5.2 運転に対する影響
大麻の急性の作用が特に重要であると予想される行動は、危険な機械の操作や自動車の運転を含む。大麻に酔った状態で運転する人の間で自動車事故の危険性の増加があると結論づけるのに十分な、干渉性と一貫性が実験的研究と事故の犠牲者の間でのカンナビノイドレベルの研究の証拠にある(Smiley et al.,
1981; Stein et al., 1983; McBay, 1986; Soderstrom et al., 1988)。運転技能に関連した様々な遂行行動の損傷は、大麻使用のすぐ後から最高24時間後で示された。Simpson(1986)は交通事故に巻き込まれた人のサンプルの7~10パーセントで、数時間以内の使用を示す、大麻が血中に存在することを示した。そして、Williams他(1985)はカリフォルニアの若い男性の事故による死亡者の研究で、サンプルの37パーセントが大麻に陽性であることを発見した。この危険性は、大麻がアルコールの中毒量と組み合わせられるとき拡大される。Simpson(1986)は、また、大麻が存在したときのサンプルの80パーセントに、アルコールも存在したと発見した。
前回のWHOの報告から比較的少ない数の実験的研究が行われ、大麻が運転の行動の様々な構成要素、例えば制動時間、始動時間と赤信号または他の危険信号に対する反応を損なうことができることを確認した。しかし、大麻の影響を受けている人は、彼らが損なわれていると認めるかもしれず、そして、彼らが補整することができる箇所で、彼らはそうするかもしれない(Stein et al., 1983; Smiley et al., 1981)。たとえば、彼らは車両の追い越しの試みをしないようにし、減速し、彼らが反応が要求されるということを知っているとき、注意を運転の作業に集中する傾向があるかもしれない。しかし、彼らが予想外の出来事に遭遇させられるとき、あるいは、作業が継続的な注意を必要とする所では、そのような補整は可能ではなく、したがって、事故の危険性は大麻使用の後ではより高いままである。運転の行動に対する影響は、喫煙の1時間後、まだ存在するが、これらの研究において使用された服用量では長期間は続かない。
他方、航空機パイロット遂行能力における大麻の引き続く影響の研究が行われ、大麻使用が喫煙の後、0.25、4、8と24時間、飛行機操縦の遂行能力を弱めることを示した。これらの結果は、わずか20mgのTHCの喫煙の後、24時間もの長い間、複雑な機械を使用する人間の遂行能力を損なうことができることを示唆し、そして、ユーザーは薬の影響を意識しないかもしれない(Leirer et al., 1991)。
利用できるデータは、大麻使用の影響を事故の危険性として定量化するのに十分ではない。自動車事故における大麻の役割については不確実性があり、一つには、カンナビノイドの血中濃度が最近の使用だけを示すわけではなく、運転者、あるいは歩行者のどちらが事故の時点で大麻に酔っていたかどうかを示さないことによる(Consensus Development Panel, 1985)。そのうえ、血中にカンナビノイドを有した運転者の75パーセント以上が、アルコールにも酔っていたことがわかった(Gieringer, 1988; McBay, 1986)。
多数のこれらの研究は、アルコールと大麻の様々な服用量の影響を比較した。多くの点で、これらの物質の影響は類似しているが、しかし、他において、違いがあるように見える(Smiley, 1986)。例えば、両方の薬は車線コントロールの正確さを損ない、補助的な刺激に対する反応時間を増やした。しかし、それらは模擬の運転の間、視覚的な探索のパターンに対する異なる影響を生じた。これらの反応に関する個性の可変性の影響は、更なる研究を必要とするかもしれない。