson et al., 1993)。

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3.4 ヨーロッパ

WHOヨーロッパ地方事務局はヨーロッパ地方での一般住民の間での薬物使用の一連の調査から結果を集めた。WHOヨーロッパ地方の西の部分で調査された21の国々では、大麻は一般住民の間で最も多く使用されている違法な薬物であると報告された。デンマークでは、1994年に、16~44歳の間のおよそ37パーセントが、少なくとも一度大麻を使用したことがあったのを示した。郵便物で調査されたデータを使用すると、同じ群のおよそ40パーセントが、大麻を使用したと言っており、デンマークでの使用のわずかな上昇を示している。1991年にスイスでは、17~45歳の成人の17パーセントが今までに、大麻を使用したことがあると報告された。1994年の調査では、20歳までに若者の50パーセントは、彼らが少なくとも一度大麻を試したことがあったと言っており、かなりの増加がみられた。しかし、これは一群の若い世代の一部であるためかもしれない。ドイツでは、1994年の18~59歳の調査で、国の東側の地域の人々の2.8パーセントと対照的に国の西側の地域の人々の13.6パーセントがそれまでに大麻を使用したことがあったのを示した。1992年にイギリスでの使用経験の普及率は12~59歳のうちの14パーセントであった(Harkin et al., 1997)。

調査に参加する国全体において、予想される現在の使用はかつての使用よりはるかに低く、この使用の停止は非常に一般的であろことを示している。成人の人口の広い範囲で、データが利用可能である全ての国の6パーセント未満は調査の前の月の間に大麻を使用していた。一般に、16~19歳の年齢層の
間で、現在の使用はより高い。1991年のイギリスでは、この年齢層における男性の23パーセントと女性の13パーセントが前年に大麻を使用しており、20~24歳の年齢層の間では、男性の18パーセントおよび女性の11パーセントが最後の1年間に大麻を使用した。デンマークでは、1994年の二つの調査で、16~19歳の間で、その14パーセントと10パーセント、20~24歳の間で12パーセントと20パーセントが前年に大麻を使用したことを発見した(Harkin et al., 1997)。

大麻使用における傾向の調査に参加した8つの西ヨーロッパ諸国のうち7つは、現在の使用が増加していたのを示した。これらはフランス、 そこでは一般に、1978年以来薬物使用が若年層で増加しており、およびイギリス、学校調査では13~14歳の大麻使用の経験のパーセンテージは1989年から1993年まで倍増している、を含んでいる; そして、15歳と16歳におけるパーセンテージは同じ期間、6倍に増加した。ルクセンブルクでは、大麻使用が過去10年間でおよそ20~25パーセント増加したと報告された(Harkin et al., 1997)。

ポンピドーグループ(Johnston et al., 1994)は、ベルギー、フランス、ギリシア、イタリア、オランダ、ポルトガル、およびスウェーデンで高校生の間での違法な物質の使用をモニターするための高校調査の実現可能性と有効性の研究を引き受けた(比較に米国からのサンプルを使用した)。研究は、違法な物質の使用に関する有効なデータを得るのが可能であったことを示した。一般に、ほとんどすべての違法な精神活性の物質の普及率が、米国のサンプルにおいてより高いことがわかり、ヨーロッパのサンプルでは、大麻は年長の学生の人口の10パーセントから36パーセントに少なくとも一度使用されたことがあり、過去30日間に米国の学生の19パーセントに使用されたのに対して、ヨーロッパ人の学生では3パーセントから14パーセントに使用された。大麻が毎日に近く使用された割合は米国での3パーセントに比較してヨーロッパのサンプルでは1パーセントである。

オランダでは、10~18歳の10000人以上の高校生の間での物質使用の大規模な全国的な調査が1992年に行われた。 男性のおよそ1/3と女性の1/5はそれまでに、大麻を使用したことがあった(de Zwart et al., 1994)。1984年、1988年、1992年の3つの全国的な学校調査からのデータは、1988年と1992年の間、特に年長の男性の間で使用の大きな増加を示した。イギリスでは、3258の無作為に選ばれた家庭の居住者の調査によって、違法な物質の使用の生涯の普及率が6.9パーセントであることがわかり、大麻は最も一般的に使用された物質になろうとしている(Russell et al., 1994)。

同時に集められた、これらのデータは、若年層による大麻使用の普及率の増加が最後の10年間の間に、ヨーロッパで、オーストラリア、カナダ、および米国と同様ににあったことを示唆する。

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3.5 他の地域での大麻の使用

10世紀以上にわたり、アヘンと大麻は多種多様な病気の治療における治療薬として、また、儀式の一部として、また、アフリカやアジアの国々の食物の中のスパイスとして使用されている(UNDCP, 1997)。そこには、しかし、これらの国々と世界の他の地域での大麻と他の違法な物質の使用についての傾向に関する調査データは限られたものしかない。時折の調査は特定の国から報告されるが、ほとんどの場合、これらのデータは大麻使用のレベルの粗雑な徴候を提供するだけである。調査方法はめったに報告されず、結果はたいてい要約形式でのみ発表される。そして、報告された使用率が、使用の経験についてなのか、あるいはより頻繁な使用について言及しているのかどうかしばしば不明瞭であり、異なる年齢層と男性と女性についての使用率に関するどのようなデータもめったにない。しばしば、最も重度の使用者である若年成人の大麻の使用率が控え目に述べられる、すべての成人についての全体的な大麻の使用率のみが報告される。

サンプリングと調査の標準化された方法の不足、限られたデータの報告、これらの国の大部分からの詳細な年齢と性別に特定的な率の欠如は、これらの国の間での比較可能なデータ収集を促進する緊急の必要性を示す。この点で、WHOは、最近、比較可能なデータ収集を促進し、より正確に大麻使用の率とパターンにおける異文化間の違いを評価するための、国による使用に向けた標準化された調査方法の使用に関するガイドラインを完成させた。*1 これらの警告と共に、データは以下で簡潔に述べられる。

3.5.1 アフリカ

アフリカの部族もまた大麻のかなりの使用をした-タンザニアではドラッグは南部高地の食事の中に発見されており、そこでは、大麻の葉と種子はスパイスとして特別な料理の材料に使用された。また、タンザニアの伝統的な治療者は耳の痛みの治療に大麻植物からの抽出物を使用するのが知られている(Kilonzo & Kaaya, 1994)。

大麻はサハラ以南のアフリカにおける伝統的な精神活性物であり、主に儀式的、あるいは医療の目的に使用されるが、酩酊剤としても様々な程度に認められている(DuToit, 1980)。中等学校の学生の間での精神活性物質の使用に関する少数の研究がサハラ以南のいくつかの国、主にナイジェリアとケニアで行われており(Adelekan, 1989; Dhadphale et al., 1982)、青年達の間に様々な物質の実験と使用の存在を示したが、普及率は一般にヨーロッパより低いものであった。
1990年と1994年に、ジンバブエで二つの大きな調査が中等学校の学生の中で行われた(Eide&Acuda,1995;1996)。1990年に、大麻の生涯使用の普及率は12~14歳の間の学生の少年達で5.5パーセントと少女達で1.0パーセントの間で、17~18歳の学生の少年達で12.7パーセントと少女達で3.2パーセントの間で変化した。大麻使用は高密度な都市部に住む社会経済的に下側の層の男性の間でより普及しており、おそらく比較的低い価格を反映している。

1994年のデータは、私立学校の学生の間での大麻の生涯使用が増加傾向にあることを示しており、社会経済的に低い層からより高い層への普及を示唆している。この傾向は、さらに調査される必要がある。また、過去30日間の大麻使用は男子学生の間で1994年の調査でわずかに増加した。

これまでに大麻を使用した経験の低い率が、ナミビアとナイジェリアでの小さな調査で報告された。 1991年の600人のナミビアの学生と彼らの両親の調査では、両親の8.2パーセントがそれまでに大麻を使用したことがあり、3.3パーセントが毎日のユーザであると報告された。学生の間では、7.0パーセントはそれまでに大麻を使用したことがあり、3.7パーセントは時々の使用者であり、そして、0.7パーセントは毎日の使用者であった。ナイジェリアのイロリンで、1988年の1041人の中等学校の学生に対する自己管理による調査では、タバコと大麻の使用が男性にかなり起こったのを示し、一方、調査された他のどのような精神活性物質についても性差は認められなかった。ナイジェリアのラゴス州では、1991年の調査で、サンプルの5パーセントがそれまでに大麻を使用したことがあったと報告された。

南アフリカでは、1990年に3000人以上の14歳以上の個人に対する精神活性物質の現在の使用に関する調査が行われた。町での9パーセント、不法入居者社会での22パーセント、および部族の領域での5パーセントと比較して、都市部の全ての成人男子の13パーセントで現在の大麻の使用が報告された(Rocha-Silva, 1991)。疫学的研究は1991年にケープ・ペニンシュラの16の異なる学校の7340人の学生に実行され、総サンプルの7.5パーセントがそれまでに大麻を吸ったことがあったと報告された。女性より男性の方がそれまでに大麻を吸ったことが多くあり、そして、学校では学年が増加すると共に生涯使用の増加する傾向があったFlisher, 1993)。田舎と都市の両方の10歳から21歳のアフリカ人の若者に焦点を合わせた別の研究は、大麻使用が都市の男性の中で優勢に見つけられたと報告し、5.5パーセントが現在の使用者であったことを示した(Rocha-Silva et al., 1996)。

3.5.2. ラテンアメリカとカリブ海

ブラジルでは、3つの大きな全国的な学校を拠点とする調査が1987年、1989年、1993年に行われ、調査された人口に対するこれまでに大麻を使用したことのある人のパーセンテージは、1987年で2.9パーセント、1989年で3.4パーセント、1993年に5.0パーセントであった。使用の最も高い普及率は、ブラジリア(1987年で5.6パーセント、1989年で4.0パーセント、1993年で5.3パーセント)とサンパウロ(1987年で3.5パーセント、1989年で4.7パーセント、1993年で5.7パーセント)であった。また、1993年、ポルトアレグレには、大麻の報告された生涯使用8.0パーセントがあった(Carlini et al., 1990; Galduroz et al., 1994)。

コロンビアではいくつかの薬物使用の調査が行われている。Torres de Gelvis & Murelle (1990)は、1987年のコロンビアでの4つの都市中心部の2500人の居住者の調査の調査結果を報告した。回答者は12~64歳の間であった。男性の2パーセントと女性の0.3パーセントは前年に大麻を使用していた。率は最高水準の20-24歳の年齢層で3パーセントとすべての年齢層で低かった。生涯の率に関して、男性の10パーセントと女性の3パーセントはそれまでに大麻を使用したことがあった。

1992年、コロンビアでのNational Household Survey on Drug Abuse(薬物乱用の国民世帯調査)(Ospina et al., 1993)では、成人の5.3パーセントが、少なくとも(男性の10.4パーセントと女性の1.7パーセント)一度大麻を使用したことがあると報告された。使用度では、18-24歳の間で最も高く、1.5パーセントが前年に使用していた。12~17歳の0.5パーセントのみが過去12カ月の間に使用していた。

1988年、Mexican household survey of psychoactive substance (メキシコの精神活性物質使用の世帯調査)では、12~65歳の間の回答者の3パーセントの大麻の生涯使用の全体的な率を発見した。男性の間では、大麻の使用は女性より高く(7.6パーセント対2.2パーセント)、より若い年齢層の中ではより普及している。最も高い使用率は、北西部の領域で、そこでは12~34歳の回答者の15.4パーセントがこれまでに大麻を使用したことがあると報告されており、7.9パーセントは昨年の間に使用したと報告され、4.0パーセントは過去一ヶ月の間に使用していると報告された(Centros de Integracion Juvenil, 1992)。大麻はメキシコで過去3年間に最も多く開始の報告された薬物である(Tapia-Conyer et al., 1994)。

Alfaro-Murillo (1990)は1983-97の期間にわたって行われたコスタリカでの薬物使用の一連の調査をレビューした。そして、これらの最も最近のものであり代表的なものは、1987年の14~60歳の2700人の回答者の多段階調査であった。サンプルの3パーセントのみが、これまでに大麻を使用したことがあると報告した。同じ著者は1985年の818人の高校生の学校調査が5パーセント未満の大麻の使用を報告する大まかな結果を報告した。

A cross national analysis of psychoactive substance use in Latin American and Caribbean countries(ラテンアメリカ及びカリブ海の国々における精神活性物質使用の国際的分析)ボリビア、コロンビア、ドミニカ共和国、エクアドル、グアテマラ、ハイチ、ジャマイカ、パナマ、パラグアイとペルーを含む(Jutkowitz&Eu,1994)では、ジャマイカが29パーセントと調査された全ての国で最も高い大麻使用の生涯普及率を示した。他の国では、10パーセント未満の回答者が、これまでに大麻を使用していた。生涯普及率のレベルは、これらの大部分の国々で同様であった:グアテマラ7.3パーセント、コロンビア6.5パーセント、パナマ6.1パーセントとペルー8.3パーセント。パラグアイは生涯普及率1.4パーセントで、ドミニカ共和国は2パーセントであった。

同じ研究では、ハイチを除く全ての国で、男性の方が女性より、これまでに大麻を使用したことがあり、現在使用しているようだと報告された。グアテマラやパナマのような普及率の高い国では、大麻使用はアルコールやタバコと同じくらい早い時期(15歳かそれ以前)に始まり、生涯使用者はかなりの比率で、現在その物質を使用している(平均40パーセント)。ハイチやドミニカ共和国のような普及の低い国では、大麻使用は平均して、アルコールやタバコの使用より高い年齢(20代)で起こる (Jutkowitz & Eu, 1994)。

Smart & Patterson (1990)はバハマの学生と未成年の非行者の間での薬物使用の調査の結果を報告した。11歳以上の学生のサンプルの8パーセントがこれまでに大麻を使用していた。

3.5.3 アジア

インドには、様々な宗教的な慣習の一部としてヴェーダの時代から大麻使用の長い伝統がある。いくつかのアジアの国では、大麻が調味料として食物にも加えられおり、漢方療法(ハーブ療法)にも使われている。そのような範囲の使用は、文書の裏づけがなされていない。

精神に作用する効果のための使用に関して、ほんの最近、限られた調査資料がいくつかの地方で大麻使用のパターンあるいは傾向に関して集められた。一般化は、使用のパターンの地方的な違いのために難しい。北部インドの3つの州で1989年と1991年に行われた調査(Indian Council of Medical Reserch,1993)で、生涯普及率は3パーセントで現在の使用の普及率は1パーセントであることが明らかになり、1989?1991年の間でいかなる増加をも示す証拠はなかった。バラナシでは、調査対象の4326人の大学生で、彼ら全体の間での大麻の使用が4.5パーセントであることが分かった。1976年の10.2パーセントからのこの普及率の低下は、主に時々の使用者であり、女子学生の間での著しい増加と共に習慣的な使用者の比率は実際には増加している (Reddy et al., 1993)。南部インドでは、7パーセントの生涯使用の普及率が2.5パーセントの現在の使用者と共に報告された。学生の調査において、10パーセントと27パーセントのより高い普及率の数字が報告されている(おそらく使用経験)(Indian Council of Medical Research, 1993)。

世帯調査は、インドの農村地帯、都市部のスラム地域、 都市で、10歳以上の人の間で実行され、以下に示す大麻使用の経験の普及を発見した:農村地帯の3.2パーセント;スラム地域の3.2パーセント;そして、都市の2.7パーセント(Mahado,1994)。農村地帯での大麻使用は主に宗教的な目的のためであるのに対して、その他の2つの地域において、その使用は主にレクリエーションであった。大麻使用は、使用の社会宗教的な背景を与えられる農村地帯においては問題行動としては認められないが、都市部では常軌を逸した形態の行動として認められるように見られた(Machado,1994)。

大麻の使用に関する調査結果は、アジアの地域の他のどの国からもWHOには入手できなかった。


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*1WHO Manual on Substance Abuse Epidemiology (in draft). WHO
Programme on Substance Abuse, Geneva 1997.より入手可能

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